Development of a new methodology for surface science
by adding one more dimension
Introduction
光電子放出角度分布(PIAD)には固体の電子物性に関するありとあらゆる情報が反映されている。特に励起原子周りの局所的な原子間結合方向に現れる光電子の前方散乱ピーク(FFP)は元素及びsite選択的な優れた局所プローブである。我々はこれまで様々な偏光・エネルギー特性を生かした二次元光電子分光(2D-PES)の開発に携わってきた。例えば、円偏光(CP)軟X線2D-PESではPIADに現れるFFPの円二色性を利用し、元素選択的な立体原子写真の撮影が行える[1,2]。他方、直線偏光(LP)真空紫外線2D-PESでは価電子帯(VB)分散・等エネルギー面図の立体イメージング[3]と原子軌道解析[4]が可能となる。
2D-PESには試料をまわして測定する方式と、PIADを一度に取り込みそれを光・光電子のエネルギーごとに測定していく方式がある。特に後者の方式には、実空間での異なる場所ごとの2D-PES測定が容易なことから、「顕微」2D-PESの道が開かれている。本稿ではエネルギー・角度・位置分解能の向上による最近の成果についても紹介したい[4,5]。
まず、
次節で2D-PESの特徴と、この手法を実現するための分析器について述べる。
3節では価電子帯の分散の測定に関する研究を紹介する。続く
4節では内殻のPIADのFFPの円二色性を用いた立体原子写真法について説明する。さらに、最近価電子帯に円偏光軟X線2D-PESを適応した場合、各分散の軌道モーメント解析ができることを見出した。
5節では、FFPを利用した「site選択的な価電子帯の電子状態の解析」について紹介する。
最後に2D-PESの発展形としてAuger電子放出角度分布(AIAD)から得られる二次元X線吸収分光(2D-XAFS)についてふれる。
[1] H. Daimon, Phys. Rev. Lett., 86, 2034 (2001).
[2] F. Matsui, H. Daimon, F. Z. Guo and T. Matsushita, Appl. Phys. Lett., 85, 3737 (2004).
[3] F. Matsui, Y. Hori, H. Miyata, N. Suganuma, H. Daimon, H. Totsuka, K. Ogawa,T. Furukubo and H. Namba, Appl. Phys. Lett., 81, 2556 (2002).
[4] F. Matsui, H. Miyata, O. Rader, Y. Hamada, Y. Nakamura, K. Nakanishi, K. Ogawa, H. Namba and and H. Daimon, Phys. Rev. B, 72, 195417 (2005).
[5] 松井文彦、加藤有香子、郭方准、松下智裕、大門寛, 表面科学, 26, 746 (2005).
- PIAD
- photoelectron intensity angular distribution
- FFP
- Forward focusing peak
- 2D-PES
- Two-dimensional photoelectron spectroscopy
- CP
- circular polarization / circularly polarized
- LP
- linear polarization / linearly polarized
- VB
- valence band
- AIAD
- Auger electron intensity angular distribution
- 2D-XAFS
- 2D x-ray absorption fine structure
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最終更新:2008年08月30日 11:46