ゆっくりちるのの生態 14KB
- いつもハードな虐待ばかり書いてるんで、たまにはほのぼの系。
- 夏も終わって、ちるのも構われなくなったので、いい頃合いかなーって。
『ゆっくりちるのの生態』
D.O
ゆっくりちるの。
中身がアイスクリーム(ソフトクリーム)である、いわゆる希少種である。
中身も中身なため、冷気を操ること、にとりと同じく水に耐性を持つこと、
ゆっくりでは珍しい空を飛ぶ能力を持つことなどは知られている。
しかし、ちるの達がどのように生まれ、何を食べ、どのようなおうちに住んでいるのか、意外と知られていない。
たとえば、多くの通常種が3か月周期で誕生~成体となるのに対し、
ちるのは1年かけてじっくりと成体に育つことなども、知られていないことの一例であろう。
そこで今日は、ゆっくりちるのの生活を一年を通して追っていくことで、学んでいきたいと思う。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
冬の中頃から春にかけて、水質の良い川や湖を訪れると、
水面からすくっと伸びた水草の、茎の水面付近に白い物がくっついているのが見える。
ショートケーキのデコレーションと言っても違和感のないこれ、
この白い塊一つ一つが、ゆっくりちるのが産声を上げるまでのゆりかごなのである。
この高栄養のゆりかご内には、ちるのの卵が一つづつ産み付けられている。
未だすーやすーやと寝息を立てながら産まれる時を待つちるの。
彼女たちはどのようなゆっくりした未来を夢見ているのであろうか。
今は春、多くの通常種達が汚らしくすっきりーしてゴミのような子饅頭を量産するころ、
この白いクリームがもぞもぞとうごめき、青い宝石のような赤ちるのが顔を出す。
「あたいっ!!!」
元気よくクリームから飛び出す赤ちるの、その大きさは一般的なビー玉サイズであり、
一般的に言われる赤ゆっくりよりもさらに一回り小さい。
しかし、ちるの達はこの小さなサイズの中に、実に多くの驚くべき力を秘めているのだ。
と、いうよりも、ある程度の能力が備わって誕生しないと、産声を上げる前に永遠にゆっくりする。
空を飛ぶことができないと水没するし、弱すぎると卵の殻を割ることもできず餓死する。
そもそもクリームが水に流されてしまうと誕生することもできない。
産み落とされたちるののうち、7割が産まれることすらできずにその生涯を終える。
幸運こそが、ゆっくりに求められる最大の能力なのだ。
「あたいっ!あたいっ!」「あたいっ!!」「あたたいっ!」
とはいえ、いったん産まれてしまえば強いのがちるのである。
なんといっても空を飛びまわれることは大きい。
それに、クモの巣程度に引っ掛かるほどには弱くもなく、
しかも産まれたてのこの時期は、ちるのはクリームというよりは氷そのものであることから、
鳥にも狙われることがない。
「とりさぁぁぁぁああん!おちびちゃんつれていかないでぇぇぇぇ!!」
「ゆーん、おしょらとんでるみちゃいー。ゆっ!ゆぴぃぃぃぃいいい!!れいみゅをたべにゃいでぇぇぇぇ!!」
などということが行われている間に、赤ちるのは水面すれすれを飛びながら、
ちょん、ちょん、と水に口をつける。
赤ちるの~子ちるのは、サイズの問題もあるが、もっぱら水を主食としている。
研究者によっては、プランクトンや水草を食べているのだ、という者もいるが、
どちらにしても食事風景はこの様な実に優雅なものである。
生ゴミや土まみれの虫をあさましくむさぼり食う駄饅頭とは別世界の存在と言っていいだろう。
「あたいっ!!!」
こうして、ちるの達の春はゆっくりと過ぎていくのである。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
夏、ちるのはテニスボールサイズまで育ち、
水草の陰ですーやすーやするには大きくなりすぎてしまった。
そろそろちゃんとした『おうち』が必要な時期である。
そんな夏の日、ゴミれいむとクズまりさのつがいが、5匹の赤饅頭と一緒に一匹の子ちるのを囲んでいた。
この時期に湖や川でよく見かける光景である。
「ゆーん、ちるのはおばかだけど、すずしくてきもちいいよ!」
「あたいったらゆっくりね!」
「ゆーん、ゆっくちー。」
「・・・そーだぜ!ばかちるのをおうちにつれていったら、いっつもすずしいのぜ!さぁ、くるのぜ!」
「あたい!あたいー!」
ちるの、めーりんのような片言しか話せない種は、
通常種にとってはゆっくりできていない、低能なゆっくりということらしい。
そんな通常種からすれば、この子ちるのは夏の間自分たちが快適に過ごすための奴隷のようなものなのである。
ちるの自身もさほど抵抗する気配がないのをいいことに、
このゴミ一家はちるのの羽をお口でつまみあげて、強引におうちに連れ帰っていった。
だが、実のところ片言しかしゃべれないゆっくり種といえば、
めーりん、ちるの、るーみあ、れみりゃ、ゆゆこ・・・・・・
全てが通常種を大きく上回る能力を持ち、しかもめーりん以外は全て捕食種なのである。
ここは、岩の割れ目を利用したゴミ一家のおうち。
「あたいー・・・・・・。」
「ゆふーん。ゆっくりすーやすーやできるね。」
「ゆっくちおやしゅみなしゃい!・・・しゅーや、しゅーや、ゆっくちー。」
「すーや、すーや、しあわせー。」
ちるのをおうちの奥につっこんで、すっかり油断してすーやすーやと寝息を立て始める一家。
ちるのも暴行を受けたわけでもないので、ゆっくりと寝息を立て始めた。
ちるのの寝息は、目を覚ましていた時より少しだけ冷たくなる。
そして、その温度は徐々に低下していき、遂には冷凍庫から漏れ出す冷気以上に低い温度となっていった。
「ゆっくち・・・ゆっく・・・・・・。」
少しずつ、少しずつ、しかし確実に温度を低下させていくおうちの中、
赤ゆっくり達は、目を覚ますことなく、餡子の芯まで熱を奪われて永遠にゆっくりしていく。
それは、成体であるれいむとまりさすら例外ではなく、
夜明け前、遂にこの一家は二度と目を覚ますことなく冷凍饅頭と化したのであった。
「すーや、すーや。ゆーん!あたいったらゆっくりね!!!」
ちるのが目を覚まして朝の挨拶を済ますと、そこには冷凍饅頭。
自分をおうちに招いてくれたゆっくり一家が、なぜか変わり果てた姿で永遠にゆっくりしていた。
どれだけ揺すったり挨拶してみても、返事がない。ただのしかばねのようだ。
「あたいー・・・。あたい!あたい!」
これは丁度いいと、ちるのは今日こそ自分のおうちを作ることにした。
ちるののおうちは、鳥のように空を飛べること、水には強いことなどから、
通常種のような土に掘った穴、木の洞、洞窟ではなく、特殊な形態をしている。
大事なのは、まず材料集め。
基礎になるのは目の前で永遠にゆっくりしている一家のお飾りだ。
まりさのお帽子をお口にくわえ、親れいむ・赤れいむの大小のリボンをお帽子の中に詰める。
続いて、一家の髪の毛をブチブチと引き抜いて、こちらもお帽子の中にぎゅうぎゅうと詰め込んでいく。
そして、ちるのは水辺に大きく枝を張る木の枝に『材料』を運び、自分のおうちを作り始めるのであった。
成体まりさのお帽子を枝の分かれ目中央に置き、その周囲に小枝や草の茎を敷き詰め、れいむのリボンで補強する。
最後にお帽子の中央にゆっくりの髪の毛を敷き詰めて、葉っぱや羽毛なども場合によっては詰め込み、
『おうち』の完成となる。その姿は、まさしく鳥の巣そのものだ。
まあ、こんな高い所に巣を作るせいで、ちるの種の死因No.1は、睡眠中におうちからの転落死であったりするのだが。
「あたいったらゆっくりね!!!」
こうして、晴れてマイホームを持ったちるのは『おとな』の仲間入りを果たすのであった。
ちなみにはげ饅頭となった冷凍ゆっくり達は、このあとちるののおうちに運び込まれ、
ちるの自身の冷気でしっかり冷蔵され、夏の間の食料として無駄なく消費されるのである。
通常種がちるのを、れみりゃの様に恐れない理由は、このようにして、目の前で捕食する姿を見せることがないためである。
そしてまた、標的となったゆっくりが逃げ切ることが絶対にないためでもある。
そう、ちるの種は、ある意味ではふらん種以上の狩人なのだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
そして季節は秋を迎える。
ちるのは夏の間、ほとんどをおうちの中(上)で、冷凍したゆっくりをむーしゃむーしゃと食べながら過ごしていた。
その過程で、ちるのも大きく育ち、その大きさは、ハンドボールより少し小さい程度にまでなっている。
通常種の成体がバスケットボールサイズであることを考えると、少々小さいようだが、
自然界では、ちるの種の成体のサイズは大体この程度であり、
ソフトクリーム屋で見かけるバスケットボールサイズのちるのは品種改良の結果である。
この時期になると、通常種は冬ごもりのために、大量の食料を蓄えるべく奔走する。
今目の前にいるれいむも、10匹の赤れいむを連れて、ごはん集めに必死の様子だ。
「ゆんせっ!ゆんせっ!はやくごはんをあつめないと、ふゆさんがきちゃうよ!」
「ゆっゆーん!きのこしゃんおいししょー!むーちゃむーちゃ!」
「おちびちゃん、どぼじでごはんさんたべちゃうのぉぉぉおお!?」
「れいみゅはおなかしゅいてりゅんだよ!ゆっくちむーしゃむーしゃさせてくれにゃいおきゃーしゃんは、ゆっくちちにぇ!」
「ゆぁぁぁん。どぼじでぞんなごどいうのぉぉぉ・・・」
まあ、この時期におちびちゃんがいる時点で死亡フラグである。
だが、それを自力で回避できるようなら、そいつは群れの長くらいにはなれるだろう。
「あたいっ!あたいっ!」
ちるのは遊んでほしそうにれいむ一家を見ている。
「ばかなちるのはどっかいっててね!ゆっくりできなくするよ!」
「ゆーん、れいみゅもちるのみたいにあしょびたいよー。」
「なにいってるの?ちるのみたいにあそんでたら、ふゆさんのあいだにごはんがなくなって、ゆっくりしんじゃうよ!」
「ゆあーん、むーちゃむーちゃできにゃいとゆっくちできにゃいよー。」
「ふゆしゃんはゆっくちできにゃいから、ゆっくちどっかいっちぇにぇ!ぷっきゅー!」
ちなみにちるのは、主食=水orゆっくり、な上、寒さにも極めて強いので、冬ごもりの準備なぞ必要としていない。
馬鹿は赤れいむをぞろぞろ連れて冬ごもりの準備をしている母れいむのほうである。
加えて言うとちるのは、れいむ一家『と』遊びたいのではなく、赤れいむ『で』遊びたいだけなのであった。
「じゃあおちびちゃん、ゆっくりおうちにかえるよ。」
「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」
母れいむを先頭に、一列に並んだれいむ一家は、おうちまでの道のりをぽよんぽよんと跳ねていく。
ちるのは、その列の最後尾に、音一つ立てずにゆっくりとついていく。
そして、最後尾の赤れいむから順に、一匹ずつ『ふぅっ』と冷気を吹きかけて、
「ゆ゛・・・ゆ゛っぐぢ・・・ゆ゛。」
一瞬で表皮と表面の餡子だけを凍りつかせ、身動き一つ、声一つ出せないようにして捕獲していった。
「ゆっくりおうちについたよ!おちびちゃんたち、ゆっくりしてね!」
そして、おうちの入口までたどり着き、母れいむが振り向いたとき、
10匹いたはずの赤れいむの姿は、4匹にまで減少していた。
「ゆぅ?なんだかおちびちゃんがすくないきがするよ?いち、に、さん、たくさん・・・きのせいだね。」
「ゆーん、はやくおうちにはいりょーよ。ゆっくちつかれちゃよ。」
「ごめんね、おちびちゃん。いま、えださんをどかすからね。」
「ゆっくちー。」
一方ちるのに捕らえられた6匹の赤れいむは・・・
「あたいっ!あたいっ!」
「ちる・・・ゆっく・・させちぇ・・・」
ちるのに咥えられている間中、その口から発せられる冷気で冷やされ、表面を氷漬けにされていた。
そして今いるのは、湖のはるか上空。
はるか下に見える水面を、凍ったおめめで眺める赤れいむは、ほとんど顔を動かせないなかでも、怯えた表情を浮かべていた。
「ゆっく・・・ちる・・おかあしゃ・・・」
ぽろり。ぽちゃん。
「おきゃあぢゃ・・・ごぼぉ・・・ゆぴぃ!おみじゅ・・・ゆっく・・・ごぼ。」
「あたいったらゆっくりね!」
「ごぼごぼごぼ・・・・・・」
赤ゆっくりを氷漬けにして、水の中に放り込んで解凍する。
秋にちるの種が好んで行う遊びであった。
実に非生産的な遊びに見えるが、先ほどの母れいむにしても、
10匹の赤ゆを抱えての冬ごもりは無理でも、4匹ならなんとかなるかもしれない。
うっかり母性の強い母ゆっくりが、自分を食べさせて赤ゆを生き延びさせながら、
結局寒さに弱い赤ゆ達も凍え死ぬ、というのは最悪のパターンなのである。
この『遊び』は、ちるの種が生まれつき備えた、ゆっくり種の間引き機能なのだ。
まあ、ここまでしても、やはり7~8割がたは冬を越えられないのが通常種なのだが。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
そして冬。
町の野良ゆっくりはともかくとして、自然界のゆっくり達はほとんどが冬ごもりを行っている。
だが、この他のゆっくりや動物達がほとんどいなくなる時期こそが、
ちるの種のもっとも活発に活動する時期、つまり繁殖期となる。
冬に活動する捕食種はゆっくりれてぃだけであり、
れてぃ種はちるの種を襲うことがない以上、これ以上に安全な時期はないのだ。
「おい、あれみろよ。湖が青く光りはじめたぜ。」
「ああ・・・、今年ももうすぐ終わりだなぁ。」
人間の暦でいえばクリスマスから年末年始の時期にかけて、
毎夜、ちるのの生息する湖や川は、一斉にライトアップされる。
ちるのに生える氷の羽が、澄んだ青い光を放ちはじめるのだ。
これは、ちるの種の求愛行動であり、より強い光を放つ者同士が惹かれ合う。
産まれてからこれまでずっと一匹で暮らし続けたちるの達が、初めてつがいをつくるのだ。
その神秘的な光景は、夏の蛍・冬のちるの、とたとえられ、
天空の星々が地上に舞い降りたようだと言う詩人もいる。
つがいとなったちるの達は、空中と湖面に青い軌跡を残しながら、互いの下膨れをくっつけ合って舞い続ける。
そして次第に螺旋を描くように天空高く舞い上がり、花火のようにひときわ強い輝きを放って絶頂を迎えるのであった。
「あたいったらすっきりね!!!」
湖の上空に放たれ続ける青い打ち上げ花火、それは、星に住む神々が、新たな生命の誕生を祝福するかの様であった。
こうして、にんっしんを終えたちるのは、水辺に伸びる背の高い草、
その茎の水面近くへと、クリームにくるんだ卵を、一つづつ産み付けていく。
出産を終えたつがいは、仮初めの婚姻を早々に解消して各々のおうちへと帰り、
冬の間はずっと、ゆっくりと独身生活を過ごすのであった。
春、自分達の新しい仲間の誕生をゆっくりと待ちながら・・・
まあ、しばらくSS書いてなかったんで、リハビリです。
感覚が戻ってこないよぉ。
もう2~3本リハビリが必要っぽいですね。
それにしても、餡小話も、最近ものすごい量アップされるようになってきましたね。
最初は人も少なそうだからちょーどいいや、とばかりに投稿してたんですけど、
最近は影が薄くなる一方ですよ。
引退時期かなぁ。
餡小話掲載作品
『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど)
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- ↓DOしねってかいてるげすはゆっくりできないよ!いますぐしんでね! -- 2022-02-14 11:18:42
- ちるのに遊ばれて赤れいむたちよかったね! -- 2016-10-07 12:53:55
- ちるのだけは虐待したくないな。 -- 2015-07-20 16:17:49
- 原作と立場が逆転しているなw -- 2014-05-05 12:04:58
- チルノがハイスペック極まれり何だが
-- 2014-03-19 16:05:34
- DOしね -- 2013-12-15 15:48:19
- ちるの=青い宝石、れいむとまりさ=ゴミクズですね。www -- 2013-08-21 13:23:41
- ちるのすげー、湖に光るちるのとか見てみたいな -- 2013-01-17 10:05:25
- つーか、ゆっくりで一番ゆっくりしてるゆっくりって、ちるのなんじゃねーの? -- 2012-10-06 13:20:49
- さりげなく通常種がいじめられてるのもいいね! -- 2012-09-17 15:02:57
- 「あたいったらさいきょうね!!」・・・はほんとだったwww
-- 2012-07-11 22:35:42
- ちるのってばかわいいわね! -- 2011-09-20 20:19:05
- イイハナシダー -- 2010-09-28 16:31:00
- ちるのはとても可愛くてゆっくりできるね! -- 2010-09-14 00:36:02
最終更新:2009年10月24日 07:40