とあるメイドの幸運と受難 ◆dGUiIvN2Nw
殺し合いの舞台とされた島。近くに流れる川のせせらぎを聞きながら、草木の中に一人のメイドは立っていた。
悪魔の棲む家、紅魔館を取り仕切る完全で瀟洒なメイド長。紅魔館の主であり吸血鬼でもあるレミリア・スカーレットに仕える唯一人の人間。
十六夜咲夜。
人間や妖怪、月人、はたは神様まで存在する幻想郷。そんな所で暮らしていることもあり、常の性格もあり、咲夜はこの状況を素直に冷静に受け入れていた。
彼女は良くも悪くも冷え切った精神の持ち主だ。紅魔館に侵入した敵は容赦なく潰そうとするし、自らが人間でありながら人よりも妖怪に肩入れしている。
だから、もしも彼女が人を殺そうと思ったなら、大した決心もなく実行できるだろう。
が
悪魔の棲む家、紅魔館を取り仕切る完全で瀟洒なメイド長。紅魔館の主であり吸血鬼でもあるレミリア・スカーレットに仕える唯一人の人間。
十六夜咲夜。
人間や妖怪、月人、はたは神様まで存在する幻想郷。そんな所で暮らしていることもあり、常の性格もあり、咲夜はこの状況を素直に冷静に受け入れていた。
彼女は良くも悪くも冷え切った精神の持ち主だ。紅魔館に侵入した敵は容赦なく潰そうとするし、自らが人間でありながら人よりも妖怪に肩入れしている。
だから、もしも彼女が人を殺そうと思ったなら、大した決心もなく実行できるだろう。
が
「…めんどくさい」
だから実行するかというとそれは否だ。
少なくとも今は殺し合いなどという馬鹿げた争いに付き合うつもりはなかった。
そもそも、優勝したら云々という下りがどうにも信用できない。あんな胡散臭い悪魔がただの口約束を本当に守ってくれる保証がどこにあるというのだ。
あの悪魔の思い通りに動くことを考えるだけで腹立たしいとうのに、律儀に殺し合って挙句約束を反古されましたでは泣くに泣けない。
しかもこの会場には咲夜が忠誠を使うレミリア・スカーレットまでいるではないか。殺し合いに乗るなど論外。
まったくもって馬鹿馬鹿しい。
そう考えるからこそ、咲夜は優勝という選択肢を鼻から除外していた。だから咲夜が取る行動は一つ。
少なくとも今は殺し合いなどという馬鹿げた争いに付き合うつもりはなかった。
そもそも、優勝したら云々という下りがどうにも信用できない。あんな胡散臭い悪魔がただの口約束を本当に守ってくれる保証がどこにあるというのだ。
あの悪魔の思い通りに動くことを考えるだけで腹立たしいとうのに、律儀に殺し合って挙句約束を反古されましたでは泣くに泣けない。
しかもこの会場には咲夜が忠誠を使うレミリア・スカーレットまでいるではないか。殺し合いに乗るなど論外。
まったくもって馬鹿馬鹿しい。
そう考えるからこそ、咲夜は優勝という選択肢を鼻から除外していた。だから咲夜が取る行動は一つ。
「この異変。私が解決するしかなさそうね。…めんどくさいけど」
そう決めたなら次にどうするか。そこで咲夜は行き詰った。
普通なら、主であり守るべき存在であるレミリアと合流することを目的とするのだが、彼女は強い。吸血鬼故の弱点、慢心はあるもののそれを補って余りある身体能力、魔力を持っている。わざわざ自分が探し出して保護する必要など皆無。
いや、むしろこの場ではレミリアよりも咲夜自身が危ない。というのも、あの悪魔が言った『普段できることができなくなる』という言葉。これが彼女にとって厄介な結果になっていない訳がない。
彼女、十六夜咲夜は時を操ることができる。時を無期限に停止させ、その応用として空間を広げることもできる。
だが常識的に考えて、こんな能力が平等な殺し合いの中で許容されるとは考えられない。つまり、咲夜にとっての生命線でもあるこの能力に制限が掛けられている可能性が高いということだ。そうなると、どれほどの制限が為されているか確認する必要が出てくる。
支給品の確認は既に終わっている。ここで制限の度合を確認しておくのもいいだろう。
普通なら、主であり守るべき存在であるレミリアと合流することを目的とするのだが、彼女は強い。吸血鬼故の弱点、慢心はあるもののそれを補って余りある身体能力、魔力を持っている。わざわざ自分が探し出して保護する必要など皆無。
いや、むしろこの場ではレミリアよりも咲夜自身が危ない。というのも、あの悪魔が言った『普段できることができなくなる』という言葉。これが彼女にとって厄介な結果になっていない訳がない。
彼女、十六夜咲夜は時を操ることができる。時を無期限に停止させ、その応用として空間を広げることもできる。
だが常識的に考えて、こんな能力が平等な殺し合いの中で許容されるとは考えられない。つまり、咲夜にとっての生命線でもあるこの能力に制限が掛けられている可能性が高いということだ。そうなると、どれほどの制限が為されているか確認する必要が出てくる。
支給品の確認は既に終わっている。ここで制限の度合を確認しておくのもいいだろう。
「…ふむ。ちょうど何もすることが思いつかなかったところだし、少し実験するのも良いわね」
彼女は早速始めることにした。
さざめく草木、音を立て流れる風。その全てを支配する咲夜の能力。
さざめく草木、音を立て流れる風。その全てを支配する咲夜の能力。
時を操る程度の能力が発動する。
さざめきが止まり、無音が世界を支配する。この中では咲夜以外の全ては静止する。
(くっ……思った以上に…きつい…!)
開始数瞬で咲夜の息は荒くなり、体力が急激になくなっていくのを実感する。
体力が万全でもせいぜい2秒が限界。それ以上は命に関わるだろう。そのことを咲夜は肝に銘じておく。たとえどんな相手でも早々引けを取るつもりはないが、油断は禁物だ。
そう判断し、ここで無駄な体力を消耗しないようにと時を再び動かそうとした時だ。
体力が万全でもせいぜい2秒が限界。それ以上は命に関わるだろう。そのことを咲夜は肝に銘じておく。たとえどんな相手でも早々引けを取るつもりはないが、油断は禁物だ。
そう判断し、ここで無駄な体力を消耗しないようにと時を再び動かそうとした時だ。
ふと、咲夜の真横にある物体が目に止まった。銅で出来ているのだろうか。茶色に光った数センチ程の物体。それが空中に浮いているのだ。
時が止まった状態なのでそれが動きだすことはないが、どこか気味が悪い。それというのも、その細長い物体の先端が自分に向けられているからだ。
好奇心。それは本当にただの好奇心だったのだが、咲夜はその物体にそっと触った。
時が止まった状態なのでそれが動きだすことはないが、どこか気味が悪い。それというのも、その細長い物体の先端が自分に向けられているからだ。
好奇心。それは本当にただの好奇心だったのだが、咲夜はその物体にそっと触った。
「っ!!」
熱い。いや、熱いなんてものじゃない。なんだこれは。まるでついさっきまで釜戸で茹でてあったかのような温度。
得体の知れない物というのは人に不安を与えるものだ。常人を遥かに凌駕する精神力を持つ咲夜ではあるが、その一瞬の恐れ、狼狽を遮る事は出来なかった。そしてそれが、咲夜にとって結果的に良い方へと動いた。
時は再び動き出す。
得体の知れない物というのは人に不安を与えるものだ。常人を遥かに凌駕する精神力を持つ咲夜ではあるが、その一瞬の恐れ、狼狽を遮る事は出来なかった。そしてそれが、咲夜にとって結果的に良い方へと動いた。
時は再び動き出す。
ガウン!!
それと同時に轟音が揺れる。先程まで咲夜の頭があった部分を通り、弾丸は木の幹を痛ましい程に抉り取っていた。
もしもあの弾丸を掴んでも冷静で微動だにしていなかったら、粉じんのように舞う木の破片が咲夜の血と脳みそに変わっていただろう。
一瞬の判断。
木の抉られ様から、どこからの攻撃かを見極めるとすぐに近くの木へと身を隠す。
もしもあの弾丸を掴んでも冷静で微動だにしていなかったら、粉じんのように舞う木の破片が咲夜の血と脳みそに変わっていただろう。
一瞬の判断。
木の抉られ様から、どこからの攻撃かを見極めるとすぐに近くの木へと身を隠す。
ガウン!!
肩を掠った。その軌跡が焼けるように熱い。
「隠れても無駄だ!!」
ガウン!!
轟音と共に声が聞こえた。
木に背を預け、咲夜は声のした方向を覗く。
木に背を預け、咲夜は声のした方向を覗く。
ガウン!!
「ぐうぅ…!」
間一発。即座に頭を引っ込めたおかげで傷はない。着弾のため飛び散った木の破片がパラパラと宙を舞っただけ。
だがおかしい。声のした方向、攻撃が仕掛けられている方向を一瞬とはいえ覗いてみたが、誰もいない。一体敵はどこから攻撃を?
だがおかしい。声のした方向、攻撃が仕掛けられている方向を一瞬とはいえ覗いてみたが、誰もいない。一体敵はどこから攻撃を?
「どうやら困惑しているようだな。私がどこから攻撃しているのか」
まただ。声のした方向は変わってない。
音源を捻じ曲げる魔法か何かでもかけているのか。いや、それならこの攻撃の説明がつかない。声、攻撃は同じ方向からのものだ。そんな魔法があるのならもっとうまい使い様がある。となると…
そこで咲夜は気付いた。以前、霊夢や魔理沙から聞いた道具。それを使えば今起こっている現象を説明できる。
音源を捻じ曲げる魔法か何かでもかけているのか。いや、それならこの攻撃の説明がつかない。声、攻撃は同じ方向からのものだ。そんな魔法があるのならもっとうまい使い様がある。となると…
そこで咲夜は気付いた。以前、霊夢や魔理沙から聞いた道具。それを使えば今起こっている現象を説明できる。
「光学迷彩…だったかしら」
時を止めた反動で体力を消耗している咲夜が荒い呼吸の中で答えを導き出した。それに対し、姿の見えない何者かは高らかに笑い声をあげた。
「最近のメイドは博識らしいな! その通りだ! 私の体は今、ステルス迷彩服を着込んでいる! つまり、お前は私を視認することは出来んということだ」
ガウン!!
「ぐぅっ!!」
相手の攻撃の威力が高すぎる。咲夜が隠れている木もあと何回攻撃を凌げるのか分からなかった。
「私には弾の気持ちが分かる! お前の血を吸いたがっているぞぉ!!」
ガウン!!
咲夜の身を守る様に佇む木は既にボロボロ。その威力の前に咲夜は蹲り、猛攻をただ凌ぐことしか出来ない。
反撃に出たいのは山々だが、こちらの時止めは制限されている上、先程使用した際の疲労がまだ根深く残っている。もう一度時を止めるとしてもあと数分は時間が欲しい。
だが、そうも言ってられなかった。
反撃に出たいのは山々だが、こちらの時止めは制限されている上、先程使用した際の疲労がまだ根深く残っている。もう一度時を止めるとしてもあと数分は時間が欲しい。
だが、そうも言ってられなかった。
ガウン!!
この一撃で木はとうとう音を上げてしまった。メキメキと音を立てて木は根元から千切れ落ちた。
ズズウウゥウゥン
どれほど身を屈めようと、もう咲夜の体全てを覆い隠すことは出来ない。
死んだ…
咲夜の心に絶望が滲む。思わず目を瞑った。
またも銃声が聞こえるかと思いきや、代わりにカシャンという小さな音が聞こえた。
死んだ…
咲夜の心に絶望が滲む。思わず目を瞑った。
またも銃声が聞こえるかと思いきや、代わりにカシャンという小さな音が聞こえた。
「戦闘中のリロードが堪らない。銃に命を吹き込んでいるようだ。といっても、マグチェンジではまったく物足りないがな」
一瞬硬直するも、リロードという言葉に咲夜は敏感に反応。すぐに攻撃出来ないと見るや、すぐに次の隠れ場所を探す。数メートル先。目的は川原にある岩。咲夜の体をすっぽり隠せる程の大きな岩を見つけ出し、飛び込んだ。
ガウン!!
またも間一髪。弾は岩を抉り取るだけで、咲夜に傷を負わせることは出来なかった。
「へぇ、それが銃っていうの。噂には聞いてたけど、これほど危険なものだとは思わなかったわ」
内心の焦りを抑え、平常心を装いながら語りかける。
「面白いことを言う女だ! 今時銃くらい小学生でもよく知ってるぞ」
姿は見えないものの、声質から相手が男だということは分かる。それもかなりの年配だ。
「生憎、外の世界に興味はないものだから。ところで、あなたは何故この殺し合いに? ご老人は反骨精神も持たないのかしら」
ここは時間稼ぎ。できるだけ話を長引かせ、体力を回復する。
「…くっくっく。本当なら最初の一撃で終わっていた筈だったんだがな。おかしなかわし方をする。まるで瞬間移動でもしたみたいだった。貴様も超能力者というわけか?」
「あら、瞬間移動だなんて夢みたいな話ですわね。本当にあるのなら、私も恩恵に授かりたいものだわ。もっとも、自分の近眼を超能力のせいにする程落ちぶれたくはないけれどね。ミスは素直に受け止めた方が後学の為よ。おじさま?」
「面白い女だ。…それで? 時間稼ぎは出来たかね? あのピエロが言っていた能力制限はお前にとって深刻か?」
「あら、瞬間移動だなんて夢みたいな話ですわね。本当にあるのなら、私も恩恵に授かりたいものだわ。もっとも、自分の近眼を超能力のせいにする程落ちぶれたくはないけれどね。ミスは素直に受け止めた方が後学の為よ。おじさま?」
「面白い女だ。…それで? 時間稼ぎは出来たかね? あのピエロが言っていた能力制限はお前にとって深刻か?」
咲夜は内心で毒づいた。
なかなか鋭い…!
なかなか鋭い…!
「私の質問には答えてくれないのかしら。人生の先輩として、あなたのご教授を願いたいのだけれど」
「ふむ…」
「ふむ…」
男は顎をさすりながらしばし逡巡した。
「この時代、嘆かわしいとは思わないか? 帝政、全体主義、ペレストロイカ。イデオロギーも何もない」
「悪いけど、学のない私にも分かるように話してくれないかしら?」
「私の目的はロシア再建。新しい世界秩序。そう言ったら分かるかね?」
「悪いけど、学のない私にも分かるように話してくれないかしら?」
「私の目的はロシア再建。新しい世界秩序。そう言ったら分かるかね?」
咲夜は感嘆の声を上げた。
「ああ、なるほど。よく分かったわ。素晴らしい詭弁ね」
一種の皮肉を男は笑いと共に受け取った。
「確かにそうだ。詭弁だよ、こんなものは」
「? あなた一体…」
「闘争に理由など必要ない。殺し合い。素晴らしいじゃないか。我々は今、公然と殺しを認められたのだよ。殺すことが普通。殺さぬ者こそ異端。不適合者。こんな素晴らしい世界に放り込まれたんだ。楽しまなければ損だろう?」
「…随分と狂ったおじさまだこと」
「? あなた一体…」
「闘争に理由など必要ない。殺し合い。素晴らしいじゃないか。我々は今、公然と殺しを認められたのだよ。殺すことが普通。殺さぬ者こそ異端。不適合者。こんな素晴らしい世界に放り込まれたんだ。楽しまなければ損だろう?」
「…随分と狂ったおじさまだこと」
咲夜は常人よりもずっと冷酷だ。だが所構わず人を殺すような異常者ではない。理由なき殺戮など許容しない。咲夜にとってこの男の理論は既に理論ではなかった。
「それがいい! 狂気に身を置くことが素晴らしいのではないか! 生と死の刹那。その刹那を生きる緊張の素晴らしさがなぁぜ分からん。それこそが、私がリボルバーと言われる所以。だからこそ高貴なのだ。シングル・アクション・アーミーは!」
ガウン!!
再び攻撃が再開された。
こうなれば長距離による攻撃法を持たない咲夜はただ蹲っていることしかできない。
こうなれば長距離による攻撃法を持たない咲夜はただ蹲っていることしかできない。
ガウン!! ガウン!!
「貴様の時間潰しにももう飽きた。私の名はソリッド・スネーク。楽しもう! この緊張を!!」
ガウン!!
みるみるうちに岩は削られ小さくなっていく。だがそれでもいい。相手が弾を使うというのなら、それでもいい。時間稼ぎは十分出来た。
咲夜には秘策があった。
咲夜には秘策があった。
「私はこの臭いが好きだ。お前には死の臭いにしか思えんだろうがな」
ガウン!!
よし。あと一発。あと一発で弾はなくなる。
幻想郷には存在しない銃という武器。咲夜は生涯初めてそれを見ていることになるのだが、まったく銃の知識がない訳ではない。銃とは、弾を込め、火薬を利用してそれを発射させるもの。
つまり、弾さえなくなれば何もできなくなる。ソリッド・スネークの言っていた緊張の刹那。リロードの間は必ず出てくる。敵の銃が7発しか弾を込めれないことは先程の攻防で重々承知だ。
幻想郷には存在しない銃という武器。咲夜は生涯初めてそれを見ていることになるのだが、まったく銃の知識がない訳ではない。銃とは、弾を込め、火薬を利用してそれを発射させるもの。
つまり、弾さえなくなれば何もできなくなる。ソリッド・スネークの言っていた緊張の刹那。リロードの間は必ず出てくる。敵の銃が7発しか弾を込めれないことは先程の攻防で重々承知だ。
咲夜は自身のバックに入っていた二丁の手榴弾を取り出した。5秒ジャストで爆発する危険な代物。
咲夜はそれを手に一つずつ掴み、安全ピンを外す。片方は約2秒。もう片方は約3秒間そのままにし、レバーを強く握る。この手の時間感覚は能力の関係上優れているのだ。
もし手榴弾と一緒に入っていた説明書の通りなら、これで投げた瞬間に爆発する筈。
咲夜はそれを手に一つずつ掴み、安全ピンを外す。片方は約2秒。もう片方は約3秒間そのままにし、レバーを強く握る。この手の時間感覚は能力の関係上優れているのだ。
もし手榴弾と一緒に入っていた説明書の通りなら、これで投げた瞬間に爆発する筈。
ガウン!!
機は熟した。
咲夜は岩から姿を現し、オセロットに向けて手榴弾を投げつける。
それと同時に接近。彼を一発目の手榴弾で怯ませる。さっきから随分と喋りたがる男だ。突然の反撃に何も相対しない訳がない。その時の声から敵の居場所を判別し、射程距離に入ってから時を止める。二発目の手榴弾を投げつけてジ・エンド。
咲夜の脳内で描き出される戦術。ソリッド・スネークの攻略法。だがそれは、最初の大前提から覆されることになる。
咲夜は岩から姿を現し、オセロットに向けて手榴弾を投げつける。
それと同時に接近。彼を一発目の手榴弾で怯ませる。さっきから随分と喋りたがる男だ。突然の反撃に何も相対しない訳がない。その時の声から敵の居場所を判別し、射程距離に入ってから時を止める。二発目の手榴弾を投げつけてジ・エンド。
咲夜の脳内で描き出される戦術。ソリッド・スネークの攻略法。だがそれは、最初の大前提から覆されることになる。
ガウン!!
ありえない音。鈍い痛み。それらが咲夜の脳内を支配する。
「戦いの場では情報の有無が勝敗を決することも少なくない。銃に関する貴様の無知さが死を招いた。時間潰しなどせず真っ向から戦うべきだったな。お嬢さん」
銃に関して多少詳しい者なら誰でも知っている、薬室に1発装弾後、弾倉を詰め込むことで総弾数を1発多くするテクニック。
幻想郷に生き、銃を知らない彼女にそんな知識があるわけがない。だが、その知識がなかった為に、勝負は決した。彼女の時間稼ぎが、細工をする時間を作った。それはまぎれもない事実。
両手に持っていた手榴弾が力なくその場に落下した。
幻想郷に生き、銃を知らない彼女にそんな知識があるわけがない。だが、その知識がなかった為に、勝負は決した。彼女の時間稼ぎが、細工をする時間を作った。それはまぎれもない事実。
両手に持っていた手榴弾が力なくその場に落下した。
ドオオオォオォオン
「まったく呆気ないものだ。これでも期待していたんだがな」
誰もいない筈の川原に、突如老人が現れた。
ステルス迷彩が解除されたのだ。使用してジャスト10分。迷彩服と共に入っていた説明書通りだ。
超能力の制限と同様、強力な道具にも制限が加えられている。その制限がこの迷彩服にも課せられているのだ。使用できるのは10分のみ。さらに次に使用できるのは3時間後という時間制限。
だがこの男にとって、そんなことは些事でしかない。道具に頼らずとも生き抜くことのできる自信が彼にはあった。
クルクルと銃を回転させ、仕舞い込む。その様はさながらマカロニ・ウェスタンのガンマンだ。
煙が立ち込める川原を見遣り、溜息をついた。
ステルス迷彩が解除されたのだ。使用してジャスト10分。迷彩服と共に入っていた説明書通りだ。
超能力の制限と同様、強力な道具にも制限が加えられている。その制限がこの迷彩服にも課せられているのだ。使用できるのは10分のみ。さらに次に使用できるのは3時間後という時間制限。
だがこの男にとって、そんなことは些事でしかない。道具に頼らずとも生き抜くことのできる自信が彼にはあった。
クルクルと銃を回転させ、仕舞い込む。その様はさながらマカロニ・ウェスタンのガンマンだ。
煙が立ち込める川原を見遣り、溜息をついた。
「これではわざわざ保険をかけることもなかった。これくらいの窮地、凌いでくると思ったが。まったくもって期待外れだよ、若いの」
彼の本当の名はリボルバー・オセロット。ソリッド・スネークなどではない。本物のスネークはオセロットの敵であり、利用すべき相手。
シャドーモセス事件、ビッグシェル占拠事件とオセロットは自分を偽り、真の目的を果たそうとした。結局それは無駄に終わってしまったが、まだ自らの願望は衰えていない。
今回もせいぜいスネークを利用してやろう。そんな軽い考えから偽名を名乗った。結局それも徒労に終わったが、そんなことは詮無いことだ。この場で生き残り、優勝することだけを考えればいい。
シャドーモセス事件、ビッグシェル占拠事件とオセロットは自分を偽り、真の目的を果たそうとした。結局それは無駄に終わってしまったが、まだ自らの願望は衰えていない。
今回もせいぜいスネークを利用してやろう。そんな軽い考えから偽名を名乗った。結局それも徒労に終わったが、そんなことは詮無いことだ。この場で生き残り、優勝することだけを考えればいい。
この場に来て、疼くことのなくなった右手に目を遣る。そこにはあのサイボーグ忍者に斬られたはずの自分の手があった。
そう、優勝すればいい。優勝し、取り繕い、愛国者たちを潰す。それこそがリボルバー・オセロットの望む未来。
オセロットは死んだ咲夜には見向きもせずにその場を去る。あの爆発ではどうせ支給品も全滅だ。時間の無駄でしかない。
優勝は迎合の証。それを知りながらもオセロットはその道を行く。ピエロに踊らされようが、自分の歩むべき道はそれしかない。
優勝。自らを偽り続けた男の最後に望むものはその先にある。
そう、優勝すればいい。優勝し、取り繕い、愛国者たちを潰す。それこそがリボルバー・オセロットの望む未来。
オセロットは死んだ咲夜には見向きもせずにその場を去る。あの爆発ではどうせ支給品も全滅だ。時間の無駄でしかない。
優勝は迎合の証。それを知りながらもオセロットはその道を行く。ピエロに踊らされようが、自分の歩むべき道はそれしかない。
優勝。自らを偽り続けた男の最後に望むものはその先にある。
川の流れる音だけが聞こえる。草が生い茂る野原を風がさざめく。
静かだった。誰も、何も静寂を遮ろうとしない。静けさに満ちた安らぎの場所。
だがその安らぎを脅かす者が現れた。
その女性はいきなり川から飛び出し、上半身を緑の絨毯の上に放り出した。
静かだった。誰も、何も静寂を遮ろうとしない。静けさに満ちた安らぎの場所。
だがその安らぎを脅かす者が現れた。
その女性はいきなり川から飛び出し、上半身を緑の絨毯の上に放り出した。
「ごほっ! ごほっ、げほっ」
この女性が苦しげに咳き込むのには理由がある。まず一つが泳いでいだ際に水を大量に飲んでしまったから。
彼女は土地がら、泳ぎがあまり得意ではないのだ。しかもとある理由で彼女の体力は至極消耗していた。そんな状態であれば水に半分溺れる様な失態も当然だといえる。
そして、もう一つの理由。それは野原へと這い上がり、仰向けに転がった彼女の胸元を見れば理解できるだろう。メイド服が破れ、中から見える黒いジャケット。それがべコリとへこんでいるのだ。
防弾チョッキ。それがこの黒いジャケットの正体で、その防弾チョッキをへこませるほどの銃弾を彼女はまともに食らったのだ。幸い致命傷はないが、その反動で胸骨にヒビが入り肺を圧迫している。
彼女は土地がら、泳ぎがあまり得意ではないのだ。しかもとある理由で彼女の体力は至極消耗していた。そんな状態であれば水に半分溺れる様な失態も当然だといえる。
そして、もう一つの理由。それは野原へと這い上がり、仰向けに転がった彼女の胸元を見れば理解できるだろう。メイド服が破れ、中から見える黒いジャケット。それがべコリとへこんでいるのだ。
防弾チョッキ。それがこの黒いジャケットの正体で、その防弾チョッキをへこませるほどの銃弾を彼女はまともに食らったのだ。幸い致命傷はないが、その反動で胸骨にヒビが入り肺を圧迫している。
「げほっ。ごほっ。…ソリッド…スネーク。…只では済まさないわよ」
彼女の名は十六夜咲夜。完全で瀟洒なメイド長だ。
リボルバー・オセロットの銃弾に飛びそうになる意識を何とか堪え、爆発のタイミングに合わせて時を止め、近くの川に飛び込むことに成功したのだ。
咲夜は運が良かった。
まず意識を失わなかったということ。デザートイーグルは通常の銃よりも遥かに強力な威力である。それは防弾チョッキを着ていても変わらず、その衝撃で意識を失うことも稀ではないのだ。
そして何といっても時を止めるタイミング。
手榴弾が爆発し、オセロットが目を逸らすタイミングを見計らっての能力発動は自らがその爆発に巻き込まれる危険性があるのだ。かといって早過ぎてはオセロットにばれてしまい、川の中で魚の餌になってしまう。このタイミングが綱渡りだった。
さらにオセロットが川の飛び込む音、飛沫に気がつかなかったという点もある。といってもそれは、爆音、煙に紛れており、分からなくとも無理はないのだが。
リボルバー・オセロットの銃弾に飛びそうになる意識を何とか堪え、爆発のタイミングに合わせて時を止め、近くの川に飛び込むことに成功したのだ。
咲夜は運が良かった。
まず意識を失わなかったということ。デザートイーグルは通常の銃よりも遥かに強力な威力である。それは防弾チョッキを着ていても変わらず、その衝撃で意識を失うことも稀ではないのだ。
そして何といっても時を止めるタイミング。
手榴弾が爆発し、オセロットが目を逸らすタイミングを見計らっての能力発動は自らがその爆発に巻き込まれる危険性があるのだ。かといって早過ぎてはオセロットにばれてしまい、川の中で魚の餌になってしまう。このタイミングが綱渡りだった。
さらにオセロットが川の飛び込む音、飛沫に気がつかなかったという点もある。といってもそれは、爆音、煙に紛れており、分からなくとも無理はないのだが。
とにかく咲夜は運が良かった。
まず第一にこの場に呼ばれた時点で支給品をすぐさま確認し、外であるというのに羞恥心をおくびにも出さず物影で防弾チョッキを着る用心さがなければ死んでいた。
制限の度合を調べるために使った時を止める能力が、都合良く相手の発砲時でなければ死んでいた。
そして上記した三点。これら五つの幸運が彼女を生かした。
予定通りに事は進まなかったものの、咲夜は大した怪我もなく窮地を脱出できたのだ。これを幸運と言わずして何と言うのか。
咲夜はひとまず何か流されていないかと、支給品の確認を始めた。
まず第一にこの場に呼ばれた時点で支給品をすぐさま確認し、外であるというのに羞恥心をおくびにも出さず物影で防弾チョッキを着る用心さがなければ死んでいた。
制限の度合を調べるために使った時を止める能力が、都合良く相手の発砲時でなければ死んでいた。
そして上記した三点。これら五つの幸運が彼女を生かした。
予定通りに事は進まなかったものの、咲夜は大した怪我もなく窮地を脱出できたのだ。これを幸運と言わずして何と言うのか。
咲夜はひとまず何か流されていないかと、支給品の確認を始めた。
「…あっ、手榴弾、湿っちゃってるじゃない。使えるのかしら」
あと3つ残っていた手榴弾。見事なまでに濡れ渡っている。
「うわっ、パンもぐしゃぐしゃ…。食べれたものじゃないわね」
水を吸い過ぎて見るも無残なものとなった食糧。
長期戦になったらどうすればいいのか。
長期戦になったらどうすればいいのか。
「それに……寒っ。どこかで服を調達しないと」
肩をブルブルと震わせながら、地図を開く。
しかし彼女はそこでさらなる不運に嘆かねばならない。ここはF-3。服がありそうな場所まではエリア1つ分以上の距離があるのだ。
幸運は長続きしない。何故ならこれはバトルロワイアル。誰もが平等に死ぬ可能性を秘めたゲーム。
今回は幸運の女神に守られた咲夜だが、幸運と不幸は両立するものだ。幸運が続けば不幸も続く。それがこのゲーム、バトルロワイアルなのだ。
次に彼女を待つのは、女神か。はたまた死神か。
それは誰にも分からない。参加者にとっては神ともいえる、あのマルクでさえも。
しかし彼女はそこでさらなる不運に嘆かねばならない。ここはF-3。服がありそうな場所まではエリア1つ分以上の距離があるのだ。
幸運は長続きしない。何故ならこれはバトルロワイアル。誰もが平等に死ぬ可能性を秘めたゲーム。
今回は幸運の女神に守られた咲夜だが、幸運と不幸は両立するものだ。幸運が続けば不幸も続く。それがこのゲーム、バトルロワイアルなのだ。
次に彼女を待つのは、女神か。はたまた死神か。
それは誰にも分からない。参加者にとっては神ともいえる、あのマルクでさえも。
【F-1 南東部 川原 深夜・一日目】
【リボルバー・オセロット@メタルギアシリーズ】
[状態]健康
[装備]デザートイーグル7/7+1発@メタルギアソリッド ステルス迷彩服@メタルギアソリッド
[道具]支給品一式 マガジン×2(残り13発)
[思考・状況]基本方針;緊張を楽しみながら優勝し、ビックボスを開放する
※咲夜は死んだと思っています。
※咲夜の能力を瞬間移動またはそれに類する何かだと思っています。
※参戦時期は少なくともリキッドの腕を移植した後ですが、右腕は本人の腕です。
[状態]健康
[装備]デザートイーグル7/7+1発@メタルギアソリッド ステルス迷彩服@メタルギアソリッド
[道具]支給品一式 マガジン×2(残り13発)
[思考・状況]基本方針;緊張を楽しみながら優勝し、ビックボスを開放する
※咲夜は死んだと思っています。
※咲夜の能力を瞬間移動またはそれに類する何かだと思っています。
※参戦時期は少なくともリキッドの腕を移植した後ですが、右腕は本人の腕です。
ステルス迷彩服について;
名前の通り、姿を見えなくする服。使用時間は10分のみ。一度使うと3時間使えない。
名前の通り、姿を見えなくする服。使用時間は10分のみ。一度使うと3時間使えない。
【F-2 南部 小さな野原 深夜・一日目】
【十六夜咲夜@東方project】
[状態]疲労(大) 胸骨にヒビ
[装備]なし
[道具]支給品一式(食糧はなし) 湿った手榴弾×2
[思考・状況]基本方針;ピエロを倒して異変解決
1. 服を探す
2. ソリッド・スネークに報復する
※リボルバー・オセロットを視認していません。また、リボルバー・オセロットのことをソリッド・スネークだと思っています
[状態]疲労(大) 胸骨にヒビ
[装備]なし
[道具]支給品一式(食糧はなし) 湿った手榴弾×2
[思考・状況]基本方針;ピエロを倒して異変解決
1. 服を探す
2. ソリッド・スネークに報復する
※リボルバー・オセロットを視認していません。また、リボルバー・オセロットのことをソリッド・スネークだと思っています
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