VirtuNym(ヴァーチュニム)は、「仮想空間におけるもう一人の自分」を創造することを主軸とした自己表現型プロジェクト/概念である。2024年にいとととと九本(くもと)によって発案され、インターネット上の文化運動として発展を遂げた。
現代4コマという実験的な表現領域から派生しながらも、ジャンルや背景を問わず、誰もが自由に参加・創作できるプラットフォームとして進化している。
現代4コマという実験的な表現領域から派生しながらも、ジャンルや背景を問わず、誰もが自由に参加・創作できるプラットフォームとして進化している。
概要
VirtuNymとは、「Virtual(仮想)」と「Pseudonym(偽名/別名)」を掛け合わせた造語であり、現実世界のアイデンティティとは別に存在する、もう一人の自分=分身的キャラクターを指す。参加者は自身の思考・感性・感情を投影したキャラクターを自由にデザイン・設定し、そのキャラクターを通して創作・表現・対話を行う。
このプロジェクトは、既存のキャラクタービジネス(VTuberやアバター)とは異なり、運営主体による一元管理を持たず、ユーザー各自が主体的に「自己の分身」を創出することを前提とする。そのため、VirtuNymは自己表現の民主化を促す、新時代の参加型アイデンティティ・プロジェクトと位置づけられている。
創設と背景
VirtuNymは2024年、ネット文化の一ジャンルである現代4コマ界隈において誕生した。当初は「現代4コマ作家たちをキャラクター化したら面白いのではないか」という発想から始まったが、次第に「誰にでも仮想上の人格が存在し得る」という思想へと昇華された。
発案者は現代4コマの提唱者であるいとととと、同作家でありイラストレーターの九本。両者はSNS上での発信を通じ、プロジェクトの初期概念を提示し、2025年1月には公式アカウント(@VirtuNym)が開設された。
コンセプトと哲学
VirtuNymの核にあるのは、「もう一人の自分」という思想である。現実の制約や固定された役割から離れ、デジタル上において全く新しい自分を構築することで、自由な創作・思考・表現の空間を得ることができるという信念が貫かれている。
主なキャラクター例
VirtuNymには多数のキャラクターが存在するが、いずれも「誰かの分身」であり、仮想人格である。以下は代表的なキャラクターである。
伊兎とと
いとととのVirtuNym。VirtuNymの象徴的存在であり、白兎のような儚さと透明感をもつキャラクター。プロジェクトの哲学「もう一人の自分」を体現する存在として、初期から多くの注目を集めた。デザインは九本。
九本カモ
ロイヤル・ウィンド・ゼファー・トランプ
んぷとらのVirtuNym。華やかな中世風の装いと長い名前が特徴で、自らを現代4コマ界の革命児と称するカリスマキャラクター。おつとら。九本がデザイン。
猫雲なか
最中猫のVirtuNym。ふんわりとした印象の癒し系キャラクター。フッサフサのうなーぎ。九本がデザイン。
人ノ生(じんのせい)
人生のVirtuNym。一見ヤンキー風ながら、実は学級委員長タイプというギャップが特徴。九本がデザイン。
これらのキャラクターは、ただの創作キャラではなく、それぞれの創作者の思考・価値観・表現欲求が反映された“仮想人格”としての意味を持っている。
展開媒体と活動
VirtuNymは主にSNS(特にX)を中心に展開されている。
- X公式アカウント(@VirtuNym)による情報発信
- #VirtuNym_HelloWorld タグを用いた新キャラクターのデビュー報告
- スペース(音声配信)での企画・トークセッション
- ファンアートや二次創作の活性化
- 現四通信などフリーペーパーでの特集掲載
- noteでの紹介記事や企画告知
現時点では商業的な出版物やゲーム化は行われていないが、コミュニティ主導の創作活動が活発に続いており、プロジェクトは非中央集権的に発展している。
影響と評価
VirtuNymは、アバター文化の次なる可能性として注目されている。VTuber文化が企業主導のキャラクター展開を中心に広がったのに対し、VirtuNymは誰もが自らをキャラクター化できる自由性と思想性を前面に打ち出し、創作文化の民主化を体現している。
また、自己探求という哲学的テーマをキャラクター表現と結びつけた点で、VirtuNymは芸術運動的側面も持ち合わせている。特に「自己表現がそのまま他者との対話になる」という構造は、現代ネット社会における人格の多層性と共鳴するものがあり、今後の文化的発展が期待されている。