Dの戦士/ゴキゲン鳥~crawler is crazy~ ◆7pf62HiyTE
6.運命の戦士
突然だが何故
大道克己の手にロストドライバーがあったのだろうか?
大道克己はNEVERであるわけだがNEVERというのはネクロ・オーバーの略称でありその名の通り死者蘇生技術により蘇った存在である。
単純に蘇生されるだけではなく、強靱な身体となるのと同時に死への恐怖心をも失うのだ。
死者蘇生兵士――実際に採用されれば凶悪な無敵の兵団が形成された事だろう。
しかし財団Xによるコンペに勝ったのは園咲琉兵衛が率いるミュージアムが開発したガイアメモリ――その多様性に敗れ去ったのだ。
だが、NEVER被検体第1号である克己は負けたとは思っていない。たわいの無い小道具に負ける事など許されないと、NEVERの有用性を証明する為にNEVERによる傭兵部隊として各地を戦い続けていたのである。
ここまでの説明でわかる通り克己にとってガイアメモリは敵以外の何者でもなかった。だが、エターナルはその特性上、ガイアメモリの帝王となれる存在だ。ガイアメモリを嫌っていた男がガイアメモリの帝王に――矛盾した話である。
さて、前述の説明通り財団Xはミュージアムを投資対象に選んだ――が、琉兵衛に彼自身の思惑がある様に、財団Xも彼等なりの思惑があった。
琉兵衛を倒す事を目的としていた園咲文音ことシュラウドが開発していた次世代型ガイアメモリを財団Xが完成させた――そしてその中心となるのはエターナル、全てのガイアメモリを支配する存在という事だ。
つまり、エターナルのメモリもエターナルに使われるロストドライバーも財団X側にあったというわけだ。
では何故、克己達にとって敵である財団Xが持っているそれらを克己が手にしたのであろうか?
実の所、エターナルには大きな問題があった。それは相当なじゃじゃ馬であるが故にそれを使いこなせる者が誰もいなかったのだ。
もっとも財団Xの幹部である
加頭順は試作型故の不調と考えていた様だが――
奇しくもビレッジ絡みの一件で克己はエターナルと遭遇した――
『俺の宿敵ってわけか……宿敵……? いや違う、何かを感じる……こいつは……俺の……俺の……!』
何秒ほど意識が飛んでいたのだろうか?
あの瞬間何が起こったのか?
ゆっくりと周囲を見回す――そしてまず気付くのはエターナルへの変身が解除されていた事、
「何故……」
ベルトには細心の注意を払っていたし衝撃を受けた覚えも無い、それ故にドライバーが外れる理由は何処にも無い筈だ。
疑問符ばかりが浮かぶ中――ゆりは見た。
ロストドライバーを巻き平然と立つ克己の姿を――その手にはエターナルのメモリが握られている。
「そんな……どうして……」
わからない――一体どんな魔法や奇跡を起こし奪還したというのか?
いや、それ以前に――今更な話だがあれだけの戦いを繰り広げながら未だ殆どダメージの後が見られないのはどういう事なのか?
「貴方……本当に人間なの……?」
思わずそう口にしてしまった。
「いいや、科学が生んだ怪物ネクロオーバー、NEVERだ」
「ネクロオーバー……死者蘇生の事かしら?」
「察しが良くて助かる。まぁそういう事だ……本当ならいつだったか……大体今のお前ぐらいの年の時に死んでいる。だが俺のおふくろが研究していた技術で……というわけだ」
元々
ダークプリキュア自体ゆり自身を元にサバーク博士こと月影博士が生み出したものだ、それ故にそういう技術があっても不思議でもなんでもない。
「だが、NEVERはこんな小道具に敗れ去った……そんな事があっていいわけないだろう。だからこそ俺にとってコイツは宿敵だった。しかし、このメモリを見た瞬間俺は感じた……」
――Eternal――
「コイツと俺は運命によって結ばれている事をな――変、身……!」
――Eternal――
ほんの一瞬、ゆりの変身した赤い炎のエターナルに変身したと思いきや、次の瞬間に炎は青へと変わり先程は無かったエターナルローブとコンバットベルトを装着した――つまり克己の変身したエターナルが再び姿を現したのだ。
「運命……そういう事……」
克己の説明を聞き、あの瞬間何が起こったのかを理解した。
そもそもの前提が間違っていたのだ。エターナルの不調はドライバーやメモリの故障という事が。
あれはゆりに使われるのを拒絶していたメモリが克己の所に戻ろうとしていただけだったのだ。
そして、克己がすべきことは至極単純、エターナルに零距離まで接近するだけ。そうすればメモリは勝手に拒否反応を起こし変身は解除、そうすれば労せず奪還が可能だ。
流石にその時の衝撃が強すぎて勝手にベルトが外れその勢いそのまま克己自身に挿入されたメモリは排出されドライバーが装着されるとまでは予想出来なかったが――
「まぁ、永遠は俺にこそふさわしいって事だ」
そう勝ち誇るエターナルであった。
7.ゴキゲン鳥~crawler is crazy~
なるほど、克己は最初からそれがわかっていたからこそ、あの発言をしたというわけか。
確かに使えると思っていたものが最初から無力ならああいう発言も仕方ないだろう。
一転して追い込まれたゆりだったがその表情はそこまで暗くは無い。
そう、死者蘇生技術の存在はゆりに希望を与えたのだ。その技術さえあればほぼ確実に家族を取り戻せる。いや家族だけでは無く自身が殺したえりかさえも蘇らせる事が出来る。
「その表情……どうやらあんた生き返らせたい奴がいて、この殺し合いを優勝してそれを叶えたいみたいだな」
図星を指された、だが今のゆりにそれに反応する気力など無い。
「そうか……ずっと感じていたが……あんたの目は未来を映しちゃいない。過去しか見ていない……違うか」
「……!!」
その通りだ、父も妹もコロンもみんな過去に散っていった者だ。それを取り戻す事を目的とした時点で過去に囚われていると言われても仕方が無い。
「まぁあんたが過去に囚われていようが未来を見ていようがもう俺にはどうでもよい……加頭達財団Xが黒幕なら出来るだろうな、俺達NEVERの技術を使える筈だからな」
その言葉は今のゆりにとって希望だ。しかし、
「だが、一応言っておく。連中の言葉を信じた所で願いは叶わない。連中は悪魔だからな……」
次の瞬間紡がれたのは否定、
「それに運良くNEVERに出来た所で望みは叶わない。所詮死体は死体、NEVERになれば人間らしい感情や過去の記憶が少しずつ抜け落ちるらしい」
そして絶望へとたたき落とす言葉である。
「え……そんな……」
「大体、あんた自身が俺が人間である事を疑問視していただろう、それが証拠だ。誰を生き返らせたいのか知らないが、感情や過去の記憶を失っていく奴を取り戻した所で意味なんてあるのか?」
崩れ去っていく――取り戻せると思った日々が――いや、それだけじゃない。
エターナルの言葉通りなら、仮にその技術でえりかを生き返らせても――それはだんだんとえりかではなくなってしまうという事だ。
そんな事に何の意味がある? 親友の妹を壊した事は決して変わらないという事だ。
「連中を信用していないならどうして貴方は殺し合いに乗っているの?」
「俺にはもう感情も記憶も殆ど残っていない。このまま消えていくだけだ――だからこそ俺という存在を刻みつけるのさ、永遠に。その為に優勝し元の世界に戻る必要があるだけだ」
「……それを、貴方を生き返らせた貴方のお母さんは望んでいるのかしら?」
「言った筈だ、親への愛情ももう消え失せている……ここに来る前に俺自身が殺したが……なんの感慨もわかなかったさ、ただ邪魔者が1人消えた程度だ」
「!!」
何事も無かったかの様に語る克己の言葉にゆりは大きな衝撃を受けた。自身の手で親を殺した――それどころか何も感じなかったというのだ。
それがさばくの使徒の幹部ならばまだわかる。だが、目の前の男は元々は人間だったのだ、同じ人間なのに心を持っていないのだ――
「狂っているわ……」
「ああ、そうだ狂っているな。だが、過去に囚われ殺し合いに乗った悪魔が言えた事じゃねぇ。俺に言わせりゃ、人間は皆悪魔だ」
否定なんて出来ない。自身を信じていたであろう仲間を惨殺した自分は悪魔以外の何者でもない。
だが、プリキュアの仲間達やその友人や家族達すらも悪魔呼ばわりする事は許せない。無論、それを口には出来ないが――
どちらにしても今一度プリキュアに変身してエターナルを撃退せねばならないだろう。
だからこそ、ココロポットを構え、
「プリキュア! オープン・マイ・ハート!」
そう唱えココロポットにプリキュアの種を挿入――
――した瞬間、エターナルエッジがココロポットに直撃し、ココロポットを落としてしまう。
「ああっ!」
変身途中の攻撃を想定していなかった故にゆりの思考が一瞬遅れる。そしてその一瞬の間にエターナルが一気に間合いを詰めゆりにその拳を振るう。
ゆりは何とか思考を取り戻し後方へと飛んでそれを回避した。だが――
「変身なんてさせると思ったか?」
エターナルの手にはココロポットが――それだけではなく先の攻撃で手放してしまったゆり自身が持っていたデイパックまで確保されてしまった。
エターナルは何事も無かったかの様にココロポットをデイパックへと仕舞う。
「くっ……」
これによりプリキュアへの変身すら封殺され殆どの武器を失った状態に陥った。残った武器は懐に隠している破邪の剣だけ。
だが、生身の状態で剣1本相手に戦うなど不可能だろう。
つまり、エターナルはそこまで読んだ上での発言だったのだ。
「(願いを叶えるどころの話じゃないわ……このままじゃ……負ける……)」
考えろ、この場を切り抜ける手段を――
考えろ、起死回生の一手を――
そんな中、服の中に何か違和感を覚えた――
「(何……この感触……まさかガイアメモリ?)」
先の衝撃で克己から排出されたバードのメモリ、どうやら運良く懐からゆりの服の中に入った様だった。
「(だとすれば……使える手段は1つしかないわ……)」
そう言いながら剣を構える。
「そんな剣1本で俺とやりあうつもりか?」
そう余裕で口にするエターナルを余所にゆりは走り出し――
「はっ、特効覚悟か。いいだろう、地獄に送ってやるぜ!」
エターナルもまたゆりを屠るべく構えるが――
――Bird――
服の上からメモリを作動、そのままメモリはゆりの体内へ――
そしてメモリの記憶はゆりの全身を巡り――バード・ドーパントへと姿を変えた。
「なにぃっ! だが!!」
いつの間にか飛んでいったバードのメモリを確保されていた事はエターナルを驚愕させた。
しかし、バード・ドーパントになった所で勝ち目などない事はゆり自身が口にしていた通りだ。
そしてドライバー外しという戦法も何度も喰らう程愚か者でも馬鹿でもない。
高速かつ不規則で飛び回りつつ羽根手裏剣を展開しながらエターナルへと迫るバード・ドーパント、その距離は少しずつ詰まっていく。
エターナルはエターナルエッジから何度となく斬撃を飛ばし続けるがバード・ドーパントはその全てを回避していく。
そして5メートル3メートルと距離は詰まり――その距離が0になると共にバード・ドーパントは破邪の剣を構える。
同時にエターナルもエターナルエッジを構える――
激突する仮面ライダーとドーパント、風都で何度となく繰り広げられた構図の果てに――
破邪の剣が宙を舞った――
8.奇策の行方
「はぁ……はぁ……」
元の姿に戻ったゆりは息を切らしていた。
エターナルとの戦いで受けたダメージはそこまで致命的では無いが撤退するのに必死だったが故に疲労は非情に大きい。
だが何より致命的なのは変身道具を含めた殆どの道具を奪われた事だ。
手元にガイアメモリはあるがその戦闘力はたかが知れている。
だからこそ、先の奇策を取ったのだ。そう、先の攻撃の真の目的はエターナルを倒す事では無く――
9.地獄のパーティータイムの始まり
「逃がしたか……メモリを奪われたのは痛いが大した問題じゃない」
そう口にしつつ変身を解除し元の姿に戻る。激闘によるダメージは殆ど無くこの状態ならばわざわざ細胞維持酵素を注入する必要は無い。
ともかく今は戦利品の確認をしておこう。そう考え3つのデイパックを――
「……? ちょっと待て、おかしくねぇか?」
ここで読者諸兄にもわかりやすく情況を整理しておこう。克己は自身と十臓のデイパックを所持しており、ゆりは自身とえりかのデイパックを所持していた。
そして、先の戦いでゆりの持っていたデイパックは全て克己が奪取した。
つまり、今現在克己の所持しているデイパックは4つにならなければおかしい筈なのだ。
にも関わらず、克己の手元には3つしかない、これが意味する事は――
「あの女……最後にやりやがったな!」
そう、デイパックの1つを奪還されたのだ。おそらくはプリキュアに変身する為の道具を取り戻す為の突撃だったのだろう。
克己の意識はドライバーに集中していた故にデイパックへの警戒が若干甘くなる。その僅かな隙に仕掛けたという事だ。
とはいえ1つ程度デイパックを奪われた所で問題は――
「!! マズイぜこいつは……下手すれば俺の方が……」
最悪の状況に気付いた克己はすぐさま残り3つのデイパックの中身を確認する。
そして――奪取されたのが克己自身のデイパックである事を確認した。
「くっ……最悪じゃねぇか……」
何故、克己自身のデイパックが奪われる事が問題なのか、その中身に克己自身奪われては困るものがあったのだ。
それはNEVERの肉体を維持する為定期的に摂取しなければならない細胞維持酵素、数時間毎に摂取しなければ克己自身が死体に逆戻りとなる。
最後に打ってからまだそこまで時間は経過していないから現状では問題は無い。だが数時間の内に――可能ならば次の放送前に、最悪その放送から数時間の内に酵素を打ち込まなければならない。
この地にNEVERは克己以外に
泉京水しか存在しない。そして両名には最初から相当数の酵素が支給されている。これはそれが無ければ戦いにすらならないからだ。
数に限りはあるが5つもあれば1日強程度戦う分には問題は無い。デフォルトでの戦闘能力を考えればその時間制限はハンディキャップとしては適当だ。最悪もう片方のNEVERから奪えば済む話だ。
他の参加者に支給されている可能性――結論だけ先に述べておけばそれはない。というより他の参加者には一切細胞維持酵素は支給されていない。先程も述べたが最初から5つ支給されていれば十分過ぎる量だからだ。
他の参加者にとって無用の長物である酵素を支給する道理など無い。案外加頭の嫌がらせという可能性もあるだろう。
「まぁいい、取られたならば取り返すだけだ」
かくして目的は決まった。今すぐにでも撤退したゆりを追撃し、酵素を奪回せねばならないだろう。
彼女が酵素の存在に気付き破壊しただけで全てが終わる。
「だが、駆け引きの材料はある」
しかし、こちらも彼女の力の源であるココロポットがある。恐らくゆりはそれの奪還を狙う筈だ。
その為に酵素は駆け引きの材料として有用だ。
撤退した方向は――ホテルのある西側、そちらに向かわねばならない。
「いいだろう、キュアムーンライト……地獄のパーティタイムだ、せいぜい楽しみな」
【1日目/朝】
【B-8/道路】
【大道克己@仮面ライダーW】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ロストドライバー@仮面ライダーW+エターナルメモリ、エターナルエッジ、昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー
[道具]:支給品一式×3、プリキュアの種&ココロポット@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロパフューム@ハートキャッチプリキュア!、破邪の剣@牙浪―GARO―、ランダム支給品1~7(十臓0~2、ゆり0~2、えりか1~3)
[思考]
基本:優勝し、自分の存在を世界に刻む。
1:ムーンライト(ゆり)を追撃し酵素及びガイアメモリを奪還する。
2:T2ガイアメモリを集める。
3:京水と会ったら使ってやる。もしくはメモリを奪う。
[備考]
※参戦時期はマリア殺害後です。
※良牙を呪泉郷出身者だと思ってます。
※細胞維持酵素を失いました。数時間以内に摂取しなければ身体を維持する事が出来なくなります。
10.ゆりに咲く花
「くっ……このデイパックにはココロポットはない……」
デイパックの中身を全部ぶちまけた上で探したが目的の物であるココロポットは無かった。これでは何の為に仕掛けたのかがわからない。
「グリーフシード……これは違う……よくわからないものがあるけどこれも違う……」
そのよくわからないものこそ克己の生命線である酵素なのだが説明書が無い故にそれを知らないゆりは気付かない。そして気付かぬままデイパックへと仕舞う。
この際、ココロポットに拘るつもりはない――自身の力となるものならば何だって良い――
そして――
「命の闇の種……」
急ぎ説明書きを確認する。『食べるとヒーローに変身できるかもしれない』、その一文だけを確認し、
「絶対という確証は無いわけね……」
無論、得体の知れない物を食す事に抵抗はある。だが、
「もう今更……手段を選べるわけもないわね……」
自身の手でえりかを殺した時点で彼女は手段を選ぶ事など出来ない。
仲間達とやりあわず延々と待ち続け他の参加者が仕留めるのを待ってもよかったのに、敢えて自身の手を汚したのだ。
そんな自身に今更この手段は気に入らないからやらないなんて事は言えないだろう。故に――
「命の闇の種よ……その力が確かなら私に……力を……!!」
一心不乱に命の闇の種を食べ始めた――
それはダークザイドにとっての生命線ともいえる存在だ。
それを摂取した場合凶悪な闇生物に変貌する可能性も示されているがどうなるかは不明瞭、
だが――現実にある者が摂取した時は確かにヒーローに変身する力を手に入れる事が出来た。
無論、その為にはある物が必要だが確かに力になる事に違いは無い。
何にせよ、ゆりにとっては唯一の希望といえよう――光が闇を取り込むというのはある意味皮肉が効いているが――
ともかくゆりは食べ続ける――その先に希望は無くても、願いを叶える為に――
袋の中身の為は全て食べた。後は地面にぶちまけた際にこぼした種だけだ――1つ残らず食するのだ――
「うっ……」
全部放り込んだタイミングで喉に詰まらせてしまう。あまりにも慌てていたらしい。
ゆりらしからぬ行動かも知れないがガイアメモリの毒素が僅かながら彼女の精神に影響を与えていたのかも知れないし、先の激闘で精神的に疲弊しきっていたのかも知れない。
ともかく水を口に含み詰まりを解消させる――その時――
花が生えてきた――ゆりの顔から。
「アァァァァァァァァー!!!」
これは何の冗談だ、思わずゆりは驚愕するしかない――
ちなみにこちらもちゃんと説明書きに書かれていた筈なのでこれは完全に確認しなかったゆりの落ち度である。
そして、心臓に大きな衝撃を感じた――
連続で起こった異常に――ゆりは思わずその意識を手放した――
11.夢見の果て
そして彼女は夢を見る――幼い自身が両親と共に過ごした日々を――それは元々たわいの無いものではあったが――
今となっては最早取り戻せないかけがえのない日常――
だからこそ――
だからこそ――
だからこそ、この殺し合いに優勝し父やコロン、それに妹を取り戻すのだ――
いつまでも寝てはいられない――そう考え現実に戻る――
「ん……?」
だが、最初に違和感を覚えた。
服が大きくなった様に感じる。
ともかく、情況を確認する為いつの間にか外れてしまった眼鏡を拾いかけようとしたが――
眼鏡に映った自身の姿を見て驚愕する――
「え……」
未だ夢を見ていたのだろうか?
いや、身体を奔る僅かな痛みからそれはない。これは紛れもない現実だ――
ならば何故――
自身が夢の時と同じ姿――幼い頃の姿なのだというのだ!?
読者諸兄に何が起こったのかを説明しておこう。
ゆりの
現在位置はB-7エリア、だがその場所にて放送より少し前ある事が起こった。
スバル・ナカジマによる振動破砕により
ノーザに致命傷を負わせたのだ。
その衝撃は凄まじくクレーターを形成する程であった。そしてその攻撃に巻き込まれノーザの所持品も吹き飛ばされたのだ。
ここまでくれば最早おわかりだろう。ゆりがいた場所は丁度その道具の1つが飛ばされた場所、
そしてその道具がゆりに異変をもたらしたのだ――
その道具はノーザに与えられた最後の支給品、人の心を弄ぶノーザにとってある意味ふさわしい最悪の支給品かもしれない。
その道具は年の数茸、その名の如くその長さの歳になってしまうという代物だ。
心だけでは無く、身体も弄べるのだ、ノーザにとってはこの上ない支給品だろう。とはいえソレワターセの汎用性の高さ故に最後まで気付かなかったというお粗末なお話だが。
要するに地面にぶちまけた種を食べる際にそれと気付かず歳の数茸も食べてしまったというお話だ。丁度食べた長さは約7cm、それに応じた年齢になったというわけだ。
一応、3つ支給されており、ゆりの近くにも残り2つある為元に戻る事は可能だ。だがその為にはゆりの年齢である17cmまで成長させる必要があるが――(言うまでも無く、2個の長さも7cmである)
だが、肝心の説明書きが無い(本当はあったのだが先の攻撃に巻き込まれ消滅した)為、ゆりはそれに気付く事は無く――
「どういう……こと……」
この瞬間だけは殺し合いの事も全て忘却の彼方へ消え、頭の中が真っ白になっていた――
【B-7/森林】
【
月影ゆり@ハートキャッチプリキュア!】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(大)、ガイアメモリによる精神汚染(微小)、7歳の肉体、命の闇の種を摂取
[装備]:T2バードメモリ@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品一式、細胞維持酵素×3@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2
[思考]
基本:殺し合いに優勝して、月影博士とダークプリキュアとコロンとで母の下に帰る。
0:あまりの状況に思考停止状態。
1:ここからホテルを経由して村へ向かう
2:つぼみやいつきであっても、積極的に殺す覚悟を失わない
3:もし、また余計な迷いが生まれたら、何度でも消し去る
[備考]
※48話のサバーク博士死亡直後からの参戦です。
※精神的な理由からプリキュアに変身してもその力を完全に引き出せません。
※命の闇の種を摂取した事により、ザ・ブレイダーへの変身能力を得た可能性があります。
※歳の数茸により肉体が7歳の状態になっています。但しゆり自身は命の闇の種の効果だと考えています。
[全体備考]
※命の闇の種@超光戦士シャンゼリオンは全て完食しました。
【支給品紹介】
歳の数茸@らんま1/2
ノーザに支給、
その名の通りキノコのサイズ通りの歳になるキノコ。
5cmであれば5歳、10cmであれば10歳
今回は7cmの状態のキノコを3つ支給。無論、成長させる事は可能。
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最終更新:2013年03月15日 00:09