TD
重音テト
31歳
独身
会社員
二十数年前
アニメやドラマ、小説にゲーム……
子供の頃から、フィクションの世界が好きだった。
だって、現実はいつも退屈で、窮屈で、
それに比べて、嘘の世界はいつだって無限だった。
噓の世界では僕は自由で、何にでもなれた。
いっそのこと、ぜんぶの嘘が
ほんとになっちゃえばいいのに……
そして時が流れ、大学を卒業した僕は、
面接で見事な嘘を並べ立てることで
運よく大手のコンテンツ制作の会社に入ることができた。
大好きなアニメやゲームに囲まれて仕事ができる、と、
まだ何も知らない僕は期待に胸を膨らませていた。
が、実際に待ち受けていたのは地味な仕事と
面倒くさい人間関係、
年を取って自動的にマネージャーになってからは
毎日が現場と上層部の板挟み。
そこにあったのは、シビアな現実そのものだった。
いやあ 何回言えばわかるのかな
君もう八年目とかだよね
申し訳ございません……
(すまんね笑)
謝るだけなら簡単なんだよね
承知しております
Fxxx!!!
ほんとにわかってるのかな……
道誤って 時間が経って
自分見失って
なんなら生きてる意味すら
どっかに忘れてきてしまったようで
憧憬露呈、到底 内定ない体最低で
会いたくないな 会えないな
未読の通知がまた増えた
あ~
何にもなれやしないまま、
今日も虚空を見つめている。
ごめんね許して 駄目な大人の私を
とか言ってる間に 夜が明けて
⎧こんなに惨めな気持ちになって
⎩君の同期はもうとっくに出世してリーダーになってるのに
⎧あーもう お前の所為なんだだだ
⎩君ときたら…
だだだ
だめにんげんだから
君の気持ち
分からない 知らない
だだだ
ダ・ヴィンチもびっくりの
凡人っぷりさ
だだだ だだだ
だめみたい ごめんね
僕はなんにも出来ない 出来ない
だだだ
誰でも構わない 承認をちょうだい
騙すつもりはなかった
だだだ だめにんげん!
何だねその顔は
なんでもないですっ!
自分の身を守るため、
振られた仕事を適度に無視しながら家路につく
ただいま~って誰もいないけど
よっこいせ… ぁっ
(バキバキ腰痛です)
腰痛持ち
4つ打ち
Ah
腰痛持ちだ
アーラ
腰バキバキボキ
アイタタッタ
腰痛持ち
4つ打ち
Ah
腰痛持ちだ
アーラ
腰バキバキボキ
アイタタッタ
腰痛持ち
4つ打ち
Ah
腰痛持ちだ
アーラ
腰バキバキボキ
アイタタッタ
腰痛持ち
4つ打ち
Ah
腰痛持ちだ
アーラ
腰バキバキボキ
アイタタッタ
うぐぐ
とりあえず風呂沸かそう
湯!
さあメシだメシ!
えーと、冷蔵庫にあるものは……
サバの水煮缶をご飯に乗せて
七味をかけただけのやつ
正直みそ汁作ってるだけで
えらいよなあ
テレビでも見るか
ドミニカの大砲 デロスサントスが
こんな夜もピーチミートパイ
喉が
きっと明日も明後日も次もピーチミートパイ
ドミニカの大砲 デロスサントスが作ったチャンスで
頭ん中までぐるぐるピーチミートパイ
ドミニカの大砲 デロスサントスが
ヒットを量産しているというのに
ドミニカの大砲 デロスサントスが作ったチャンスで
僕は追い込まれ 外スラを空振る
このテレビもそろそろ買い替えどきだな
ショート動画でも見るか
流行り物のチェックも仕事のうちだ!
(自分に嘘をつくのも上手くなったもんだ。)
ホバギ チョワヨ~
チョワヨ~ チョワヨ~
フランスパン チョワヨ~
コメントしてくださいm(__)m
コメントしてくださいm(__)m
(歌詞無し)
タロウ!
こういう昔の番組の無断転載とか、
ついつい熱心に見ちゃうよなあ
あ!タロウだ!
あああああ~~
無限に時間が溶けるううううう~~
用法容量度外視 合法 Doping time
死体のようで脳はHappy Happy Happy Dance
「ちょっとだけ休憩」で終われたら訳ないわ
(Warning? Don't worry)溺れて
(Warning? Don't worry)流されて
(Warning? Don't worry)抜け出せない
Nope, too late
Brain rot もう止められない
Brain rot 糖なんて比じゃない
Brain rot もっと 灰になるまでHigh
かさね
がさね
みる物触れる
のまれ
中で暴れ続ける
かさね
がさね
みる物触れて
のまれ
中で暴れ朽ちる
重ね重ね重ねトマト缶
重ね重ねトマト缶
重ね重ねトマト缶
重ね重ね
重ね重ねトマト缶
重ね重ねトマト缶
重ね重ねトマト缶
重ね重ね
監視 監視 監視下で
軽く 軽く 生きている
大事 大事 にして
監視 監視 監視下で
退く 退く つしている
出し 出し 出して…
いつからこうなったんだっけ…
僕がもっと、アイドルとかヒーローみたいに
輝いてる世界線もあったんだろうか……
あ、流れ星
はーあ どうか
ウソみたいなことがたくさん起こりますよーに
その瞬間、頭のなかに流れ込んできたのは
僕じゃない、僕。
無数の嘘の僕。
これは
もう変わらない変わらない
振り向いても
もう戻らない戻らない
取り憑いたら
もう離さない離さない
張り付いた
リセット不能のバグったプロパティ
もう変わらない変わらない
振り向いても
もう戻らない戻らない
取り憑いたら
もう離さない離さない
ならここはひとつ
一緒に笑い飛ばしてくれ
これは、一体…………
それは僕の中にほとばしる、
広大な嘘の世界だった。
最終更新:2026年05月31日 15:47