その1
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homuhomu_tabetai
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「たっだいまー!」
今日も今日とて学校から帰宅したあたしは、自室に直行。
ドアを勢いよく開けると、机の上のほむほむケージに歩み寄る。
その中の小さな影は、すぐにあたしに気付いて――
「ホミュッ! シャーカァー!」テテテッ オカエリー!
ケージの端っこまでつまずきそうな勢いでやってきて、お迎えしてくれる一匹の仔ほむ。
「ただいまーっと」
「ホミュー……」サビシカッタ……
「おー、よしよし」
ケージを開けて、震える仔ほむの頭を撫でてあげる。
気持ちよさそうに目を細める仔ほむ。
この仔と出会ったのは、数日前の夕暮れのこと。
街中で、親ほむとはぐれて途方に暮れているところを見つけたのがきっかけだった。
一人きりで泣く仔ほむを不憫に思って、ちょっとした親切心を起こしたあたしは、自分の家に連れ帰ることにしたのだ。
それからというもの、その仔ほむは飼いほむ?として、あたしの部屋の一角を占拠している。
しかし、親ほむと離れて暮らすことは、幼い仔ほむにとっては、想像以上に辛いことのようで……
あたしが部屋にいる時は常にべったりだし、学校などで長い間家を空けている時なんかは、泣いて過ごしている日もあるみたいだった。
でも、いくら仔ほむが寂しがるからといって、学校を休むわけにもいかない。
考えたあたしは、代案を試してみることにしたのだ。
「毎日一匹でがんばってる仔ほむに、今日はご褒美を持ってきたんだよー!」
「ホミュ?」
不思議そうな仔ほむをよそに、鞄をごそごそと漁って取り出したのは、持ち運び用の小さなケージ。
中の生き物がぶつかっても大丈夫なように、周囲がやわらかな素材でつくられた特製品だ。
それの取り出し口を開き、出てきやすいように傾け、仔ほむのケージのそばに置いてあげる。
中からこっそり周囲をうかがうようにして、ひょこっと顔を出したのは――
「……ミャド?」
「ホミャッ!? ミャドカー!?」
一匹の仔まど、である。
この仔まど、放課後の時間をフルに使って方々を探し回り、やっと手に入れた努力の結晶なのだ!
まずはその、将来素敵な美まどになること確定の、かわいらしい顔立ち。
白まどでこそないものの、ふりふりの衣服は清潔で、ほつれのようなものは一切なし。
白まどのように長く伸ばした髪は、手入れが行き届いて艶やかで、天使の輪を形作っている。
人にも慣れていて、しかも、サイズはうちの仔ほむと丁度同じくらいというパーフェクトっぷり。
仔ほむの将来のパートナーとしてもぴったりである。
「ホミュラチャン……?」
「ホミュゥ……///」
戸惑っている仔まどだけど、案の定、仔ほむはすっかり見惚れていて、二の句が継げない様子。
しばらく待ってみても、固まったままで、すっかりただの観客と化している仔ほむ。
「うーん、仕方ないなぁ」ヒョイッ
「ミャドー?」
仔ほむのそんな様子に業を煮やして、仔まどを一つまみ。
仔ほむのケージの中に優しく下ろしてあげる。
「ほら、仔ほむ。あんたの将来のお嫁さんだぞー?」
「ホミャァ!? ミャドカァー?」オヨメサン!? ワタシノ!?
「ミャード?」オヨメサンッテナーニ?
ふふ、驚いてる驚いてる。
そりゃ、かわいい子が突然やってきて、自分のお嫁さんなんて言われたらびっくりするよね。
一方、話に置いていかれっぱなしの仔まど。
疎外感を覚えたのか、仔ほむの元にやってくると、生来の人懐っこさを発揮して、小さなその手を取って、自分のそれと重ね合わせる。
「ミャドー……ホミュラチャーン」トテトテ ピトッ
「ホミャア! ミャドカァ///」オテテギュッ
「ミャドォ♪」ニコニコ
「ホミュミュ……///」スリスリ
仔まどは、あっさりと仔ほむの心を奪ってしまったみたいだった。
仔まど、恐ろしい子……!
「シャーカァ♪ ホミュホ♪」アリガトー!
どういたしまして、仔ほむ。
それから、仔ほむは見違えるように元気になった。
エサもよく食べるし、親ほむ恋しさに涙することもない。
一方で、仔まどに対しての依存度もどんどん上がっていった。
片時も離れようとせず
「ミャド! ホミュラチャーン! ///」ギュゥゥゥ
「ホミュ! ミャドカァァァー! ///」ギュゥゥゥ
一緒にケージの中を駆けずり回ってじゃれあっては
「ミャドォ!」キョウソウダヨ!
「ホミュ!? ホミュゥゥー!!」マッテー!
同じお風呂に入り
「ホミュホミュ! ホミュホ」カミヲアラッテアゲル!
「ミャドー♪」アリガトウ! ヤサシクシテネ
仲良く抱き合って眠りにつく。
「ホミィ……」キュッ
「ミャ……」スリスリ
「よーし、今日はちょっとお出かけしちゃいますか!」
仔ほむと仔まどを引き合わせてから数日。
2匹ともすくすくと育ったものの、まだまだ幼く、遊びたいざかり。
ケージの中にいくつか小さな遊具があるとはいっても、ずっとケージで過ごすっていうのもかわいそうだし――と、外に連れ出してみることにしたのだ。
行き先は見滝原の穴場スポット!
見晴らしの良い高台からは街の風景が一望でき、きれいなお花畑だってある、秘密の場所だ。
「到着っと! どう? 奇麗でしょー?」ヒョイッ
言いながら、仔ほむたちをケージから出してあげるあたし。
「ホミャァァァァァー……♪」
「ミャミャドォォー……♪」
一面の花畑に歓声を上げる仔ほむと仔まど。
こんなに喜んでくれるなら、もっと早く連れてきてあげればよかったかな?
なんて思う間に――
「ホミャミャッ♪」テテテッ
「ミャドー♪」テテテッ
仲良く手をつないでお花畑に走っていく二匹。
「あんまり遠くへ行くなよー!」
とは言っても、仔ほむたちの短い足じゃそうそう遠くへは行けないんだけどね。
あたしはお花畑のすぐ側にレジャーシートを敷いて、風景を楽しむことにしたのだった。