その1
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homuhomu_tabetai
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男「――ちくしょう!!」
男は机に強く拳を叩き付けた。
鈍重な音が閑散とした自室に虚しく響く。
男「何故理解出来ない……これは画期的な研究の筈だ……」
男は生物学者であった。
学生時代にどっぷりとその道に填まり込んでしまい、若いながらも将来有望とされた人物である。
それも今は昔。
あらゆる研究室から引く手数多だった彼は、ただの変人と化してしまったのだから。
男「これは、食糧難に一石を投じるはずなんだ……なのに、何故!?」
また強く拳を打ち付ける。
それを心配そうに見守る、一匹のほむほむが居た。
ほむほむ「ホム……」ダイジョウブ?
彼の研究の結果、体長1500mm程度に育った――改良種だった。
俺とほむほむと四畳半
――――
奨学金の権利も剥奪されてしまった。なんて奴らだ。
男「はぁ……何でこんな安いアパートに住まなきゃならねぇんだよ……」
当面は生活を切り詰めなければならない。
慣れないが、アルバイトもしなければならないだろう。
仕送りだけでは――
ほむほむ「ホム?」ナニ?
この忌々しい畜生を飼うのも儘ならないからな。
しかし、専用の施設を取り付けていた前の家ではなくなってしまった。
まずは躾をしなければ。
男「おい、一」
便宜的に、ほむほむは一と呼んでいる。
一番最初に生み出した実験体だから、多少の愛着はある。
男は優秀な学者だった。
ほむほむが意外に知能がある事を発見したのも彼である。
また、学習能力も多少見受けられると論文を発表したのも彼だ。
男「ほら、ここがトイレだ……用を足すのはここでな」
幸いな事に洋式だった。
これなら落ち込んでしまう事もない。
ほむほむ「ホムホム」ワカッタ
男「ほら、やってみろ」
ほむほむ「ホム……ホムゥ///」ハズカシイ///
男「…………」
これである。
通常のほむほむとは圧倒的なサイズ差があるために、仲間と感知出来ず――結果俺を仲間だと思っているようなのだ。
まぁ、ほむほむらしい愚かさだと言えば……それまでなのだが。
男「分かった分かった。俺は向こう行ってるから、試しとけよ」
ほむほむ「ホム」ワカッタ
やれやれ……こっちは大変だってのに、呑気なもんだ。
狭い部屋にあるのは、ベッドと机とタンスが一つ。なんとも寂しかった。
俺はベッドに倒れ込み、久しぶりに泣いた。
こんな惨めな気持ちを味わうとは、思ってなかった――
――――
『――キミは遂に頭がおかしくなったのかね?』
『その畜生を早く下げたまえ。見るに絶えない』
『若い子は怖いね。禁忌と言うのを恐れないから』
『自慢気にそれを見せる君は、素晴らしく滑稽だよ』
『いい精神科を紹介しようか?』
やめろ、やめてくれ。
――――
男「う……うわぁっ!?」
酷い夢を見て、飛び上がってしまった。
気分は最悪だ。
ほむほむ「ホミュウ……」シンパイ
傍に一が居た。何か言いたげな表情で俺の顔を撫でている。
元はと言えば、コイツの所為で――
ほむほむ「ホミュッ!?」イタイッ!?
俺は憎たらしいソレを突き飛ばした。
狭い部屋だ。
ちょっと突き飛ばしただけで、身体を壁に打ち付けてしまうような。
髪の毛を掴んで、無理矢理立たせた。
ほむほむ「ホミュッ」キャアッ
男「お前が、お前のせいで――」
言いかけて、ハッとする。
ほむほむの仲間意識の強さに関するレポートも、彼は学会に提出した経験があった。
男「……悪いな」
ほむほむの種としての行動にいちいち腹を立てていたら研究者なんて勤まらない。
彼には、学者としての誇りぐらいは――まだ残っていた。
ほむほむ「ホムホム」ダイジョーブダヨ
ほむほむ「ホムッ」ゲンキダシテ
ほむほむが俺にすりよってくる。特有の甘い香りがしていた。
確か、幸福を感じると甘くなるんだったか……
男「はぁ……」