マミ(今日はそろそろ帰ろうかしら……?)
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homuhomu_tabetai
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廃ビル内――
「………この辺りは反応無し……と」
私は淡い黄色の輝きを放つソウルジェムを指輪に戻すと、コートのポケットに仕舞っていた手袋を嵌める。
この数日で寒さも厳しくなって来たせいか、防寒具が手放せない。
(今日はそろそろ帰ろうかしら……?)
キュゥべえはここ数日、家を留守にしているが、私にはまだ他に、帰りを待ってくれている家族がいる。
(あの子達の御飯も準備してあげないとね……)
そんな事を考えながら、何時の間にかずれていたマフラーを、少しだけ緩めてから、改めてややきつく巻き直す。
その時だった――
「ミャミィミャミィ!?」
「え!?」
聞き慣れた悲鳴がマフラーの隙間から聞こえて来た事に驚き、私は慌ててマフラーを緩めた。
するとその隙間から――
「ミャミッ」
――一匹の仔まみが、首を出した。
「まみまみ、あなた、着いて来てたの?」
「ティリョォッ!」
驚く私に、仔まみはマフラーの中から飛び出し、私の手の上に移動すると、えっへん、と胸を張った。
「勝手に着いて来たら、あなたのママ達が心配するわよ?」
しかし私は、少しだけ顔をしかめると、指先で撫でるような強さで彼女の頭を軽く叩いた。
「ミィ……」
私に怒られた事で、自分の両親に心配をかけている事を理解した仔まみは、途端に不安そうな声を上げた。
きっとこの仔は、一人で出かける私を心配して着いて来たのだろう。
他の子達は、もう私の日課を理解しているから特に心配などしていないだろうが、生まれて間もないこの仔にはまだ分からなかったのだ。
そう考えたら、それ以上、怒る事も不安にさせるワケにもいかなくなり、私は小さくため息をついてから、出来るだけ優しい表情を取り繕った。
「一緒にママ達にごめんなさいしてあげるから、早く帰りましょう?」
「ミャミィ」
しょんぼりとした様子で頷いた仔まみを、私は彼女が先ほどまでいたマフラーの隙間に移動させる。
マフラーごしに伝わる仔まみの温もりを感じながら、私は廃ビルを後にする。
「……雪…………」
廃ビルの外に出ると、ややみぞれ混じりの雪が降り始めていた。
どうりで冷えるワケだ。
「ティリョォォ……」
マフラーの隙間から首を出した仔まみは、生まれて初めて見る雪に目を輝かせている。
だが――
「ミャミィン」
突如吹いた風に顔表面の体温を奪われ、ブルッと身体を震わせた。
「寒いでしょう? ほら、早くマフラーの奥に潜ってなさい」
そう言って促した私だが、仔まみは雪が名残惜しいのか、中々、マフラーの奥に潜り込もうとしない。
「ミャミィ……ミャミッ!」
ややあって、仔まみは何かを思いついたのか、上半身まではい出すと、私の頬に頬ずりを始めた。
「ティリョォォ、ティリョォォ」
幸せそうで、暖かそうな声を上げて頬ずりを続け、私の頬はそこだけほんのりと暖まり始めた。
「……もう」
幸せそうな彼女を止める事が出来ず、私は彼女の肩あたりまでマフラーを引き上げた。
「ミャミィン」
彼女も、より暖かくなったのが嬉しいのか、さらに嬉しそうな声を上げた。
彼女が幸せそうだから?
……いや、多分、違う……。
止められなかった本当の理由は……――
「ミャミミャミ」
「あったかい………」
――頬に触れるその温もりが、どこか懐かしい人達の手の温もりに、似ていたからかもしれない。