牧畜
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homuhomu_tabetai
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作者:V+baYwAIO
498 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga] 投稿日:2012/02/27(月) 08:36:30.25 ID:V+baYwAIO
「アンアーン!! 」「ホ、ホムゥ」「ホビャァァァアァァ!! 」「マドマドォッ!」「サーヤ♪」「ホミャァ…… 」
突然のあんあんとさやさやの襲撃にほむほむ達の巣はパニックに陥った
相手はたったの二匹とはいえほ食種であり、何より狭い場所での戦い方を知り抜いている
群の長であるリボほむと白まどといった希少種といえど、仲間を守りながらの戦いでは流石に分が悪い
あっという間に巣は制圧され、奥に隠れていたメガほむや仔まど等、群にいる全てのほむ種が巣の一画に集められた
このまま凶暴なあんさやに嬲られ、食われ、一匹残らず殺されるのだろう―――
これから訪れる惨劇を想像し失禁する者、泣き叫ぶ者、愛する家族との最期の別れを惜しむ者……
ほむほむ達が騒がしさを増す中、あんあんが口を開いた
「アンアンアーン」
「ホ… ム……? 」
『お前等弱っちいから、アタシが守ってやるよ』
思いがけぬ提案にほむほむ達は戸惑いをみせるが
『私達、食べられなくて済むんだ』
すぐに歓喜の声を上げる
「ホムホーム」「ホミュウ♪」「マァドォ」 ダキッ
「サヤサヤ」 ヒョイ
『よかったね、仔ほむちゃん』『おかーしゃん♪』『もう怖くないよ』
幼い仔を持つ家族はお互いの無事を喜び抱きしめ合う
『但し―』
そんな和やかな空気を切り裂くようにさやさやが仔ほむを取り上げた
「ホントバカー」「クーカイ? 」
『一週間毎に仔を三匹食べさせてくれるならね』『仔ほむ三匹で群が助かるなら安い物だろ』
あんさやは冷酷に言い放つ
『これは命令じゃなく提案だ。 受けるかどうかは好きにしな』
群の存続と仔の命―どちらを選ぶか自分達で決めろ、と
「ホ、ホビャァ…… 」「ホミェェェェエエェェン!!! 」「マドドォ!」
「ホムホーム」「マドマド」
「ホビャァァァアアァァアァァ!!!! 」
『そんな…… 』『おかぁしゃ~ん』『仔ほむちゃんを返して』
仔を捕えられた親はそんな提案を飲める訳がないと抗議の声を上げる
しかし、断ればこの場で群が全滅させられるのは確実だろう
リボほむ主導で多数決が行われた結果、先程の仔ほむを含めた今週の生贄が決定した
「ホンムァアアァ!」「ホブルァァァアァァ!!! 」「マドガァァアァァ!!! 」
「ホムン」「マドドッ」 ヒュンヒュン
「「「ホマギャァアァァァアァァァ!!!! 」」」 バキッ ボキッ
納得のいかない親達は力尽くでも我が仔を取り返そうと決起するも、群の長たる希少種に返り討ちにされ
今後、二度と馬鹿な真似が出来ないようにと手足をへし折られた
「ホミャァアァァアァァァアァ!!! 」 オカーシャーン
「ホビャァァァアアァァアァァ!!!! 」 コホムチャーン
こうしてほむほむ達の巣には平和が訪れた―週に一度聞こえる悲鳴を除いて―
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ほむほむ達があんさやと共生の取引をしてから初めての春が訪れた
春といえばほむほむ達の出産ラッシュの季節である
普段ならば巣の中は親ほむ達の幸せそうな笑顔と仔ほむ達の元気な産声でとても賑やかになっている―
―筈だった
「ホ、ホグゥ!! 」「マドマドッ!! 」「ホムゥウウウゥゥウゥ…… 」 ポン ポトポトポト
「ホミャァホミャァ」「ミャドォミャドォ」
「ホビェェェェエエェェン…… 」「マドン!! マビェェェェエエェェン!! 」 ポカポカポカ
『産まれてきちゃダメ!』『産んじゃダメだよ! がんばって!』『う、産まれちゃぅ…… 』
『あぁ、産まれちゃった…… 』『バカ! なんで産んじゃったの!』
仔=宝物であった昔と違い、今では仔=生贄である
なんとか産まれた仔を隠そうとする親もいるが、希少種の嗅覚によりみつけられ生贄として取り上げられる
「アーン」「サッヤヤー♪」 ガブッ
「ホビャァァァアアァァアァァ!! 」「マビャァァアアァァアァ!! 」
輝かしい未来を夢見てこの世に生を受け、ほんの数分で食われて消える新しい命
ただ食われるためだけに産まれた命
そして希少種もまた新しい命をその身に宿していた
「ホムゥゥゥウウゥゥウゥ!! 」「マドォッ!! マドマドォッ!! 」
「ミャロォミャロォ」「ホミュゥホミュゥ」
「ホムッフゥ/// ホムホムー?」「マドッ!! マドドン!! 」
『う、産まれるぅ!』『がんばって! もう少しだよ!』
『可愛い仔。 でも、あの取引が…… 』『大丈夫! 雑種の仔全てを犠牲にしてもこの仔たちは守るよ!』
―――そして今週の生贄を決める会議が開かれた
大丈夫、私達に仔が産まれた事は周りに知られてはいない。適当にその辺の雑種の仔を生贄にして今日の会議は終わり―――
白まどがそう思っていると、一匹のほむほむが手を上げた―骨折したまま治療を受けられなかったかの様に歪に曲がった腕を―
そして潰れた喉を震わせ提案した
「ホウ"ホォグ ホムホグホーウ"」
「マ、マギョッ! マドドドマドッ…… 」「ホォウ"」 ハラリ
『たまには希少種の仔を渡して機嫌を取ってみてはどうだろう? そうすれば一度に要求する仔の数を減らしてくれるかもしれない』
『な、何を! ざ、残念だけど、わ、わわ、私達に仔はいないからそれは…… 』
ほむほむは慌てる白まどの言葉を制し、リボンの切れ端を投げ捨てた
「ホグェェ…… 」「ミャリョォォオオォォン」「ホビェエェェェン」
それを合図にその場にいたほむほむ達が白まどを押さえつけると、別働隊がボロボロのリボほむと泣きじゃくるその仔達を連れて来た
いくら希少種とはいえ、出産直後の弱った体では数で勝る相手に敵わなかったのだろう
「マ、マギョォオオォォ!! マドッ!! マドドォ…… 」
「ホグホォウ"!!」「マドマード!!」「ホムホムホーム!! 」
『どうして! 私の可愛い仔! お願い、やめて…… 』
『勝手な事を言うな!』『私達の仔は平気で殺したクセに!』『そうだそうだ!』
他人を犠牲にして自分達だけ幸せになろうとする者など許せる筈もない―例え相手が今まで世話になった群の長だろうと―
思い思いに希少種の番を罵ると興奮したほむほむ達は白まどに襲いかかった
「マギャァァァアアアァアァアァァ!!!! 」
「ホムホムホムー」「ホグ ホムホーウ"」
白まどは薄れ行く意識の中で恐ろしい言葉を耳にした
ついでにこの番も生贄にしよう。これだけ大きいんだから満足して、暫くは仔を要求しなくなるかもしれない―――
満場一致だった
積もりに積もった不満や極度の興奮状態でまともな判断を下せる者などこの場にはいなかったのだ
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「アンアーン!! 」「サヤヤァ♪」 ガツガツ
「ミャリョォォオオォォ…… 」「ホミャァァアァァ…… 」 ブチッ グチャッ
「ホギャァァアアァァアァァアァ!!!!! 」「マギャァアアアァァアァァアアァ!!!! 」 バキッ ゴリッ
一心不乱に目の前のご馳走に貪り付くあんあんとさやさや
生きながらに食われ、断末魔の悲鳴を上げるかつての群の長とその家族
その悍しい光景に自分達はとんでもない事をしてしまったのではないかと震える個体もいたが
群の大多数はこれで暫くは安心だろうとホッと胸を撫で下ろした
しかし、その考えは甘かった
成体の味を思い出した二匹は仔だけでなく親も食べさせろと要求し始めたのだ
「ホムー!! ホムホーム!! 」「マドドン!! 」
『話が違う』『いい加減にしろ』
最初の犠牲者は抗議に訪れた番だった
自分達は希少種にも勝ったんだ。ただ座ってるだけの奴なんかに負けやしない―――
番は慢心していた―目の前のたった二匹の手で巣が制圧された事も忘れて―
「ホグェェエエェェエェ!!! 」「マグァァアァァアァ!!! 」
取引により大人しくしていたとはいえ生来のほ食種がただのほむほむに遅れを取る訳がない
万全の状態の希少種であれば一矢報いる事が出来たであろうが
皮肉な事にその唯一の対抗手段を死に追いやったのは他ならぬほむほむ達自身なのだ
もはやここには取引による共生などという物は存在しない
この巣はあんあんとさやさやにとって、いつでも好きなだけ餌が獲れるただの牧場と化していた
「ホギャァァアァッッ!!!! 」「マギャアァァアッッ!!!! 」
今日も山奥でほむほむの悲鳴が谺する
―終―
- この理性を持ち合わせたあんさやなら飼いたいね
- 仔を産みたくないのなら
交尾しなければいいのでは
・・・あぁ、性欲押さえられないのか(笑)
そういうところも含めて面白い