レポーター「本日は見滝原から北部へ20キロ、G県山中のほむほむ養殖牧場へと来ています。」 その2
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レポーター「こちらは他の2箇所に比べると若干、涼しいですね」
斎藤「ええ、このエリアだけは他と隔離して、ほむほむの繁殖にもっとも適した春の気候を再現しています。
ほむほむは本来、春に子作りをして、春から初夏にかけて育つ生き物ですから」
発情ほむ1「ホムムーホムムーホムムー///」カクカクカクカク
発情ほむ2「ホムンッホムンッホムンッ///」クネクネクネクネ
レポーター「繁殖行為に及んでいるほむほむがいますね。
あちらのつがいはオスとメスですか?」
斎藤「ハハハッ、それがよく分かっていないんですよ。
学者さん達も雌雄同体だとか言っているのですが、つがいを組んだほむほむ同士で代わる代わる妊娠してますし。
中には、ずっと生む側が同じほむほむだっています。その上、肝心の生殖器だって確認されていないんですよ。
特に野生のほむほむは、まどまど、まみまみ、さやさや、あんあんと言った天敵とだって子作りをする不思議な生き物なんですよ。
勿論、生む側もその時までどっちになるか分かっていないくらいでして」
レポーター「斎藤さんのような方でも分かっていないんですか?」
斎藤「ええ、ほむほむは奥が深いですよ。
まぁ、我々畜産業にはあまり関わりのない事なんですけどね。
さぁ、お前達もお行き、いい相手を見付けろよ」ソッ
ほむほむ1「ホ、ホムゥ///」ハ、ハズカシ
ほむほむ2「ホ、ホミャッ!?///」ダ、ダイタン
発情ほむ3「ホ、ホムゥゥゥ……///」ヘ、ヘンナキブン クネリクネリ
レポーター「早速、発情しているほむほむもいますね」
斎藤「こういう子は、とても丈夫な仔ほむを生んだり、たくさん種付けしてくれるんですよ」
レポーター「この横にある柵付きの棚は何でしょうか?」
斎藤「ああ、そこは出産を控えたつがいや、出産を終えた親子のいるブースです」
親ほむ1「ホムゥゥン……///」イイコイイコ
仔ほむs「ホミュミュ-///」オカーサンオカーサン
親ほむ2「ホムホム」ナデリナデリ
妊ほむ1「ホヒュホヒュ、ホムゥゥッ」フゥフゥ、ウマレル
妊ほむ2「ホ、ホヒュゥゥ」ガ、ガンバッテ
レポーター「なるほど、説明いただいた通り、つがいが両方とも妊娠しているものもありますね。
仔ほむもたくさん………一つのつがいで10~20匹ほどですかね?」
斎藤「ハハハッ、野生のほむほむなら一度に最大80匹出産のギネス記録がありますよ」
レポーター「は、80匹ですか!? それが本当ならもの凄い数ですね……」
斎藤「ほむコロニーが出来たての頃は、一つのつがいが50匹生むのも珍しくないそうですからね」
レポーター「そうなると、このブースの中は少ない部類でしょうか?」
斎藤「いえ、養殖なら多い方だと思いますよ。
国内の養殖で一つのつがいが生む最大平均は15匹ほどですね」
レポーター「野生ほむほむとはかなり数に開きがありますね」
斎藤「やはり、自然環境そのままでない事がほむほむにとって大きなストレスなんでしょうね。
安全でなくても、様々な外敵との接触に対する危機感が、ほむほむを強く育てるのかもしれません。
最初に話しましたが、海外の養殖ではさらに半分ほどの数しか生まれないそうですから」
レポーター「生命の神秘、と言った所ですね。興味深いです」
斎藤「達人レベルの人ともなると、まどまど達もハウスに放して、より自然に近い環境で育てているそうですが、
私のような未熟者では、とてもとてもその域には辿り着けませんよ」
レポーター「本当に、奥の深い仕事なんですね」
斎藤「ええ、やっている事はほむほむが育つ事を少しだけ手助けしてやるだけの簡単で単純な仕事なんですが、
極めてみようと思えば、とてもてとも奥の深い仕事です」
???「ちょっと父さん!
いつまでハウス見てるの!?」
レポーター「こちらのお嬢さんは?」
斎藤「ああ、すいません、ウチの娘です」
斎藤娘「お、お客さん来てたの!? って、カメラ!? テレビ局、今日だったの!?」
斎藤「来るって言わなかったか?」
斎藤娘「来るとは聞いたけど、今日なんて聞いてないわよ!」
レポーター「アハハハ……お邪魔しています」
斎藤娘「///す、すいません……お恥ずかしい所を……あの、カット、って言うの、していただけます、ここ?」
レポーター「お父さんの言葉に被ってるから、少し難しいかもしれませんね……」
斎藤娘「~~!///」
斎藤「何を恥ずかしがっているんだ?
……おっと、作業説明の続きですね。おい」
斎藤娘「/// ……はーい」
レポーター「娘さんは何を?」
斎藤「ええ、親ほむと仔ほむを引き離す作業をしているんですよ。
子供の頃から手伝わせていたので、私より上手いと、父のお墨付きです」
斎藤娘「ごめんね……」
親ほむs「ホビャァァッ!!」ツレテカナイデ
仔ほむs「ホミュゥゥンッ!? ホミュゥゥゥンッ!!」オカーサン、ヤダヤダ
斎藤娘「ほら、まどまどの匂いだよ」ガーゼペンペン
親ほむs「マドカァ……ホムゥゥ」マドカ……デモコドモガ
仔ほむs「マデョカァ……ホミュゥゥン」マドカ……オカーサンガコイシイ
レポーター「まどまどの匂いを嗅いでも、まだ寂しそうですね……」
斎藤娘「ええ……やっぱりショックなんでしょうね……
こうやって繰り返す内に、一度の出産数もどんどん減ってしまうんですよ」ウルル
レポーター「………」
斎藤「ハハハ……これで養殖関連の作業は全て終わりです。
あとは出荷作業ですね」
レポーター「こちらでは、妊ほむは出荷しないんですか?」
斎藤娘「ち、珍味とか言われてますけど、ああ言うのは質の悪い中国産が、味の底上げで出しているだけです!
それに、一度、そう言った妊娠中のほむほむを採ると、ほむほむ達だってそれを知って、
どんなに強い発情中でも子作りをやめて、ストレスで死んでしまうんです……」
レポーター「す、すいません……」
斎藤「こら、そんな大きな声を出すんじゃない。
まぁ、実際に妊ほむなんてのは、中国産くらいしか出回りませんよ。
国産養殖ほむほむは、質が第一で、強すぎるストレスを与える妊ほむの商品化は不可能なんです。
それに、そう言う味を好む人がいるのは確かですから、私は否定もしませんよ、ハハハ」
レポーター(め、目が笑ってない……)
「ふ、不勉強で申し訳ありません」
斎藤「いえいえ……。
さあ、気を取り直して出荷作業の行程をお見せしますよ」
斎藤娘「私、準備してくる……」
レポーター「出荷加工は屋内でやるんですね」
斎藤「ええ、山菜農家さんもこんな感じらしいですよ。
勿論、食品を扱うワケですから、衛生面にも気を使ってますがね」
斎藤娘「ちゃんと機材にまでビニールカバーをかけて下さって、ありがとうございます」
レポーター(二人とも、何とか機嫌が直ってくれた……)
斎藤娘「裂いて広くした厚手のビニール袋をアルコール消毒してから始めます」キリフキシュッシュ
レポーター「これは普通のアルコールなんですね」
斎藤娘「さすがに、消毒にまでまど酒は使いませんよ。
それで、専用パックを用意して、底に専用液で濡らした脱脂綿を敷きます」
レポーター「その専用液と言うのは?」
斎藤「ハウスで撒いた水に少しだけきゅうべえを混ぜたものです。
家庭食品用ほむほむは、殆どが活き絞めか、踊り食い目的ですから、生きたままじゃないといけないんですよ」
斎藤娘「そこに、紐で手足を固定した若ほむほむを、1パックに5、6匹入れます。
どうしても個体差が出るので、重さは500~550グラムで収めます」
レポーター「ああ、この状態のほむほむ、スーパーで見かけますね」
斎藤「都心部じゃ輸送費なんかで割高だけど、この近所の道の駅や産直市場なら200円で買えるよ」
レポーター「それは、またお買い得ですね」
斎藤娘「ウチは東京・神奈川方面の契約小売店向けに出荷しているんで、
向こうについた頃にちょうど食べ頃の大きさのほむほむに育つんですよ」
レポーター「最後の選別前の食肉加工のほむほむも、ですか?」
斎藤「そっちは県内の業者向けですよ。
食肉加工は鮮度が命ですから、長距離輸送のストレスでほむほむの旨みが逃げてしまう事が多いですから」
斎藤娘「最後に、水で3倍に希釈したまど酒をほむほむ達に霧吹きで吹きかけたら、空気穴の開いた蓋を閉めて、準備完了、っと」
発情酩酊若ほむs「マロカー///」ホロヨイクネクネ
斎藤「他にも、契約店からの要望があれば、同じ方法で仔ほむも出荷しています。
その場合は、さっき見せたダクトのワイヤーを、さらに狭く調整して、
赤ん坊の仔ほむ以外は通れないようにする必要があります」
斎藤娘「若ほむの採集後にやるんで、けっこう時間がかかるんですよ。
まあ、今は便利になったんで、全部の作業が昼までに終わりますけどね」ニコッ
レポーター「は、はぁ……//」
斎藤娘「よろしかったら、レポーターさんもやってみます?」
レポーター「わ、私ですか?」
斎藤娘「はい。意外と簡単ですよ?」