かくれんぼ
最終更新:
homuhomu_tabetai
-
view
作者:5ODNpbjio
394 名前:かくれんぼ[sage] 投稿日:2012/04/27(金) 00:53:52.72 ID:5ODNpbjio
さやか「ねぇ、ほむほむ。かくれんぼしない?」
ほむほむ「ホムゥッホムウン!」イイヨ!
仔ほむ「ホミュウン♪」ヤッタァ♪カクレンボ
さやか「じゃあ、10数えるから隠れて!いーち、にーい・・・」
ほむほむ「ホッムウウン」カクレロートテテテ
仔ほむ「ホミャアア」マッテーテチテチ
さやか「さーん・・・しーい・・・」
ほむほむは、はしゃいでいた。いつも忙しそうにしているご主人が、今日はたっぷり遊んでくれるという。
普段は狭いケージに閉じ込められて窮屈だったが、今日は思い切り走り回れる。
おまけに生まれたばかりの子供まで一緒に可愛がってくれるというのだ。こんなに嬉しいことはない。
二階へ続く階段を、仔ほむの手を引いて上りながら思う。私は最高の主人に恵まれた、と。
さやか「ごーお、ろぉーく・・・」
・・・・・・
さやか「ほむほむの耳なら、もうあたしの声なんて聞こえてないよねぇ。
・・・ふふっ!ヤッタァ♪だってさ。あたしがあんたを拾ってから一週間、ほ虐も我慢して仕込んだんだよ。
・・・このあたしが、だよ?」
ギシ、ミシ、と少女の歩みに床が軋む。ニヤリと歪む口元から白い歯がこぼれる。だがその瞳は、純粋な輝きで満ちていた。
さやか「楽しんでくれなきゃ、嫌だからね・・・?」
一方、階段をようやくの思いで登り切ったほむほむは背中から子供を降ろし、一息ついていた。
ほむほむ「ホームホムホム・・・」オンブナンテイウカラ・・・ツカレチャッタヨ
仔ほむ「ホミュウミャロキャァ」マドマドオカーサンハヘイキダッタノニ
ほむほむ「ホムッフゥ・・・」マドマド・・・
番のまどまどは、ご主人に拾われてからずっと別のケージで暮らしている。ご主人は「まどまどには家の用事を手伝ってもらう」
と言っていた。離れ離れは寂しかったが、時々まどまどの声が聞こえてきたので安心できた。何よりも、まどまども頑張っているのだから
自分も寂しさに耐えて子供を守らなければ・・・。そんな決意が湧き上がってくるのだった。
・・・少し休憩しすぎたようだ。余計なことを考えてしまった。早く隠れなければゲームは終わり。
せっかくのご主人の厚意が無駄になる。
ほむほむ「ホム!ホムホム」サァイコウ
仔ほむ「ホミュウン♪ホミュッ」ドコニカクレヨウカナァ
ほむほむ「ホムゥン・・・」ウーン・・・キョロキョロ
二階に上がってはみたものの・・・階段の目の前に巨大なドアがそびえたつばかり。他には高い位置に窓があるだけで、隠れる場所は
このドアの向こうにしか無いことはほむほむの頭でも理解できた。しかし
ほむほむ「ホムー・・・ホムー・・・」アケレナイヨ・・・
想像して欲しい。眼前に東京タワー並みの高さの扉があり、それを開けなければいけない状況を。
人間にしてみたら、の比較は少し大げさだったかもしれないが、ほむほむにとってはそれぐらい大きい扉なのだ。
ほむほむ「ホムゥン・・・ホムホム」アキラメルヨ・・・ホカヲサガソウ
仔ほむ「ホミュウ!ホミュ!ホミュ!」ミテ!スコシアイテルヨ!
まさかと思い目をやると、確かに僅かに扉が開いている。ギリギリほむほむが通れるぐらいの隙間だ。これ幸いと疑いもせずトテトテと扉の向こうへ
入っていくほむほむ。
中は暗闇だった。
仔ほむ「ホミュッホミュ!ホミュ!」ナニモミエナイヨ!
ほむほむ「ホッムゥ・・・」オチツイテ・・・
仔ほむ「ホミャァァァァアアアアアアアン」ビェエェェェェェエエェン
ほむほむ「・・・・・・」
こんな時、まどまどが居てくれたら・・・。
弱気になる気持ちを振り払い、子供を落ち着かせるためにしばらく寄り添うことにした。というか、何をオロオロしているんだろう自分は。
今は楽しいかくれんぼの時間じゃないか。もうすぐご主人が10数え終わって自分たちを探しに来てくれる。そして見つかっちゃったら、とびきりの笑顔で子供たちと
笑いあうんだ。そうすれば子供も落ち着くし、まどまどがいない寂しさも吹き飛んでしまう。
まだグスグス言っている子供の手を引き、歩きながら周囲を見渡す。冷静になってみたら、全くの暗闇というわけでも無いようだ。
頭上から豆電球の明かりが微かに周囲の状況を教えてくれている。扉の中は、人間たちが生活する部屋のようだった。ベッドの下、タンスの裏、カーテンの裏、さらには布団の中。
隠れる場所はいっぱいあった。どこにしようか迷ったが、あまり暗い所へ行くと子供が怖がる。ベッドの下は無しだ。
布団の中・・・といったはいいが、もうご主人が探しに来てるかもしれない。子供を連れて登っていては時間がかかる。これも却下。
残るは・・・タンスの裏とカーテンの裏か。
・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
トン
トン トン
トン トン トン
ほむほむ「」ビクゥッ!
ご主人だ。もう上がってきたのか。え?何で今ビクッとしたんだ?間違いなくご主人の足音なのに。
大好きな大好きなご主人なのに。――――――――いけない。隠れなきゃ。子供の手を引き、走る。
カーテンの裏か。タンスの裏か。
カーテンか。タンスか。
カーテン タンス
カーテン タンス
カーテン
ギィィィイィイィイィ
ギシ・・・ミシ・・・
仔ほむ(ホミュ・・・ホミュホミュ)オカーサン・・・クルチイヨ
ほむほむ(ホムッ)シッ!
ギシ・・・ミシ・・・
ほむほむは怯えていた。さっきまでは心のどこかで否定していたが、確かに自分は怯えている。
「かくれんぼ」というゲームが作り出した、この異質な空間に。
ご主人のものと思われる足音は部屋の中を一周した後、ゆっくりとベッドに近付いてきた。
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・
ほむほむの小さな心臓が高鳴る。必死で子供を抱きかかえ、目をギュッと瞑った――――次の瞬間。
カチッ
パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパァン!!!!
ほむほむ「」ビクビクゥッ!
仔ほむ(ホミュゥゥゥゥウゥゥゥゥゥウゥン!!!!!)ビェェェェエェェェエエェェン!!!!
ベッドから響き渡る破裂音。途端に漂う火薬の臭い。紛れもなく爆竹がベッドの上で炸裂した。それも相当の量が。
だがほむほむにその音が何であるかなど解るはずもない。薄暗い部屋に響き渡るたくさんの得体の知れない音。
だが聞いたことがある。野良時代に他の群れの巣が人間に襲われたのを見た時、この音を聞いた。仲間が悲痛な叫び声を上げていたことから、
人間が使う武器であることだけは何とか理解できた。しかし、足の震えが止まらない。泣き叫ぼうとする子供の口を抑える手も限界に近付いていた。
しばらくその場から動かなかった足音は、「フフフッ」という笑い声を発したかと思うと、再び部屋の中を周りだした。
足音の主はご主人。それは一週間の付き合いの中で足音を完璧に覚えたので間違いない。
ということは、あの武器を使ったのもご主人?何のために?まさか、自分たちが隠れていると思って・・・
あ の 武 器 で 殺 そ う と し た ?
ブンブン首を振り、必死で考えを打ち消した。認めたくなかった。もし認めてしまえば、まどまどの身の安全も保証されない・・・ということになってしまう。
そうだ、これはご主人がかくれんぼを盛り上げるためにわざわざ用意してくれた仕掛けなんだ。そうだ、そうに違いない。
一人納得し、頷く親を不思議そうに見上げる子供。
ほむほむ(ホムホム!ホムゥ)ダイジョウブダヨ!コホムチャン
仔ほむ(ホ・・・ホミュ?)ホントウ・・・?
ほむほむ(ホムホームホムッフゥ)ホントウダヨ!
仔ほむ(ホミュァアアアアアァ///)オカーサン///
足音は、再び止まった。
ガチャッ
ギイイイイイィィィイィィィイ
バタン!
ほむほむ「ホムホッム?」デテイッタ?
仔ほむ「ホミュ?」タスカッタノ?
ほむほむ「ホ!ホムホム!」メッタナコトヲイウンジャアリマセン!
だが、ほむほむの思いは子供と同じであった。「助かった」「恐怖は去った」と。
その思いを必死に振り払い、子供の手を引いてベッドの下から這い出てくる。カーテンかタンスか迷っていたが、予想以上に足音が近づいてくるのが早かったため、一番近いここに
潜り込んだのだ。おかげでこどもを抑えるのが大変だった。床に座り込み、少し休む。
――――――
――――
――
仔ほむ「ホミュゥンホミュホミュ」ネェオカーサン
ほむほむ「ホム?」ナデナデ
仔ほむ「ホッミュゥンミャロカァ」マドマドオカーサンハイツカエッテクルノ?
ほむほむ「ホームホムホム」モウスグダヨ
ご主人から言い渡されたまどまどの労働期間は二週間。あと一週間もすればまどまどが帰ってくる。
まどまどがいない日々を耐えられる理由の一つであった。だが・・・
ご主人のあの様子からすると、もしかしてまどまどはもう・・・・・・
・・・いや、やめよう。そうだ、たぶんご主人はここを探し終えたからもうここには来ないだろう。少し疲れたから眠りたい。仔ほむを連れて、ベッドの上まで行くことにする。
あの武器の臭いがする。まぁあんなに大きな音がしたんだ。もう残ってはいないだろう。
布団のシーツにつかまり、仔ほむをおぶってウンショウンショと登り始める。よじ登り、無事ベッドの頂上に着いた。
ほむほむ「ホ・・・ホ・・・」
あの臭いで気づかなかった。このもう一つの異臭に。
「ホギャァァアァァアアアアアァァァァァアァァァアァアァァアアァァァ!!!!!!」ポロポロポロポロポロポロ
「ホミャァァァァアァアァアアアアア!!!!ホビャアアアアアアァアアァァァアァアァアァァァ!!!!」ビエエエエェェエェェェエェェェェェェェェエエエエン!!!!!
ほむほむたちが見たのは、はらわたをぶちまけ、手足が吹き飛んだ大量のほむほむの死骸であった。
よく見ると死骸はどれも声帯が切除されており、断末魔さえ上げられないようになっていた。
ほむほむ「ホ・・・ホビャ・・・」ミンナ・・・ドウシテ・・・
トン トン トン
トン トン トン トン
トン トン トン
ほむほむ「」ビクビクゥ!!
仔ほむ「」ビクッ!!
急いで子供を連れ、タンスの裏まで駆けていく。
ギイイイイィィィィィイィィイ・・・
ギシ・・・ミシ・・・
「ねぇ、ほむほむ。楽しんでもらえた?かくれんぼ。」
ギシ・・・ミシ・・・
さやか「苦労したんだよぉ?この仕掛け作るの。いちいちほむほむの声帯切り取らなくちゃいけないからさぁ、もう指に力が入りすぎちゃって痛くて痛くてwww」
さやか「でもさぁ、頑張ったんだよ。爆竹を頭の上で鳴らされて必死で声を出すのをこらえるほむほむ。油断した瞬間に仲間の無残な姿を見て泣き叫ぶほむほむ。
そんな姿を想像したらさぁ・・・不思議とガッツが湧いてきたんだ。楽しいスリル満点のかくれんぼにしてあげようってね。」
ギシ・・・ミシ・・・
さやか「大変だったなぁ。あなたたちを誘導するためにまどエキスをいろんな場所に塗りたくった。それもほむほむがエキスの匂いに気付かないギリギリの量でね。
階段・・・床・・・ベッドの下・・・ベッドの上・・・それも工夫したんだよ?ちゃんと順番に誘導してあげられるように量を調節して段々と濃くして・・・。
しかも匂いに気付かれちゃダメなんだから、普通の人には無理ゲーよねwwwあっ、まどエキスの原材料は聞かないほうが幸せかもね。」
ギシッ・・
さやか「ほんと、私の予想どうりの反応だったわ。おかげで、私も大いに楽しめた。」
ヒョイッ
さやか「ありがとう、ほむほむ。仔ほむちゃん。」
その笑顔は、タンスの裏に潜むほむほむに向けられていた。目を丸くし、恐怖のあまり身動きの取れないほむほむ。今にも泣きだしそうな顔で、必死に親にしがみつく仔ほむ。
「ほ む ほ む み ぃ つ け た ♪」
終わり
- 工夫があって良いね。
怯える仔ほむと、不安を否定する親ほむの対比が上手い。