その1
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homuhomu_tabetai
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ある山中に巣があった。
その巣はとても巨大で既にコロニーとさえ呼べるサイズのものであった。そこには200を超えるほむほむやまどまどが暮らしていた。
この群れは古くにわたってこの山で暮らしており餌が採れる場所なども熟知していた為、餌探しにはさほど苦労はしなかった。また何をするにも集団行動となり、あんあんやさやさやといったほ食種もうかつには手が出せなかった。いくら身体能力に優れているほ食種といえども圧倒的な数の前には返り討ちにあってしまうからである。そのお陰で世代を代えるごとに順調に数を増やしていった。
ほむほむ4「ホムホム!」 イッテクルヨ!
まどまど4「マドッ!」 キオツケテネ!
ほむほむ12「ホムッホムホム!」 イイコニシテルンダヨ!
仔ほむ12「ホミュン!」 ウン!
どうやら餌探しへと行くらしい。するとほむほむ達は十数匹で何かを引っ張り出した。それは太さが10cm・直径20cm程の丸太であり、内部はくり抜かれている。そしてそれは同じく木で作られた車輪に乗せられ、前方と後方には枯れ草を編んで作られた縄が結ばれている。どうやらこれは採集した餌の運搬車のようだ。知能が高い(あくまで野生動物としてだが)ほむほむ達はこうした道具を作り出し、生活水準を高めていた。
ほむほむs「「マドカー!」」 イッテキマース!
まどまどs「「ホムラチャーン!」」 イッテラッシャーイ!
仔ほむs「「ホミャ~♫」」 ガンバッテネ~♫
仔まどs「「ミャドミャド~♫」」 ゴハンイッパイトッテキテネ~♫
仔めがほむs「「ホミュホミュ!」」 キオツケテ!
まどまどや子供達に見送られほむほむ達は意気揚々と出かけて行った。大切な家族の為に今日も頑張るぞ!
まどまど2「マドマドマドッ!」 ソレジャアハジメヨウカ!
まどまど3「マドン!」 ウン!
ほむほむ達を見送った後まどまど達は何かの作業に取り掛かり始めた。先日強風の為に巣の一部が破損してしまったのだ。幸いにも大した被害はなかったのだが放置しておくわけにもいかない。その為まどまど達は補修工事を行うのである。
トンテンカンテン♫
ペタペタペッタン♫
まどまど達は土粘土や木の枝を使って順調に補修を行っていく。実に手際が良く、この調子ならばほむほむ達が戻ってくるまでには終わりそうだ。いっそのこと増築も行ってしまおうか?住む場所が広くなればもっと人数を増やしても問題ない。そろそろ新しい子供も欲しいところだし、今夜はちょっと頑張っちゃおうかな///
…などとまどまどが期待に胸を膨らませている中、巣の中ではめがほむ達が何かを話し合っていた。気弱なめがほむは外敵と接触する可能性の高い餌探しには向いていない。その代わりに食料の備蓄の管理や住人同士のトラブルの有無の報告などといった生活面の改善を担当していた。
めがほむ5「ホムホム、ホムン」 タベモノハマダヨユウガアルヨ
めがほむ7「ホムン、ホムホムホムホムホム?」 デモフユガチカイカラモウスコシアッテモヨクナイカナ?
めがほむ16「ホムホムホ、ホムホムホムホム」 ホムホム14ニアカチャンガウマレタカラ、モットヘヤヲヒロクシタイッテ
めがほむ25「ホムホムホムリン…」 ヤッパリモウスコシスヲオオキクシタイネ…
キャッキャッ
ワーイワーイ
巣の周りでは子供達が元気に遊んでいる。追いかけっこをする子供、花摘みをする子供、かくれんぼなど……。みんな楽しそうだ。中でも人気なのは近くの木に作られたブランコだ。
仔ほむ6「ホミューホミュホミュ!」 モットツヨクオシテ!
仔まど6「ミャドミャド♫」 ワカッタヨ♫
姉の仔まどが妹の仔ほむの背中を優しく押してあげている。そんな仲の良い姉妹の様子を見ていた見張りのほむほむは思わず顔を綻ばせる。
余談だがすべてのほむほむが餌を探しに行くわけではない。留守の間を狙っての襲撃がある可能性は充分にあり得るため護衛用のほむほむが数十匹残っているのだ。このほむほむ達は護衛のかたわら訓練も行っている。身体面ではやはりほ食種には劣るが同じ訓練を行うことで集団行動の練度をあげるという意味合いもあるのだ。この訓練と餌探しは交代で行われ、そうすることにより群れ全体の質はどんどん向上していっている。
―――――夕刻
ほむほむs「「マドカー!」」 オーイ!
日が暮れる前にほむほむ達が戻ってきた。丸太で作った運搬車を全員で重そうに引っ張っている。どうやら収穫は上々のようだ。
まどまどs「「ホムラチャーン!」」 オカエリナサーイ!
巣の補修も既に終了しており、まどまど達が総出で出迎える。鼻についた泥はご愛嬌。
仔ほむs「「ホミューホミュ!」」 ウワースゴイ!
仔まどs「「ミャドミャド!」」 イッパイダネ!
丸太を覗きこんだ子供たちが歓声を上げた。思った通り中は収穫物であふれかえっていた。木の実やキノコ、よりどりみどりだ。これだけあればいくら住人が多くても充分にまかなえる。
まどまどs「「ホムラチャン///」」 オツカレサマ///
ほむほむs「「マドカー///」」 マドマドコソ///
そこら中で番のほむまど達が互いの労をねぎらっている。新婚さながらのイチャつきぶりで今にも1Rが始まりそうだ。まどまどの期待通り新たな住人が増える日もそう遠くはないかもしれない。何はともあれ食料を巣の中に運び込む事が先だ。この作業は全員で協力して行う。子供達も小さな体で木の実を運んでいる。時折ふらついて危なっかしいところもあるけれどこれも将来の為の教訓だ。親達はそんな一生懸命な子供の姿を後ろから暖かい眼差しで見守っている。
恵まれた環境、頼りになる仲間達、そして何よりも愛する家族達……。このコロニーはまさに幸せに包まれていた。
ほむほむ19「ホムン♫」 オオキナクルミ♫
今日もほむほむ達は餌を探しに来ていた。季節は10月、冬も間近に控え食料の備蓄はいくらあっても足りないくらいだ。その為に最近は餌探しに力を入れている。なにしろ運搬車をもう一台製造したくらいだ。その二台の運搬車もすでに収穫物でいっぱいになりかけている。どうやら今年の冬も無事に越せそうだ。
ザッザッ……
ほむほむs「「ホムッ?」」 ナニ?
何かの足音が聞こえる。あんあんやさやさやではない、もっと巨大な動物のものだ。ほむほむ達は急いで物陰に隠れた。ほ食種ならば数でかかれば何とかなるかもしれないが巨大動物が相手では歯が立たない。ほむほむ達は固唾を飲んで侵入者が通り過ぎるのを待った。
男1「~~」
男2「――」
ニンゲンだ。ここ数年この辺りにはニンゲンが入ってきたことはなく、見るのは全員初めてだ。しかしニンゲンの恐ろしさは先祖からずっと伝えられてきた。成程、確かに野犬や野鳥などとは比べ物にならないほど巨大な生物だ。あんなモノとまともに戦えるはずがない。
男1「―――」
男2「――」
ニンゲン達は暫くこの辺りを散策すると会話をしながら去って行った。
ほむほむ4「ホム…」 ホッ…
ほむほむ7「ホムホム…」 イッチャタネ…
どうやら気づかれるずに済んだようだ。しかしまだ他のニンゲンもいるかもしれない。ほむほむ達は餌探しを切り上げ巣に戻ることにした。
まどまど3「マドン?」 ニンゲンガ?
ほむほむ3「ホムゥ…」 ウン…
巣に戻ったほむほむ達は早速今日の事を話した。すぐ近くまでニンゲンが入ってきたということは住人達に衝撃を与えた。
―――ニンゲンは我々を食料としている
―――ニンゲンは何の罪もないほむ種を虐殺する
伝えられてきた内容はどれも身震いするようなものばかりで皆不安で顔を曇らせた。万が一巣の場所がみつかったら…。
仔まど3「ミャドミャド?」 ニンゲンッテナーニ?
仔ほむ3「ホミュー?」 タベモノ?
そんな大人達の不安をよそに子供達は不思議そうな顔をしている。無邪気な子供の姿に顔を綻ばせるが問題は何も解決していない。しばらく餌探しを控えるという意見もあったが越冬するには食料の備蓄はまだ不十分である。
ならば目立たないように行動人数を減らしては?という意見もあるがそれでは他の外敵に襲われることになってしまう。そうなっては本末転倒だ。様々な意見が出たが結局根本的な打開策はなく、少しでもおかしな気配がしたらすぐに餌探しを切り上げるという結果に落ち着いた。
それから更に2ヵ月ほど経ち季節は12月、今日は今年最後の餌探しであった。食糧も充分な量が確保でき、一番の心配だったニンゲンもあれ以来姿を見せていない。さぁ後は巣に帰るだけだ。愛しい番と子供たちが待っている。暖かい巣の中で家族と過ごし、春が来るころには新しい家族が…///
ほむほむs「「ホム~ホムホム…///」」 ハァ~ウットリ…///
薔薇色の未来に夢をはせるほむほむ達。そんな帰り道にあんあんとさやさやの番に遭遇した。
あんあん「クゥカイ…」 チィッ…
さやさや「テンコウセィ…」 クソゥ…
ほむほむ達を見つけた番は色めき立ったが、こちらの数をみるとすぐに苦い顔をした。いくらなんでも数が違いすぎる。あんあん達はすぐに去っていた。
ほむほむ1「ホムン!」 ドウダ!
ほむほむ3「ホムホムホムホム!」 アンアンタチナンテヘッチャラサ!
いまの番は随分と痩せていたように見える。あれでは冬は越せないだろう。普段から私たちのように計画的に生きていればあんなことにはならなっかたろうに……。
そんなあんあん達の姿を見ながら、自分達はああなるまいと思いながらほむほむ達は巣に帰って行った。
ほむほむs「「ホムーホムー」」 ワイワイ
まどまどs「「マドマド!」」 ガヤガヤ
巣の入り口は完全に閉め切り完全に越冬モードだ。外は雪が降りとてつもなく寒い。
しかし巣の中は暖がとられておりすこぶる快適だ。苦労したかいもあり食糧にも余裕がある。今は巣の中央に作られた大広間でダンスパーティーの真っ最中。みんなで手を取り合い大きな輪を作って楽しく踊っている。
仔ほむ6「ホミュ~ホミュ~ン♫」 タノシイネ~♫
仔めがほむ17「ホミュ!」 ウン!
仔まど125「ミャド♫ミャド♫ミャド♫ミャド♫」 マイム♫マイム♫マイム♫マイム♫
めがほむ12「カナメサン…」 シアワセダネ…///
まどまど12「マド…」 ウン…///
大人達は楽しく踊る子供達の様子を見ながらそれぞれの番に寄り添っていた。その夜、パーティーが終わり子供達が寝静まった頃には各部屋からほむまどの嬌声が聞こえてきたそうな……。
ほむほむ5「ホム~ホム~!!」 ハァッ ハァッ!!
まどまど5「マドマドッ!!」 ガンバッテ!!
そして今、一室で新しい命が産まれようとしていた。
汗だくになりながら必死に力むほむほむ。そんなほむほむの手を握りながら懸命に励ますまどまど。部屋の外では多くの仲間が成り行きを見守っている。そして遂にその時が訪れた。
ほむほむ5「ホ…ムンッ!!」 ウ…ハァッ!!
まどまど5「マドッ!!」 アッ!!
ポコンッ! 「「ホンミャ~! ホンミャ~!」」 「「ミャド~!ミャド~!」」
まどまど5「マドマドマドッ!!」 ウマレタヨホムホム!! ポロポロ
ほむほむ5「ホム~ンホムホム///」 ワタシタチノカワイイコドタチ/// ポロポロ
産まれた子供たちを抱き上げほむほむに見せるまどまど。二人とも涙と汗でグシャグシャだ。それを見守っていた仲間達が歓声を上げる。
まどまど13「マドッ!マドマド!」 ヨカッタネ!フタリトモ!
ほむほむ85「ホムンホムホムホム!」 アタラシイナカマノタンジョウダ!
まどまど50「マド~マドマド…///」 イイナ~ ネェホムホムワタシタチモ…///
ほむほむ50「ホムホムホム…///」 ソウダネマドマド…///
赤ほむs「「ホミャァ ホミャァ」」 オカータン オカータン
赤まどs「「ミャドォ ミャドォ」」 マンマー マンマー
ほむほむ5「ホム、ホムホムホム…///」 ホラ、アナタタチノイモウトヨ…///
仔ほむ5「ホミュ~ン…///」 イモウチョ…///
仔まど5「ミャド…///」 カワイイネ…///
まどまど5「マドン マドマドマドマドン…///」 フタリモウマレタトキハコウダッタンダヨ…///
新しい生命を暖かく見守る家族。そんな一家に触発され春までに人口比率が爆発的に増えるのは間違いないだろう。
赤ほむs「「ホミャァ… ホミャァ…」」 スゥ… スゥ…
赤まどs「「ミャドォ… ミャドォ…」」 クゥ… クゥ…
小さな寝息を立てながら眠る赤ん坊たち。この子達はまだ狭い巣の中しか知らない。春が来て暖かくなったら外の広い世界を見せてあげよう。危険なこともあるけれど皆で立ち向かえば何も怖くない。そうだ、子供にもそろそろ餌の探し方を教えてあげてもかな?
赤ん坊のくすぐったい寝息を肌に感じながら、ほむほむは幸せなまどろみの中に落ちて行った。
―――この群れはずっと平穏な日々を過ごしてきた。
――――だからその時間がいつまでも続くと思っていた。
―――――しかしそんなものはあっけなくに壊れてしまうものである。
……そう、あっけなく。