その3
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homuhomu_tabetai
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―――キキィッ
あれからどれだけ経ったのだろうか。泣き疲れてすっかり眠りこんでしまったようだ。
トラックの振動は収まっており、どうやら目的地に着いたらしい。男達はトラックからほむまど達を下ろすと運び始めた。
男1「毎度ー。ほむまどをお届けに上がりましたー。」
作業員「ご苦労様です。」
男2「今回も生きがいいですよー。」
作業員「では今回の見積もりを…、」
自分達を捕まえたニンゲン達は別のニンゲンと話しながらどこかへ行ってしまった。ここは一体どこなのだろうか…?
これから一体どうなってしまうのか…?不安だけが胸をよぎる。
作業員は一室にほむまど達を運ぶとケースを開放した。
ほむほむs「「マドカーー!!ホムホムーー!!」」 マドマドーー!! コドモタチーー!!
まどまどs「「ホムラチャーン!!マドォ!!」」 ホムホムーー!! コドモチャン!!
めがほむs「「カナメサーン!!!」」 ミンナ!!!
仔ほむs「「ホミュウゥゥゥーーー!」」 オカァサーーーン!
仔まどs「「ミャドオォォーーー!」」 イモウチョーーー!
仔めがほむs「「ホミャーーー!」」 オネエチャーーーン!
ケースから解放された群れは、互いの家族の元に走り寄ってゆく。皆お互いの無事を確認すると抱き合い涙を流し喜んだ。数時間ぶりの再会なのだから無理もない。あの親子も無事に赤ん坊と再会できた。
長時間離れ離れにしておけば合流させた際に家族同士で固まる。その為にわざわざ種別ごとに分けて捕獲したのだ。あの業者は本当に良い仕事をしてくれる。作業員はそう思いながら家族ごとに別のゲージに入れていった。
ほむほむ66「ホムホムゥ…」 ドウナルンダロウ…
まどまど66「マドォ…」 キットダイジョウブダヨ…
仔ほむ66「ホミィ…」 オナカスイタ…
仔まど66「ミャァ…」 ウン…
再び狭いゲージに入れられてしまったほむまど達。不安であることには変わりはないが先程よりは落ち着いている。家族と再会できたことがその理由であろう。
ほむほむ66「ホッ、ホム…?」 ナッ、ナニ?
ニンゲンがゲージに何かを入れた。水と…食べ物?山では見たことない物だ。しかし食欲がかきたてられるいい匂いだ。
仔ほむ66「ホミィー…」 オイシソウ…
まどまど66「マドッ!マドマドッ!」 ダメッ!アブナイヨッ!
仔まど66「ミャド…」 デモ… グ~キュルキュル…
ほむほむ66「ホムホム…」 ワタシガタシカメテミルヨ…
まどまど66「ホムラチャーン…」 ソンナ…
ほむほむ66「ホムホムホムホムホムン…」 デモコドモタチモゲンカイダヨ…
親ほむが意を決して毒見係を申し出る。これ以上子供達にひもじい思いはさせられない。恐る恐るほむほむは水に舌をつけた。
ほむほむ66「ホムホム…」 コクコク…
…飲める。特に身体に異変もない。次に食べ物を口に含む。
ほむほむ66「ホムン…」 モグ…
ほむほむは驚いた。美味しい、こんな美味しい物を食べたのは生まれて初めてだ!
ほむほむ66「ホムホムホムン!」 ミンナダイジョウブダヨ!
まどまど66「マド!?」 ホント!?
仔ほむ66「ホミャ ホミャ!」 ジャアタベテモイイヨネ!
仔まど66「ミャード♫」 アーン♫
ほむまど達は害がないとわかると夢中で貪りついた。本当だ、なんて美味しい食べ物だろう!その驚愕的な味と空腹感も相まって餌はすぐになくなった。
ほむほむ66「ホムゥー…」 オナカイッパイ…
まどまど66「マドマド…」 ネムクナッテキタヨ…
仔ほむ66「ホミュー…」 グゥ…
仔まど66「ミャロー…」 スゥ…
お腹が膨れると疲れが一気に押し寄せてきてほむまど達は泥のように眠りこんだ。家族と身を寄せ合いながら。
――――あれから更に数週間が経過した。
これといった変化もなくほむまど達は相変わらずゲージの中で暮らしていた。
ほむほむs「「ホムホム!」」 ゴハンダ!
まどまどs「「マドン!」」 オイシソウ!
めがほむs「「ホム~ン?」」 キョウハナニカナ?
仔ほむs「「ホミュ!」」 ワーイ!
仔まどs「「ミャド!」」 ヤッタ!
仔めがほむs「「ホミャ~ン♫」」 イタダキマ~ス♫
相変わらずゲージは狭いがご飯はは三度食べられるし、自分達を脅かす外敵もいない。最初こそ人間の姿を見ると怯えていたものの今では慣れたものである。ほむまど達は次第に今の環境を受け入れていった。
ほむほむ43「ホム~ン///」 ギシギシ アンアン///
まどまど43「ティヒヒ~///」 カクカク パンパンッ ///
中には交尾をして新しく子供を産む番もいた。子供が産まれると今のゲージよりも更に広いゲージへと移され、餌の量も増える為にほむまど達は次から次へと交尾をしていった。
ここでは何もせずにも生きていけた。餌を探す必要も、外敵から身を守る訓練も、巣を直す必要もなかった。
だから皆ゆっくり、ゆっくりと堕落していった。それ故に忘れていってしまったのだ。
―――巣を襲われた際の恐怖を、先祖から伝わってきた人間の恐ろしさというものを。
時間が経過するにつれ、ほむまど達は数を増やしていった。200匹程だった数はすでに倍近くまで膨れ上がっていた。
警戒心はとうになくなり、完全に人間に心を許していた。
だから皆おかしいとは思わなかった。一つの家族がまるごと消えてしまっても、新しい住処に移ったくらいにしか考えていなかった。
若めが「ホムー… ホムー…」 スー… スー…
若ほむ「ホム… ホム…」 ムニャ… ムニャ…
若まど「マドォ…」 ネガエリ ゴロン
仔ほむs「「ホミュ~♫」」 マテマテ~♫
仔まどs「「ミャド~♫」」 コッチダヨ~♫
親まど「ハシャイジャッテ♫」 ケガシナイヨウニネ♫
親ほむ「ホム~…///」 シアワセ…///
仔めがs「「ホミャ~♫」」 イモウチョ~♫
赤ほむs「「ホミャァ」」 オネータン
赤まどs「「ミャドォ」」 キャッキャッ
赤めがs「「ホミィ♫ホミィ♫」」 ニコ♫ニコ♫
さて一つの家族がいる。巣が襲撃を受ける前に赤ん坊を出産したほむほむの一家だ。ここに来た当初は番の2匹と子供の2匹、赤ん坊の4匹の計8匹の家族であったが、快適な環境下で繁殖し今ではその数は倍以上にまで増えていた。先日にはまた新しく赤ん坊が産まれ、まさに幸せの絶好調である。
ガチャ
するといつも餌を運んで来る作業員が現れた。
仔ほむs「「ホミュ!ホミュホミュ♫」」 ニンゲンサン♫
仔まどs「「ミャド♫」」 コンニチハ♫
仔めがほむs「「ホミャ ホミャ♫」」 ワタシタチノイモウチョダヨ♫
子供たちが人間に挨拶をする。ここで産まれた子供たちにとって、
人間=自分達の面倒を見てくれる優しい生き物
そんな認識であった。何しろ巣が襲われた時の様な恐怖は体験していない。親からも何も聞かされていない様だ。
親ほむ「ホムホムホム!」 ワタシタチノアタラシイアカチャンダヨ!
親まど「マドマド♫」 ヨロシクネ♫
…本当に何も教えていない様だ。ぬるま湯の様な環境に慣れ親しんでゆく内に、今や人間への恐怖は無きに等しい。
むしろ上機嫌で赤ん坊を作業員に紹介している。
作業員はそんな一家が入っているゲージを持ち、どこかへ運び始めた。一家もこれといって動じた様子はない。これまでも家族が増えるたびに新しいゲージに移し替えることがあったからだ。今回もそんなところだろうとほむまど達は思っていた。
しかし今回は少々趣が違った。一家が新しく入れられたのはワラが敷き詰められた木箱であった。広さも以前より狭くなっている。一家を箱に入れ終わると作業員は箱に蓋をした。
親ほむ「ホ、ホム?」 ア、アレ?
親まど「マドォ マドマド…」 マエヨリセマイヨ…
若ほむ「ホムホム…」 ソレニクライ…
若まど「マドマドマド…?」 ココガアタラシイオウチナノ…?
若めが「ホムホムホムン…」 マエノホウガヨカッタヨ…
仔ほむs「「ホミュ~♫」」 フカフカ~♫
仔まどs「「ミャド ミャド!」」 ワラノベットダ!
仔めがs「「ホミュ ホミュ…」」 チョットコワイ…
赤ほむs「「ホミュ~」」 ファ~…
赤まどs「「ミャロォ… ミャロォ…」」 ウツラ… ウツラ…
赤めがs「「ホミィ… ホミィ …」」 クゥ… クゥ…
いつもと少し違う様子にとまどう一家。しかし餌と水はちゃんと用意されており、空気穴と思われる隙間から多少の光も射している。取りあえずここで過ごすことにした。
子供達は無邪気にはしゃいでいるが、大人達はほんの微かな不安を抱いていた。頭によぎるのは巣が襲われた際の―――
そんな不安を払うかのように大人達は頭を振った。あの忌まわしい記憶を忘れたかったこともあった。何よりもここでの生活は快適だった。すでにほむまど達はこの生活から抜け出せなくなってしまっていたのだ。
さて皆さんならばとっくにご存知であるが、人間のほむ種に対する扱いは大きく分けて三つに分類される。
一つはペットとして飼われること。しかし希少種以外のほむまどが飼われることは稀である。何しろ繁殖力に関しては自然界一ではないかと思えるくらい高い。放っておけばどんどん数は増えてゆく。その為にゴミをあさったり、民家に侵入して食べ物を食い荒らすほむまどが後を絶たない。故に好き好んでほむまどを飼う人間は少ない。
では残された扱いとは――――
木箱に入れられた一家は餌を食べるとすぐに眠ってしまった。その間に木箱は別の場所へと輸送されていた。
宅配員「お届け物で―す。」
女の子「ハーイ。」
・
・
・
配達員「ありがとうございましたー。」
女の子「御苦労さまー。」
木箱を受け取ると女の子は自室へと運んで行き蓋を開けた。中には赤ん坊から成体のほむまどが20匹弱、注文通りの大家族だ。
若ほむ「ホム~…」 ファ~…
ようやく目を覚ましたほむほむ達が見たのは青い髪をした少女であった。一瞬不思議に思ったが、新しい餌やりの人間だと考え一家は少女に挨拶をした。
親ほむ「ホムホム!」 コンニチハ!
親まど「マドマド!」 ハジメマシテ!
若ほむ「ホムホムホム!」 コレカラヨロシクネ!
若まど「マドン!」 ナカヨクシテネ!
若めが「ホムン」 ペコリ
仔ほむs「「ホミュ~ホミュ♫」」 ニンゲンサ~ン♫
仔まどs「「ミャド♫」」 テフリフリ♫
仔めがs「「ホミュ ホミュ ホミュ」」 ヨロシクオネガイチマス
赤ほむs「「ホミュウ ホミュウ」」 キャッ キャッ
赤まどs「「ミャロ ミャロ」」 ニコニコ
赤めがs「「ホミャ ホミャ」」 オテテパタパタ
少女「うんうん、みんな礼儀正しいね。それに元気があってよろしい!きっと幸せに暮らして来たんだろうね。」
木箱の中の様子を確認すると女の子は透明なゲージを取り出した。
少女「さぁみんな、新しいお家だよ。お引越しようねー。」
そう言うと女の子は木箱からゲージに一家を移し替え始めた。
仔ほむs「「ホミィ~♫」」 ワ~イ♫
仔まどs「「ミャドミャド♫」」 アタラシイオウチダ♫
仔めがs「「ホミュ ホミュ♫」」 マエヨリヒロイネ♫
新しいお家に一家は大喜び!また楽しい日々が始まる。そんな甘美な夢が一家を包む。
少女「あぁ待って、あんたはこっちだよ。」
若ほむ「ホム?」 エ?
ゲージに殆どを移し替えると少女は若ほむだけを別の容器に入れた。その大きさは高さが20cmで幅が30cm程である。ほむほむ一匹が住むには充分な大きさではあるが…。
若ほむ「ホムホム~…」 ミンナ~…
今までずっと家族と暮らして来たのに自分だけ一人にされてしまった。若ほむは悲しげな声を上げゲージの家族を見つめている。
親ほむ「ホム…」 ムスメ…
親まど「マドマドマドマド…」 ワカホムチャンダケカワイソウダヨ…
仔ほむs「「ホミィ…」」 オネエチャン…
ゲージの中からも心配そうに若ほむを見ている。お願い、若ほむちゃんもこっちに入れてあげて。一人ぼっちは可哀想だよ。そう切実に少女に訴えかけていた。そんな家族の願いを察したのか少女は笑顔でこう言った。
少女「大丈夫だよ。実は若ほむちゃんには番をあげようと思ってね。いいお年頃でしょ?」
若ほむ「ホムン!?」 ホントウ!?
それを聞いた若ほむは顔を輝かせた。私にもやっと番ができる!思わぬサプライズに若ほむは胸を高まらせた。
少女は番を取りに部屋を出て行った。その間若ほむは未来に胸を馳せていた。
いったいどんな娘だろう?可愛い娘だといいな。ひょっとしたら白まどだったりして!
家族とは離れ離れになるのは悲しいけれど、新しい家族が出来る。子供もいっぱい産もう。きっときっと素敵な未来が待っている。
ガチャ
少女が戻ってきた。若ほむの緊張と期待はピークを迎えていた。
少女「お待たせ。さぁ待望のご対面だよ♪」
そういって少女が容器に入れたのは―――