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その3-2

最終更新:

homuhomu_tabetai

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この状況下での観察は余りにも危険過ぎる。
周りに別の個体を二・三体配置し、この薄暗く不気味な森の中の一辺で、全くの場違いな騒音でその雰囲気をぶち壊すように鳴り響かせている奴を、多方向からの監視を行う事にする。

「キャハハハハハハハ アハハハハハハハハハハ」

ワルプルギスの夜(以下:ワルプルギス)と呼ばれる魔女種は、唸りを上げる風と共に辺りの石や枝木を、目の前の、筋肉で膨れ上がった二足歩行の個体に手当たり次第飛ばしてくる。

QB「こんなもの、効きやしないよ!」

肉体情報を限界まで強固した体には蠅がぶつかった程度の効き目しかなく、一気に間合いを詰める為体全体をバネにして飛び掛って行く。
だが、相手が発生させたほむ種の様な影(以下:影ほむ)は、一つ一つの個体がほむ種同様の戦闘能力を持ち合わせているようで、途中で往く手を阻まれてしまった。
見た所、全員が宙に浮いており、ワルプルギスを軸として活動しており、一定の距離を離れると消えてしまうみたいだが、まず影ほむを何とかしないと攻撃どころか近づく事すら叶わない。

QB「邪魔だよ!!」

しかし、接近してきた影ほむを手刀で薙ぎ払うと、煙を斬った様に手ごたえ無く分散して消えてしまった。
どうやら戦闘能力が有るだけらしい、所詮は影と言った所だ。
影ほむの使っている武器にだけ当たり判定があるらしく、それに気を付ければ本体にも接近する事が出来るのだが、発生源がワルプルギスなだけに、いくら倒してもスカートを模った部分からうじゃうじゃと湧いて出てくる。

QB「これじゃあキリがないや・・・・・・仕方がない!」

埒が明かず、意を決し突撃していく。
接近して攻撃してくる影ほむには刺されながらもそのまま突進して消していき、遠くから攻撃してくるのは、耳毛を伸ばし鞭の様に振り回し消していく。
攻撃自体はかすり傷程度で済み、自分の射程範囲に相手が入るや否や、叫び声と共に拳をワルプルギスの腹部(?)に向かって打ち込む。

「キャハッ・・・・・・アハハハハハハハハハハ」

攻撃を受けた相手は後ろに吹飛び、そのまま転がりながら地面に墜落する。
しかし、まるで効果がないと言わんばかりに転げながらも笑うのを止めようとせず、再び宙に浮き上がると、新たに影ほむを発生させ、さっきよりも強い風を発生させ始める。

QB「効果は・・・無い見たいだね」

しかし、防御している素振りすら無い所を見ると、どうやら反撃に対しては何一つとして対抗手段がないらしく、間合いに入れば必ずダメージを与えられる。
問題としては、相手に同じ手段がそう何回も通用するものかと心配していたが、それは必要なかったようだ。

あれから同じ方法で攻撃を行い、何度か吹き飛ばしたにも関わらず、唯一変化があるのはダメージを与える度に風が強くなるだけ。
それ以外は完全にパターンと化した攻撃方法を繰り返し行っているだけだった。
そのお陰でかなりのダメージを相手に与えられ、妊まどが隠れている場所から大分引き離す事も出来た。

「キャッハ・・・・・・ッハアハハ・・・・・・」

途切れ途切れになった笑い声が、自身の命が危うい事を相手に知らせている事に気づかず、しかも、あれだけ居た影ほむが今は殆ど発生しなくなっている。
向こう確実に弱っている。

一気に決着を付ける為再び接近しようとするが、これまでの攻撃で最初の頃とは比べものにならない位強い風が接近を拒んでいる。
下手をすれば自分が吹き飛ばされかねないと思い、間合いを開ける。

そして耳毛を伸ばし、相手を身動きが出来なくなるまで雁字搦めに拘束し、少しずつ距離を詰め始める。
勿論抵抗はあったが、蓄積され続けたダメージによって、それはとても弱弱しいものとなり、ついには拳が届くくらいの距離にまで縮まった。

完全に身動きが出来なくなったワルプルギスに、これでもかと拳で連打する。
雨のように降りかかってくる拳を幾度と受け、遂に笑い声が止まり微動だにしなくなったワルプルギスに、渾身の力を込めた最後の一撃を放つ。



QB「ティロ・フィナーレ(物理)!!」



轟音と共に撃たれた一撃によってワルプルギスが力なく地面に落ちると、拘束を解くのも忘れ、そのままペタリとその場に座り込む。

QB「さす・・・がは都市・・・伝せ・・・つ級の・・・ほむ種・・・だ」

息を切らしながら、改めて自分が何を相手にしてたのかを再確認する。それほど戦いに集中していたらしい。

既に動かない相手に四つん這いになって近づく。一見生死を確認する為にも見えるが、その眼は好奇心で埋め尽くされていた。
何せ相手が都市伝説だけの架空の存在、しかもその実物が目の前に在るんだ、興味が湧かない訳がない。眼を輝かせながら所々を見漁っている。

QB「しっかし大きいな~、しかもほむ種の要素がまるでないよ」

ここだけの話だが、同じ魔女種とされている、人魚のような姿をしたオクタヴィアというのが都市伝説で存在するのだが、通常サイズのほむ種を片手で掴める程の巨体らしく、ワルプルギスはその何倍も大きく、今回のあれでもかなり小さい個体らしい。

QB「戦いに集中してて気にしてなかったけど・・・このスカートっぽい下半身部分の中って歯車になってたんだ。ますますほむ種との関係が・・・ん?」

実際こいつがまだ動いてた時、攻撃される度に歯車の回る速度が上がり強い風を起こしていたと推測出来るが、あれだけ拳を打ち付け何度も叩き落としたというのに欠けている部分が一つも無い頑丈なその歯車に、不自然に開けられた小さな穴が複数開いている事を発見した。

今までの攻撃で開くようなものじゃない事は分かっている、穴を開けた犯人の目星も付いている。

QB「・・・・・・・・・モビルほむ」

確かに、あのほむ種であれば鋼鉄だろうと穴を開ける事が出来る。

だが、ここは山の中、金属を主食としているモビルほむ達が住んでいるとは考えられない。逆に、此奴があそこに行くとも考えがたい。
これだけの巨体(QB三体分)であの場所を浮遊していたら嫌でも人目について目立ってしまう。

「・・・・・・ア」

兎に角、今は捕獲する事を考えよう。
まだ僅かではあるが歯車は回っており生きてはいるが、鳴き声は途絶え途絶え。ここまで来ると、とてもじゃないが脅威的には思えない。
生け捕りに出来れば、長年謎であった魔女種の解明も夢じゃない。

QB「謎は残るけどこいつは生け捕りに出来そうだし」

「・・・ア・・・・・・・・」

QB「捕獲は他の個体に任せるとして、僕は妊まどを花畑に送って事情を聴けば「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」



悲鳴にも聞こえた鳴き声が鳴り響いた瞬間、ワルプルギスを中心に、爆発でも起こったかの様に辺り一帯が吹き飛ばされた。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


QB「うっ・・・つぅ・・・」

戦闘していた僕は当然吹き飛ばされた、まさか観察しているスペアまで吹き飛ばされるとは思いもしなかった。

幸か不幸か後ろに岩があって、遠くへは吹き飛ばされずに済んだけど、岩に激突したせいで体が動かすことが出来ない。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


それ程の暴風を発生させているワルプルギスは、逆さまの体を持ち上げ、頭が僕の方へ向いた瞬間、今までとは比べものにならない速さでこっちに向かって突撃してきた。

僕が痛みで悲鳴を上げる前に、後ろの背凭れになっていた岩が音を立てて砕けちり、そのまま後ろに飛ばされる。
吹き飛ばされた体が地面に落ちる前に、空へ舞い上がっていた相手が僕の腹部に向かって垂直に突撃し、そのまま地面に叩き付けられた。

QB「ぐっ・・・うあぁぁぁぁあぁぁああ!!」

めりめりと音を立てながら地面に体が埋まっていく。
少しでも態勢を立て直す為必死に拳を連打するがまるで効果が無い、それどころか更に加速が早くなってしまった。

このままでは体が潰れてしまう。だが攻撃を加えれば歯車の回転が速くなる。

QB「くっ・・・・・・このぉ!!」

死にもの狂いで右の耳毛を伸ばし歯車に巻き込ませる。
耳毛は音を立てて千切れてしまったが、耳毛が絡まった歯車の回転が鈍くなり、減速させる事が出来た。
そのまま左に殴り飛ばし何とか助かった。

そのまま右に転がり態勢を立て直そうとするが、体が悲鳴を上げ、思うように動いてくれない。
一方、向こうは絡まった耳毛をブチブチと音を立てて引き千切り、暴風を起こし、再び突撃してこようとしてくる。

立とうとして足に力を入れた瞬間、その足場が崩れ落ち、そのまま後ろに転倒してしまった。
バシャリと音を立て、冷たい感触が、傷んだ体に沁みて痛い。どうやら川に落ちたようだ。

QB「ぶはっ!! しまっ・・・ん?」

咄嗟に腕を交差させ防御するが、何時まで経っても攻撃が来る事は無く、頭をこちらに向けたワルプルギスがその場で浮いたままピタリと静止していた。

QB「・・・・・・・・・まさか」

面影も関係性も何一つとして接点が見当たらなくとも、魔女種だって元を辿ればほむほむだ。
ほむ種から生まれる以上、一部のほむ種を除いて、泳ぐことが出来ない。
どんな原理で浮いているかは知らないけど、一度沈んでしまえば、例え、今みたいに暴風を起こす程歯車を回転させても、その歯車の重量で浮かび上がる事は先ず無理だろう。
水の中で無防備になっている僕に攻撃を仕掛けて来ないということは、ワルプルギスは泳ぐ事が出来ないからだ、と捉える事も出来る。

QB「奇跡も魔法も無くったって希望と可能性はあったみたいだね」

耳毛は一本チャンスは一度。相手が突撃して来た時が勝負だ。

水を背にしている以上、向こうから攻撃される事は無い、下手をすると自分が水の中に落ちてしまう恐れがあるからだ。
だが、相手に突撃させる為には水のある場所以外に行かなければならない。
そうしなければ、きっと他の場所でも、水を背にすれば今の様に止まってしまう可能性もある。

これ以上長期戦になったら僕の体が持たない。一か八か突撃に乗じて相手に捕まり、空中で歯車を止め、そのまま水の中に落すという荒技をやってみるしかない。
出来ればこの山の範囲内で終わらせたいが、魔女が原因なのかGPSは起動してくれない。この山の地形さえ分かれば川のある場所を特定出来るのに。
仕方なく、自分の記憶を頼りに出来る限り地形を思い出す。

QB「まどかとほむらがまだ居るかもしれないけど・・・・・・」

出来る限り彼女達を巻き込みたくはない。遭遇しない事を祈り、作戦を決行する。
体を発条にして一気に相手の隣に飛び込むと、思惑通り、水が攻撃範囲から消えた途端、突撃して来た。
攻撃が当たる直前で地面を蹴り、相手の首元に捕まった。

QB「よし! これで    うわああぁぁあぁぁぁあ!?!!??!」

僕を振り払おうと暴れる事は想定していたが、僕の体重が加わったせいなのか、超低空を高速で滑空するとは思ってなかった。
何時障害物にぶつかるか分からない中で必死にしがみ付き、歯車の向きを無理矢理変え、進行方向を川へと向かわせる。

QB「あった、川だ!」

進行方向を力ずくで変え、そのまま一気に水の中へと諸共に飛び込んだが、記憶の中に残ってた唯一の切り札は僕が思ってた以上に浅かった。
オマケに直ぐ近くで流れが止まっており、どうやら何本にも別れた川の脇道の一つだったみたいだ。
当然水溜り程度の浅さで溺れるはずもなく、直ぐに向きを変えて暴走し直した。

QB「あぁもう!! 僕って本当バカ     痛ぁ!」

今度は何だと、痛みがあった場所に目をやると、黒いアンカーと、それから伸びているタコ糸並に細いワイヤーが、尻尾を貫通し、巻きついていた。

QB「これはああぁぁぁああぁああぁあ!!??!」

強い力で、ワイヤーを通して尻尾を引っ張られ足を剥がされ、下半身が宙に放り出される。

このままではワルプルギスから引き剥がされてしまう。僕は、残った力を全て腕に回し、必死にしがみ付く。

ワイヤーが伸びている場所を中心に、大きく旋回し移動する。
ワイヤーが何処から伸びているのか、それを確認する為目で辿る。

それを辿った先に在ったのは二股に別れた木、そしてワイヤーはその間から伸びていた。

QB「まさか・・・・・・・・・」

そのまさかだった、ワイヤーがこれまでにない位の力で引っ張られる。
歯車の風もあって、一気にその木までの距離を上昇しながら縮め、背負い投げの要領で上空に飛ばされた。

QB「やっぱりいいいぃいぃぃぃぃいいい!!!!」

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

背負い投げよろしく綺麗な弧を描きながら上空に放り出される僕とワルプルギス。

上空からはさっき種ほむを見つけた場所が見える。そして、まだまどかとほむらが観察を続けていた。
しかし、あそこは此奴が居た場所と反対方向の場所。
ここからあの場所が見えるということは、ワイヤーを伸ばしている本人の狙いは当然………。

QB「ですよねぇええぇぇええぇえ!!!」

確かあの場所は流れが速く、僕が溺れるには十分深く、正しくこの戦いを終わらせる事が出来る絶好の場所だ。
勢いよく降下を始め、僕は声が枯れる位叫んだ。

ほむら「・・・・・・何か聞き覚えのある声がするわ」

まどか「・・・・・・本当だ。QBと・・・・・・もう一つ?」

まどか「でも何処からかな?」

ほむら「・・・・・・・・・」

まどほむ「「上?」」

QB「やぁまた会ったごぶぁ!!!」

まどほむ「「QB?!」」



二人とも吃驚しただろうな。ま、僕が空から、人形の様な何かを掴んだまま、勢いよく川に落ちた、と思ったら、そのまま流されて行ったんだから。

QB「あの後溺れたんだけどね」

あの体はワルプルギス諸共、川に流されてしまった。
回収するのは骨が折れるし、僕は途中で溺れてしまうし、あいつがどうなったか分からず仕舞いだ。

分からないと言えば、あの時ワイヤーを飛ばしてきたのは、魔女の歯車に穴を開けたモビルほむで間違いなさそうだけど、結局最後の最後までその姿を現す事をしなかった。

QB「まどかとほむらには・・・適当に誤魔化しておこう」

今回の事は黙っていよう。
ほむらは兎も角、学校にほむほむ部を作る程ほむほむ好きなまどかにこの事を話したら、髪を金色に逆立て手を光って唸らせそうだ。
因みに、まどかが部長をしているほむほむ部は、一クラスに4・5人の生徒が入部しているそうだから、軽く20人は超えてるとかなんとか。

QB「そういや今度、ほむほむ部の研究発表があるって言ってたような・・・まあいいか」

何にせよ魔女は居なくなった事だし、あの妊まどを迎えに行こう。
何故彼女だけがあの場所から遠く離れていたのか、魔女が何故あの場所に現れたのか、聞きたい事は色々ある。
だけど今は、あの妊まどに新しい群れを探してやるのが一番だ。今回全然役に立たなかったGPSを起動させ、お花畑だった場所に向かう。





同時刻、魔女が落ちた川の下流付近

「・・・・・・これは一体何でしょうね? シャルロッテ」

「グリーフシード、グリーフシード」

「正解、貴方はお利口ね」

「チーズ、チーズ」

「あらあら、食いしん坊さんね。はい」

「チーズ、モグモグ」

「水に落ちたか、それとも・・・いえ、これは考えられません」

「・・・・・・・・・ヒトミ?」

仁美「何でもありませんわ。「ぐりーふしーど」も回収出来ましたし、帰りますわよ」




























同時刻、お花畑跡の木陰


「サヤヤ、サヤサヤサヤ」ヤットミツケタ、 ソロソロ カエラナイト ゴシュジンガ シンパイスル

「・・・・・・・・・ホム」・・・・・・・・・エェ

「サヤヤサヤ、サヤサヤヤ」ココデ ナニガ アッタカハ センサクシナイ

「ホム・・・・・・・・・ホムム」アリガト・・・・・・・・・ネェ

「サヤ?」ドウシタ?

「ホムムホムムホム」ワタシタチハ ホムホム ヨネ

「サヤ」トウゼンダ

「ホムホムホムム、」アタマカラ メヲ ハヤシテテモ、 テアシガ キンゾクデ デキテイテモ?

「サヤヤサヤサヤ」ソレデモ ワタシタチハ ホムホムダ

「ホム、ホムム」ジャア、マジョモ?

「・・・・・・・・・サヤヤヤ?」・・・・・・・・・キロクハ?

「ホムホム」トッテアルワ、 カエリマショ

「サヤヤ、マイアガッチャッテマスネ」ゴシュジンノ オドロク カオガ メニウカブヨ



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