その3
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homuhomu_tabetai
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・・・・・・・・・
ガチャ!
「…ホミュー…ホミー…」アグアグ… ゴシゴシ!
「…ん?…ナニやってるんだ?」スタスタ…
部屋に帰るとなにやらまた騒がしい…近づきながら容器を見ると仔ほむがティッシュを噛んだり自分の身体にこすり付けたりしていた…。
「…ホミャー…」ゴシゴシ…
「…んー…?…マーキング…か?」ジー…
「…ホミャッ!?…ホミュー…」モゾモゾ…
俺の声が聞こえた途端に仔ほむはこする仕草をやめ…急いでティシュの中に潜りこんだ…どうやら俺を怖がっているらしい…。
「…まっ…仕方ないか…仔ほむにしてみれば怖い目にあわせて、餌まで横取りした巨人だもんな…俺って…」
「…隠れたつもりなんだろうが…やっぱり穴が開いてるぞ…」
「…ホミ…ホミー…」フルフル… モソモソ…
開いている隙間から覗いてみると…ティッシュの中で仔ほむはうずくまる様に丸まり、その背中が小刻みに震えている…。
「…そんなに怖がるなよ…今日はもう何もしないでやるから…」
「…ホミュゥ…」フルフル…
「…そんじゃもう寝るか…」ファアー…
俺も自分のベッドに潜りこんだ…。
・・・・・・・・・
「…ホミャー…ホミュミュー…」カサカサ… ゴソゴソ…
「…ふぁあ~……こいつの声か…何時だ?……くそっ…」ゴシゴシ…
…俺は仔ほむの鳴き声で目を覚ました…時計を見るとまだ目覚ましが鳴る一時間も前だった…。
「…ホミッ…ホミャミャー…」モゾモゾ…カサカサ…
…仔ほむは俺の起きた気配を察したのか…またティッシュの中に潜りこんだ…飼い主を起こして無視とはいい度胸だな…。
「…お前…今日一日メシ抜きな…」
「……」モゾ…モゾ…
仔ほむの入っている容器に向かってそう声をかける…もちろん返事など期待はしていない……仮に俺の言葉が分かって文句を言っても聞く気は無いが…。
「しかし…目が覚めちゃったな……そうだ…庭の巣でも見に行くか…」バサッ…ガシッ!
布団を跳ね除け、目覚ましのスイッチを止めようとした……が、やめた。
「…このままこいつの横に置いてやるか…」コトッ!
容器の横に目覚ましを置く…。
「…ホミュ…ミュー…」Zzz… モソ…モソソ…
相変わらず開いている穴から仔ほむの背中が見える…自分の臭いがついたティシュが落ち着くのか、二度寝しだしたようだ…。
「…これが鳴ったら驚くだろな…こいつ…」
…まぁ…目覚ましと言ってもそれほど大きな音の出るものじゃない…実際、止め忘れた時も家族は気づいてないみたいだしな…。
俺は小さな音でも目が覚める…今朝のように…。しかし至近距離なら驚く音量なのは間違いない…。
「…さてと…巣のあった木に行ってみるか…」スタスタスタ…
・・・・・・・・・
「…あの木だったな……おっ!?」
俺が昨日の木まであと少しの距離まで来た時…。
…ガサ…ガササ…
「…ホムー…」ヒョコッ!
…巣の入り口に被せていた木の葉をどけてほむほむが穴から顔を出した…。
「…ナイスタイミング…」ジー…
「ホッ!?」ピタッ!
一瞬ほむほむの目と俺の目が合った…。
「ホビャアァァ…」ピュッー…
…ほむほむは慌てて巣の中に引っ込んでしまった……そりゃ逃げるだろうな…俺はしばらくそのまま待ってみた…。
「…ホムー…」ヒョコ…
五分ほど待つとまたほむほむが顔を出した…。
「…」ジー…
「ホムッ!?」ピュッ!
俺がまだ巣の前にいる事に驚いて逃げ込む……更に待ってみた…。
「…ホム…『ヒョコ…』ホビッ!?」ピュッ!
また逃げ込む…。
「…こう何回もこの穴から出てくるって事は…出入り口はここだけの可能性が高いな…」ズイッ!
俺は巣にもっと近づいて、聞き耳を立てる…。
…ホムホムー!!…マドー…ミャロロー…
巣の中から仔ほむの家族の声が聞こえてくる…。
「…うん…ほむほむとまどまど…仔まどの声がするな…昨日と同じだ……離れて一匹ずつ捕まえるか?」
もうほむほむは顔を出さなくなった…よっぽど警戒しているんだろう…次に出てくるのはいつになるかわからないな…。
「うーん…仮にほむほむが出てきて捕まえても…まどまどはもっと警戒するだろうし…仔まどに至っては出てくるかも怪しいな…」
「…あ!?そうだ!!…出てこないんだったら…追い出せばいいんじゃないか!?…ここしか出入り口がないんだったら…」
「…一応、準備できるまで…この穴はこれで塞いどくか…」ゴトッ!
近くに落ちていた大きめの石を穴の前に置く…石はちょうどいい具合に穴を塞いだ。
「これでよし!仮に出ようとしても、ほむまどじゃ動かせないだろ…じゃあ用意するか…」スタスタ…
・・・・・・・・・
「…昨日のホースだけじゃ長さが足りるか心配だったが、接続できるホースがあって良かった…」スタスタスタ…
俺はホースの先とを持って巣の木に戻ってきた…石は置いた時のままの状態で変わっていない…。
「それじゃ…石をどけて…」ヒョイッ!
「ホムァッ!?」「マギョッ!?」ポテテーンッ!!
…石を持ち上げると…ほむほむとまどまどが勢い良くこちらに倒れてきた…。
「おわっ!?」
「ホビャアァァ…」「マギョオォォ…」テテテテ…
突然だったので俺は少し驚いてしまった…その隙を逃さず番は巣に逃げ込んでしまった…。
「…しまった!?」ググッ!
急いで手を穴に入れたが…思いのほか深い穴なのか、俺の手には何も触れなかった…。
「…ほむまどごときに逃げられるとは俺もうっかりしてたな…石を押すぐらいのことは予想してたのに…」ハァ…
…ホ…マ…ミャ…
穴の奥からかすかに鳴き声が聞こえる…どうやら穴の一番奥に潜んでしまったようだ…。
「…かなり広くて奥行きのある巣みたいだな…逃がしたのは悔しいが…そもそも追い出すために来たんだからいいか…」グイッ!
引っ張ってきたホースの先を穴に入れる…。
「接続のとこの栓を開けないといけないな…さっきの石でホースを穴に固定しとくか…」ドン!ギュッ!
「よし!それじゃ…開けてくるか!」スタスタ…
俺は穴から三メートルほど離れた、ホースの継ぎ手についているつまみを回した…。
ギュギュン!
「おっ!行った行った!」スタスタ…
穴に突っ込んだホースの先から勢い良く水が穴に流れ込んでいるのがわかる…。
ジョボボ…
「水が穴からこっちにも漏れているけど…石のおかげでほとんど中に入ってるな!」
ジョババ…
「おっと!もう一杯になったみたいだな…それじゃホースだけ抜いて…石で蓋してと…」グイッ! スルン!ジョボボー…
…チョロチョロ…
穴と石の隙間から水がチョロチョロと溢れている…俺は急いでさっきの栓を締めて戻ってきた。
「それじゃあ…石をどけて…」ヒョイッ! ドバー…
蓋になっていた石をどけると中の水が勢い良く流れ出てきた…。その水の流れに乗って、木の葉や木の実とともに…。
「…ホビョオオオォォォ…」「…マドオオォォォォ…」「…ミャロオオォォォ…」ズザー…
「出た出た!」
…ほむほむとまどまど、仔まどが穴から流れ出てきた…。
ほむほむの作る巣は雨が流れ込んでも大丈夫なように、上に向かって広げると言うのをどこかで聞いたことがあった。
「…雨なら大丈夫だったんだろうけど、勢い良く水を入れられて蓋されたら中で溺れるしかないもんな…蓋を取ったらプールの滑り台と同じになるしな!」
「…ホム…ホムー…」「…マド…」「…ミャ…」ジタ…バタ… クテー…
三匹は泥の中でもがきながら倒れている…。
「あ!?こいつら入れるための入れ物を持ってくるの忘れてた!!」
…またうっかりしてた…やっぱりいつもより早起きしたのが効いてるのか…?
「…ん~…何も無いな…」キョロキョロ…
俺は手近に適当なモノがないか探したが…何も無かった…。また三匹に視線を戻すと…
「…ホ…ムー…」「…マド…」ベチャ…ベチャ…ズリ…ズリ…
「…ミャゴッ…ゴッ…」ヒク…ヒク…コポッ!
ほむほむとまどまどが仔まどに向かって泥の中を這って行く…仔まどは目を閉じて、腹の辺りを痙攣させながら口から水を吐く…鼻からも流れている。
「…仔まどはかなり水を飲んじゃったみたいだな…小さいからこの番よりも弱いだろうし…」
「…マドカァ…」「…ティヒヒー…」ベチャ…ベチャ…ズリ…ズリ…
「…ビッ…ビャッ!『ゴボッ!』…ゴッ…」ダラー… …ヒュー…ヒュー…
番も溺れて弱っているみたいだが、それでも必死に這っていく…仔まどは勢い良く口から水を出したが、荒い呼吸でグッタリしたままだ…。
「…そうだ…仔まどを俺が持っとけば…こいつらって逃げないんじゃないか…?」ヒョイッ!
「…ミ゙ャ…ロ…」プラーン… クテー…
「ホムッ!?…ホムムー…」「…マドドー…」ガバッ!ビチャビチャ…
仔まどをつまみあげると、番は急いで立ち上がって走り寄ってきた…。
「ホムー…ホムホムー…」「マドー…マドー…」バチャ!バチャ!
吊り下げられた仔まどの下で両腕を上げ跳ねる…試しつまんでいる手を少し移動させてみる。
スー…
「ホムムー…」「マドー…」バチャバチャ…
スー…
「…ホビョオォ…」「…マギョオォ…」バチャバチャ…
「…思ったとおりだ…仔まどを持って行った場所に走ってくる…これなら大丈夫そうだな…」スクッ!
「ホッ!?ホムホムーッ!!」「ウェヒヒーッ!!」ベチャッ!ベチャッ!
俺が立ち上がって仔まどが高く釣られても、番は俺の足元で跳ね続ける…。
「大切に思われてるんだな…お前は…」
「……」プラーン… ダラン…
仔まどはもう痙攣は止まっていた……なんだ…あれぐらいの水で溺れ死んだのか…結構、仔は弱いんだな…。
「…でも、もうちょっとお前を利用させてもらうからな…」スタスタスタ…
「ホムーホムムー…」「ホムラチャン…」トテトテトテ…
ホースを引っ張りながら仔まどを持って木から離れる…番は重い足取りながらちゃんとついて来ているな…。