その2
最終更新:
homuhomu_tabetai
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「ホムー…ホムムー…」トテトテトテ…
あれからほむほむは俺の気配を探して、水槽内を歩き回っている。
「……俺の姿は見えてないんだな……こんなに近くに居るのにな……」
クゥー…
「ホムッ!?」
ほむほむの腹から音が出た……時計を見るともう昼になっている。
「ホムゥ…ホムホム…」トテトテトテ…
餌入れに向かって歩いていく……今日の昼の分が入っている。
「ホムー///ホムム…」ポリポリポリ…
「いつも思うけど、こいつってホントうまそうに食うよな……」
「ホムン///」ケプ
「もう食っちゃった!?早いな……こんなに早く食えるのか……」
「ホミュホミュ…」チュッッチュッ…
「ホムゥン///」ケプン サスサス///
ほむほむは水を飲んで満足げに座って腹をさすりだす……見慣れた光景なのになぜかほむほむが可愛らしく見えた……
「ホムー…『トテトテトテ』ホムッ♪」コロリン
また寝床に転がり込んだ……なんて堕落した生活なんだよと突っ込みたくなるな。
「…ホム…ホムー…」Zzz…
「もう眠った?……の○太くんかお前は……」
「ホムー///」ニヘラ/// Zzz…
俺の声が聞こえたのかどうかは判らないが、ほむほむは眠りながら少し笑った様に見えた……
「……気楽なもんだな……まぁ、俺も今はそうなんだけど……」
その時、ほむほむの餌入れが空になっているのに気づいた。
「そりゃそうか……夕方は俺が帰ってきてやってるもんな……仕方ない!入れ足してやるか……」
俺はほむほむの餌が入っている箱に手を伸ばして持ち上げようとした……
スカッ!
「あっ!……そうだった…………って!?」
……大変な事に気づく……
「……こいつの餌……俺がやれなかったら誰がやるんだ?」
俺は一人暮らし……家族も居ないし、もちろん彼女も居ない……たまに来るのは新聞の勧誘ぐらいだ……
三ヶ月に一度、お世話になった施設の先生が来てくれるが、それは先週来てくれたし……
「うわーっ!!どうすんだよこれっ!?触れないわ外出れないわ……どうすんだ!?」
俺は自分の事よりほむほむの事でパニックになってしまった……
「と……とにかく何とかしないと……」
俺は、何度も餌の箱を持ち上げようとしたり、外に出て誰かに伝えようと出られない玄関に体当たりしたり……とにかく思いつく事を片っ端から試した……
・
・
・
・
「……ダメだ……無理だ……」ハァハァ…
気がつくと窓から夕日が差し込んできていた……本来ならあと少しで俺が仕事から帰ってくる時間だ。
「…ホムッフゥ…」ファー…
ほむほむが寝床の中であくびをした……そういえば俺が帰ってきたらいつも起きてたな……
「ホムホムー…」トテトテトテ…
「ホミュホミュ…」チュッチュッ…
ほむほむは寝床から起き出すと水指しから水を飲んだ……もう、中に入っている水も僅かだ……
「ホムッ♪ホムッ♪」コロコロ…
飲み終えるとおがくずを敷き詰めた水槽の中を転がって遊びだした……こんな事を普段やってるんだな……
「……すまん……俺はもう……お前に何にも出来ないかもしれない……」
「ホムッ♪ホムムッ♪」コロコロコロ…
遊ぶほむほむに俺はそう声をかけた……目頭に熱いものが溢れた……
・・・・・・・・
「…ホムゥ?」キョロキョロ…
いつもならとっくに俺が帰ってきている時間になっているのに俺が現れないために……ほむほむは不思議そうな顔でドアを見ている。
「……俺ならここに居るぞ……何も出来ないけど……」
「…ホムゥ…ホムムー…」トテトテ…
「…ホム…」ショボン…
ほむほむは餌入れに歩いて行き中を覗いた……しかし中は空っぽだ……悲しそうな顔を浮かべている……
「ホムー…ホムッ!!」トテテテ… ペチペチペチ…
今度は壁に歩いて行き壁を叩きだした……
「これは俺がたまに餌をやるのを忘れてた時にやってたな……最近は忘れなくなってたから久々に聞いたな……」
「ホムー!!ホムー!!ホムムー!!」ペチペチペチ…
恐らくこいつは俺が餌を忘れてると思ったんだろう……必死に壁を叩き続ける…………忘れてないぞ……やれないだけなんだ……
・・・・・・・・
「…ホム…ホムウウウゥゥゥゥゥ…」エグエグ…
三十分ほど叩いていたが、ほむほむは叩くのをやめて泣き出してしまった……
「……すまん……忘れてないぞ……でも……どうする事も出来ないんだ……」
俺は思わず水槽のほむほむに手を伸ばしていた……
「ホムウウウゥゥゥ…ホッ!?ホムムッ!!」キョロキョロ… クンクン…
またほむほむは俺の指先をクンクンしだした……そして……
「ホムッ♪ホムホムッ♪」トテテテ… ペチペチ…
嬉しそうな顔をして、餌入れを叩きだした。
「ホムホムー♪」ペチペチ…
「……それに餌を入れてくれって言ってるのか?…………よし!」
もう一度餌の箱を掴もうと手を伸ばす……
スカッ!スカッ!
「……やっぱりダメだ……」
「ホムー♪…ホムゥ?…ホムホム…?」キョロキョロ… クンクン…
俺の手が近くに無くなった事に気づいて、ほむほむはまた俺の気配を探し始める……
「…ホ…ホビャアアアァァァァァ…」ピエェェ…ン…
「……もう、お前に期待を抱かせることは……やらない……」
俺はベッドの上にしゃがんで足を抱え膝に顔をうずめた……ほむほむの悲しそうな鳴き声が……耳に痛かった……
・・・・・・・・
「ホムゥ…」トテトテトテ…
鳴き止んだほむほむは今度は水差しに向かった……空腹を水で紛らわせるつもりなのだろう……
「ホミュホミュホミュ…」チュッチュッチュッ…
「ホミュ『ジュジュ…』…ホミュンッ!?…ホミュッ!!」スーッスーッ…
……とうとう水も無くなってしまった……ほむほむがどんなに水差しを吸っても、もう空気しか出てこない……
「ホミュウウゥゥーッ!!『プスッ…』…ホヒッ///」
力を入れて吸ったために、ほむほむが屁をこいた……俺もその音を聞いて少し笑う事が出来た……
しかし、笑ったのもつかの間……またほむほむは悲しげな顔になった……
「…ホムー…ホムー…」ポロポロポロ…
水差しの前に立ち尽くすほむほむ……まだ腹は一杯になってはいないのだろう……
「ホムウウゥゥゥ!!ホムムウウゥゥゥ!!」ペチペチペチ… ポロポロ…
もう一度ほむほむは俺を呼ぶ……
「ホムウウウゥゥゥ!!……ホムゥ…」トテトテトテ…コロン…
やがてあきらめて、寝床に転がり込んだ……
「…ホムホム…」モソモソ…
「……そういや……こいつとこれだけの時間離れてたことは無かったな……寂しい思いをさせちゃってるんだろうな……」
空腹と寂しさに耐えているのだろう……寝床の中で丸まって横になるほむほむ……
「…ホムゥ…ン…」モソ…
しばらくするとほむほむの寝息が聞こえてきた……
「……おやすみ……もう俺にはそれしか言えないよ……」
・・・・・・・・