ペットショップQB

最終更新:

homuhomu_tabetai

- view
管理者のみ編集可

作者:QeMjPBVQo

340 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage] 投稿日:2011/08/23(火) 22:40:29.80 ID:QeMjPBVQo



リポーター「みなさん、おはようございます。本日はグンマー県の見滝原市に位置するペットショップQBに取材に来ています。
       では、早速取材を初めてみましょう。こちらが店長の久兵衛さんです。久兵衛さん、おはようございます」

久兵衛「おはようございます。ペットショップQBの店長を務めている久兵衛と申します。よろしくお願いします」

リポーター「こちらこそ、今日はよろしくお願いします。では早速取材を始めさせていただきます。
       ペットショップQBはカントー地方でも数少ないほむほむ種専門のペットショップと伺っておりますが?」

久兵衛「研究され始めたのが比較的新しい種ですからね。、まだ犬や猫ほどペットとして広まっていないんです。
     しかしほむほむ種の育てやすさと愛らしさに惹かれて、年々ペットとしての需要は高まっているんですよ」

リポーター「確かに一般の書店にほむほむ種の飼育書が置かれているのも最近はよく見る光景ですね。
       久兵衛さんはご自身のお店の店長を務めると同時に、グンマー大学の准教授としてほむほむ種の研究をされているとか」

久兵衛「ええ。元々この店は祖父の代から続いてきたものを私が受け継いだものでして。
     子供の頃からずっと一緒に育ってきたほむほむ種の事をもっと知りたいと考え、大学に残る道を選んだんです」

リポーター「ほむほむ種は未だに解明されていないことが多い種ですからね。
       しかし、大学での研究のお仕事と二足の草鞋で店長をされていては毎日休む暇もないのでは?(笑)」

久兵衛「ええ、ですから私の妻に副店長を務めてもらっているんです。
     普段私は平日は夕方までお店の方に顔を出せませんから、妻には迷惑を掛けてしまっています(笑)
     では、お店の方に入りましょうか」



~店内~

久兵衛氏の後を追い、我々は店内に入った。

店内は結構な広さにも関わらず掃除が行き届いているのか、清潔で落ち着いた雰囲気の内装が印象的であった。
入り口から正面10m程奥にほむほむ種が飼育されていると思しき水槽が並べられている。
店内を見渡すと久兵衛氏と同じ制服を着ている店員は、現在レジのカウンターに座っている女性が1人と、
商品の陳列をしている女性が1人、店内の掃除をしている男性が1人の計3人のようである。
平日の昼間にも関わらずお客さんの人数は5、6人はいるようで、繁盛している様子であった。


???「テレビの取材の方々ですね。今日はよろしくお願いします」ニッコリ

リポーター「あ、お邪魔させていただいてます。よろしくお願いします」

店内を観察していると、久兵衛氏と我々の入店に気が付いたレジの女性店員に声を掛けられた。

久兵衛「こちらは私の家内の真実です。副店長を務めてもらっています」

真実「初めまして。副店長を務めている真実と申します。よろしくお願いします」

リポーター「久兵衛さんの奥様でしたか。改めてよろしくお願いしますね。」

どうやら、レジの女性は久兵衛氏の奥方だったらしい。
こんな綺麗な女性を妻に持つ久兵衛氏が羨ましい限りである(笑)

久兵衛「あの水槽の中でほむほむ種を飼育しています。早速見ていただきましょうか」

久兵衛氏はそう言って、ほむほむ種が飼われている水槽の一つを指差した。


仔ほむ1「ほみゅ……」スヤスヤ
仔あん3「くーかい!」モグモグ
仔まみ3「みゃみみ~♪」ケヅクロイ
仔さや2「まどかはわたしのよめになるのだー」ダキッ
仔まど2「さやかちゃーん?」クスクス
仔ほむ6「ほみゃぁぁぁ……」オオアクビ

50cm四方ほどの大きな水槽の中で、20匹程のほむほむ種が生活しているようだ。
てっきり種類別に飼育されているのかと考えていた我々は、ほむほむ種がまとめて一つの水槽で育てられている事に驚いた。

リポーター「何とも癒される光景ですね。いかがでしょうか、この愛らしさ!ほむほむ種の人気が巷で高まっているのも頷ける話です。
       ところで、この中のさやさや、あんあん、まみまみはほ食類として知られていますよね。飼育する時、安全上問題はないのでしょうか?」

久兵衛「問題ありませんよ。確かに野生のさやさや、あんあん、まみまみはほむほむを食料として利用することもままあります。
     ですが野生のほ食類がほむほむを食べるのは本能的性質ではなく、親の教育でほむほむを餌と教えられているからというだけの理由なんです。
     飼育用として生まれ育てられたほ食類は決してほむほむを食さず、むしろ仲間として受け入れてくれるんです。
     元々ほむほむ種は仲間想いで優しい子ばかりですから(笑)」

そう言って照れたように笑う久兵衛氏はどこか誇らしそうだ。

リポーター「元々ほむほむ種は種類を問わず一緒に仲良く暮らすことが出来るという事がよく分かりました。
       20匹程のほむほむ種が1つの水槽で育てられていますが、ほむほむ種は複数飼いが基本なのでしょうか?」

久兵衛「そうですね、先程ほむほむ種は仲間想いと言いましたが、裏を返せばとっても寂しがり屋なんですよ。
     ペットとして入った家庭で人間との交流が密なら単独で飼うことも出来るんですが、
     誰とも関わり合いを持てずに、長い間孤独の状態に置かれたほむほむ種は心身共に弱ってしまうことが多いんです。
     特にその傾向が顕著なのが、野生でも群れを形成するほむほむと、他のほむほむ種に輪を掛けて寂しがり屋のまみまみなんです」

リポーター「ほむほむ種は人間のように集団で生活する社会性の強い動物として知られていますが、
       ほむほむ種も人間と同様に『寂しさ』という感情を持っているんですね」

久兵衛「感受性の強い子達ですからね(笑)ところで先程、色々なほむほむ種をまとめて育てている事に驚かれていましたよね? 
     そうするのは各家庭でほむほむ種が複数飼いされることが多いからなんですよ。自分以外のほむほむ種に仔共の時から慣れておけば、
     家庭で飼われた時に余計なストレスを溜めずに済みますから」

リポーター「なるほど。種類ごちゃ混ぜで育てているのにはそういう理由が有ったのですね
       ところで、家庭で飼われた時のお話が出ましたが、ほむほむ種によって新しい環境への適応力には違いがあるのでしょうか?」

久兵衛「ええ、もちろん個体差はありますが最も適応が早いのはほむほむですね。元々野生のほむほむは単体では力が弱いため 
     有事の際はほむほむの群れ同士で協力しあうことも多いんです。そういった性質の分だけ新しい人にも環境にも慣れるのが早いんでしょう(笑)」
     同じ理由でほむほむと番を為すまどまども適応力が高いです」

リポーター「では逆に、最も適応が遅い種はどれなのでしょうか?」

久兵衛「やはりまみまみ、になってしまうでしょうね……。
     また野生の話になりますが、まみまみは狩りの性質上、一家族単位以上で固まって行動することがありませんからね。
     離れた場所から静かに獲物を狙撃するのがまみまみの狩りですから、生きたほむほむ種と出会う機会もそうありませんし(苦笑)」

リポーター「では、まみまみを飼った時は、慣らすのに少々苦労することも多いかもしれませんね(苦笑)」

久兵衛「確かに他の種と比べるとまみまみは神経質なところがあって初心者向けではないかもしれませんね(苦笑)
     しかし数少ない仲間1人を、10人分も100人分も大切にする。そういった情の深さも併せ持っているのがまみまみなんです。
     水槽の中を見て下さい。仔まみが仔ほむの髪をブラッシングしてあげているでしょう?」

そう言って一組の仔まみと仔ほむに視線をやる久兵衛氏。
その視線を追うと、仔まみがミニサイズの櫛で仔ほむの髪を梳いている光景が目に映った。


仔まみ3「まみゅまみゅっ」シュッシュッ
仔ほむ4「ほみゅぅ~......」ウトウト......


リポーター「確かに面倒見の良さはピカイチのようですね。
       やはり他のほむほむ種がこの仔まみのような行動をすることは少ないのでしょうか?」

久兵衛「そんなことも無いんですが、その頻度が一番高いのはまみまみですね。神経質な分、一番細やかな配慮の出来る種でもありますし。
     例えば親を亡くした仔共の面倒を見る時、一番頑張って里親の役をこなしてくれるのもこのまみまみなんです。
     慣れてくれるのに時間は掛かるけれど、愛情を持って根気強く育てたらその何倍もの愛情で返してくれる。それがまみまみという種なんですよ。
     以前はその育てにくさからほむほむ種の中で一番人気が無かったのです。しかし、今言ったようなまみまみの性質が次第に広まっていった結果、
     現在は他のほむほむ種と遜色無いくらいの人気を獲得するに至ったんです」

リポーター「なるほど、現代社会は人との関係が希薄な無縁社会とも言われていますから、
       それだけまみまみの情の深さに癒される人が多いのかもしれませんね」



我々がふと時計を見やると、予定していた収録時間を大幅に越してしまっている事に気が付いた。
いつの間にこんな時間が経っていたのか……一日がゆっくりと流れるほむほむ種の生活を見ている間に、我々も時間を忘れてしまっていたらしい。

リポーター「居心地が良くて時間が経つのを忘れていましたが、そろそろお別れの時間のようですね」

久兵衛「おや、もうそんな時間でしたか。今日は私ばかり話し込んでしまって申し訳ない」

リポーター「とんでもない!今日は貴重なお話を聞かせて頂いてありがとうございました。」


そう言い残し、我々はペットショップQBを後にした。
今日の取材は10分程度にまとめられMHKの教育番組で放送される予定だ。

最近は犬や猫を飼いたがる子供に、代わりに比較的安価で手のかからないほむほむ種を買い与える親が増えていると聞く。
会社に戻った私は「今回の放送の評判が良ければ毎週5分枠程度ではあるが、番組内でシリーズ化される予定だ」という旨の話を上司からほのめかすような形で聞かされた。
もしかしたら、またあの居心地の良いペットショップでほむほむ達に囲まれながら、久兵衛氏と対談する機会があるのかもしれない。
何度も辛い目に遭い、何度も惨めな思いをし、何度辞めようかと悩んだか分からない仕事だったが、そう考えると
普段なら苦痛にしか感じない面倒な編集作業を目の前にして、自然と握りこぶしに力が入り、皮膚の下を流れる血液が脈打つのを感じた。

終わり



感想

すべてのコメントを見る
記事メニュー
ウィキ募集バナー