―――そして、時は現在へと至る。
「……これで、俺は君達を裏切るわけには行かなくなった。
明確に彼らと敵対する旨を伝えた以上、君達に放り出されたら致命的だからね。
今撮った動画をどうするかは、君達の判断に任せる」
手を結びたい、話がしたいとは此方から言い出したことではあったが。
まさか、こんな怪物が待ち構えているとは。
しっかり意識を保っていないと立つ事すらままならない威圧感。
肌で感じる。今の自分は、台風の前に放り出された一匹の蟻だ。
そして、当然のことながら。
この交渉に失敗すれば命は、ない。
招かれた
プロデューサーはその事を強く実感していた。
「マ~マママハハハ…随分と殊勝な態度じゃねェか……自分の足で此処に来て、自分からおれに協力しようだなんてね」
まるで夢の中にいる様なメルヘンチックな鏡の中の世界。その最奥。
その空間に用意された玉座に座っている…いいやこれはもう、聳え立っていると言った方が正しい。
そんな規格外の巨体を持つ女性。ライダーと呼ばれたサーヴァント。
現在のプロデューサーの生殺与奪は彼女と、その傍らに佇むマスターの胸三寸だ。
「ちょっと待てよォ~ライダ~~~!!
テメ~ふざけてんじゃねーぞPたんッ!!仲間を売る裏切野郎(ユダ)何て信用できるかァ~!!!」
そう言って、ライダーのマスター…顔にガムテープを張り付けた少年は糾弾の声を上げた。
信用できないのは無理もない話だろう。
何時だって戦場にて敵味方問わず蔑まれるのは純粋な敵よりも裏切り者なのだから。
だが、その糾弾は少し…毛色が違っている様にプロデューサーは感じた。
上手くは言い表せないが、本気の糾弾ではない。
結論は既に決まっていて、その上で此方を試している様に思えたのだ。
一見、目の前のガムテと名乗った少年はそんな事を考えるタイプではないように見える。
しかし、己がプロデュースで培ってきた審美眼はそれが彼の全てではないことを微かに伝えていた。
「だから、そのための動画だよ。それがある限り少なくとも俺は貴方達を裏切れない。
裏切っても、彼女たちのサーヴァントと君達を同時に敵に回せばどの道先がないんだ。
……少なくとも、彼女たちのサーヴァントを排除するまではね」
今しがた撮影された、ハッキリと283プロダクションに所属するアイドルのマスター達との決別宣言。
これでアイドル達はどうであれ、そのサーヴァントはハッキリと自分を敵と認識するだろう。
その状況下でガムテ達をも裏切れば、四面楚歌になるのは想像に容易い。
「少なくとも、彼女たちのサーヴァントを倒す事に関しては協力を惜しまない。
持っている情報は全て渡すし、彼女たちと対立するうえで知恵も貸します
……だけど、こちらにも見返りが欲しい」
「見返りィ?……お前、見返りを求められる立場だと思ってんのか?
此処に来た時点でお前がおれに協力するのは決定したことなんだよ。
こっちはお前を拷問して生きてるだけの有様にしたっていいんだ!」
「それなら俺に人質としての価値はなくなります。ライダーさん。
ただでさえ敵に回った上に、説得もできない状態ともなれば彼らは簡単に俺を斬り捨てるはずだ。
……貴方もきっと、同じ判断をするでしょう?」
うっ…しまった……別の事を言えばよかったか。
そんな事を考えている暇すらない。
兎に角、頭と口を動かさなければ、全てが終わるのだから。
震え出しそうになる声を、蹲りそうになる足を、飛びそうになる意識を死に物狂いで繋ぎとめて、言葉を紡いでいく。
「俺が望むのは、貴方たちに協力している間の俺と、彼女たちの身の安全の保障。それだけです。
…彼女たちは皆普通の女の子だ。サーヴァントさえ喪えば彼女たちに貴方を邪魔する力なんてない。
当然、貴方たちが喪う物なんて何もない。………それでもまだ、不足ですか」
「足りないに決まってンだろうが!!お前が人質になってる間の待遇は考えてやってもいいが、それだけさ。
お前が拾える命はお前一人だ。対して小娘共は何人いる?ひいふうみい……おやおや。
お前一人の働きなんぞじゃとても釣り合わないねェ……」
ビッグ・マムからすれば友好的に手を伸ばそうとしたのにその手を払われたばかりか唾を吐きかけられたようなものだ。
例えアサシンが主導でやった事でも、マスターの小娘共を殺すことに変わりはない。
このビッグマムの看板に泥を塗った以上、一人残らず生かしては返さない、と。
ハッキリと、プロデューサーに彼女はそう宣言した。
この通告には、プロデューサーも押し黙らざるを得ない。
正しく、同じ可能性の器の候補を掌で転がす愉悦にライダーは酔いしれていた。
そして、そんな愉悦は一つのアイデアを導き出す。
「だが…それでもお前が小娘共を助けたいっていうなら…別の物を張るしかない」
これは単なる余興だ。
ビッグマムが一番に欲する物は何時だってお菓子と他人の魂(ライフ)。
この状況なら別にこんな事を言わずとも簡単に奪えるだろう。
だが、彼女は敢えてそれをしない。理由は一つ、目の前の男が滑稽だからだ。
踊れ、踊れ。精々踊っておれを楽しませて見せろ。
命乞いをするときのコツは命を握るものを納得させるか、愉しませるかの二択なのだから。
寿命を捧げる、その概要を伝えたプロデューサーの顔が絶望に染まる。
何時だって、ビッグマムに敵対したものはこんな絶望の表情を浮かべていた。
彼女にとって、とても慣れ親しんだ顔だった。
そして男は暫くの間俯き―――顔を上げると、彼女にこう告げた。
「九割だ」
「何?」
「俺の寿命の九割を―――貴方に差し上げます。それで、彼女たちの処遇を不問にして頂きたい」
ほう、と。
マムの中で、俄かに目の前の男の評価が上がる。
無論、道化としての、だが。
一番に欲しいと思っていたのはサーヴァントの魂だが。
マスターの魂をコレクションするのも悪くはない。
だが、どうせ奪うのならもう少し揺さぶって遊ぶこととする。
「お前良くモノ考えて言ってんのかい?言っておくがおれは一度奪った寿命は絶対に返さねぇ…それが海賊だ」
「……ライダーさん、俺は何も覚悟もせず此処へ来たんじゃない。俺の役目を果たすために…
これから起きる全てを見届けるために、此処へ来たんです。全ては、覚悟の上です」
「そこまでして礼儀知らずの小娘共を助ける理由が何処にあるってんだ?」
「―――貴方の目にはそう映るのかもしれない。でも、俺にとっては何より重要な事です。
曲がりなりにも、俺は彼女たちのプロデューサー…だったから」
稀代の女海賊を見上げるその視線に、もう絶望も恐怖も宿っては居なかった。
ただ真っすぐな瞳で、マムを見上げていた。
それはある意味であのクソ生意気な犯罪卿に似ていたけれど。
不思議と、苛立ちなどは湧いてこなかった。
自分の身の程を弁えているからか、それともこの男が元々持っている力なのか。
何方かはハッキリしないものの、成程、この男もまた可能性の器の一人という訳かと得心が言った。
「だからちょっと待てやァ~~!!何Pたんはさっきから俺の事無視して話進めようとしてんだァ~!
超立腹(ぷんぷんまる)だぞこのガムテ様はッッ!!!」
「この男は今おれと話をしてんだ!!ガキは黙ってなッ!!」
意を唱えるマスターを一蹴して黙らせる。
先の事務所では自分を押しのけて勝手な決断をした意趣返し。
再び魔力供給をカットされてもおかしくはなかったが、意外にも彼はあっさりと引き下がった。
鬱陶(ウゼッ)とだけ吐き捨てて、顛末を見守る事としたらしい。
それを確認してから、再び口の端を釣り上げてマムはプロデューサーに向き直った。
「なァるほど……覚悟は決まってるってワケだ、いいだろう。
非道な海賊の世界に正義なんてモンはねェが仁義はある。ここで手を出せば恥を掻くのはこっちだ。
礼儀と筋道さえ通ってりゃあ話の分かる女何だよ、おれはね!」
「……寛大な処分を、期待します」
「ハ~ハハハマママ…良いだろう。だがお前、おれがこのまま全部の魂を吸い取っちまうとは考えねェのかい?」
貴方はそんな事はしない、と。
投げかけられた問いに対して、男は穏やかな笑みで答えた。
「これでも、人を見る目は鍛えてきたつもりです。
貴方は自称の通り話の分かる方だ。そんな貴方を信じようと思った。
ただ、それだけの話ですよ」
勿論、リンボから齎された情報により彼女が自分に人質としての働きを期待しているのは知っている。
それを承知した上での、本心からの発言だった。
余りにも甘く、根拠に薄く、命を掛けるに値しない理由。
しかしその言葉は長きにわたって万国を治めた彼女の為政者としての側面を大いに擽った。
「……此方からももう一つ、彼女たちのサーヴァントを倒す時は…徹底的に叩いてほしい。
サーヴァントがいる限り、彼女たちはこの戦いに関わり続けようとするだろう。
この聖杯戦争にもう関与しない、そう思うぐらい大敗を喫する事。
――――それだけが、彼女たちを戦いから解放する」
追い打ちの様に吐き出されるプロデューサーの言葉。
鋼の様な冷たい決意と覚悟が籠められたその言葉は虚飾やお為ごかしで言っていない事を示していた。
そして、そんな切実な懇願を、強大なる母の異名を持つ女は、変わらぬ豪快な笑みで答えた。
「ママママ…それに関しては完璧に叶えてやるさ!その間はお前の面倒もちゃんと見てやる…
だが、最後に一つ言っておく、おれは去るやつが大嫌いなんだ。逃げようとしたら必ず殺す
よく覚えておきな……!」
その宣言を最後として。
簒奪の歌が鏡の箱庭に響き渡る。
―――LIFE OR TERAT
ごっそりと。
自分の中から、大切な何かが抜けていく。消去されていく。
魂を奪われるとは、こんな感覚なのか。
恐怖はなかった。痛みもなかった。不快感さえ、ありはしなかった。
ただ、途方もない喪失感だけがそこにあった。
―――かくして、情けなく滑稽でつまらない男は、未来さえない身体となり。
その意識を、ブラックアウトさせた。
▼ ▼ ▼
あの犯罪卿の小僧のお陰で出鼻は挫かれたが、概ね順調に進行している。
稀代の女海賊ビッグ・マムは、そう考えていた。
傘下の主従はこれで二組目となり、
コレクションに加えたいと思っていたマスターの魂(ソウル)も首尾よく手に入った。
流石、聖杯に『可能性の器』として選ばれただけの事はあるマスターだ。
魂の輪郭がキラキラ仄かに光って、まるで宝石のよう。
自分のコレクションに加えるに相応しい一品だった。
「さァて、これでどんなホーミーズを作ろうかねェ……そのホーミーズに小娘共を襲わせるのも面白いかもね。ママママ……」
言葉の通り、ビッグ・マムに283のアイドル達を見逃すつもりは毛頭ない。
犯罪卿とその周りにいるサーヴァントを排除するまではあの男の仁義に免じて攻撃を抑えてやってもいいと思っている。
だが、そこまでだ。その後の事は、奴とは何も約束していない。
サーヴァントを喪い無防備になった小娘たちをどう扱おうが此方の思うがまま。
自分が白と言えば黒も白となり、黒と言えば白も黒となる。
彼女はそうやって海賊として生きてきたのだから。
上機嫌で笑って、一度魂を仕舞う。
そして、傍らに詰まれた数千個のシュークリームを一口で平らげた。
甘いクリームに舌鼓を打ちながら、電子の海、SNS上にて思わぬ再会を果たしたあの男の背中を想起する。
一騎打ちなら自分よりも強いと言われていた、広い偉大なる航路で数少ない同格とも呼べる相手。
数十年にわたって浅からぬ関係を孕んだ、四皇の一人。
「ハ~ハハハマママ…お前も此処にいるんだろう?
カイドウ。
仲良く行こうじゃねェか、昔みたいに……」
マムはカイドウの事を弟のように思っている。
無論聖杯への道を邪魔するなら殺すが、今ではない。
それどころか生前ワノ国を襲撃した時のように、海賊同盟を再結成することを彼女は考えていた。
自分とカイドウが再び並び立ち、あの忌々しい犯罪卿どもを血祭りにあげる。
対等な同盟相手としては申し分ない。
無論、あの男も最初は嫌がるだろう。
殺し合いにさえ、発展する可能性は十分にある。
それでもヤツは何時まで経っても自分の弟分だ。
例え英霊として世界に召し上げられても、それは変わらない。
最後には肩を並べてこの聖杯戦争を荒らしまわる事となる。
思い立ったら早速行動だ。
マムは傍らの大きな鏡からその巨腕を突き出す。
場所は適当だ、新宿区からほど近い地点で巨大な鏡がある場所なら何処でもいい。
傍から見れば異様な光景だろう。
鏡の中から巨大な腕が出ているその光景は。
そして、突き出した掌から爆発的な”覇王色の覇気”を放つ。
バタバタと、鏡の向こうで人が倒れる気配を感じるが気にしない。
マムにとって、これは信号弾の様なものだからだ。
暫くこうしていれば、あの男は必ず気づく、気づけば必ず自分の前に姿を現すだろう。
自分がいて、あの男がいる。
ならば放っておいても必ず磁石のようにこの聖杯戦争と言う海は自分たちを引き寄せるはずなのだ。
偉大なる航路と何も変わらない。この混沌とした聖杯戦争においても。
必ず四皇は、シャーロット・リンリンとカイドウは。
時代のうねりを、嵐を呼ぶのだから。
【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)・鏡面世界内/一日目・夜】
【ライダー(シャーロット・リンリン)@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:ゼウス、プロメテウス、ナポレオン@ONE PIECE
[道具]:なし
[所持金]:無し
[思考・状況]
基本方針:邪魔なマスターとサーヴァント共を片づけて、聖杯を獲る。
1:あの生意気なガキは許せないねえ!
2:ガキ共はビッグマムに楯突いた事を必ず後悔させる。
3:
北条沙都子、プロデューサーは傘下として扱う。逃げようとすれば容赦はしない。
4:カイドウを見つけて海賊同盟を結成する。
※SNSの画像よりカイドウがいる事を確信しました。
※鏡面世界から腕を出して新宿区近くの鏡のあるポイントから覇王色の覇気を送っています。
具体的に何処で行っているかは後続の書き手にお任せします。
▼ ▼ ▼
「―――誰かが井戸に毒を入れた…!」
「慶蔵さんやお前とは直接やり合っても勝てないから…あいつら酷い真似を!」
「惨たらしい…あんまりだ!!恋雪ちゃんまで殺された!!」
「生まれ変われ、少年」
「―――弱いやつが嫌いだ。醜い。辛抱が足りない」
「正々堂々やり合わず、井戸に毒を入れる。醜い」
「すぐ自暴自棄になる。護る拳で人を殺した」
「師範の大切な素流を血まみれにして、親父の遺言も守れない」
「きっと治す。助ける。護る。俺の人生は妄言を吐き散らすだけの、くだらない物だった」
▼ ▼ ▼
「……夢、か」
ぼんやりと。
闇の底から浮かび上がった意識で、上体を起こす。
身体を動かすのにに支障はない。何処にも痛みはない。
だがやはり、全身を言いようのない喪失感が包んでいるのは確かだった。
「ヤッホ~☆Pたんグッドモ~ニ~ング!!」
傍らから、ひょうきんな子供の挨拶を投げかけられる。
其方の方向を見てみれば、ライダーのマスターと思わしき少年がお道化た調子で此方を見下ろしていた。
怒りを浮かべていた先程までとは打って変わった豹変っぷりであった。
「……あぁ、おはよう。俺に、何か用かな」
「いんや~あの話の通じねェババアに話(ナシ)付けたワルのPたんに伝えたいコトがあってな~
おっと、その前に九割死んだ気分ってどんなん?ボクチン知りたァ~い!!」
そう言って、ガムテは猿のように上体を起こしたプロデューサーの周りを跳ね回る。
その姿はやはり、頭の螺子が飛んでしまった『可哀そうな子供』にしか見えない。
そんな彼の姿とは対照的な澄んだ、穏やかな態度でプロデューサーは語り掛ける。
「―――思ったより、悪くはないよ。これで一つ、ようやく決まった気がする。
それで、俺はこれからどうなるんだろうか」
「ン~別に?俺たちに協力するならババアのコトもあるし偶像(ドル)共との抗争(センソー)まで自由にしててい~ぜ?見張りはつけるけどな~~」
自由にして良いとは言ってはいるが、恐らく事実上の監禁となるだろう。
見張りをつけると言う言葉から、プロデューサーはそう汲み取った。
最も、元より昼間は拠点で余り行動しなかったため、今も状況的にはそう変わりないのかもしれない。
強制されているか、そうでないかの違いだけで。
とは言え、今の自分にはどうしても話がしたい人間が一人いる。
「それなら、どうしても話がしたい人が一人いるんだ。見張りでも何でもつけてくれて構わない。
話が終わったら君達の元へ自分の足で帰ってくることを約束するよ」
「おっ!ひょっとして偶像(ドル)かァ~、この色男(ヤリチン)!
ン~~まっ!快諾(イ)~か!!でも俺の用事が終わってからだなァ~」
「……何ていうか、少し意外だな。俺が逃げるとは思わないのか?」
「非実在(ナイナイ)☆アンタは必ず約束を護る。オレ達もう仲間(ダチ)…だろ?」
―――この少年は。やはり、見た目通りの道化ではない。
言葉の端々から滲み出る彼の知性を、プロデューサーは感じ取っていた。
彼に宿る、普通の子供では決して持ちえない雰囲気。
この雰囲気を身に着けるまで、彼は一体どんな人生を歩んできたのか。
そう強く感じるのは、ガムテという少年の尋常ならざる気配を隠す巧さにも起因していた。
こんなにも、唯のお道化た少年ではないと感じているのに。
彼の一挙手一投足の度に、ただのお道化た少年ではないかと錯覚しそうになる。
もし意識的にやっているなら、相当な食わせ者だ。
そうして注視していると、彼と視線が交わる。
そして交わったその視線が―――狂気と愉悦に歪む。
「あ、そ~だァ……お仲間になるならこれは神託(オチ)えとかね~とな~」
先ずは瞳。その次に口が。
ぞっとする程冷酷に、残酷に、笑みを形作る。
不吉の鐘の音が、プロデューサーの脳裏を駆け巡る。
だが、動けない。まるで手足は石になったかのように、動いてはくれなかった。
そして、ガムテは一欠けらの容赦もなく、普段通りのお道化た調子でそれを伝えた。
「Pたんの事務所に白瀬咲耶ってブスがいただろォ~。アレ殺ったの、オレ」
目が、見開かれる。
この瞬間。
心のどこかで思っていた、咲耶はまだ生きているではないかと言う考えは残酷な形で裏切られる事となった。
「…………ッ!!!なんで…ッ!!!」
ほとんど無意識のうちに、ガムテに掴みかかる。
さっきまで鉛のように重かった腕が、今は弾けるように軽やかに動く。
少年は動かない。
男の腕など止まっているように見える程遅いが、わざとされるがままになっていた。
その事もあり、男の両手は自分が持っている全力で目の前の少年の服を掴んだ。
このまま力を籠めれば、きっと殺せるだろう。
白瀬咲耶の仇を、撃つことができる。
しかし彼はそこで気が付いてしまった。
「……っ、なん、で……ッ!!」
己の手もまた、血に塗れていることに。
目の前の少年を糾弾できるような立場では、自分は決してない。
自分もまた、多くの願いと命を踏みにじって此処に立っているのだから。
その事に気づいてしまえば、もうダメだった。
掌から力が抜けていく。頭(こうべ)が下がり、十字架を背負わされた罪人のように項垂れて。
そんな彼の姿を、掴みかかられた本人は、ガムテは無言のままに見つめていた。
さっきまでのお道化た表情はなく。
彼が認めた”パパ”輝村極道の様な冷たい瞳で見下ろしていた。
そして、ぽりぽりと頭をかいた後、プロデューサーの鳩尾に膝を叩き込んだ。
「ッ……が……はッ!!!」
痛烈な痛みに崩れ落ち、冷たい床でもがき苦しむプロデューサー。
そんな彼に、べぇと舌を出して、ガムテは吐き捨てる。
如何にも興覚(ナエ)たと思っていそうな、そんな顔だった。
「意味不(イミフ)な事聞くなよなァ~Pたん。これは抗争(センソー)だって聖杯に言われただろ?
だから、Pたんも一杯殺してきたんだろ~が。
んじゃッ!ボクチンもう一人友達(ダチ)作りに行ってくンね~」
そう言って殺人の王子はくるりと踵を返す。
伝えたい事はもう終わったと言わんばかりに。
だが、その離れていく背中をプロデューサーは何もせず見送りはしなかった。
腹部の鋭い痛みをこらえて、少年の背中に叫ぶ。
「待て…!待って、くれ……!さく、や…咲耶は……」
男の叫びに、ガムテは振り返らない。
振り返らないまま、ただ返事を返す。
「強かったよ」
「あの女は、予選で戦ったマスターで、一番強かった」
「ライダーをあれだけ追い詰めたのはあの女だけだ。だから、全力で罵った。全力でブッ殺した」
「それが殺し屋としての、最大の礼儀だ」
▼ ▼ ▼
「―――ガムテ、新宿の付近にいた子たちだけど…やっぱり死んでたわね。」
「了解(りょ)。しっかし随分派手に激突(ドンパチ)ったもんだな」
「えぇ、新宿は酷い有様よ…それ以外は全員偶像(ドル)達の傍に着いたわ。
ガムテ、貴方の命令一つでいつでも全員攻撃に移れる。今更アイドルが十人程度消えたって誰も気にしないでしょうしね」
「オーケー。取り敢えずPたん拉致って向こうがどう出るかだなー。一応ババアが約束もしてるしィ~」
取り敢えず、向こうの出方を見る。そう言ってガムテはスマホの通話を打ち切った。
都内各所に散らばったグラス・チルドレンは既に283関係者の自宅付近に配置が完了した。
後は自分の命令一つでいつでも攻撃に移れる。
だが、だからといって攻勢を焦ったりはしない。
別に破っても構わないが、プロデューサーとの約束がある。
グラス・チルドレンより送られてきた情報…新宿で大暴れしたらしいマスター・
峰津院大和の対策も急務だ。
一度斥候を送り、それが帰ってこなかった時から彼の男がマスターであることは予想していた。
だが、此処まで考えなしに大虐殺を行う男だとは思っていなかった。
これで黙っていれば殺しの王子様(プリンス・オブ・マーダー)の名折れである。
そして何より、新宿の一件で恐らくライダーのお菓子の調達に更に人員を裂かなければならなくなるだろう。
新宿の製菓子工場が止まるだけならまだいい。
しかし流通が止まれば、あのライダーはまた激怒して何を言い出すか分からない。
既にお菓子の調達は基本的にネットからの仕入れに移行していることは不幸中の幸いだった。
だが、都外から送られてくるお菓子を各地で受け取る役目は更に重要性が増した。
受け取りさえすれば、後は鏡面世界を通じて一気にライダーの元へと届けられるのだから。
そんな思案を巡らせていると、隣に立つ黄金時代から声を掛けられた。
「で、これで私はガムテさんのお仲間として正式に認められたという事でいいんですの?」
「勿論(モッチロン)、疑ってるなら悲哀(ぴえん)だぜ、黄金時代(ノスタルジア)」
「そういう訳では御座いませんけど…リンボさんも私も、殆ど何もしていませんもの」
「Pたんをここまで連れてきてくれただけでジューブンジューブン、
正式に仲間になった証に、黄金時代はミラミラワールド、自由に出入りできる様にしてやるよ」
そうこなくては。
黄金時代(ノスタルジア)こと沙都子は、同盟者の少年の言葉に笑みを深める。
殆ど何もせず、安全かつ便利な拠点を手に入れる事ができた。
情報収集も割れた子供達と、この鏡面世界があればぐっと楽になる。
孤軍である自分に足りなかった安全な拠点と情報源、両方を一度に手に入れたのだ。
「それで、プロデューサーさんの処遇はどうなさるおつもりですの?」
「Pたんか?ま、暫くは監禁(ピーチ)状態だろ~な~外に出すとしても俺と一緒だ
手足の二本くらいぶった切っても良かったケドォ…あのババアが変に乗り気になった以上面倒臭いんだよな~~」
ガムテからすればまたライダーの機嫌を損ねて仲間を差し出すことになるのは避けたい。
完全に安全を求めるならあのプロデューサーの手足を切って転がしておくのが最善だろう。
だがそれがライダーの耳に入ればあのババアはまた何を言い出すか分からない。
おれに恥をかかせたね!と逆上して仲間の魂を簒奪しにかかってもおかしくはなかった。
それを考えれば、一先ずはこの鏡面世界、或いは拠点のマンションに軟禁と言う形にせざるを得ないだろう。
ともあれ、逃げようとする様子も逆らおうとする様子も現状では見られない。
外に出すには自分が監視につく必要はあるだろうが……
現状では態々強硬な手段を取ってあの男のサーヴァントと波風を立てる事もない。
自発的に協力してくれるならそれが一番リスクが少なく、うまみも大きい選択肢であるのは確かだ。
一番の目標であったプロデューサーの身柄を確保は達成されたのだから。
その上、偶像(ドル)共の身の安全と撮影した動画と言う二重の『首輪』も用意した。
(バンダイッ子、テメ~にゃ切り札はあるか?俺のはPたんだ)
裏切るリスクで言えば、傍らの黄金時代の方が余程高いとすらいえる。
それに、今自分が描こうとしている絵図はプロデューサーが五体満足でいてくれた方が都合がいい。
そのため、目下プロデューサーに対する最大の問題は裏切り防止のための動画を公開するか否か。
後悔しなければ人質としての価値は高いが、万が一身柄を奪取された場合プロデューサーに向こう側に寝返る余地を与えてしまうかもしれない。
逆に公開して敵に回った事を宣言させてしまえば人質としての価値が薄くなるが、相手方のマスターに相当な混乱が見込めるだろう。
上手くいけば見捨てたいサーヴァント達と何とか助けようとするマスターの間に亀裂を入れられる。
強力なカードだが、使いどころが悩ましいものだ。
そう思いながらガムテはこっそりプロデューサーから奪っておいた動画の眠る彼のスマートフォンを掌で弄ぶ。
「まッ!面倒臭(シリアス)えな事は今は考えなくてイっか~!
取り敢えず、もう一人同盟(スカウト)したい奴がいるしな~っと」
「?まだ仲間に引き込めそうな方がいますの?」
「うんッ☆こいつこいつ~~!今のうちにイカした名前(コールサイン)考えとかないとな~」
そう言いながらガムテはSNSのアプリを起動し、その画面を見せてくる。
だが、画面を見せられた沙都子は訝し気に眉を顰めた。
その相手はある意味、有名人だった。
と言ってもいい意味ではなく、悪い意味で。というかお尋ね者だった。
一見すれば、引き込む価値があるようには思えない。
「この方、大勢の人に追われているようですが……」
「ンなもんこの鏡面世界(ミラミラ・ワールド)にくれば関係(カンケー)皆無(ねー)だろ?
新宿抗争(ジュクセンソー)でうやむやになる前にこっちに引き込む」
「そうまでしてこの方を引き込む価値があるのかは分かりませんけど……ガムテさんの判断であれば否やはありませんわね。あ、後で新宿で何があったかちゃんと教えてくださいまし」
沙都子の揶揄するような言葉も、ガムテは特に気にしない。
肩をすくめて、「勿論あるさ」とだけ答える。
そして、画面に映る少年を身ながら、鏡の前に手をかざして映る光景を切り替えていく。
網を張る範囲は少年の潜伏先と思わしき中野区周辺。それも人気のない所。
その近辺を庭としている割れた子供達に情報を提供させ、隠れられる場所や廃屋をピックアップする。
後はその地点の座標を地図アプリで割り出し、虱潰しで攫っていく。
人のめったに来ない様な倉庫や廃屋は反射物も少なく、チェックしやすい。
映す場所さえ決まっていれば、ミラミラの実の能力は絶大な効果を発揮するのだ。
「発見(み~)つけた☆」
ガムテがこれから同盟(スカウト)に望む理由は二つ。
まず、あの犯罪卿を速度と物量で押しつぶすためだ。
それが今、聖杯戦争を勝ち抜くうえでガムテが描いている計画であった。
その為には、もう少し戦力(サーヴァント)が欲しい。
故にこうして、同盟を持ちかける。
ライダーの方にも何某かのアテがあるようだったが、まるで信用ならない。
無邪気に任せていたら身の破滅を招く。故に自分が動くほかない。
そして、もう一つ。
沙都子の言葉の通りかの少年を仲間に引き込むメリットは薄い。
それに加えて、相手は数時間ばかり前に割れた子供達の構成員が襲撃していると言うのだから猶更だ。
交渉は困難かもしれない。
成功しても、この鏡面世界に匿い他の割れた子供達と接触させないようにする必要があるだろう。
だがガムテは元より、余り成功は期待していなかった。
交渉の目的は写真の少年に対する、ガムテ自身のスタンスを決定する方が比重が大きい。
ガムテにとって、彼は紛れもなく『割れた子供』であった。
ならば助ける。自分は、全ての割れた子供の味方であり、王なのだから。
しかし同時に、彼は割れた子供たちの命を奪った敵でもある。
仲間を殺した敵か、救うべき割れた子供か。
それを見定める必要があった。
そして、彼が自分に手を伸ばすのなら。
元より先に仕掛けたのは此方だ。
遺恨はやむを得ぬ犠牲として受け止め、自分は彼の少年の手を取ろう。
大人たちに追い立てられ、社会に見捨てられ。
肝心な所で運命に嫌われる。
法も国も大人運命も、誰も俺たちを救ってはくれなかった。
だからこそ、俺が救う。
そんな矜持(プライド)を胸に、廃屋の窓ガラスの向こうに映る子供を静かに見すえる。
…鏡の向こうの少年が此方に気づいていないことを良い事に、まず周囲を伺う事をガムテは優先している様子だった。
そんな彼の背中を見て、北条沙都子は何故彼がレナや圭一に慕われていたのか、分かった気がした。
ほんの一瞬だったが、彼が少年に向けていた瞳。きっとあの瞳こそ―――。
この、壊れた少年の真実なのかもしれない。
あくまで推測。それも一瞬の事だったので信憑性は薄いが。
もしそうであるなら、それは明確につけ入る隙になる、と沙都子は感じていた。
だけれど。
(……思っていたより損な性分ですわね、ガムテさん)
狂った、壊れた、つかみどころのない少年の微かに見えた輪郭。
その輪郭を蔑んだり、揶揄する感情は不思議なほど湧いてこなかった。
ただ、苦笑を浮かべて。
索敵が終わり、少年に語り掛けようとするガムテの横顔を見つめる。
かくして、ゆっくりと口を開き、此方に背中を向ける『
神戸あさひ』に向けて、ガムテは口火を切った。
「ハァイ…昆布アイス☆こんばんちわ~~!!」
【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)・鏡面世界内/一日目・夜】
【ガムテ(輝村照)@忍者と極道】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:地獄への回数券。
[道具]:携帯電話(283プロダクションおよび七草はづきの番号、アドレスを登録済み)
[所持金]:潤沢
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:神戸あさひをこちら側に引き込む。断られたらしゃーなし。
2:283プロへの攻撃は今は控えさせる。でももう新宿抗争(ジュクセンソー)があったし良いかな
3:あのバンダイっ子(犯罪卿)は絶望させて殺す。
4:黄金時代(北条沙都子)に期待。いざという時のことも、ちゃんと考えてんだぜ? これでも。
[備考]
※ライダーがカナヅチであることを把握しました。
※ライダーの第三宝具を解禁しました。
※ライダーが使い魔として呼び出すシャーロット・ブリュレの『ミラミラの実の能力』については以下の制限がかけられています。界聖杯に依るものかは後続の書き手にお任せします。
NPCの鏡世界内の侵入不可
鏡世界の鏡を会場内の他の鏡へ繋げる際は正確な座標が必須。
投射能力による姿の擬態の時間制限。
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に業】
[状態]:健康
[令呪]:残り3画
[装備]:トカレフ@現実
[道具]:トカレフの予備弾薬
[所持金]:十数万円(極道の屋敷を襲撃した際に奪ったもの)
[思考・状況]
基本方針:理想のカケラに辿り着くため界聖杯を手に入れる。
1:最悪脱出出来るならそれでも構わないが、敵は積極的に排除したい。
2:割れた子供達(グラス・チルドレン)に潜り込み利用する。皮下達との折り合いは適度に付けたい。
3:ライダー(カイドウ)を打倒する手段を探し、いざという時確実に排除できる体制を整えたい
4:ずる賢い蜘蛛。厄介ですけど、所詮虫は虫。ですわよ?
▼ ▼ ▼
人質とは言え不自然なほどに甘い自分への対応。
自分を此処へと連れてきた、自由に出入りできる鏡の世界。
そして少年が言っていた『友達作り』
それらにアルターエゴ・リンボの口より伝えられた割れた子供達という組織の情報を組み合わせる。
組み合わせた上で、自分が勝ち残るとしたらどうするかにつたない思考を巡らせる。
自分がもし、手元にあるカードで犯罪卿との睨み合いを破綻させるとすれば―――
「―――――やっぱり、これしかないな」
ぽつりと、独り言ちる。
「何一人でぶつくさ言ってんだこのホワイトカラー野郎」
誰に言ったわけでもない完全な独り言だったが、それを目ざとく聞いていた者がいた。
先程出会ったガムテと言う少年の仲間らしい、これまたガムテープを顔中に巻いた茶髪の少年。
彼は自分の事を『解放者(リベレイター)』と名乗った。
「いいか、最初に言っておくが俺たちはお前の事なんてこれっぽっちも信用してねぇ
何か妙な真似したらガムテに命令されるまでもねぇ、俺がお前の頭をカチ割ってやる」
ブン!と。
ありったけの敵意を籠めた瞳で解放者はそう宣言して、プロデューサーの眼前にバットを振りかざす。
まだ喋った事もないのに、随分と嫌われているらしいと、プロデューサーは感じた。
もっとも、その敵意は正当な物であるとも。
「…すまない。気分を害したなら謝るよ」
「フン!言っとくがこの階には爆弾が仕掛けてある。俺たちを殺したとしてもその瞬間にドカンだ。
サーヴァントがいたって関係ないからな」
「辞めなよ解放者君…私の事はもういいから」
プロデューサーの見張り役として選ばれたもう一人。
礼奈(レナ)と呼ばれた少女が、解放者を宥める。
今、プロデューサーは鏡面世界を一度追い出され、高級マンションの一部屋に監禁されていた。
縛られたり等はしていないが、部屋の外に出ることは許されてはいないし、見張りも二人つけられている。
ランサーの霊体化も現在は許可されていない。
自分の用事が終わるまで此処で大人しくしていろと言うのが、ガムテからの言だった。
「心配しなくても君達が約束を守ってくれる限り、逃げたりなんてしないよ。
……俺とランサーが生き残るには、ガムテ君の力が必要だ」
集団の中に潜り込み、消耗を避ける。
それを目的とするなら今の環境はある種理想的ともいえる。
此処にいる限り、他の主従が攻めてくることは非常に困難だ。
人質としての立場もあり、鉄砲玉として狩りだされる恐れも低い。
彼らにとって自分の今の立場は、斬り捨てても痛くはないが、使い潰すには惜しい程度のカードだろう。
無論従順に従っている限りだとか、犯罪卿を始末するまでだとか様々な制約はあるにせよ、だ。
(……だけど、今のままじゃ先がない)
この立場も永くは続かないであろうことは承知している。
283事務所関係者のマスター達と雌雄を決すれば、必ず自分を使いつぶしに来るだろう。
勝ち抜くうえで、それだけは絶対に避けねばならない。
もしそうなってしまえば、本当に詰みだ。
『―――ランサー、少しいいか。これからの事を話したい』
だから、その状況を阻止するために策を撃つ。
あの日自分が追いかけられなかった七草にちかがいると知った時から考えていた最終ウェーブ。
それを踏襲した上で、現状を打開し、優勝へと進むために拙い頭脳を総動員して導き出した一手。
だがその遂行にはランサーの協力が不可欠だ。
そのため、自分の傍らで腰掛け微動だにしないランサーに念話を送った。
ランサーは様子を一切変えることなく、念話で『何だ』と尋ねてきた。
『まずは、ありがとう。俺の事を信じて、耐えてくれて
君のお陰で、俺たちはあのライダーに近づくことができた』
猗窩座は答えない。
彼がマスターの危機に動かなかったのは、偏に動いたところで状況が好転しないからだ。
一目見ただけで、否、見なくともわかる。あれは規格外だ。
鬼の始祖である
鬼舞辻無惨ですら、あれには遠く及ばない。
もし事を構えれば、マスター共々消される。そう判断しての事だ。他意はない。
故に無言を貫こうと考えたが―――続いたマスターの言葉は流石に沈黙を決め込めるものではなかった。
『あのガムテ君の狙いが分かったかもしれない。
それを踏まえた上で、これからの事を話そうと思う」
『――話してみろ』
切り出す前に、解放者と礼奈の様子を伺う。
二人とも、ランサーとの会話には気づいていない様子だった。
念話で話してしまえばNPCには話しているかの判断がつかない。
バレないようにポーカーフェイスを作りながら、話を切り出す。
『まず、ガムテ君たちは283の誰かのサーヴァント…犯罪卿というサーヴァントから牽制を受けてるらしい。283の関係者に手を出せば他の主従に狙われるぞってね』
その情報はリンボから聞いたものだ。
真偽のほどは定かではなかったが、自分を人質として欲する動きとライダーの発言から真実であると推し量る事ができた。
『……だから多分、そうなっても関係ないよう仲間を募ってるんだ。
最低でも、犯罪卿と決着をつけるまでは』
『何かと思えば、数で勝負ときたか』
『でも、有効だ。そして―――仲間の数はそこまで多くなくていい。
彼らには、東京中を自由に行き来できる能力がある』
恐らく、仲間に引き込むとしてもあと2、3騎程で十分だと判断するだろう。
余り集めすぎても船頭多くしてなんとやら。
一つのイスを争っているのを考えれば大人数を集めるメリットは薄い。
『多分、一騎や二騎じゃ覆せない程度の戦力。それだけ揃えば彼らは行動に出るはずだ。
あの鏡の中の世界を使って』
反射物を通り道にできる射程が東京全土なら、数時間おきに拠点を転々とすれば先ず捉えることはできない。
この拠点を特定し、復讐の主従で取り囲んだ時には既にそこはもうもぬけの殻になっているのだから。
都内を行き来するのにかかる時間は僅か数十秒だ。
その速度の前には犯罪卿の牽制など何の抑止力にもならない。
後は淡々と他の主従の居場所を割り出し、複数の自陣営で個別撃破を繰り返す。
相手に自分の運命を悟る暇すら与えない。
動にかかる時間が自分と同じ数十秒程度であるのなら。
標的を撃破し、次の攻撃ポイントに移るまで多く見積もって数分。
一時間もあれば、十か所以上に連続攻撃を仕掛ける事ができる。
その攻撃速度にはどんなサーヴァントも、マスターも付いて行けないだろう。
『俺を今の所自由にしているのは、その為でもあるんだろう
俺も一先ず、彼等に協力しようと思う、でも』
あの少年が自分に危害を与えていないのは、他の同盟者への抑止力としたいのではないか。
それがプロデューサーの立てた仮定だった。
この計画にあたって、最も怖いのは内部からの裏切りだ。
それを防ぐにはお互いを監視し合う他ない。
そして同時に、計画をプロデュースした側からもある程度の信用が必要となる。
即ち、計画に参加している間は非戦協定を守ると言う信用が。
そんな時に、自分がズタボロの格好で出ていけば彼は他の同盟者からの信用を喪うだろう。
彼は公平である必要はないが、公平感は演出しなければならない立場なのだ。
『……ガムテ君たちの準備が整ったとき、先ず攻撃を受けるのはあの子たちだ』
あの子たちとは勿論、283プロダクションのアイドルに他ならない。
犯罪卿も、この鏡面世界のからくりには気づいていないだろう。
知っているなら、283の情報セキュリティをもっと強固にしていた筈なのだから。
そして、気づくことができなければ、彼女たちはまず間違いなく皆殺しにされる。
自分に対して交わした約束など、何の気休めにもならない。
よしんば割れた子供達やライダーが見逃したとしても、他の同盟者の聖杯狙いは知った事ではない。
消耗を避けるために、進んで彼女たちを排除しようとするはずだ。
『――――だけど、』
腹のそこから響いてくるような、低い声だった。
少なくともアイドル達の前ではどんなことが会っても発しない類の声だった。
分かっている。
にちかのために、全てを裏切ると決めた自分が、こんなことを考えるのは烏滸がましいと。
でも、それでも。
言わずには居られなかった。
例えどんなに恥知らずな言葉でも、吐かずには居られなかったのだ。
単純に優勝するため、だけではない。
自分が幸せにできなかった七草にちかがいるかもしれない。
それが分かった時から考えていた事があった。
だが、アイデアは漠然としていて、それを選ぶ踏ん切りが付かなかった。
今は違う。
皮肉にも、己の身体に未来が亡くなった事で道は拓かれた。
七草にちかを幸せにして。少なくとも聖杯戦争に参加した他のアイドルがこの東京から脱出できる方法を思いついたのだ。
だから、彼は静かに宣言する。
『そんな事は、させない』
そのための布石は、用意してある。
『……どうやってだ』
『さっき用意した、キミが持ってる物を使ってだ』
『…これか』
そっと掌で隠しながら、伸びをするふりをして、ランサーは右の腹の下を摘まんだ。
ぶじゅりと、指が沈み込む。
そして、体内からある物が微かに見えた。
板状の物体。
スマートフォンと呼ばれる電子端末。
それは、プロデューサーが元々持っていたものではない。
数時間前に謎の人物――恐らく犯罪卿から与えられたものだ。
『俺が持ってるスマホは渡してしまったけど…そのおかげでキミはノーマークだ。
それで彼らの情報を犯罪卿へ流して、彼らを誘導する』
元々は、いざと言うときに誰か助けを呼べたらいいな。
そう思ってこの高級マンションに来る前にランサーに持たせていた物だった。
連絡はできる事なら声の出す必要がないメールで行いたい。
いざとなれば、確定でマスターだと知っているにちかにメールすることになるだろう。
アイドルの連絡先なら、全て暗記している。
『奇襲前に彼らが現れるポイントとタイミングを伝えることができたら
少なくとも彼女たちは戦場から逃がせる。上手くいけば、待ち伏せにして混戦状態にできる』
アイドル達のサーヴァントが乗ってくる可能性は高い。
彼等からすれば裏切り者の自分を切りたくて仕方ないだろう。
だが、状況は彼等の想定よりも水面下で深刻化しているのを伝えれば乗って来ざる得ない。
タネが分かっていても反射物などこの街には幾らでもある。
一度補足されてしまえば対策は難しい。
そして、手品の種を知っていることが分ればそれに応じた手をガムテと言う少年は打ってくるだろう。
彼を倒さなければ、神出鬼没のサーヴァントに彼等はずっと着け狙われる事となる。
そうなればいずれ守り切れなくなる時が来る。
それを避けるには、自分の情報が生命線となるのだから。
『本当は、衝突の瞬間はできる限り先延ばしにしたいけどな。ガムテ君が脱落しても、先はまだ長い』
ライダーの力を借りながら終盤まで力を温存しつつ、競争相手が少なくなった終盤に283のサーヴァント達と対消滅刺せるのが最善の進行だ。
だが、そう都合よく彼(ガムテ)がより危険視してくれる敵が現れる望みは低いだろう。
―――ハッキリ言って、作戦そのものが正気ではない。例え最善の過程で事が進んでもだ。
何しろプロデューサーは、283にどれだけの戦力がいるのか知らないのだから。
そんなギャンブルの様な作戦に、自分も含めたアイドル達の命をオールインしようとしているのだ。
皆のプロデューサーであった頃の彼なら、絶対に選ばないだろう選択肢。
しかし、今の彼は最早そうではない。
『―――何にせよ、混戦状態になれば、君の探知能力が活きてくる。
それを使って状況を誘導できれば…俺たちが場の権利を一度だけ握れる。
離脱するにせよ、消耗した生き残った方を討つせよ、チャンスが巡ってくる』
今の彼は優勝を目指す、『七草にちかだけのプロデューサー』となることを決めた。
ガムテらを仕留めれば、283のサーヴァント達も優勝への道を阻む障害だ。
彼女達はきっと、自分を止めようとするだろう。
プロデュースしてきたのは他でもない自分なのだから、それはよく理解している。
だから、アイドル達を戦場から遠ざけた上で、彼等には脱落してもらう。
サーヴァントさえ喪えば、彼女たちにもう聖杯戦争に関わる力はない。
そして彼女たちを聖杯戦争から遠ざけた上で優勝することができれば、現在のプロデューサーが描いている絵図へと到達できる。
だが、その前に。
ランサーに、どうしても確かめておかなければならないことがあった。
投げるべき問いは、おおよそマスターとして最低の部類だ。
今度こそ殺されるかもしれない。
だが、尋ねておかなければならなかった。
『ランサー…聞いておきたい。
君が、聖杯に託す願いは、何だ?君は聖杯に、何を望む』
数時間ほど前にランサーに真意を話した時と同じく。
真っすぐな声だった。
多くのアイドルを導いてきた、真っすぐな声だった。
その声を以て、彼はランサーに問いかける。
『……それが今の話と何の関係がある』
『直接的には関係は薄いかもしれない。でもこれから俺が君とやっていく上で重要な事なんだ』
『……………』
それは嘘も方便も介在しない、本気の声色だった。
きっと、この問いかけは真に重要な事なのだろう。
だから、少しの間をおいて、猗窩座は静かに答えた。
『願いは、ない』と。
『………本当にそうなのか』
『―――あぁ、俺の目的は聖杯背を目指す強者と戦い、至高の領域に至る事。
器そのものは、どうでもいい。些事だ』
『……ランサー、君は、恋雪さんと―――』
『誰だそれは。そんな者、俺の記憶の中に存在しない』
『……っ、そんな訳』
『くどい。これ以上食い下がるなら話は此処までだ』
恋雪。
その名前を聞いた時、こめかみに疼くような痛みが走った。
だが、どうでもいい。今のこの、猗窩座には関係のない話なのだから。
そう、本当に、関係のない話なのだ。そうあらなくては行けない。
だから、珍しく食い下がろうとする主の言葉を斬り捨てた。
追求の余地を潰して、本題へと入るように促す。
プロデューサーはしばらくの間押し黙っていたが、意を決したように再び口を開く。
『―――もし、本当に聖杯が託す願いが無いなら』
『君の分の聖杯を―――彼女たちのために使ってやってくれないか』
かくして吐き出された懇願は。
主として正しく厚顔無恥で失格とも呼ぶべきものだった。
要するに、一言で言うならば。
タダ働きをしろと言っているような物なのだから。
『この数時間。ずっと、考えてたんだ』
『にちかは、あの子を聖杯の元へと送り届けて―――
それで、あの子がちゃんと自分のために聖杯を使ってくれるかって』
そして、何度考えても。
『あの子は誰かを犠牲にしてまで自分の幸せを願う事のできる子じゃない』
向き合う事のできなかった自分でも理解しているつもりだ。
七草にちかという少女は、きっと。
例え幸せが目の前にあったとしても。それに手を伸ばすことができない。
他人の命がかかっているなら、猶更だ。
『そこで、彼女がもし、自分の幸せを願わなかったら―――君が、願ってやってほしい』
そのまま彼は言葉を続ける。
七草にちかが自分の知っている七草にちかではなく、自分たちが聖杯を獲った時の場合を。
『そしてもし、俺たちが聖杯を獲ったら―――俺はにちかの為に聖杯を使う。
そして君は…君が許してくれるなら……この東京にいる他の全てのマスターの、
帰還を、願ってやってほしい』
―――それが、彼が描こうとしている絵図の終着点だった。
全ては仮定でしかないけれど。
優勝者が決まった時点では、この世界は消失しない可能性は高いと彼は踏んでいた。
恐らく消失が始まるのは優勝者の願いが果たされ、界聖杯の役目が終わった時の事。
その前に、残存マスターの帰還を聖杯に願うことができたなら。
「―――にちかは幸せになれて、他のマスターも死なずに済む。それで殺し合いは終わる』
この絵図を描き切る事ができたなら、にちかは幸せになれて。他の宝石たちも死なずに帰還できる。
願い方を工夫すれば、咲耶だって救えるかもしれない。
大団円の道は、まだ消えたわけじゃない。
そんな優しいハッピーエンドの為なら、他には何も要らなかった。
自分の様な咎人の寿命など、迷うことなく捧げられた。
ただ、それは。
何処までも浅ましく図々しく恥知らずな願いを、ランサーにしなければならなかった。
『勿論、君が聖杯に何を願うのかは君に任せる。君の決断を尊重したい。
これは、彼女たちに筋を通したい俺の我儘でしかないから…でも、選択肢の一つとして考えていてほしい』
言いながら、我ながら本当に最低最悪の屑だなと自嘲してしまう。
自分の伸ばせる手は余りにもちっぽけで不確かだ。
大団円と言っても、NPCのアイドル達はきっと全員は護ることはできない。
本来なら、彼女たちも守り抜くべき存在であるのに。
しかし全てを賭して守り抜く、その銘を受けた椅子には、既に一人の少女が座ってしまっている。
そして、生と死の最前線ではその椅子はこれ以上は増やせない。
本当に、無力で、不義理に過ぎて笑みすら零れる。
宝石たちを裏切り、ランサーの主として振舞うこともできず、そして何より―――
「オイ!ホワカラ野郎!!何ニヤニヤ笑ってんだよ気持ち悪い!」
「……少しぼーっとしてたんだ。すまない。俺に何か用かな?」
「えっと…私達これから晩御飯にしようと思ってるんですけど。
貴方も……食べるのかな?かな」
自分の計画が成功すれば、目の前の二人もきっと死ぬことになる。
割れた子供達。
生きるためにナイフを握るしかなかった子供達。
自分や283のアイドル達の命を狙う恐ろしい殺し屋。そう再現されただけのNPC。
けれど。
それでもプロデューサーの目には、今の目の前の二人は、唯の子供に映った。
仲間が傷ついた事に怒り。
仲間のために戦い。
目の前の相手を気遣える、唯の子供だった。
283プロダクションの彼女たちと変わらない、血の通った唯の子供だった。
「……あぁ、実はお腹が空いてたんだ」
「そう、ですか。なら、貴方の分も用意しますね」
「チッ、コンビニのおにぎりで良いだろこんな奴」
ガムテ、と言う少年もそうだ。
最初に会ったときはこの少年は壊れている、素直にそう感じた。
でも、咲耶の最期を話す彼の背中は、目の前の二人に慕われる彼は。
傷ついた仲間のために戦い。
矜持(ほこり)を胸に戦い。
決して救われない、自分の様な大人が取りこぼしてきた子供達を背負って戦う彼には。
不思議と、憎しみだとか敵意とかは生まれてこなかった。
咲耶を殺した仇である事は分かっているのに。
侮蔑の感情は全くと言って良い程湧いてこなかった。
自分もまた、多くの命と願いを踏みにじって此処にいるのだから。
そして、それでもなお。
『この二人にも、ガムテ君も、消えてもらう。
あの子たちがマスターと知ってる人間は、全員』
彼等には、ここで消えてもらわなければならない。
自分の願いのために。辿り着こうとしている大団円のために。
その終着点には、彼等は必要がないから。
それは十分理解している。それでもその時の事を思うと、どうしようもなく心が軋んだ。
…それでも、為さなければならない。
どんな犠牲を払ってでも、一人の少女が幸福な未来にいるために。
その為なら、あの日の少女ではない彼女ですら、殺める決意をしたのだから。
決断の血は、自分が流す。地獄の特等席は、自分が座る。
……
田中摩美々は勿論。
櫻木真乃ですら、割れた子供達は人ではなかった。
自分と仲間の命を狙う恐ろしい殺し屋。怪物。あるいは影だった。
影だから恐ろしいと思うだけで済んだ。
でも、プロデューサーにとって、彼等はもう影ではなかった。
殺さなければ行けない敵であり―――人だった。
大多数の人間にとって、人は人を殺せない。
殺せるとしたら人とみなしていない、影だけだ。
人を殺せるとしたら、それは鬼だ。
事実猗窩座は何人も罪もない人間を貪ってきた。
だけれど、彼の主は鬼ではなかったし、鬼にはなれなかった。
それでも彼は鬼の道を歩もうとする。
彼にとって、それ以外の道を選ぶという事は。
あの日笑えなかった少女を諦めるという事だから。
そして、そんな様を見て上弦の参たる彼は思うのだ。
主が目指す未来。その未来には。
『――――――そこに、お前はいるのか』
そう、考えずにはいられなかった。
▼ ▼ ▼
――――未来を喪っても、不思議と心は凪いでいた。
俺は弱い。それは覆る事のない事実だ。
おおよそ、聖杯戦争を勝ち抜くのに必要なものは何一つ持ち合わせていない。
そんな俺が勝ち残ろうと思えば、代償としてはむしろ安いだろう。
過去も未来も、もう俺には必要ない。
必要なのは今と、奇跡に辿り着くための僅かな明日だけだ。
――――――靴に合わせないとダメなんです。
今ならわかる。あの時言っていたにちかの言葉が。
勝つために今の自分が何もかも足りないと言うなら、全く別の人間に変わるしかない。
例え、今までの自分を粉々にしたとしても。
全く違う人間であることが出来たなら、合わない靴でも走り続ける事ができる。
ランサーに語ったプランも、ある意味ではそれを狙っての事であった。
今はにちかと他の宝石たちを天秤に掛ければ、選ぶのはにちかだと言える。
だけれど、極限の状況下でそれを貫き通せるかは分からない。
貫き通せたとしても、心が揺れてしまう可能性は十分にありうる。
だから、例え彼女たちがどんな言葉で説得しようとも。
決して揺れる事の無いように。
後ろを振り返る事が無いように。
前だけを見て、ゴールを目指し進むことができる様に。
最後まで、七草にちかだけのプロデューサーであれる様に。
今の道を選んだのだ。
―――そうだ。絶対に選択を間違えるな。
きっとこれから先も、見えない月を追いかける、無明の雪原を行く道行となるだろう。
だが、今の自分に後悔も、諦観もない。
やるべきことは明白で、後は前進あるのみなのだから。
にちかは、幸せになるんだ。
分かっている。これは醜いエゴだ。
彼女だけのプロデューサーとして、彼女の夢を挫折と諦観では終わらせない。
例え、世界が彼女の夢を否定しても。
七草にちかが夢を見る事が愚かで間違いだと断じても。
自分だけは、それは違うと言い続ける。
…そうだ。
あの日、小さな肩を震わせて、笑う事すらできなかった彼女が。
沢山の人に愛されて、幸せになるべき彼女が。
何時か輝くステージの上で、強く笑えるように。
―――月(きせき)はなく、星(きぼう)もなく、道(みらい)は闇に溶けた。
しかしそれでも、それなのに、まだ体は鼓動を刻んでいる。
だから、宵闇に立つ男の胸に抱いたものはきっと祈りではなく。
独善的で、矮小で、どうしようもなく無価値な己へと向けた―――誓いだった。
【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)/一日目・夜】
【プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:覚悟、魂への言葉による魂喪失
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:リンボの護符×10枚
[所持金]:そこそこ
[思考・状況]基本方針:“七草にちか”だけのプロデューサーとして動く。……動かなくてはいけない。
0:にちか(騎)と話す。ガムテの用事が終われば彼とまた交渉を行う。
1:もしも、“七草にちか”なら、聖杯を獲ってにちかの幸せを願う。
2:時が来れば自陣営と283のサーヴァントを潰し合わせ、両方を排除する。
3:白瀬咲耶が死んだことに悲しむ権利なんて、自分にはない。
4:『彼女』に対しては、躊躇はしない。
5:序盤は敵を作らず、集団形成ができたらベスト。生き残り、勝つ為の行動を取る。
6:にちか(弓)陣営を警戒。
※リンボの護符は発動中1時間ほど周囲の日光を遮り、紅い月が現れる結界を出すことができます。
異星の神とのリンクが切れているためそれ以外の効果は特にありません。
※ソウルボーカスにより寿命の9割が喪失しています
【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:携帯電話(犯罪卿より譲渡されたもの)
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターを聖杯戦争に優勝させる。自分達の勝利は、何だ?
1:ひとまずは、合理的と感じられる範囲では、プロデューサーに従う。
時系列順
投下順
最終更新:2023年02月26日 01:07