神戸あさひとアヴェンジャーが廃屋に戻ってきた時、そこに光月おでん達の姿はなかった。
 しかしその理由はすぐに分かった。
 というより察しがついたと言った方が正しいかもしれない。
 新宿方面から響いてきた地鳴りと、違う区にいても聞き取れるほど大きな轟音。
 あさひでさえ瞬間的に悟ったほどなのだ。
 新宿で何か……とんでもないことが起きたのだと。
「……こんなことなら家にいればよかったな」
「だな。サムライどもめ、不器用キャラなんて今時流行んねーっての」
 あさひ達はその時外に出ていた。
 すっかりトレードマークと化してしまっているパーカーを脱いでバットを捨てて、その状態で買い出しに出てみることにしたのだ。
 もし意外とバレないようなら今後少しは安心と余裕を持って行動できる。
 バレてしまったのならその時はデッドプールが上手くやって、あさひを抱えるなり背負うなりして追手を撒く。
 あさひは最初反対したが、今後いつまでも廃屋に潜んでいるわけにもいかない。
 最終的にはあさひも納得しておっかなびっくり買い出しに出かけ……特に誰にもバレることなく目的を済ませて帰還することが出来た。
 そのことにあさひは心底安心したのだったが、結果としておでん達とはすれ違う形になってしまった。
「サムライどもの前では間違っても言えねえことだけどよ。あさひ、こいつは俺ちゃんにとっちゃそう悪くない展開だぜ」
「……っ」
 デッドプールがあさひにスマホの画面を見せる。
 それを介して新宿の現状を見たあさひは思わず息を呑んだ。
 あさひが思い出したのは数年前、自分がまだあの悪魔の巣で暮らしていた頃に起こった震災の映像だった。
 瓦礫の山がそこかしこに広がる凄惨な光景。
 自然災害かサーヴァントかの違いはあれど、画面越しに見る新宿の風景は見る影もない地獄絵図に姿を変えていた。
「民衆ってのはさ、バカなんだよ。めちゃくちゃバカ」
「これだけの被害が出てたら俺のことなんか忘れる……よな」
「少なくとも今までよりは格段に炎上の火力が弱まるだろうな。
 何処の化物が暴れたんだか知らねえが、ペニーズ・フロム・ヘブンってわけだ」
「……どういう意味だ?」
「棚からぼた餅ってことさ」
 あさひは決して悪人ではない。
 彼は人の痛みが分かる人間だ。
 だから新宿事変という降って湧いた幸運を諸手を挙げて喜ぶことは出来なかった。
 たとえそれが自分の願いの成就に近付く結果を生んでくれるのだとしても。
 見知らぬ誰かの不幸を足蹴にして喜ぶには、神戸あさひは優しすぎた。
「ま、流石に今夜くらいは大人しくしといた方がいいだろうけどな。
 明日になったら多少身なりに気を遣えば……よっぽど熱心な奴ら以外は気付かないと思うぜ」
「そんな悠長なことをやってて勝てるのかな……俺は」
「……さっきはあんなこと言ったけどよ。それでも俺は、基本的にはお前の願望に添ってやりたいと思ってる」
 本心だ。誓って嘘じゃない。
 そしてあさひもそこを疑う気はなかった。
「本当にどうしようもなくならねえ限りは勝ちを追うさ。俺ちゃんに任せとけ」
「分かった。……頼りにしてるよ、アヴェンジャー」
「え? 悪いもっかい言ってくれ、スマホで録音するから」
「調子に乗るな。バカ」
 苦笑しながらもあさひはデッドプールに感謝していた。
 如何に覚悟を決めたと言っても、彼はまだ二十年も生きていない子供なのだ。
 町一つ…今回に限っては世界一つを敵に回したのも同じな四面楚歌に立たされて平静を保てるほど神戸あさひは強くない。
 彼の軽口や戯言がどれほど自分の助けになっていたか、状況が予期せず落ち着き始めた今だからこそ実感出来た。
「どうせ当分は潜伏タイムなんだ。今の内に寝ときな」
「…ああ、そうする。何かあったら起こしてくれ」
 とはいえそれにしたって疲れは既に限界点だ。
 どの道動けないのならその時間を仮眠に当てるのは、成程合理的な判断である。
 廃屋の埃まみれの床に寝そべることにも躊躇はない。
 汚いところで眠るのなんて元々日常茶飯事だったのだから。
“起きたら、今後のことも考えないとな……”
 いつまでも場に流されるままじゃいけない。
 何か、考えないと。そうじゃなくちゃ此処でも俺は何も得られない。
 そんなことを考えながら床へ寝転ぼうとした、まさにその時だった。


『ハァイ…昆布アイス☆ こんばんちわ~~!』
 そこで無粋な声が響いて、あさひの休息に待ったをかけた。
 眠気も一瞬で吹き飛んだ。名残惜しさなんてちっとも感じない。
 それ以上にこの青天の霹靂めいた異常事態への混乱が勝っていた。
「あさひ、下がりな」
 デッドプールはあさひよりも先に声の出どころを看破していた。
 鏡台だ。埃を被った、それどころか蜘蛛の巣すら張っている洋物の鏡台。
 それを見てあさひはまた息を呑む。
 まるでチープなホラーフィルムだ。
 鏡台の前には誰もいないのに、当の鏡面には顔にガムテープを巻いた異様な少年が写っている。
“アヴェンジャー、こいつ……!”
“間違いねえな。ハロウィンにしちゃ時期尚早だし、こんな省エネなコスプレは流行んねーよ”
 このガムテープ面には覚えがあった。
 まさに今日の昼間のことだ。
 あさひ達は今鏡に写っている彼と同じ装いの狂った子供達から襲撃を受けている。
 割れた子供達(グラス・チルドレン)。
 その危険性と異常性を知っているからこそデッドプールの対応は冷たかった。
「誰かと思えばグラチル君かよ。殺された仲間の仇討ちなら人違いだ、よそを当たりな」
「ウッセ! お前は呼んじゃいねーよサーヴァント! 変態仮面に用はねえの、銀幕の向こうに帰ったら~?」
「おいおいどっちももう公開終了して久しいぜ! 帰るんならゲオかツタヤを探さなきゃならねー」
 まるで不味い食べ物でも口に含んだ後みたいに舌を出しながら悪態をつく鏡の少年。
 それに対してもいつも通りの対応を返す……しかし張り詰めるような警戒心は保ったままのデッドプール
 一触即発と言っていい空気を、少年は何ら気にせず打ち崩した。
「とにかくさ~。オレは変態仮面(オジサン)に用はねーンだわ。
 その体勢のままでいいからさ、昆布アイスと話をさせてくれよ」
「…頭のおかしい殺し屋が、俺と何を話すっていうんだ?
 こっちはお前の仲間に白昼堂々襲われてるんだ。お前らがこの東京で何をしてるのかも知ってる」
 相手が鏡の中から何をしてくるか分からない。
 多少情けなさはあったが、デッドプールの後ろに隠れる形になりながらあさひは少年へ答えた。
 しかし言わずもがなそこにある感情は不信の一辺倒だ。
 結果的に難を逃れられたとはいえ殺されかけたことには何の変わりもない。変わることはない。
 何の話をするつもりなのかは知らないが、あさひに彼の言い分を信じるつもりは微塵もなかった。
 何を言ってこようが突っ撥ねてやる、そのくらいの気構えで相手の返事を待つあさひ。
 そんなあさひに……少年、ガムテは得心行ったという表情をして手を叩いた。
「あ~。もしかしてオレの仲間に突撃(カチコミ)でもされちゃった?」
「囲まれて、殺されかけたよ。自分の部下がどこで何をしたかも分かってないのか?」
「心痛(イテ)ッ! 心痛々(イテテ)ッ! 何だよ昆布アイス、お前って意外と毒舌キャラなの? 心痛(イテ)ェとこ突いてくんじゃ~ん……」
 コミカルささえ感じさせるオーバーリアクション。
 しかしそれを見せられても毒気を抜かれたり印象が改善したりすることは決してない。
 むしろ逆に、あさひの中の警戒心は一段と深まってさえいた。
「故郷(あっち)じゃいなかった顔とかもあってな。オレの指示待たずに勝手に突っ込んでく連中も多少いてさ、お前んとこ行ったの多分ソレだわ」
「……」
「で、今度はこっちが聞くけどよ」
 ぴり、と空気が張り詰めた。
 冬の外気のような冷たさと鋭さ。
 あさひの背筋に鳥肌が立ち、デッドプールもいざとなればすぐ鏡を割れるよう身構えた。
 人間のあさひにも歴戦のデッドプールにも分かる気迫がガムテのあどけない顔に宿った。
「お前、そいつらのことどうした?」
「おいおい何言うかと思えば。仕掛けてきた側がどの面下げてそんな…」
「待ってくれ、アヴェンジャー」
 あさひに答えさせるには荷が重いと思ったのか。
 デッドプールが気を利かせようとしたが、他でもないあさひ自身が彼を止めた。
 疲れた心身には鞭以外の何物でもない緊張感に胸の鼓動が大きくなるのを感じつつ、あさひは乱れ出した呼吸を整える。
“ありがとう。でも此処は俺が答える。多分アイツは、それを望んでる筈だから”
 念話でそう一言断ってから、割れた子供達の王の顔を改めて見た。
「……殺したよ。同情もしないし謝る気もないけど、それは答えておく」
 思えば確かに彼らはガムテの統率を逸して暴走していたのだろうと感じる。
 彼らはあさひだけでなくサーヴァントのデッドプールまでもを殺人対象に含めていた。
 聖杯戦争の知識を持つ者なら誰もが知る、神秘がなければサーヴァントは殺傷出来ない原則も知らない無知な子供達。
 ガムテに直接伝えたように、あさひは彼らに同情するつもりは一切なかった。
 そもそも自分は殺されかけた側なのだ。
 なのに殺してきた側の命の重さを考えて心を痛め、頭を下げる……それが出来るほどあさひは聖人君子ではない。
「真面目か~? 昆布アイス。そこは適当に誤魔化して地雷避ける場面だろうがよ」
「そこで逃げたら…お前は本気で怒ると思った。俺だって馬鹿じゃない。お前が何を考えてるのかは、ある程度だけど分かってるよ」
 ただ先刻ガムテが見せた反応で、あさひは悟ってしまった。
 割れた子供達の頭目である彼が仲間達のことをどう思っているか。
 どんなに不出来でも。自分の統率から飛び出してしまうような連中でも。
 それでもきっと……ガムテはその命や生き様を軽んじはしないのだろうことを。
 だから逃げることも誤魔化すこともせず真実で応えた。
 それはあさひなりの、彼に対する誠意だった。
 殺されかけた側であるという前提はあれど、命を奪ったことに変わりはない。
 あさひは彼らの死に罪悪感を感じられる聖人君子ではなかったが。
 一方で奪った命を轍だと割り切れるほど冷たい人間でもなかった。
「お前がどうやってこの場所を突き止めたのかは分からないけど……。
 わざわざ宣戦布告するために俺達に接触してきたとは思えない」
「正~解。思ってたより鋭いじゃん、正直もっと鈍いと思ってたよ」
「お前が俺達と組みたいと、そう考えて接触を図ってきたのなら。
 "俺に"それを断る理由はない。どうせお前も知っているんだろう、俺が今どんな状況にあるかを」
「そりゃな。何処の誰がやったんだから知らねーけど非道えことするよな~。
 知ってた? お前の顔だけ切り抜いた嘲笑風刺画祭典(クソコラグランプリ)とか開催されてんだぜ、今」
 あさひはガムテのことを信用などしていない。
 ただ、彼が自分に接触してきた理由には察しがついた。
 どういう理由でか知らないが、ガムテは自分と手を組もうと考えている。
 鏡を通じて居場所を把握できるにも関わらず、律儀に自ら声を出して正面から接触を図ってきたのがその証拠だ。
 そしてあさひとしてもこの状況で新たな協力者を得られるのは願ったり叶ったりだった。
 そうでなければ、殺し屋集団の頭目なんて目に見えた危険人物と意思疎通などしようとはしない。
「お前の推測は正しいよ神戸あさひ。オレが窮地(ピンチ)のお前にわざわざ接触した理由は、ぜ~んぶお前が言ってくれた通りさ」
 ガムテは素直に自分の目論見があさひの推測の通りであることを認めた。
 あさひの状況は一言で言って最悪だ。
 新宿の大破局という生贄羊のおかげで多少動きやすくはなったものの、東京中に自分の身分がフリー素材同然に出回っている事実は不動のままだ。
 あさひは心の中で、折り悪く……あるいは折り良くこの場にいない二人のことを想い謝罪する。
“おでんさん…ごめんなさい。俺は何処まで行ってもあなたの敵でしかあれないみたいだ”
 デッドプールは先刻ああ言ってくれたが、あさひが聖杯を望む気持ちは聖杯戦争が始まって以来ずっと不変だ。
 自分は願いを叶えなければならない。自分が願いを叶えなければ救われない家庭がある。
 らしくなくても、無謀な背伸びでも。
 それでも神戸あさひは聖杯を求めるし、そのためにみっともなくでもあがくのだ。
「でも打算(それ)以前に、オレはお前を仲間にしたいと思ってる」
「……は?」
 そんなあさひでも続くガムテの言葉には呆けた顔をするしかなかった。
 彼が紡いだ言葉は、あさひの想像していたものとはあまりに異なっていたからだ。
「グラス・チルドレンって名前は知ってるんだろ? じゃあ、その意味は分かるか?」
「……いや」
「割れた子供達、だ。オレ達は世界(オトナ)に見捨てられた子供達の寄り合いなんだよ」
 子供の心とは脆いものだ。
 ひょんなきっかけで簡単に砕ける、割れる。
 そして時に。一度割れた心は、二度と戻らないこともある。
「オレはそういうガキ共の王子(プリンス)だ。そう呼ばれてるし、オレ自身そうあるべきだと思ってる」
 当初は極道の思惑により生み出された道具でしかなかったグラス・チルドレン。
 しかしガムテは大人達の道具ではない。憎たらしい父親の思惑をすら跳ね除ける正真正銘、子供達の英雄だ。
 故にこそのリーダー。故にこその殺しの王子様(プリンス・オブ・マーダー)。
 そんな彼にだからこそ見えるものというのも、当然ある。
「オレにはお前の心が見えた。砕けて戻らない心が見えた」
「……ふざけるな。お前が俺の何を知ってるっていうんだよ」
「知らないね。だけど分かるよ。オレが今まで何百人、お前みたいな同胞(ガキ)を見てきたと思ってんだ」
 あさひは表面上こそ反抗的な言葉を口にしたが。
 ガムテの言を完全に否定することは、出来なかった。
 彼の生涯は常に心を砕かれ続ける毎日だった。
 悪魔のような父親の元で過ごした幼少期。
 父親が死んでも、あさひの元に最後の大事なピースが戻ってくることはなかった。
 ようやくそれを取り戻せたと思ったあさひの楽観は最悪の形で打ち砕かれた。
 あの日あの病室で、変わり果てた目で自分を見る最愛(いもうと)の顔は今でも夢に見る。
「お前がオレの手を突っぱねるならそれ以上追うことはしない。
 選択を強制するようじゃ糞共(オトナ)と一緒だ。お前がオレを拒むなら、後は生存(いき)るか死滅(くたば)るかの殺し合いさ」
 でも、とガムテは続ける。
 あさひも言葉を挟まず聞いていた。
 そうしなければならないと感じていたことは否めなかった。
「でもそうじゃないなら、オレはお前と一緒に戦ってやる」
「…理解出来ない。お前にだって願いがあるんじゃないのか? なのにそんな約束をするのは、お前にとって不便でしかない筈だ」
「か~~~ッ、分かってねーなあ昆布アイス。便利とか不便とかそういう話じゃね~~んだよ」
 神戸あさひは希望を抱いてあがいた。あがき続けた。
 全ては最愛の妹のため。
 自分達家族の暮らしが戻ってくるのに必要な最後のピースを取り戻すために。
 そう思って頑張ってきたその道筋はあの病室で全て否定された。
 その時、彼の心は――"割れた"。
 粉々に砕け散った。聖杯の恩寵でもなければ二度と復元出来ない微塵にされた。
 その経緯を知るわけはないが、それでもガムテはあさひの心を見抜く。
 見抜き、信じる。
 彼は自分と……自分達と来るべきだと。
 自分達だけがその心を拾ってやれるのだと。
「最後は殺し合う。でもそれまでは仲良しこよしでもいいだろ?」
「……信じろって言うのか、その言葉を」
「信じる信じないはお前の勝手だ。そんでもって選ぶのもお前の勝手だ」
 そう言われてもあさひの中の憂いは消えないままだ。
 ガムテがどういう人間なのかの理解が進めば進むほど、彼の仲間を殺した事実が影になる。
 割れた子供達(グラス・チルドレン)。
 血の繋がりに依らない絆で結ばれた彼らが仲間を殺した人間に対しどんな感情を抱くのか。
 しかしそんなあさひの思考を読んだかのようにガムテが溜息をついた。
「あ。つまんねーこと考えてんな~? オレ達が機を見て後ろから刺すとでも思ってんだろ」
 当たり前だろ、と言いかけたあさひだったが。
 彼が口を開くのに先んじてガムテが言う。
「お前がオレの仲間を殺したのは分かった。
 たとえこの世界で初めて出会った新顔だからって仲間なことには変わりねえ。
 大人を憎む割れた子供達、その一人をお前は殺した。オレもオレの仲間達も…それを忘れることはない」
「なら」
「先に言っとくが、これは脅しじゃねえ」
 練度の低い仲間。
 勝手に動いては足を引っ張るグズ。
 彼らがガムテの悩みの種であったことは彼自身否定しない。
 否定できる立場ではない。
 あの狂った老婆の犠牲として切り捨てるのを良しとした自分に今更取り繕う資格はないと、彼自身そう思っている。
「お前がオレ達の敵になるんなら、オレ達は仲間の仇としてお前を殺す。
 お前の割れた心を見つめながら殺す。同情はするけど容赦はしねえ」
 あさひが割れた子供達に刃を向けるのならガムテとて未練がましくする気はない。
 その時は敵として、仲間の仇として……後腐れなく殺し合うまでのことだ。
 もしかしたら仲間になれたかもしれない。
 肩を並べて同じ釜の飯を食って一緒に戦えたかもしれない。
 そんなちょっぴりの憐憫を抱きながらガムテは仇討ちのための戦いを行うだろう。
 神戸あさひを殺すだろう。
「けどお前がオレ達と組むってんなら、俺はお前達に刃を向けることはしねーよ」
 されど。
 もしもあさひがガムテの差し伸べた手を取ったならば。
 その時ガムテは彼を憎まない、殺さない。
 いつか肩を組んでいられない状況が来るまでは、ガムテはあさひのことを仲間の一人として受け入れる。
「あいつらは確かにオレの言うことを聞けない、突っ走るしか能のない奴らだった。
 それでも――あいつらだってオレらと同じ殺し屋だ。自分の頭で殺すと決めて挑んで、そして死んだんだ」
「お前の仲間、死ぬ前にお前らの秘密を我が身可愛さにベラベラ喋ってくれたぜ」
 馬鹿、とあさひはデッドプールを制したくなった。
 しかしもちろん彼の言葉には意味がある。
 デッドプールは饒舌で飄々とした言動をするが、彼はトリックスターではない。
 そうはなれないのだ、この男は。
 そうなれなかったからこそ此処まで。
 こんなところまで落ちてきてしまった。
「そんな奴らのことも仲間と呼ぶのかい? 少年犯罪の王子様」
 藪をつついて蛇を出すことになる恐れがあるのは百も承知だ。
 だがガムテの内心にあるのが自分達に対する親愛でなく仇に対しての憎悪だったなら、下手に日和って手を取ってしまった方が命取りになる。
 今この場を凌ぐのと相手の腹の中で逃げ回るのとでは窮地の度合いは段違いだ。
 だからデッドプールはあえてガムテの地雷の位置に見当をつけ、その上で足を振り下ろした。
「だとしてもだ。オレはあいつらにとっても王子(プリンス)だった」
 ガムテは爆発しない。
 踏んだ地雷は物寂しい静寂を醸すだけだった。
「どれだけ出来の悪い連中でも、仲間を売ったグズだとしても…そこだけは変わらねぇし、変えるつもりもないよ」
「……」
「で、殺し屋として挑んで負けて死んだからには引きずって恨み散らかすつもりもない。
 お前らがオレの誘いを断るってんなら話は別だけどな。その時は仲間の仇として遠慮なく――ブッ殺すぜ」
「だってよ。あさひ」
 “どうする?”と念話が続いた。
 あさひはすぐには答えられなかった。
 マスターの自分が決めなくてどうする、という話なのは分かる。
 だがこの状況に即答を返すなど大概の人間は無理だろう。
 むしろ恐慌していないだけで立派というものだ。
 あさひが相手にしているのは泣く子ならぬ嗤う大人も黙る、幼狂達の王。
 あさひは選ばねばならない。
 迫られているのだ、二股に分かれた茨道のどちらに進むかの答えを。
“あさひ。一つだけ忠告しとくぜ”
“……聞くよ”
“こいつの手を取ったら最後だ。お前はもう止まれない”
 デッドプールはいざという時のことを既に想定している。
 あさひの願いを叶えるのが不可能ないしそれに近い状況になった場合。
 その時は、デッドプールはあさひを聖杯の獲得以外の方法で生き残らせることも考える。
 その旨は先刻彼にも伝えた通りだった。
 が……。
“ボクは改心しました助けてくださいじゃ利かなくなる。
 聖杯を手に入れて願いを叶えるか、敗北者として死ぬかの二択だ。
 こいつらの一部(なかま)になるってのはそういうことだぜ”
 デッドプールは確信していた。
 一度でもガムテと手を組めば、あさひが割れた子供達の一部になれば。
 それで最後だ。あさひは、その道しか進めなくなる。
 勝つか負けるか。生きるか死ぬか。それしか選べない。
 あらゆる常識をぶち壊して笑うヒーロー、デッドプールでもその結末はきっと変えられない。
 子供達(かれら)は――ヒーローには救えない生き物なのだ。
 ヒーローが救わなかったから生まれた社会の負債を、一体どうして今更救えるというのか。
 グラス・チルドレン。割れた子供達。
 そうなってしまった、なるしかなかった、小さな小さなバッドエンドの集合体。
“ごめん、デッドプール。俺は…お前の気持ちは分かってるつもりだ”
 デッドプールのことを鬱陶しく思ったこともある。
 もっと強いサーヴァントだったならと思ったのも一度や二度じゃない。
 それでもあさひは、彼という男が不器用ながらも深い慈しさを持った大人であることを知っていた。
 そう分かった上で、あさひはしかしまず最初に謝った。
 そのことは、神戸あさひという少年の選んだ道がどちらであったのかを酷薄なほど物語っていて……。
“でも俺は、元々そのつもりで戦ってたんだ。
 あの結末を変えられるのならどんなことでもするつもりだった。
 俺は……弱いんだよ。弱くてちっぽけなガキでしかない俺がこの恐い世界で生きていくには、道を絞るしかなかった”
 願いを叶えて元の世界に帰る。
 そのためなら命を懸ける。
 自分の命全てを賭け金にして、中途半端な逃げ道を全て捨て去って。
 弱い自分はそれでようやく、地平線の果てを目指して走る奴らの隣に並べる。
 あさひの中ではもうとっくの昔に覚悟が決まっていたのだ。
 勝利以外の明日を捨て、茨道よりなお深い修羅の道を歩む覚悟が。
“止まれないなんて、今更だよ。俺はもう…今度こそ、失敗するわけにはいかないんだ”
“……本気なんだな?”
“ああ。未来のことは分からないけど――俺が、俺の望んだ未来を手に入れるためには…これが正しいはずだ”
 あさひがデッドプールよりも更に前へ出る。
 ガムテの前へ。鏡に映る彼の前に。
 彼の思いやりを振り切るように。
“そうかよ。…は~あ、俺ちゃんの厚意を無碍にしやがって”
“……ごめん”
“謝んなよ。ま、分かってたさ。お前みたいな家族バカの考えそうなことはな”
 サーヴァントはあくまでも道具、しもべだ。
 分かっているからこそこれ以上引き止めることはしない。
 それに、あさひならばこうするだろうと心の何処かで分かってはいた。
 その予想は、出来れば当たってほしくなかったが。
「分かった。俺は…お前と組むよ、ガムテ」
 あさひはデッドプールの手を取らなかった。
 最後の分かれ道。引き返せる最後のチャンス。
 それを押し退けて修羅道を選んだ――生きることよりも、自分の望む未来を実現出来る可能性を重視した彼の意思。
 迷いも後悔も見せない彼の足を引くなどデッドプールには出来なかった。
 出来なかったからこそ、デッドプールも腹を括る。
 もはや事態はそうせねばならない状況になってしまった。
 いや、"なった"。あさひが自らそれを望んだから。
「けど、俺は割れた子供達(グラス・チルドレン)には入らない。
 あくまでも協力者だ。俺の目的は……あくまでも聖杯だから」
「了解(りょ)、それでいいぜ。一応コードネームも用意してたが、お前の意思を尊重するよ」
 あさひの断りにガムテは即、そう返した。
 彼もまた分かっている。
 あさひには、あさひの願いがあること。
 彼はそのためなら己の命すらチップとしてディーラーに突き出せる人間であると。
 だからあさひはガムテを王子と崇め、彼のために死ぬ人材にはなり得ない。
 神戸あさひはいつかガムテの前に立つ。
 敵として、子供達の王様を殺すために戯言の英雄(ヒーロー)を連れて立つ。
 そう分かった上で、それでもガムテはあさひに言うのだ。
「ようこそ。歓迎するぜ、神戸あさひ
 神戸あさひがその顔にガムテープを巻くことはきっとない。
 彼の心は割れている。
 悪魔憑きの少年と破壊の寵児に挟まれて邁進する妹との違いはそこだ。
 だが、彼には守りたいものがある。
 残してきた母をまた微笑ませてあげるために。
 そして、あの悪魔に奪い去られた妹を取り戻すために。
 あさひは決めていた。
 どんな罪を犯してでも、血に塗れてでも……かつて願った未来を今度こそ形にしてみせると。

「話したいことはたくさんあるけどよ。とりあえずまずは、オレ達のところに来てもらおうか」
「言われなくてもそのつもりだ。…東京中のお尋ね者だからな、俺は」
「もう民衆(バカども)もそれどころじゃなさそうだけどな。
 ニュース見た? 新宿がほとんど地図から消えたらしいぜ、さっき」
 鏡の中からニュッとガムテが出てきてあさひの手を取る。
 何となくそうではないかと思っていたが、やはり鏡面を通じて覗いた先に移動することも出来るらしい。
 やろうと思えば自分のことなど簡単に殺せたのだと思うと、少し背筋が寒くなった。
「ところでさ、話の腰折るのは良くねェと思ってさっきは無視(スルー)したんだけどよ」
「……?」
「――オレ、お前に名乗ったっけ?」
 グラス・チルドレンの存在自体は裏社会に精通した人間ならば知っていてもおかしくない。
 あさひがそんな世界に縁のある人物とは思えなかったが、しかし自分の名にまで辿り着いているとなると話は別だ。
 そして事実、あさひは彼らについて自分の足で聞き回り調べたわけではなかった。
「ああ…お前の仲間に襲われた時、実は他のマスター達に助けてもらったんだ」
「ふ~ん。そいつらから聞いたってことか」
 どんな奴らだった? と聞くガムテ。
 あさひは少し答えに悩んだ。
 ガムテ達は確かに協力者、味方だ。
 だが…だからと言ってあの人達、真乃達のことまで売り渡していいものか。
 そこで悩んでしまうことそれ自体が帰り道を捨てた人間の思考として矛盾している、あさひ自身そう分かっている。
“アーチャーの嬢ちゃんはガキ共を全員殺したわけじゃない。変に隠せば後で億劫(ダル)いぜ”
“…そうだな”
 デッドプールが言ってくれなかったら、自分はどうしていただろう。
 ひょっとすると真乃達のことだけは隠していたかもしれない。
 自分の半端さに嫌悪を覚えながらも、あさひはガムテに質問の答えを伝えた。
「アイドルの女の子と、アーチャーのサーヴァント。
 ……あまり詳しいわけじゃないから名前までは分からなかったけど、サーヴァントの方は"プリンセス"みたいな格好をしてた」
 名前を濁したのはあさひから真乃へのせめてもの餞別だった。
 でもこれが最後。これからはもう、敵同士。
 また会うことになったなら容赦はしないし遠慮なく利用させてもらう。
 心の痛みを覚悟の炎で焼き尽くしながら、しかし続く言葉は淀みなかった。
「もう片方もアイドルだ。こっちは名前も分かる」
 彼女達はあさひにとって明確に敵だからだ。
 確定したわけでこそないものの、突然撒き散らされた自分の悪評は彼女が何か糸を引いた結果だろうと確信している。
星野アイ。サーヴァントのクラスは、ライダー」
「おー、えらい大物(ビッグ)じゃんか」
「そのライダーがえらくお前らのことについて詳しかった。
 ガムテって名前もそうだし…お前がどんな風に戦うのかまで教えてくれたよ」
「……」
 ガムテの眼がすっと細くなった。
 無理もないだろう。彼は殺し屋なのだ。
 その殺し方まで詳らかに知っている人間など、同じ極道であっても多くない。
「どんな見た目の奴だった? ゴツくて暑苦しくて、いかにも極道(ヤクザ)! って感じのオッサン?」
「いや…オッサンではあったけどゴツくはなかったな。逆立った黒髪で……ステータスが見えなかった。
 いい年な癖して妙にギラギラしてて――」
「…そっか」
 その時ガムテが漏らした声は。
 憎らしげでも恐ろしげでもなく、そして嬉しげでもなかった。
 ただ事実を飲み込んで、それから自然に出した声。
 道化の顔と、子供達の王子様としての顔。
 そのどちらで零すにしたって似合わない、ガムテらしくない声だった。
「来てんだ、殺島の兄ちゃん」

    ◆ ◆ ◆

「…君も、彼に?」
「ああ……はい。鏡の中から急に話しかけられて」
「なるほど。俺達の時よりずいぶん穏当だな」
 苦笑する男の名前をあさひは聞けていなかった。
 廃屋でおでん達に向けた書き置きを残した後、すぐに彼らはそこを去ることになった。
 ガムテに彼らの拠点へ連れて行かれるなり、あさひはこの男の許に案内された。
 さぞかし重要な人物なのかと思っていたが、実際は彼もまたあさひと同じ新入り未満の協力者であるらしかった。
「まあ、こうして受け入れてもらえただけでも待遇としては破格だ。文句を言うつもりはないけどな」
「……あなたは大人だ。針のむしろでしょう、この場所は」
 グラス・チルドレンは大人という存在を嫌悪している。
 大人のせいで傷付き割れた者達であるのだから当然だが、だからこそこの男性には同情した。
 あさひが彼に刺々しい警戒を見せなかった理由は一つ。
 彼からは臭いがしなかったからだ。
 汚い大人。誰かを傷つけたり踏みつけにすることを日常と思っている連中の臭いが。
 だから信用とまではいかずとも、ひとまずそう激しく警戒するまではしなかった。
「心配してくれるのか。…優しい子だな、君は」
「……あさひです。神戸あさひ
「知ってるよ。というか嫌でも目に入ったっていう方が正しいかな。
 でもこうして会ってみたらすぐに分かった。大変だったな、あらぬ噂を流されて」
 ええ、まあ……。
 そんなぎこちない返事を返すあさひを遮ってデッドプールが割り込む。
「全くだぜ。何が悲しいってこの俺ちゃんの話題と来たら一個もねえの。
 極悪人(ボニー)の横にいる相棒(クライド)のことも疎かにしないでほしいもんだぜ」
「クライドがそんな格好をしていたら、ボニーだってきっと走って逃げますよ」
 初対面とは思えない馴れ馴れしさに若干胃が痛くなるあさひだったが、男は「いやいや」と笑いながら適切に突っ込んでいる。
 普通なら勢いに押されて引いてしまいそうなものだが、大したコミュニケーション能力だった。
「てかアンタのサーヴァントは実体化(で)てこないの? 仲良く四人でリッツパーティーしようぜ」
「おま…買い物かごにそんなのいつ入れたんだよ……。盗ってきたわけじゃないだろうな」
 聖杯を狙う覚悟を決めた少年の言葉ではないが、あさひはそれをおかしいとすら思わなかった。
 やはり基本根っこの部分から神戸あさひは善人で、常識人なのだ。
「コンプラ違反でトキワ荘が吹っ飛んだら悲しいだろ。ポケットマネーでこっそり買ったよ」
 安心してくれよな、管理人さん! そう言って虚空にピースも忘れない。
 何処にしまっていたのか、いや何処にしまっておけるスペースがあったのか。
 慣れ親しんだクラッカーの赤い箱を懐から取り出しながら言うデッドプール
 それに男は苦笑してあさひの方を一瞥した。
 君も大変なサーヴァントを引いたな、という目なのはすぐに分かった。
“一応聞いておくが……君も参加するか? ランサー”
“殺すぞ”
“だよな”
 プロデューサー、と呼ばれるばかりの男は一応猗窩座に念話を飛ばしたが答えは即答。
 そもそも彼は鬼である。
 人肉載せのリッツなんてゲテモノがあの箱の中から出てくるとは思えない。
「俺のサーヴァントは堅物でして。列席は出来そうにないかと」
「ヤだねぇ硬い男は。そんなんじゃモテないぜ」
 溜息をつきながらクラッカーを並べ、クリームチーズやらジャムやらをその横に置いて。
 率先してそれらをクラッカーの上に載せてしゃくしゃく食べ始めるデッドプール
 次にプロデューサーが手をつけた。
 これ本当に食べる流れなのか……と困惑しながら、あさひがそれに続いた。
「ジャパニーズ・アマノイワドよろしく楽しそうにしてたら出てくるかな。アンタのサーヴァントも」
「いやあ、どうでしょう。何だったら黄金時代(ノスタルジア)ちゃんでも呼んできますか? 俺も彼女とはまだ話せていないので」
「ああ、アイツはいいや」
 デッドプールプロデューサーの提案に即、否を返した。
 小粋なジョークを付け足したり、エグめな下ネタと絡めたり。
 そんな"らしい"ことをするでもなく、ただ一言で断った。
「ありゃダメだ。同じ箱のリッツを食った仲として忠告しとくぜ、あの嬢ちゃんのことは信用するな」
「…それは、また。根拠を聞かせてもらってもいいですかね」
「目だよ目。あれはガキの目じゃねえ」
 指を一本立ててデッドプールが語る。
 黄金時代(ノスタルジア)。
 そんなコードネームを与えられた少女の姿を見るなり、デッドプールは彼女への警戒度を最大に引き上げた。
 その度合いたるやガムテに対するものよりも上だ。
 まだガムテのサーヴァントにはお目にかかれていないため今後変動する可能性はあるが、それでも心を許すことは永劫ないだろうというほどの警戒。
「アンタ、名前は?」
「…プロデューサー、とだけ。此処ではそれで通ります」
「じゃあPちゃんな。Pちゃん、アンタも気抜いてたら――食われちまうぜ。がぶりとな」
 あれは悪人の目だ。
 他人の人生を、運命を。
 弄んで嗤えるそんな人間の目だ。
 グラス・チルドレンという魑魅魍魎の巣をそのまま養分に変えてしまえるだけの悪意。
 デッドプールは黄金時代なる少女の目に、面影に……そんな破滅を感じ取った。
 だから警戒する。
 絶対に背中は向けない、気は許さない。
「…覚えておきます。ご忠告に感謝を」
「出世払いな。界聖杯譲ってくれ」
 プロデューサーは黄金時代とそれほど深く関わっていない。
 だがデッドプールの言葉に一定の説得力を見出すことは出来た。
 彼は見ているからだ――知っているからだ。
 彼女が使役するサーヴァント、アルターエゴ・リンボ。
 あの嘲笑と跳梁を、プロデューサーは知っている。
“どう思う? 君の意見が聞きたい”
“その男は不快だが…気を緩めるべきでないという点においては同感だ”
 実際に矛を交えた猗窩座は当然、もっと実感を持って理解している。
 猗窩座は実体化していないものの、それでもプロデューサーは眉間に皺を寄せた彼の顔を幻視した。
“あの陰陽師を使役して平気な顔をしている童がまともなはずはない”
 言動、表情、放つ攻撃。
 その全てが背に虫の這い回るような不快感を伴った。
 にも関わらず出力は頭抜けて高く、間違いなく純粋な火力の高さならば猗窩座の上を行く性能。
 警戒しておくに越したことはない。
 少なくとも猗窩座は、デッドプールの忠告を弱者の戯言と切り捨てるべきではないと感じていた。
「何かと…君達の存在は俺達にとって大きそうだ。改めてよろしく頼むよ、神戸くんにアヴェンジャー」
「他人行儀だな。俺はともかくこいつのことは名前で呼んでやってくんねー?」
「はは……すまないが名字呼びで許してほしい。知り合いに同じ名前の子がいましてね、どうしてもその子を思い出してしまうんです」
 神戸あさひの顔にガムテープは巻かれていない。
 そして彼には、グラス・チルドレン特有のコードネームが与えられていないようだった。
 その事実からプロデューサーはこう考える。
 彼はガムテの協力者ではあっても、同胞(なかま)ではないのだと。
“本当に…大きいな。渡りに船とはこのことだ”
 プロデューサーは最終的にガムテ達を消すつもりだ。
 彼らは、そしてあのライダーは頼れる味方であると同時に目の上の瘤でもあるのだ。
 アイドルを切り捨てることを良しとしなかったものとしてそのための策は練ってある。
 いつか来るその時に備える上で、手札が多いに越したことはない。
“……すまないな、神戸くん。俺は君を利用する気でいる”
 頭の切れるデッドプールが保護者役を務めているのは厄介だが、あくまであさひはカードの一枚だ。
 必要なら使う。そうしなければならないのなら、切り捨てることだってしよう。
 プロデューサーに迷いはなかった。罪悪感ならばともかく。
 猗窩座から受け取ったスマートフォンの感触を内ポケットに感じながら、柔和な笑みを浮かべ希う。
“俺の歩む道のために、君の心(ネガイ)を貸してくれ”
 願いと思惑は交差して複雑に絡み合い、混沌の未来へと翔んでいく。
 プロデューサーは考える。
 九割の寿命と魂を失ってそれでも前に進み続ける凡人は考える。
 そこに誤差があるとすれば。
 神戸あさひもまた、目指すところは違えど……"割れた子供"であることだろうか。

【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)/一日目・夜】

神戸あさひ@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(小)、全身に打撲(小)
[令呪]:残り3画
[装備]:デッドプールの拳銃(懐に隠している)、着替えの衣服(帽子やマスクを着用)
[道具]:リュックサック(保存食などの物資を収納)
[所持金]:数千円程度(日雇いによる臨時収入)
[思考・状況]
基本方針:絶対に勝ち残って、しおを取り戻す。そのために、全部“やり直す”。
0:ガムテと協力する。後戻りはもう出来ない。
1:折れないこと、曲がらないこと。それだけは絶対に貫きたい。
2:ライダー達は、いつか必ず潰す。
3:“あの病室のしお”がいたら、その時は―――。
4:聖杯は、出来る限り諦めたくない。
5:櫻木さん達のことは……
[備考]
※真乃達から着替え以外にも保存食などの物資を受け取っています。
※廃屋におでん達に向けた書き置きを残しました。内容についてはおまかせします。

【アヴェンジャー(デッドプール)@DEADPOOL(実写版)】
[状態]:『赫刀』による内部ダメージ(小)
[装備]:二本の刀、拳銃、ナイフ
[道具]:予選マスターからパクったスマートフォン、あさひのパーカー&金属バット
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:俺ちゃん、ガキの味方になるぜ。
0:お前がそう望むなら、やってやるよ。
1:あさひには安全な拠点に身を隠してもらう。出来れば一箇所に留めたいが、必要に迫られる事態が起これば拠点を移す。
2:星野アイ達には必ず落とし前を付けさせるが、今は機を伺う。
3:真乃達や何処かにいるかもしれない神戸しおを始末するときは自分が引き受ける。だが、今は様子見をしておきたい。
4:黄金時代(北条沙都子)には警戒する。あのガキは厄(ヤバ)い
[備考]
※『赫刀』による内部ダメージが残っていますが、鬼や魔の属性を持たない為に軽微な影響に留まっています。時間経過で治癒するかは不明です。
櫻木真乃と連絡先を交換しました。
※ネットで流されたあさひに関する炎上は、ライダー(殺島飛露鬼)またはその協力者が関与していると考えています。

プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:覚悟、魂への言葉による魂喪失
[令呪]:残り三画
[装備]:なし
[道具]:リンボの護符×10枚
[所持金]:そこそこ
[思考・状況]基本方針:“七草にちか”だけのプロデューサーとして動く。……動かなくてはいけない。
0:にちか(騎)と話す。ガムテの用事が終われば彼とまた交渉を行う。
1:もしも、“七草にちか”なら、聖杯を獲ってにちかの幸せを願う。
2:時が来れば自陣営と283のサーヴァントを潰し合わせ、両方を排除する。
3:白瀬咲耶が死んだことに悲しむ権利なんて、自分にはない。
4:『彼女』に対しては、躊躇はしない。
5:序盤は敵を作らず、集団形成ができたらベスト。生き残り、勝つ為の行動を取る。
6:にちか(弓)陣営を警戒。
7:神戸あさひは利用出来ると考える。いざとなれば、使う。
※リンボの護符は発動中1時間ほど周囲の日光を遮り、紅い月が現れる結界を出すことができます。
異星の神とのリンクが切れているためそれ以外の効果は特にありません。
※ソウルボーカスにより寿命の9割が喪失しています
※ランサー(猗窩座)からアサシン(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)より受け取ったスマートフォンを受け取りました。

猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:携帯電話(犯罪卿より譲渡されたもの)
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターを聖杯戦争に優勝させる。自分達の勝利は、何だ?
1:ひとまずは、合理的と感じられる範囲では、プロデューサーに従う。

    ◆ ◆ ◆

 話したのはあくまで少しだけだ。
 まだ話せていないこと、伝えられていないことは山程ある。
 とはいえガムテから見た神戸あさひの印象は既に固まっていた。
「で。貴方の目から見てあの方はどうだったんですの?」
「アイツは裏切らない。裏切るなら多分お前の方だなァ黄金時代」
「常々言ってるでしょうに。私は貴方とあのお婆様を利用するつもりで此処にいるんですのよ?」
 彼は間違いなく同類だ。
 自分達の仲間になることは拒まれたが、しかしあさひは恐らく自分を、自分達を裏切らない。
 決定的な断絶となる状況が訪れない限りはあさひとは手を取り合える。
 ガムテはそう考えていた。
「P野郎は百パーどっかで裏切る。アイツはその時、絶対あさひをアテにするはずだ」
「そんな方を仲間に加えるなんて貴方も酔狂な方ですわね」
「物は使いようだぜ黄金時代。腹に一物あるのを前提に使えばあら不思議、怪しい怪しいPたんも頼れる手札(カード)に早変わりさ」
 ガムテは本職(プロ)だ。
 目前の危険を見誤らない。
 故に彼は見抜いている。
 察している、プロデューサーの腹を。
 彼はいずれ裏切るだろう。
 いつか、どこかでこちらに破滅を突き付けてくるだろう。
 そう分かった上で彼を使う。
 やれるものならやってみろと傲岸不遜に受け入れる。
 それが二十歳に満たない少年が持つ胆力でないのはもはや言うまでもない。
「それよりガムテさん。お婆様に会いに行くならお一人で行くか、舞踏鳥さんを連れて行ってくださいません?」
「つれないこと言うなよォ~。どうせしばらく暇なんだろ?」
「……もしあの方が癇癪を起こしたなら即座に離脱しますから、そのつもりでいてくださいな」
 黄金時代こと北条沙都子も例に漏れずガムテのサーヴァントには極めて強い忌避感を抱いていた。
 とはいえ沙都子の場合は少々他とは事情が異なる。
 沙都子は知っているのだ、彼女と並べる凶悪なサーヴァントの存在を。
 鬼ヶ島の王として君臨するあの化け物と同じだけの力を持つサーヴァントが存在するなど、率直に悪い冗談以外の何物でもなかったが……。
“ま…。そのうち共倒れにでもなってもらいましょう。
 もちろんその前に、出来る限り利用させていただきますけど”
 ライダーの許に向かう時はガムテの足取りも心なしか遅い。
 ガムテとそのサーヴァントの間には見かけこそ地味だが、深淵にも等しい溝があるのに沙都子は気付いていた。
 もし武力と軍勢の双方を併せ持つ彼らの陣営を瓦解させようとするならその隙を突くのが有効かもしれない。
 そんなことを考えている内、いつしか沙都子はガムテに続く形でライダー……シャーロット・リンリンのねぐらへと足を踏み入れていた。


「ハ~イ、ライダー。ちょっと聞きたいことがあんだけどさ~ッ」
「ん~? 何だいガムテ。お菓子なら今は足りてるよ。今はだけどね」
 何度見ても慣れるということはない、圧倒的な巨体。
 体のでかさを差し引いてもこの老婆が放つ存在感は明らかに異常だった。
 ウェディングケーキを片手で持ち上げ頬張って、満足げに甘い吐息を零す怪物。
 シャーロット・リンリンの眼光が、彼女にしてみれば蟻にも等しいだろう二人の子供へと向けられた。
 思わず生唾を飲み込む沙都子だったがガムテは今更怯むこともなく話し始める。
「さっき、覇王色(ちから)使ったでしょ。あれ何で使ったの?」
「マ~マママ…流石はおれのマスターだねェ。素質あるよ、お前」
「エヘヘ~~、そう~~? ――それより答えてよライダー。何のために唐突炸裂(ブチカマ)した?」
 沙都子には全くそんな剣呑な気配は感じ取れなかったが、彼女よりも殺しの世界に身を浸して長いガムテは違った。
 この拠点の中でそれに気付けたのは彼と、後はプロデューサーの連れる拳鬼くらいのものだろう。
 とにかく彼はリンリンが不意に放った覇王色の覇気の片鱗を感じ取った。
 拠点の近辺でこそないものの、だからこそ意図が分からない。
 ただの気まぐれかとも思ったが……それはないなとガムテはすぐにその安直な結論を否定した。
“このババアは心底ヘドが出るクソだ。でも質の悪いことに莫迦じゃねぇ”
 リンリンの行動はいつも彼女の欲望に直結している。
 菓子を求めるにしても敵を追い詰めるにしても、誰かしらの交渉に応じるにしてもだ。
 リンリンは欲望を堪えない。
 欲しいと思ったなら何百人犠牲にしてでも叶える。手に入れる。
 逆に言えば……シャーロット・リンリンは無意味なことはしないのだ。
「どうもこの都には……おれのダチがいるみたいでねェ」
 その時、北条沙都子の背筋に冷たいものが走った。
 嫌な予感がした。このライダーと初めて邂逅した時に感じたのとはまた違う怖気。
「何十年来の腐れ縁だ。信用できるぜ、安心しな」
「……呼んだのッ!? 此処に!?」
「そりゃ、おれの覇気なんざアイツは見慣れてるだろうからねェ……。
 へべれけになってるかもしれねぇが、まあ近々やって来るだろう! ハ~~ハハハハ!」
「ッ……」
 ガムテは閉口するしかなかった。
 しかし心の中では勢いよく中指を立ててこのように叫び散らしている。
“――なに必要(イラ)ねえ災難(イベント)増やしてんだこのクソババア~~~ッ!!”
 シャーロット・リンリンの友人(ダチ)。
 とてもじゃないがロクな奴だとは思えない。
 リンリンの覇王色に誘われてやって来る手合いなぞどう考えたって厄災の類だろう。
 上機嫌に高笑いするリンリンの遥か下で苛立ち全開に歯軋りするガムテ。
 その隣で彼とは打って変わって冷や汗をかいているのが、沙都子だった。
“まずい、ですわね……”
 まだ確定したわけではない。
 そこ問い質せば墓穴を掘ることになるので追及は出来ないが、沙都子はもう半ば確信していた。
 シャーロット・リンリンの友人(ダチ)とは十中八九、彼女が黄金時代ではない北条沙都子として傘下に入っている異空間の王。
 式神とはいえリンボを一瞬で粉砕できる力を持ったあの怪物だろうと。
 沙都子は怪物、カイドウの打倒手段を探していたしその点リンリンは最有力候補だった。
 だがこの二人が肩を組んで一緒に聖杯戦争を暴れ回れるような仲だというなら話は変わってくる。
 その時割を食うのは二つの陣営を股にかけてしゃぶり尽くそうと画策していた沙都子ただ一人だ。
 多少の波風はあっても概ね順調に見えた魔女の暗躍に一気に影が落ちた。

“――ンンンン。これは、これは。少々苦しい状況でございますな”
“…! リンボさん、いたんですの? ちょうど良かったですわ”
“ええ、いたのです。式神ですがね”
 …しかしそこに救いの手が差し伸べられる。
“本当ならばこの場に用はなかったのですが…何やら災いの気配がしましたので。せめて式神だけでも配備させようと思った次第”
 先刻の仕事のために呼び戻した沙都子のサーヴァント、アルターエゴ・リンボ。その式神だった。
 彼がいればまだどうにかなるかと思ったところで、沙都子は鬼ヶ島でのことを思い出しまた落胆した。
 この男はカイドウに嫌われている。
 あの蛇蝎を見るような目は心胆の底から警戒されていることの証だ。
 そんな彼を怪物同士の再会の場、自分達にとっては断罪の場になるかもしれないそこへ立たせて何になるというのか?
“マスター。あまり拙僧を見くびりなさるな”
“……何か手があるっていうんですの? 言っておきますけれどこのお婆様は、多分あの鬼さん以上に話が通じませんわよ”
 もしも怒らせれば取り返しがつかない。
 "次はない"なんて穏当な措置で見逃してくれるとは思えなかった。
 そんな沙都子の懸念にしかしリンボは笑う。
 面白いことを思いついた。
 悪戯に胸を輝かす稚児のような笑いだった。
“此処は一つ拙僧にお任せを。災厄そのものなこの窮地、このリンボめが取り持ってみせましょうぞ”
“お任せを、って…具体的にどうするつも――”
 沙都子の難色はまだ晴れてなどいない。
 いないのに、リンボは彼女の言葉を最後まで聞かなかった。
 最後まで聞くのを待たずして、一人で勝手に博打を始めてしまった。


「――何だい、お前は」
 霊体化の解除。
 すなわち、実体化。
 像を結んだアルターエゴ・リンボ。
 美しき肉食獣――剣呑たる禍気を醸して。
「お初にお目にかかりまする、遠い事象の大海賊どの」
「誰がおべんちゃらを使えって言った?」
 彼を見つめるリンリンの眼光は鋭い。
「おれは"何だ"って聞いてんだよケダモノ野郎」
 不躾な謁見に対する不快感がこれでもかと滲み出ていた。
 視線にすら物理的な圧力が宿る格の違った存在感。
 それを涼やかに受け止めながら「これは失礼」と、リンボ。
「拙僧、そこな北条沙都子…此処では黄金時代(ノスタルジア)と呼ばれる童のサーヴァントにございます。
 クラスをアルターエゴ。しかし拙僧は少々特別です故……どうぞ"リンボ"とお呼びください」
「アルターエゴ…? へぇ、こりゃ珍しい…! エクストラクラスってやつだね?」
「いかにも、いかにも。本当はもっと早くご挨拶に伺いたかったのですが…ンン、この場所にはあまりに童が多い。
 率直に――毒でしょう? 拙僧のような者が大手を振って歩けば、只でさえ脆い彼らの心をよりかき乱してしまいまする」
 ガムテを一瞥し、本性を知る者からすれば吐き気がするような爽やかな笑みを向けるリンボ。
 ガムテはそれに笑顔で応じることが……出来なかった。
 彼の眉間に寄ったのは皺。
 見抜いたからだろう。分かったからだろう。
 そして納得もしたに違いない。
 沙都子が頑なに、ガムテ達に自分のサーヴァントを見せなかったことに。
「…おい黄金時代。テメェなんて野郎連れてやがる」
「だから言っていたでしょう、出したくないと」
「出してんじゃねえかッ」
「勝手に出たんですのよ! 私だって知りませんわ…!」
「舞踏鳥が知ったらどんな顔するか、想像しただけでも戦慄(こえ)えよ」
 悪意ありきで尽くす礼儀。
 片膝を突いて臣下のように振る舞いながら、リンボは頭を抱えるマスター達二人をよそに言った。


「聞けばもうじき貴女のご同輩が此処へやって来るとか。
 不肖の身ではございますが…拙僧めの仕入れたある与太話を、御二方の酒の肴にさせていただきたい」 
 嵐の訪れは近い。
 その中で妖星は爛々と輝く。
 たとえ腐れ縁の海賊二人が殺し合おうと。
 嵐の先に待つ凪を待ってリンボは嗤い続ける。
 彼は災厄を遣うもの、手繰るもの。
 悪霊左府を率いて都を襲った逸話をなぞるように。
 令和現代の都にて、蘆屋道満はかくも図々しく跳梁するつもりでいるのだった。

【ガムテ(輝村照)@忍者と極道】
[状態]:健康、苛立ち(大)
[令呪]:残り三画
[装備]:地獄への回数券。
[道具]:携帯電話(283プロダクションおよび七草はづきの番号、アドレスを登録済み)
[所持金]:潤沢
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:これから起こるだろう事態への対策。いい加減にしろクソババア~!!
2:283プロへの攻撃は今は控えさせる。でももう新宿抗争(ジュクセンソー)があったし良いかな
3:あのバンダイっ子(犯罪卿)は絶望させて殺す。
4:黄金時代(北条沙都子)に期待。いざという時のことも、ちゃんと考えてんだぜ? これでも。
5:黄金時代のサーヴァントに強い警戒。こいつはダメだ。
6:そっか、いるんだ。殺島の兄ちゃん。
[備考]
※ライダーがカナヅチであることを把握しました。
※ライダーの第三宝具を解禁しました。
※ライダーが使い魔として呼び出すシャーロット・ブリュレの『ミラミラの実の能力』については以下の制限がかけられています。界聖杯に依るものかは後続の書き手にお任せします。
NPCの鏡世界内の侵入不可
鏡世界の鏡を会場内の他の鏡へ繋げる際は正確な座標が必須。
投射能力による姿の擬態の時間制限。

【ライダー(シャーロット・リンリン)@ONE PIECE】
[状態]:健康
[装備]:ゼウス、プロメテウス、ナポレオン@ONE PIECE
[道具]:なし
[所持金]:無し
[思考・状況]
基本方針:邪魔なマスターとサーヴァント共を片づけて、聖杯を獲る。
0:アルターエゴ…マ~マママ。さあてどうしたものかねぇ?
1:あの生意気なガキは許せないねえ!
2:ガキ共はビッグマムに楯突いた事を必ず後悔させる。
3:北条沙都子プロデューサーは傘下として扱う。逃げようとすれば容赦はしない。
4:カイドウを見つけて海賊同盟を結成する。

※SNSの画像よりカイドウがいる事を確信しました。
※鏡面世界から腕を出して新宿区近くの鏡のあるポイントから覇王色の覇気を送っています。
具体的に何処で行っているかは後続の書き手にお任せします。

北条沙都子@ひぐらしのなく頃に業】
[状態]:健康、頭を抱えてる
[令呪]:残り3画
[装備]:トカレフ@現実
[道具]:トカレフの予備弾薬
[所持金]:十数万円(極道の屋敷を襲撃した際に奪ったもの)
[思考・状況]
基本方針:理想のカケラに辿り着くため界聖杯を手に入れる。
0:何してるんですの………………
1:最悪脱出出来るならそれでも構わないが、敵は積極的に排除したい。
2:割れた子供達(グラス・チルドレン)に潜り込み利用する。皮下達との折り合いは適度に付けたい。
3:ライダー(カイドウ)を打倒する手段を探し、いざという時確実に排除できる体制を整えたい
4:ずる賢い蜘蛛。厄介ですけど、所詮虫は虫。ですわよ?
5:にっちもさっちも行かなそうなら令呪で逃亡する。背に腹は代えられない。

【アルタ―エゴ・リンボ(蘆屋道満/式神)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:???
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:この東京に新たな地獄を具現させる。
0:地獄界曼荼羅の完成に向けて準備を進める。
1:マスタ―には当分従いましょう。今の拙僧はあの幼子の走狗なれば。
2:新宿区の地獄を眺めに行くか、リンクの切れた式神の調査を行うか…
3:式神は引き続き計画のために行動する。田中一へ再接触し連合に誘導するのも視野
4:…のつもりでしたが、やめました。祭りの気配がしますぞ、ンンン――。
5:式神にさせるつもりだった役目は本体が直接担うことに変更。何をするつもりかはおまかせします。
6:それはそうと新たな協力者(割れた子供達)の気質も把握しておきたい
7:“敵連合”は静観。あの蜘蛛に邪魔されるのは少々厄介。
8:機会があればまたプロデューサーに会いたい。

[備考]
※式神を造ることは可能ですが、異星の神に仕えていた頃とは異なり消耗が大きくなっています。
※フォ―リナ―(アビゲイル・ウィリアムズ)の真名を看破しました。
※地獄界曼荼羅の第一の核としてフォーリナー(アビゲイル・ウィリアムズ)を見初めました。
 彼女の再臨を進ませ、外なる神の巫女として覚醒させることを狙っています。
※式神の操縦は一度に一体が限度です。本体と並行して動かす場合は魔力の消費が更に増えます。



時系列順


投下順



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073:絶望と、踊れ 輝村照(ガムテ) 090:sailing day
ライダー(シャーロット・リンリン)
北条沙都子 090:sailing day
アルターエゴ(蘆屋道満)
プロデューサー 093:支え合う心! あさひの覚悟と確かな繋がり
ランサー(猗窩座
062:サムライチャンプルー(Some Like Cham-POOL) 神戸あさひ 093:支え合う心! あさひの覚悟と確かな繋がり
アヴェンジャー(デッドプール

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最終更新:2022年02月13日 09:40