アルターエゴ・リンボが杉並区から姿を消した直後。
一仕事を終え。
プロデューサーとそのサーヴァントを戦場に置いたまま、怪しき陰陽師は鏡面世界へと舞い戻っていた。

「フン…サーヴァント一騎にマスターの小娘が一匹か。まぁ上出来だな」
「ハーハハハ!どうだいカイドウ!ウチの奴も中々やるもんだろう!!」

リンボより報告された戦果を耳にして。
ビッグマムは上機嫌な様子で同盟者に部下の働きを誇った。
カイドウの心底鬱陶し気な表情も、彼女は気にしない。
そのままにんまり笑みを浮かべ、プロデューサーの所在を尋ねる。

「……で?プロデューサーの奴は何処だい?健気におれの為に命令を果したんだ。
一言くらいは労ってやろうじゃねェか!」

呵々大笑、破顔した表情で、自分の命令を令呪を使ってまで果たそうとした忠実な部下はどこにいる。
そう尋ねられたリンボは相変わらず嫌悪を催す笑みで。
しかしその笑みは先ほどまでとは違い、心なしか硬かった。

「どうしたんだい?お前が戻ってるって事はプロデューサーの奴ももう戻ってるって事だろう?さぁ早く呼んできな!」

普段は喧しい陰陽師が珍しく言葉に詰まったように押し黙り。
それを見て訝し気に眉をひそめ、追及の言葉を吐く。
対してリンボが放った返答はこれまで上機嫌だった彼女の機嫌を著しく反転させるものだった。

「─────あ゛?」

リンボは間違いなく仕事を果した。
数に勝る敵方の不意を突き、己の宝具で圧倒し、悪意を以てマスター殺しを成し遂げた。
全滅にこそ至らなかったものの正しく大戦果だ。そこについては疑いようもない。
だが、その”後始末”がマムの機嫌を損ねたのだ。
再び眉根に皺を刻み、恐るべき母は詰問を開始する。

「するってぇと…テメェは何か?まだ敵が残ってるってのに、
プロデューサーのバカ共を置いて自分一人さっさと帰ってきたって事か?」

何だか、話の雲行きが怪しくなってきた。
敏感にそれを感じ取ると、リンボは軌道修正を図るべく反論する。

「ンン。そう心配なさらずとも、彼の者たちはみな満身創痍。
それに拙僧が上段から申せばかの槍兵の不興を買うと判断した次第にて」
「ほうほうほう…じゃあテメエはおれの機嫌よりランサーの機嫌を優先したって事だね?」

話が、完全に不味い方向へと向かってきた。
狡猾なるリンボをしてここまであの主従を買っているとは想定外だったからだ。
事実、彼女と同格のもう一人の四皇は冷めた目線で一部始終を眺めている。
また始まったと言いたげな視線だった。
リンボと視線が一瞬触れ合う。
俺に振るな。俺は空気だ。自分の尻くらい自分で吹け。
目線のみでそう告げられた後にぷいと視線を逸らされれば、彼からの助け船は望めない。
その事を悟ったリンボは、その悪意で満ちた頭脳を働かせ、話をすり替えてみる。

「滅相も無き事、しかし…僭越ながら、ランサーが脱落した所で構わないのでは?
プロデューサーのランサーめにはビッグマム殿への叛意も見受けられました」

リンボは語る。
多少の脚色も交え、彼の鬼の槍兵が敵に情を抱いていたことを。
援護を放った自身に対し殺意を総身に漲らせ相対していたことを。
加えて、あの鬼のランサーの戦力はそう大したものではない。
多弁な道化に比べれば上だが、二人の皇帝はおろか自分にも及ばない。
ならばここで使い潰したとしてもそう影響はないのでは…?と。
その見立ては間違ってはいない。
事実、マムのマスターであるガムテの考えもそれに近しい物だったから。
しかし、その考えは明確にビッグ・マムという女を図り間違えた物だとリンボは知る事となる。

「まず間違いなく、あの悪鬼はいずれライダー殿に牙を?くでしょう。ですので───」
「誤魔化すんじゃねェよケダモノ野郎。誰がそんな事を頼んだ?
おれはプロデューサーとランサーを援護して一緒に帰ってこいと言ったはずだが?」

いや、最後は言ってなかった。
そんな指摘は発することもできず。
取り付く島もなく。
リンボの弁明は、バッサリと切って捨てられる。
眉間に山脈の様な皺を刻み、マムの追及は続く。

「裏切りってのは海賊の世界じゃ常だ。そこについちゃ非難する方が恥ってモンだ。
勿論おれを裏切れば殺すが、それを判断するのはあくまでおれだ。
お前の勝手な判断で忠実な部下を取り戻されちゃ、おれの面目丸つぶれだろうが!!」

ドン!と
鏡面世界を、爆発的な覇気が揺らす。
どうやら、自分は目の前の鬼母の地雷を踏んだらしい。
だが、尚も…芦屋道満が秘めたる悪意のカリカチュア。レディクールキャットは動じず。
むしろ、この状況を利用し遊ぶアイデアを一つ思いつく。
失敗すれば死は免れないが───その時はその時だ。

「えぇ、ですので───是非とも、ライダー殿直々に見極めて頂きたく」
「何だって?」

死にぞこないの蜘蛛の一党は兎も角。
新免武蔵がかの一団に合流した以上、ランサーの敗色は濃厚だろう。
今頃頸を斬られていても何らおかしくはない。
サーヴァントを失えばプロデューサーの戦力的価値はほぼ喪失するが…
それを説明したところで目の前の鬼女の納得は望めない。
目の前の女は老婆の齢でありながら、我がまま極まる幼女と変わりがないのだから。
それも、奪ってまで手に入れて、それなりに気に入っていた玩具を奪われそうになっている幼女だ。
十割感情論で機嫌を乱している相手に、合理性を全面に出した論理は通用しない。
となれば、別の拳の振り下ろしどころを作るほかない。

「彼のプロデューサーが下された命令を遂行せんと引き際を誤ろうとしているのなら…
貴殿の鶴の一声で矯正は事足りるかと。加えて、あえてあの蜘蛛の娘たちに近づけることで、ビッグマム殿への忠誠を計るこれ以上無き機会になると拙僧愚考いたしまする」

自分が止めた所でプロデューサー達は決して止まりはしまい。
283への攻撃に対する発言権が認められるまで無理を押して攻撃を続けるだろう。
その結果、返り討ちに遭い拘束されるのも度外視して。

「今の彼奴らは全員青息吐息、死にぞこないの集まりにて御座います。
御身に抗せる戦力は───新免武蔵をおいて他にはおりますまい。
あの忌々しき女侍のマスターを捕らえているというのなら更に僥倖。
是非、御身自らの瞳でプロデューサーの忠節を検めて下されば───っ!?」

リンボの語りが最後までなされる事は無かった。
言い終わる前に、マムの武装色の覇気を纏った拳が、彼を撃ち抜いていたから。

「テメェ…おれを顎で使おうってのかい?」

さしものリンボと言えど直撃すれば数打と保たぬ拳。
どれがリンボの五体を撃ち抜き、吹き飛ばした。
つい先程283の一団を圧倒していたリンボをして防御不能の拳速。
それがこの聖杯戦争でも上澄み中の上澄みであるマムの突出性を如実に示していた。

「ぐっ───!」

ここまで終始気色の悪い笑みを浮かべていたリンボから笑みが消え。
口の端から鮮血を垂らし、くぐもった呻きを漏らすその様は、彼を知る者が見れば信じがたいものに映っただろう。
そんな彼に向けて、マムが一歩前へと進み出る。
しかし、出た所で彼女を制止するように、武骨な金棒が突き出された。

「その辺にしとけリンリン。俺はこいつに用があると言っただろう。
今殺されちゃ困るし、それにこの糞坊主に頼んだのはお前だろうが」

カイドウが厳めしい顔で、マムを制止する。
そして、この糞坊主が命令通りに動くと考えたお前が悪いと彼女の責任を指摘した。

「今度は俺がこの糞坊主を使う番だ。文句があるなら、尻は自分で吹いてこい」
「……………」

ギロリとマムの巨大な瞳が、リンボからカイドウに向けられ。
そのまま無言でにらみ合う二人の皇帝。
常人であれば失神してもおかしくないし、仮に大看板のクイーンが居合わせても何とか逃げようとする状況だろう。
だが───食いついたと、リンボは無言でほくそ笑んだ。
その予想通り、数秒後にいからせていた肩を降ろしたマムがリンボへと向き直る。

「ハーハハハ…いいだろう、糞坊主。今回はお前の小賢しい口車に乗ってやるさ。
だが…お前の趣味なんぞでおれが損害を被ることになれば今回の働きは帳消しだ。
精々プロデューサーのバカ野郎共が持ち堪えてるのを祈っておきな!!」
「…えぇ、貴殿の忠実なる狛犬二匹が、拙僧の働きを無駄にせぬことを信じておりまする」

その言葉を聞くとふんと鼻を鳴らし、ビッグマムの巨体が立ち上がる。
それを美しき肉食獣はすっかり元に戻った変わらぬ醜悪な笑みで見送り。
カイドウは一言「行くのか」と尋ねた。

「あぁ、プロデューサーの奴はおれに仁義を通した。
その約束を先に違えちまったからね。ケツを持ちに出てやるのもやぶさかじゃねェ」
「また指を落とされたりするんじゃねェぞ。
ただでさえ今夜は予定が立て込んでるんだ。そいつら回収したらすぐに戻ってこい」
「ママママ…それはプロデューサーの野郎次第だねェ…」

283の陣営は既に満身創痍、死にぞこないの集まりである。
敵連合の時とは余りにも前提が異なる。
蠅の王の強襲から始まった連戦に次ぐ連戦で、マスターはおろかサーヴァントも共に。
小指以外は万全なマムを迎撃する余力は残されていない。
仮に撃退できたとしても、更なる犠牲者が出るのは火を見るより明らかだ。
比較的余力のある宮本武蔵も霊骸汚染の爪痕は深く、マスターを抑えられている。
彼女の力によってマムの撃退に成功しても、その場合彼女のマスターである梨花は確実に殺されるだろう。
四皇の首に届きうる天元の華はそこで散る。
リンボの組んでも組みつくせぬ悪意の芽は、283にとっておおよそ最悪の形で萌芽した。
マム自身には現状戦闘を行うつもりは余りない。
あくまで今の一番の標的は敵連合。
283は彼女の中で抹殺対象としては相対的に位置が下がっている。
故にプロデューサーの仁義に陰りがないかを検め、ランサーを回収にいくだけのつもりだが……
それも彼女の気分次第で容易に変わるだろう。
そして、事が構えられれば鎧袖一触、更なる被害が出るのは最早必定だ。

「出撃(で)られるのであれば…先ほど申し上げた女侍には注意なさると宜しいでしょう」
「カイドウの奴がフン捕まえたっていうマスターのサーヴァントかい?」
「えぇ、貴殿の玉体を傷つけうるのは女侍…新免武蔵を置いて他におりませぬ
まぁマスターを捕らえていることを告げれば余計な真似もできやもしれませぬが」
「侍ねェ…この街にいる侍って奴はどいつもこいつも腕が立つらしい。
まぁいい。覚えといてやるさ!それじゃあ出撃(い)ってくるよ!」
「ンン!どうかお気をつけて……」

日輪の耳飾りをつけていた侍の姿を想起しながら。
マムの巨体は一際大きな鏡の中へと消え失せる。
リンボとカイドウは、それを無言で見送った。

「…よろしかったので?見送ってしまって」
「テメェのせいだろうが馬鹿野郎。ああなったババアは止めても時間の無駄だ。
それより、俺からも仕事を一つしてもらうぞ糞坊主。俺のマスターはその成否でお前の与太話に伸るか反るか決めるとよ」
「それは無念。しかし…ンンン!!当代の頂きたる魔術師との腕比べ!!
というのは……拙僧としても昂ぶってしまう響きですなァ……
達成した暁には、必ずやこの地獄界曼荼羅の成就に助力を願いまする」

カイドウの命じた仕事とは、当初の予定通り、皮下が推し進めていた霊地の奪取計画だ。
できる事ならすぐにでもフォーリナーのマスターを殺害し、地獄界曼荼羅を実行に移したい処であったが…
カイドウのマスターの意向ともあれば無視はできず。
お前の計画は後回しだと宣告されたようなものだったが、リンボに不快感は無かった。
霊地の魔力はもし現在のメインプランである窮極の地獄界曼荼羅が頓挫した時に備えてのサブプランのキーになりうる。
何より、現代最強の魔術師である峰津院大和との構築した儀式場の奪取計画。
龍脈制御の儀式をそっくり乗っ取れという命令は、大いに彼の自負を擽った。
平安の世の術師のハイエンドとして、一度挑むと決めれば決して降りられぬ勝負だ。
彼を越える術師は、天上天下においてたった一人でなければならないのだから。

「とは言え、それが叶うかもあの恐るべき母の機嫌次第……」

リンボは瞼を細め、粘ついた笑みを更に醜悪に歪める。
彼の脳裏に想起されるのは、数刻前に無力な身でこのリンボの前に現れた一人の男。
濁らせ切った瞳の奥に、鋼のような冷たい決意と覚悟を秘めたマスター。
彼自身と彼に仕える槍兵は勿論、このリンボの進退や、偶像達の未来すら。
あの男の双肩(パーフェクトコミュニケーション)に託されたというわけだ。

「さて…頼みましたよ、“滑稽な狛犬”よ」

心底楽しそうに、そう独り言ちるリンボを見下ろして。
彼らの盟主たるカイドウはまた酒を飲み下し。
密かに愚痴をぼやいた。

「……ウチはこんなのばっかりか」

【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)・鏡面世界内/二日目・未明】

【ライダー(カイドウ)@ONE PIECE】
[状態]:首筋に切り傷、体内にダメージ(小)
[装備]:金棒
[道具]:
[所持金]:
[思考・状況]
基本方針:『戦争』に勝利し、世界樹を頂く。
0:あの日の悔恨に"決着"を。
1:沙都子と梨花の再会を斡旋しつつ大看板(キング辺り?)に監視させる。
2:峰津院の霊地(東京タワーとスカイツリー地下)を強奪ないし破壊する。
3:組んでしまった物は仕方ない。だけどウチはこんなのばっかりか…
4:鬼ヶ島の顕現に向けて動く。
5:『鬼ヶ島』の浮上が可能になるまでは基本は籠城、気まぐれに暴れる。
6:リップは面白い。優秀な戦力を得られて上機嫌。てめェ戻って来なかったらブチ殺すからな
7:リンボには警戒。部下として働くならいいが、不穏な兆候があれば奴だけでも殺す。
8:アーチャー(ガンヴォルト)に高評価。自分の部下にしたい。
9:峰津院大和は大物だ。性格さえ従順ならな……
10:ランサー(ベルゼバブ)テメェ覚えてろよ
[備考]
※鬼ヶ島の6割が崩壊しました。復興に時間が掛かるかもしれません

【アルタ―エゴ・リンボ(蘆屋道満/本体)@Fate/Grand Order】
[状態]:気分高揚、魔力消費(中)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:この東京に新たな地獄を具現させる。
0:地獄界曼荼羅の完成に向けて準備を進める。
1:霊地の収奪と、窮極の地獄界曼荼羅の実行準備。
2:計画を最終段階に移す。フォーリナーのマスターを抹殺する。
3:式神は引き続き計画のために行動する。
4:…のつもりでしたが、やめました。祭りの気配がしますぞ、ンンン――。
5:式神にさせるつもりだった役目は本体が直接担うことに変更。何をするつもりかはおまかせします。
6:それはそうと新たな協力者(割れた子供達)の気質も把握しておきたい
7:“敵連合”は静観。あの蜘蛛に邪魔されるのは少々厄介。
8:機会があればまたプロデューサーに会いたい。



「ゼウーーース!!!飛ばしなぁ!!間に合わなきゃ承知しねェぞ!!」

ところ変わって杉並区の一画に、ビッグマムはその姿を現した。
自由意思を奪ったうえで呼び出した雷雲に騎乗し、現場へと急行する。
本来ならば直接鏡空間を通って283と鬼のランサーが待つ現場に急行できればよかった。
しかし戦闘の余波で彼女が通るに足りうるだけのサイズの鏡は付近に存在しなかったのだ。
それ故に、一番近い彼女が通れるサイズの鏡の場所に現れ、そこからはゼウスに乗って飛来するつもりだった。
そんな彼女の脳裏に、聞き馴染んだマスターの声が入る。

『―――ライダー』
「あァ!?ガムテかい?言っておくが止めたら承知しねェぞ!!
海賊が一度奪った宝を取り戻されちゃ末代までの恥だ!!」

実際には、マムが自ら直々に赴くという選択は様々な結果が重なった要因だ。
まず、リンボが余力を残した状態で戻ってきたこと。
283陣営の抵抗が激しく返り討ちに遭ったというなら彼女も結果を飲み込んだだろう。
だが、実際はリンボ一人、余力を残した状態で帰ってきた。
これでランサーとプロデューサーを失えば、本来なら避けられたはずの損失という事になる。
戦って負けて死んだなら仕方ないという前提から、避けられた損失に変われば、受け取る心証も大いに変わってくる。
それだけマムはプロデューサーの事を高く評価していた。
本戦が始まってからであったマスターはどいつも礼儀を弁えていない若造ばかりだったが、唯一あの男は弁えた上でマムに魂を献上した。
そして今回も、令呪二画の喪失も厭わず戦果を挙げたという。
実力のほどはさておき、マムから見て忠実な部下であるという評価を下していた。
カイドウとは違い自身以外にサーヴァントの抗し得る手勢として貴重な駒でもあった。
生前であれば、自身が生んだ娘の一人でもあてがってやろうか…そんな風に考えるくらいには。
そして、そんな忠実な戦果が回避可能だったミスで失われようとしている。
リンボに直ぐに回収してくるように命じても良かったが、彼女の同盟相手であるカイドウの命令で手がふさがっており、覆面の道化は力不足。
他に回収が可能な駒も他になかった。
故に、彼女がこうして直々に赴く運びとなったのだ。

『冷静(クール)になれよ。出撃(でば)るってんなら別に止めたりしないからさー』

マムの主であるガムテの声は、冷静だった。
間違いなく、ライダーの出撃は彼が予見していなかった行動であるにも関わらず、だ。

「その代わり、Pたんたち回収(パク)ったら直ぐに帰ってこいよな~
今夜は色々仕事が立て込んでるんだからさ~!!」
「分かってるよ、おれを信じな!!」

念話で表情まで伝わらないのは、きっと彼女の主にとって幸運だっただろう
今までババアの言葉が信じられたことがあったかよ、と。
そう言う顔をしていたから。
本来ならば全滅させるように命じても良かったが、どうせババアの機嫌を連中が害せば命じなくともそうなる。
それに、余り攻撃的になりすぎても先の敵連合の様な妙な覚醒を果されるリスクを被る。
どうせ現状の283陣営は死に体だ。暫くは何もできない。
今回ライダーの目的は殲滅ではなく友軍の回収なのだから、目的を果せば満足して帰ってくるだろう。
故に出撃は咎めず、翻って過度な攻撃は控えるよう促すだけに留めた。
勿論ライダーが暴れてそれで全滅させられたならばそれはそれで構わない。
ただ…やはりあのババアはこっちの目論見を無視して動きやがる。
その事を再確認しながら、殺人の王子は憤懣やるかたない思いで念話を打ち切った。

【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)/二日目・未明】

【ガムテ(輝村照)@忍者と極道】
[状態]:健康
[令呪]:残り三画
[装備]:地獄への回数券
[道具]:携帯電話(283プロダクションおよび七草はづきの番号、アドレスを登録済み)
[所持金]:潤沢
[思考・状況]
基本方針:皆殺し。
1:蜘蛛共を叩き潰す、峰津院の対策も講じる。
2:283プロ陣営との全面戦争。
3:あのバンダイっ子(犯罪卿)は絶望させて殺す。とはいえ、この攻撃で死滅(くたば)るようならそれまでの敵だったというだけ。
4:黄金時代(北条沙都子)に期待。いざという時のことも、ちゃんと考えてんだぜ? これでも。
5:黄金時代……流石に死んだかな? いやあいつなら何とかすんだろ。
[備考]
※ライダーがカナヅチであることを把握しました。
※ライダーの第三宝具を解禁しました。
※ライダーが使い魔として呼び出すシャーロット・ブリュレの『ミラミラの実の能力』については以下の制限がかけられています。界聖杯に依るものかは後続の書き手にお任せします。
NPCの鏡世界内の侵入不可
鏡世界の鏡を会場内の他の鏡へ繋げる際は正確な座標が必須。
投射能力による姿の擬態の時間制限。

「ハーハハハハ!!おれが直々に迎えに行ってやるんだ!!精々生きてな馬鹿共!!」

主からの出撃の許可を受け。
その巨大な口を裂けそうなほど弓状に歪めて、ビッグ・マムは空を行く。
その脳裏を過るのは先ほどのリンボの報告だ。

「プロデューサァ…!忠実なおめェを疑ってるワケじゃねェが……
おれは依怙贔屓はしねェんだ!リンボの言う事も確かめなくちゃねェ……!」

───プロデューサーのランサーめにはビッグマム殿への叛意も見受けられました。

「おれは言ったよねェ…去る者は絶対に許さないって…!」

ビッグ・マムは去る者を絶対に許さない。
来るもの拒まず、去る者殺す。
それがビッグ・マム海賊団の鉄の掟。
その事を忘れていないかどうかだけは、確かめなければならない。

───自分が協力している間は、どうか彼女達の安全は保障してほしい。

「分かってる、分かってるさ…忘れちゃいねェよ…
だが、そのためにはお前の仁義をもう一度見させてもらおうじゃねェか!」

マムのその言葉はある種283にとっての希望で。
同時に、断崖へと続く絶望でもあった。
リンボの見立て通り、少女たちの命運は、プロデューサーに託されたのだから。
首尾よく回収に成功すればそれでよし。しかし…
もし彼女の意に背くことがあれば…今度こそ283は陣営として再起不能のダメージを追うだろう。

───何処へ行ったの、マザァー!!!!

ビッグ・マムは去る者を絶対に許さない。
それは幼き日の彼女に刻み付けられた癒えぬ疵跡なのだから。
まして彼女は海賊。
奪ってまで手に入れた、それなりに気に入っていた宝を漫然と奪われ返され手は四皇の名折れだ。
それ故に、鬼女の形相で…シャーロット・リンリンは空を征く。

【杉並区・戦場近辺/二日目・未明】

【ライダー(シャーロット・リンリン)@ONE PIECE】
[状態]:疲労(小)、右手小指切断
[装備]:ゼウス、プロメテウス@ONE PIECE
[道具]:なし
[所持金]:無し
[思考・状況]
基本方針:邪魔なマスターとサーヴァント共を片づけて、聖杯を獲る。
0:生きてなよバカ共ォ ~~!!
1:北条沙都子! ムカつくガキだねェ~!
2:敵連合は必ず潰す。蜘蛛達との全面戦争。
3:ガキ共はビッグマムに楯突いた事を必ず後悔させる。
4:北条沙都子、プロデューサーは傘下として扱う。逃げようとすれば容赦はしない。
5:カイドウを見つけて海賊同盟を結成する。
6:ナポレオンの代わりを探さないとだねェ…面倒臭ェな!
[備考]
※ナポレオン@ONE PIECEは破壊されました。

時系列順


投下順


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116:prismatic Fate ライダー(カイドウ) 127:Pleasure of the Certainty Witch
111:輝村照:イン・ザ・ウッズ ガムテ 121:ある少年のプロローグ
116:prismatic Fate ライダー(シャーロット・リンリン) 120:STRONG WORLD
アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)

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最終更新:2022年09月04日 16:37