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@Hakobune ・10秒前 …
成功する保証は無し。相乗りは歓迎。
残存する全てのマスターとサーヴァントに対して、同じ道を歩む余地がないものかどうか検討する。
全員との対話が終わるまで、方舟は出航しない。
◆ ◆ ◆
────ダメだな、こいつら。
自身のアカウントに送られてきたリプライを見て、皮下が抱いたのはその一言だった。
ただでさえ猫の手も借りたい程忙しい現状、こんな愚にもつかない連絡は捨ておくべき。
つい一時間前までの彼ならばそう思っていただろう。
彼のサーヴァントである、
カイドウより283に関する情報を得ていなければ。
「……283の連中からの連絡か」
傍らから、
リップが覗き込んでくる。
他人に自分のスマホを覗き見られるというのは気にならない事も無かったが、
それでも彼も執心の情報である事も理解しているので特に気にしない。
「あぁ、この期に及んでまだ誰も彼も、だとさ。ご立派だねぇ」
「……それでも無視は旨くないだろ。どう返すつもりだ」
「んー、そりゃ決まってる。梨花ちゃんに伝えた時と同じ、『死ね』だ」
飄々とした態度で、剣呑な決定を口にする皮下。
それに違和感を感じたリップは、怪訝そうに眉を顰めた。
一見すれば脱出の危険性は下がったかのような283からのメッセージに尚も強硬な態度を見せる意図を測りかねたからだ。
僅かに考えた後、最も妥当と思われる推察を提示する。
「……これは奴らの嘘(ブラフ)とでも言いたいのか」
皮下が283殲滅の姿勢を崩さない理由で最も即座に思い浮かぶ物が、それだった。
今はまだ脱出しない、或いはできないというポーズを敢えて広め。
聖杯狙い達のガードが下がった所でせっせと準備を押し進め、秘密裏に脱出する。
策としては、四面楚歌の今の脱出派達が取れる最善手だろう。
だが、その推論を聞くと、皮下は首を横に振った。
「妥当ではあるが、意図が見え見え過ぎて可能性は低いだろうな。
多分、全員と対話なんて目標もマジに言ってるんだろう。
俺が落第点を出してるのはそこだ。あの子らは敵としちゃ余りにも信用できない」
クロサワやカイドウ、ガムテらから得た情報から推測するに283のアイドル達が本当に善良な集団であることは皮下もある程度の信ぴょう性を感じている。
しかし、その上で彼女達の提案を皮下は戯言だと断じた。
「残存主従全て何て、範囲も対象も不透明な連中に判断基準を投げてるのが論外だ。
これがまだガムテ君が抑えてるあの子らのPさんや梨花ちゃんの奪還が果たされるまで…
とかなら『死ね』が、『却下』に変わるぐらいで済んだけどな」
界聖杯は既に脱出派の脱出が叶った場合残存主従の抹消を宣言している。
そんな中でこの東京で勝ち残った、全ての主従との対話を脱出派は目指しているという。
何騎生き残っているかもしれぬ状況で、襲われることも承知の上で、彼女達は交渉に臨もうとしているのだ。
だが、その事実は皮下達にとって最も信用ならない選択肢である。
何がきっかけに、彼女達が脱出に踏み切るか分からないためだ。
「奴らが途中で掌を返すって言いたいのか?」
思わず、疑問が口に出る。
皮下の話では既に犠牲者も出ているという話なのに、それでも対話を選ぶ脱出派がそんな裏切りを選ぶだろうか。
リップの視点から見ても、その可能性は低いように思えた。
だが、それに対する皮下の声は、氷の様に冷淡なものだった。
「あぁ、そう言う事だ。だって、追い詰められてるとはいっても、
───283のマスターで死んだのは、まだたった一人だけだろ?」
あっけらかん、という言葉が最も似合う態度で。
皮下真は、283が負った痛みを、そう吐き捨てた。
正確にはサーヴァントも2騎脱落しているのだが、そもそも勘定にいれていない。
皮下にとってはサーヴァントなど勝ち残るための兵器でしかないからだ。
そう思っているのは皮下だけでなく、カイドウの側も同じだろう。
思考で理解したうえで、徹底的なまでに偶像達の感情に頓着せず。
一人の少女の死を、皮下は徹底的に数値(データ)としか見ていない。
「今はまだお友達が一人死んだだけだ。だから旗色が悪くても身内で励ましあえる。
あの子の分まで頑張ろうなんて息巻いてるかもな。でも───これが二人、三人。
死人と、生きてるアイドルの数が逆転する頃にはどうなっているかな?」
283が、これからも積極的に他の陣営に関わろうとする限り。
これからも犠牲者は確実に出る。
彼女達は既に聖杯狙い達からの賞金首。目の上の瘤なのだから。
それを為すのが自分達海賊同盟か、それとも峰津院か、手を組んでいるらしい敵同盟とやらかは分からない。
だが、素人の少女たちが戦争に介入するという事はそう言う事だ。
残存主従全てという広範囲かつ実態の見えない相手と関わり続ければ、何がきっかけで犠牲者が出る事になるかは分からない。
そうして、脱落者の数が増えて。生き残っている偶像が半数ほどになれば。
絶対に、今自分達が今選んでいるスタンスは正しいのかという疑念がもたげてくる。
情が深いからこそ、これ以上仲間を喪うくらいならばという感情が必ず発生する。
そうなれば、必然的になりふり構わず脱出するスタンスへと移行してしまうだろう。
それこそが、皮下の最も懸念している事態なのだった。
「賭けてもいい。実際アイドルちゃん達は善い子なんだろう。
だが、だからこそ───本当に土壇場になれば、身内への情に負けて必ず反転する」
最後の一人になっても徹底的に界聖杯に逆らう、理想と一緒に心中する様な連中でなければな。
そう言って、皮下は推論を締めくくった。
それを不治の否定者は無言のままに、しかし確かな納得と共に理解する。
283の箱舟は聖杯を目指す物全てにとっての爆弾だ。
プロデューサーや
古手梨花の存在でそれをある程度コントロールできると踏んでいたが。
彼女達はリスクを敬遠して信頼できるものとだけ、手を繋ぐことを選らばなかった。
レイシストの思想と言ったのは訂正しよう。
彼女達は本気で全員笑って終わる事の出来るエンディングとやらを目指しているらしい。
しかし、だからこそ危険度は跳ね上がる。
何がきっかけで、何時彼女達が脱出する方向に舵を切るかが予測できないからだ。
今や283の偶像達は爆弾は爆弾でも、導火線の見えない不可視の爆弾と化した。
故に、共生の道は無い。しかしだ。リップはそこで口を挟んだ。
「…283の連中がやっぱり生かしておけないってのは理解した。
だが、俺達は今峰津院以外を相手にしてる余裕はねぇだろ」
当然の指摘だった。
リップとて残存戦力の全てを把握している訳ではないが。
本選通過時に告知された残存主従の総数から、自分達が所属している陣営が最大勢力であることは間違いないだろう。
戦力的にも、諜報戦、電子戦の視点から言っても、脅威であるのは峰津院位だ。
とは言え、その唯一の対抗馬とこれから一戦交えようという現状。
他の陣営には構ってはいられない筈だ。
戦力に余裕があるからと言って戦線を広げすぎる事は、愚策中の愚策に他ならないのだから。
そんなリップの指摘に、皮下は宥める様なボディランゲージと共に答えた。
「まぁ焦るなよ。俺だって今峰津院以外と喧嘩している余裕は無いのは分かってる。
だから、今考えてるのは峰津院との戦いにもプラスに働く話だ。半ば運試しだけどな」
「……運試し?」
語る皮下の様相は、先ほど自分のサーヴァントの命令に激しく狼狽していたとは思えないほど泰然としていた。
まるで、これからとびきりのマジックを見せようとしている手品師の様な。
相手を嵌めようとしている詐欺師の様な。
そんな皮下の態度を見て、リップは特に口を挟むことなくプランの開示を待った。
「総督の話だと、偶像共は敵連合って奴らと繋がってるんだろ?
峰津院との決戦の最中に横合いから殴り掛かられちゃ面倒だ。だから───
一時停戦の打診をしてみる」
閉口。
これにはリップも言葉を失った。
鏡面世界や鬼ヶ島と言う反則手を有している以上、もしそうなったとしても勝算は十分にある。
だがやはり峰津院を筆頭として、敵連合に283と三つの陣営に包囲される事となるのは、皮下としても避けたいのだろう。
そこまで思考が行きつくと同時に、不可能だと即座にリップは皮下の案を棄却する。
深く事情は知らないが、自分たちの陣営は既に偶像達に損害を与えている。
脱出派の情報流布から古手梨花の捕縛は勿論の事、
皮下が同盟を結んでいるサーヴァントが既に一人脱出派のマスターを落としている。
そんな確執のある相手の提案受け入れられるはずがない。
この男は面の皮がゴムタイヤか何かでできているのではないか?
「ところが、今このタイミングではそうでもないんだ」
犠牲者が出る事になった発端は、283が抱えていた犯罪卿と呼ばれるサーヴァントと。
自陣営の最高戦力の片翼たるガムテが従えるライダーの対立に起因する。
件の犯罪卿を屠るために、ガムテ少年は確保しておいた刺客を送り込んだ。
他ならぬ、偶像達のプロデューサーを。
奇妙なのは、偶像達の関係者としては聖杯狙いという特異なスタンスであるらしい。
「もしそのPさんが犯罪卿を始末してくれていれば、当面こっちとの確執は弱まる。
あの子らが諦めない限り確執そのものが消えることは無いが…
総督は元より283なんざどうでもいい。もう一人の婆さんも現状は峰津院と敵連合ってのにご執心だ」
だから、奴らがこっちと講和を結ぶなら今しかないんだ。
皮下のそう告げるのと共に、リップも脳内で情報を吟味してみる。
確かに、四面楚歌状態の彼女達とってメリットが大きい提案だ。
最大の敵が、一先ず敵に回らないと宣言するようなものなのだから。
右を見て左を見ても、同盟を結んでいる敵連合ですら本質的には味方ではない、
孤立状態の283にとって、海賊同盟と停戦協定を結べるだけで相当な状況の改善が見込める。
「もし、あの子たちがこっちにつくなら、この界聖杯のシード権をくれてやってもいい。
総督は釈然としねぇだろうが、ラスボスが一番強いなんてのは俺は漫画や映画の中だけで十分なんだよ」
元々大した戦意は無い集団なのだから、脱出と此方への明確な敵対行為。
この二つを行わないのであれば、一先ず捨て置いても問題は無かった。
峰津院を打倒した後、手に入れた霊地の魔力で敵連合を制圧し283と雌雄を決する。
彼なりの、決勝戦(ラスト・ダンス)の誘いだった。
「…いや、さっき言ってたことと矛盾しないか?
283は何が切欠で爆発するか分からない爆弾だったはずだろう。
少なくとも、そんな連中を遊ばせておくのは俺は反対だ。リスキー過ぎる」
「峰津院や敵連合にいたら間違いなくそうだろうな。でも、俺達には明確に奴らにはないカードがある」
もし仮に、峰津院がこの戦いに勝利し、海賊同盟をせん滅したとして。
霊地の魔力で戦力を拡充させたうえで次に標的にするのは間違いなく283だ。
唯一の対抗馬を下し、この最高戦力となれば次に彼らの牙城を脅かしうるのは、
ゲームそのもの強制的に終わらせかねない283に他ならない。
いま彼女達と手を結んでいる敵連合とだって、最終的な決裂は免れない。
脱出と聖杯。
目的地が違うのだから、峰津院と海賊同盟を下せば必ず敵連合は283に牙を剥く。
その前提は海賊同盟も同一のものだが…峰津院や敵連合とは決定的に違う点がある。
陣営こそ違えど、根幹からして彼女達の味方であるプロデューサーが此方にはいるのだ。
彼女達は、彼を見捨てられない……と見ている。
根本的に偶像達の味方である彼がいる事で、海賊同盟の約定にも信憑性は高まる。
もし一方的に約定を反故にして攻撃を仕掛けようとすれば、プロデューサーは彼女達に何らかのサインを絶対に出すからだ。
「あの子たちがこの話を蹴れば必然的にプロデューサーの立場は悪くなる。
それに、婆様との確執も息を吹き返すことになるかもしれない。
それは、あの子たちも望むところでは無いだろうさ。
勿論、話を飲むなら決裂まで二人の身の安全は、一応保障する」
向こうが参加者全員と話し合いの機会を設けると公言した矢先に。
これまでの確執は不幸な行き違いだったと水に流して、伸ばした手を払われたなら。
やっぱり全員と対話するつもりなんて無かったんじゃないかと此方も相応の対応ができる。
ともすれば、全員との対話なんて耳心地のいい言葉を吐いておいて。
直ぐに脱出は出来ないと嘯いておいて。実はやはりせっせと脱出準備しているのではないかと情報操作も可能だ。
「偶像達にとっても俺達、峰津院、敵連合相手に三連勝するよりも。
俺達が他を片付けた後に、俺達出し抜いて一勝する方がよっぽど実現性も高いだろ」
確かに一理ある話ではある。
だが、リップの表情はやはり否定的な物だった。
「…さて、どうだかな。取り合えずそのプロデューサーって男に会ってみない事にはな。
そいつが偶像共にとってどれほどの存在か測らんことには頷けん」
「そりゃそうだ。ていうか俺も知りたいしな。
奴さんが俺達が投資するに相応しい代物なのかどうかは」
そこでぱん、と皮下は手を叩き。
だから、出撃前に一つ会ってみようぜ、と結論付けた。
彼の現在の推定の居場所は、既にビッグ・マムの口からカイドウに。
カイドウの口より、皮下に伝えられている。
問題は、どうやってガムテがいないタイミングで鏡面世界を移動するかだが…
何処にいるかさえわかれば、リップのアーチャーの空間転移で問題はない。
「……そう言えば、お前のライダーはどうした?」
「大戦前の腹ごしらえ中だよ。集めた葉桜の被検体を全部食わせてる
283とコンタクトを取ることに関しちゃ、総督も了承済みだ。
何しろ向こうには総督の“悲願“がいるかもしれないらしいからな
もしそいつがいたら三十分後に東京タワーに攻め込むって伝えろだとさ」
前日の午後に実行したクロサワによるアイドル拉致計画。
そして、同盟者であるガムテの実行した、グラス・チルドレンによる偶像殲滅。
その両方を阻止した侍がいることは、ガムテとの要注意人物の情報交換で分かった。
二度もアイドルを助けている事実、カイドウの知る宿敵の性格。
この二点を考慮すれば
光月おでんが283陣営と連なっている可能性は非常に高い。
日輪のセイバーとの対鋼翼の共同戦線の約定もあるため、カイドウにとっても、
283と皮下がコンタクトを取ることに異論は無かったという。
「大和の奴は東京タワー側に現れたらしい。不自然に鏡が塞がれてるからほぼ確定だ。
総督や大看板には共同戦線を結んだらしいセイバーと一緒にそっちを遊撃してもらう。
俺達の本命はスカイツリーサイド。あの婆さんやリンボ、
お前のアーチャーちゃんと連携して霊地を頂く」
「お前のライダーとあのババア、両方にあたらせた方がいいんじゃないか?」
「その場合大和が万が一令呪でスカイツリーにシュワッチしてきたら、
お前のアーチャーちゃんが矢面に立つわけだが…それでいいか?」
「………成程な、お前の作戦で構わねぇよ」
リンボやシュヴィは短時間とは言え霊地の強奪に専念させたい。
そんな時に大和や敵連合、方舟一派が攻め込んでくれば狛犬や道化では防衛は不可能。
強奪作戦そのものが頓挫する恐れがあった。
その為、最大戦力である四皇二人をそれぞれの霊地に分散させたのだ。
「今まで必死に集めた覚醒者(モルモット)を食わせちゃいるが、
それでも大和の奴に勝てるかは分からん。もし霊地強奪に失敗すりゃ大赤字だよ」
今迄集めた葉桜の犠牲者たちは千人ほど。その全員が既に覚醒している。
その全てを食わせて令呪二画分の霊基の向上は見込めたが、今迄のストックを全て使ってしまった以上、同じ手は易々とは使えない。
だが、この一戦で全てを出し切る短距離走の構えでなければ峰津院は墜とせない。
その事を、皮下は正確に理解していた。何処かで必ず博打に出る必要がある。
「リップ、お前もそろそろ梨花ちゃんを出す準備しておけよ。
もうすぐ鬼ヶ島の中は綺麗さっぱり更地になるだろうからな」
どこかげんなりした顔で、皮下は梨花の身柄の移動を忠告する。
カイドウの計画では日輪のセイバーとの約定から、決戦場は鬼ヶ島の中とするらしい。
激突で失われる命を少しでも減らすための措置なのだろう。
その代償として、綺麗さっぱりこの鬼ヶ島の全てが消え去るのは最早確定していた。
「あーもー!!実験体達の処理は済んだ。他の設備もノウメンのホテル何かに移した。
それでもよー、総督はお前らにあぁ言ったけど…結局、栗を拾いに大火事の中に突っ込むの、俺と総督じゃん!!」
先ほどカイドウはリップ達に睨みを利かせたものの。
この作戦で最もリスキーなのは間違いなく直接鋼翼を相手取る事となる皮下らだ。
語気こそ強かったが、リップ達のリスクは皮下とカイドウのそれよりも数段落ちる。
ぼやく皮下だが、その軽薄な態度の裏側にあるこの作戦に対する本気の度合いをリップは感じ取っていた。
今のこの男なら、二画目の令呪の使用さえ躊躇わないだろう。
請け負うリスクが低いからと言って油断していれば食われる。その確信がった。
「皮下」
「ん~何だよ」
「283との交渉は、俺も噛ませろ」
「あぁ、お前も梨花ちゃんの女侍と話をつけておく必要があるもんな」
リップとてこのまま状況に運命の手綱を任せるつもりは毛頭ない。
此方も、カードを切るべきである。彼はそう判断した。
(古手梨花のセイバーに
峰津院大和を暗殺させる。これでいいな、シュヴィ)
『──ん、問題ない…セイバーの宝具なら…あのマスターが、バリアを貼ってても…
間違いなく、斬れる』
(首尾よく行けば皮下のライダーを落とさせてもいいが…それは状況次第だな)
リップとしてもこの一戦は墜としたくはない。
それ故に、古手梨花のセイバーに283陣営の戦力として動くことを許すつもりは毛頭なかった。
高ランクの対魔力を有しているセイバークラスに令呪一画分の強制力では服従させるには不足だろう。
だが、此方には不治と言う鬼札がある。
令呪と梨花にかけた不治、これを以て古手梨花のセイバーを此方の駒とする。
少なくとも、自分たちの邪魔だけはさせない。
そう思案を巡らせていると、眼前に何かが投擲された。
「………これは?」
「お前がオーダーしてた麻薬(ドラッグ)だよ。忘れる前にと思ってな。
時間がないせいでそこまで量産できてねーが、この一戦だけなら十分な数を用意した。
あ、言っとくがお前の分だけじゃないからな、
不安なら今のうちにアーチャーちゃんに解析させとけ」
手渡されたケースに入っていたのはリップが量産を依頼した麻薬だった。
様々な計画や作業と並行しながら、皮下らは複製と量産に成功していたらしい。
鬼ヶ島内の研究設備が軒並み吹き飛ぶ以前に、こうして提供が間に合った。
カードは着々と出そろい、その暴力を馳せる臨界の時を待つ。
「──うし、それじゃあ行くか。ガムテ君が帰ってくる前に済ませちまおう」
「そう言えば、あのガキはどうした?」
「俺達の他にも同盟者がいるらしいからそっちと話付けに行くんだと。
あんまり重要視はしてないみたいだったけどな」
話によればそのガムテの同盟者は敵連合の中核をなす人物と深い仲で、
それを考慮すれば此方を裏切ってくる可能性大な相手らしい。
そんな奴を連れてくるなとリップは吐き捨てるものの。
だから優先度が低いって話なんだろ、と肩を竦めて皮下は返した。
ガムテがつけた話如何で作戦に加えるか捨て駒にするか左遷するか吟味すれば良い。
その方向で話は纏まり、プロデューサーに会いに行く運びとなった。
鏡世界を先導しながら、リップは静かに尋ねる。
「283の連中、話に乗ってくると思うか?」
「んーいや、まぁ無理だろ。こういう時ガキは大人のいう事を聞かないもんだ」
皮下も、283が乗ってくるとは思わなかった。
君たちのやろうとしている事は死体の数を増やす結果にしか繋がらない。
必ず、後悔することとなる。
そう告げた所で、皮下達への純粋な反感とは別に受け入れられないだろう。
此処半日の各地で起きた戦乱により、最早東京は戦場と化した。
そして、戦場に観覧席は無い。このまま座して時を浪費すれば。
そう遠くないうちにゆでガエルの末路を辿る事となる。
回避するには、自分たちの手で運命の手綱を握るほかなく。
例え、それが海賊同盟と何方が生存(いき)るか死滅(くたば)るかの道を歩むことになったとしても。
例え、その過程で犠牲者が出る事になったとしてもだ。
此処で偶像達が退く事は絶対にないだろう。
これまでの動向から立てたプロファイリングを述べつつ、皮下は「それに」と続けた。
「当然、俺達と仲良くするなら敵連合とは縁を切ってもらう。
今時現役アイドルの熱愛なんざ珍しくないが、不倫がスキャンダルなのは昔と同じだ」
結局の所。
生死のかかった場所で、八方美人ほど信用ならない物は無い。
皮下の出した結論はそれだった。
そして、283が最終的な決裂の時まで敵連合を裏切ることは多分無いだろう。
最初から拒絶が見えているなら、これからの交渉は敵を脅威と定める確認作業。
或いは大勝負の前の単なる運試し。
だが、皮下医院と豊島区の一件で大和も敵連合もある程度敵としての輪郭が見えている中。
283陣営は皮下達にとって霧子と梨花以外、今一つ不透明な勢力だ。
ここらで各々のカードを開き、持ち札を詳らかにしておくのも悪くない。
そう考えての決定だった。
どの道話がどう転ぼうと、三十分後には戦争が幕を開ける。
後悔が無いように、やれるだけのことはやっておかなければならない。
「……ま、恋人は一人だけって話だ。三人も四人も嫁がいるなんてのは、
土台不誠実なんだよ。………お前も、そう思うんじゃないか、リップ」
──貴女の言う通り、夜桜(わたし)が「当たり前」となる未来を私に見せてください。
脳裏に一人の女を想起し、皮下はまた軽口を叩いた。
断言こそできないものの、事ここに至り、何となく彼も察していたのだ。
何故、リップと言う甘い男が、聖杯を目指しているかを。
プロデューサーがいるという部屋を目指し、先を歩くリップは直ぐには答えない。
だが、前を見据えたままぽつりと返事を漏らした。
その返答はこれまで通り淡々としながらも、その実最も感情を感じさせる一言だった。
「…あぁ、それについちゃ“半分は”同感だ。誰も彼も、何て知った事じゃない」
──寄越せ!お前のポイントを!全部!!俺がアークに乗り、もう一度ライラを治す!!
…どうしようもなく、二人の男は大人だった。
既に、何よりも優先するものを決めていた。
そこには法も倫理も、挟まる場所は無く。
だからこそ、彼らは偶像達の理想を“否定する”。
◆
…軟禁場所にある鏡を通した狂気の女帝への報告は、つつがなく果された。
出撃前に報告を命じてきたビッグ・マムは彼の挙げた戦果に満足したようにしきりに頷いていた。
サーヴァントが二騎に、マスターが一名。紛れもなく大戦果だ。
特に犯罪卿の首級を挙げたとなれば、彼女は瞬く間に破顔して。
───マ~マママママ!!やるじゃねェかプロデューサー!褒めたげるよ!!
巨大な貌を喜色に歪ませて、満悦といった様相で彼女は傘下の男を労った。
話を伺うに、アルターエゴ・リンボの口から自分が裏切るのではないかと、
疑いを賭けられていたらしいが、払しょくできたらしい。
その後、プロデューサーは高まった機運を見逃さず、女帝へと二つの提案をした。
一つは、自分に疑いをかけたリンボの処断を不問とする事。
曲がりなりにもランサーに加勢した彼に義理を通す意味と、貸しを一つ作っておくためだった。
海賊同盟の全容判明のため、黄金時代(ノスタルジア)へと接近するためでもある。
もう一つの提案は、283への対応を自分に任せてほしい、という事。
ガムテがいれば到底受け入れられるとは思えない要求のため、偶像達に対して発言権を得るならば今この時を置いて他にはなかった。
そして、それは上手く行った。今この時に限っては。
犯罪卿と言う怨敵の討伐の功績に加えて。
偶像達が企む脱出計画というマムにとっても無視できない懸念が発生したことで、
彼女の中でもプロデューサーに対する重要度が上方修正が掛かっていた事も起因する。
海賊ビッグ・マムは暴君ではあるが、それは彼女が愚かであることを意味しない。
単なる人質としての運用ではなく、283の取り得る行動に対してプロデューサーの知識は替えが効かない物だ。
彼女はそう考え、プロデューサーの提案を条件付きで飲んだ。
ビッグ・マムが了承すれば、ガムテも後から否やとは言えない。
これからも針の穴を通す様な一瞬の油断もならない状況ではあるものの。
一先ず、283への追撃は回避できたと判断した。
女帝の言では、これから別口でまた大きな戦いがあるらしい。
彼女自らが出向くような、そんな大戦が。
三十分後には全軍出撃、当然お前にも出撃(で)てもらう。
有無を言わせない語気で彼女はそう言い放ち、通信は終わった。
どうやら、彼女は既に283から個人的な私怨を薄らせつつあるらしい。
無論の事、また何が切欠で再燃するかは分からないが。
しかし、それを確認できただけでも収穫はあった。
───これも、彼のお陰だな。
ずるずると、壁にもたれ掛かり、息を吐く。
彼の智謀が無ければ、遺してくれたものが無ければ。
きっと、この結果には繋がらなかっただろう。
咲耶の遺した遺書も、届くことは無かった。
そう、想いは確かに届いていた。
犯罪卿と、白瀬咲耶の。故人たちが残したものは。
無明の荒野を歩んでいた男にとって、確かな光明であり。
優しい救いであり、開かれたパンドラの箱に残ったエルピスであった。
しかし。
「───おや、おやァ?」
死者の遺した功績は逸話となるが。
あくまでそれを受け取って世を動かすのは生者の意思だ。
そう、何時の世も生者の意思こそが、現世において優先される。
希望とは、奪われるためにあるとは誰の言葉だっただろうか。
一切嘲弄。常世全てを嘲笑う者。悪辣なる陰陽師。レディクールキャット。
アルターエゴ・リンボさえいなければ。
彼の立つ場所は、悪意に余りにも近すぎた。
◆
何らかの予感を感じ取ったのは、直後の事だった。
前提として、それは快なる感覚ではなかった。
湧き上がる汚泥。虫の苗床。吐き出された吐しゃ物。
それらを何の前触れもなく見せつけられたような、背筋を駆ける嫌悪感。
吸い寄せられるように、部屋の奥から薄暗い廊下へと視線を移す。
すると、そこには。その男が。
先の戦いでランサーに加勢し、偶像ではない七草にちかを殺したサーヴァント。
ニヤニヤと嫌悪を催す笑みを浮かべて、怪僧は静かに佇んでいた。
「…君か。俺に、何か用かな」
言いようのない気色の悪さを感じつつ、嫌悪感は表出せず対応する。
そんなプロデューサーを舐める様な視線で見つめながら、リンボは問いかけに対して返答した。
相も変わらず、粘つくような声だった。
「いやァ、拙僧に任じられた大仕事の前に、無事に帰還し…ンン!
あらぬ疑いを掛けられたにも拘らず、拙僧に慈悲を与えてくださった御身に、
一言御礼を申し奉ろうと思った次第で参上した次第なのですが───」
何処までも芝居がかった様子で、恭しくもその実此方を見下した様な態度で。
リンボはなぜプロデューサーの前に姿を現したかを語る。
何のことは無い、いつも通りの、彼の気まぐれだった。
ただ、大仕事の前の息抜きとして、気になっていた漫画や映画に目を通す様な。
カイドウやマムに見咎められれば再び叱責を受ける事請け合いの寄り道。
そして、その結果として。
「───つまらぬ」
悪趣味な愉悦を満たす、その見世物が。
彼にとっては三流以下の話運びをしている事を知る事となった。
「何だそれは、何だその目は。つい数刻前に拝見した御身の瞳は、それはそれは美しい闇に満ちていたというのに。偶像共と関わりやはり宗旨替えをなされたのですかなァ?」
言葉と共に。
闇が動き出す。
薄暗い廊下の奥から這い出る様に、リンボが迫る。
上背のあるプロデューサーよりもなお高い位置にあるその相貌は。
笑っているはずなのにぞっとするほど冷たい物だった。
屠殺場に送られていく家畜を見る様な。
四肢をもがれ、尚も死にきれずもぞもぞと蠢く羽虫を眺める様な。そんな目だった。
「──それ以上近づけば殺す」
近づいてくるリンボから守る様に、ランサー・
猗窩座が姿を現す。
既に臨戦態勢を取り、殺気を発する槍兵を前にしても、リンボの態度は変わらない。
「……あぁ、貴女も壮健でなりよりです、修羅の君。
しかしそう怯えずとも槍兵殿の主の害になる事は致しませぬとも。
御点前らは既にあのビッグ・マムのお気に入り、下手な事をすれば拙僧の首が物理的に飛びまする」
「貴様の吐く言葉を俺が信用するとでも思ったのか?」
猗窩座の制止の警告も意味をなさず。
リンボの歩みは止まらない。
彼の巨躯がフローリングの廊下から部屋の中に入った瞬間。
ランサーの姿が、プロデューサーの眼前から?き消えた。
常人が視認可能な速度を遥か後方に置き去りにして、拳を振るう。
「ほう、これは───」
氷の様な冷たい嘲弄に彩られた相貌が、俄かに瞠目する。
出会った当初より今相対している主従の関心はリンボにとってプロデューサーただ一人。
彼の従えるサーヴァントについては大した関心を持っていなかったが。
この修羅の霊基、初めて出会った当初より格段に練り上げられている。
令呪の効果ではない。魔術師でもない男の令呪の効果がここまで持続する事はない。
成程、この槍兵にも先の戦いで何某かの変容があったらしい。
だが、まだ足りない。
この槍兵の資質だけでは、羽化には至らない。
(ンン、であるならば──)
口の端が邪悪に弧を作り、歪な下弦の月を作り出す。
たった今までさして関心は無かったが、興が乗った。
プロデューサーには恩がない訳でもない。
ならばこの槍兵の、羽化の最後の一押しを手助けするのもやぶさかではない。
「では、そのようにいたしましょう」
「死ね」
猗窩座が拳を振り上げるのも構わず、尚も前へと進み出る。
式神を展開しつつ、広げた五指を突き出した。
部屋の中の空気を裂く音が奔り、式神が一瞬で粉砕される。
やはりこの槍兵、依然戦った時よりも霊基の質が向上している。
それを認識すると同時に、ぐしゃりと何かがひしゃげるくぐもった音が響く。
式神を粉砕するのみに留まらず、振り下ろされた修羅の拳はリンボの上腕部を見事に粉砕していた。
「ンンッ!!よろしいですねェ!!」
だが、それでもリンボの笑みは消えない。
見るも無残に、あらぬ方向へと曲がった左腕を剣の切っ先の様に突き出して。
猗窩座が拳を引き戻す一瞬のスキを縫うように掌をその頭部へと到達させ──、
直後、バチリと、小さく黒い奔流が猗窩座へと走った。
「───何をした」
「いいえ。まァ、貴女の害になるような事は何も?むしろ逆で御座いますなァ」
プロデューサーの襟を掴んで後退し、敵意に満ちた視線でリンボを威嚇しつつ、体の状態を検める。
言葉の通り、特段異常は何もない。不快感も違和感も存在しない。
それどころか、頭の内側で何かが研ぎ澄まされている様な感覚すらあった。
そう、自分がかつて追い求めていた思考の領域と似た、その感覚。
「では、最後の詰めと参りましょうか」
再びリンボが距離を詰めてくる。
だが、その動きは急に緩慢な物に思えた。
五指を広げ掌を突き出してきた先ほどとは違い、黒曜石の様に尖った爪による手刀で猗窩座を退けようとする。
その動きに合わせて、此方も拳を突き出す。
術式は使わなかった。使わずとも事足りるという不思議な確信があったからだ。
『引力』に導かれる様に。
残った拳と拳は引かれあい───衝突!!!
瞬間の事だった。
魔力が爆ぜる感覚が、手首から猗窩座の五体へと突き抜ける。
リンボの肉を弾けさせて、そのまま腕のみならず、その巨躯へと突き進む。
黒い火花が花火の様に空間の中に咲くのが、猗窩座にも分かった。
霊基の質の向上。■■■■■からの呪いの消失。そして芦屋道満という稀代の呪術師による魂の調律。
特に最後の要素がマスターピースとなり。
ここまで揃えば萌芽するには十分だった。
それは打撃との誤差0.000001秒以内に魔力が衝突した際に生じる空間の歪み。
生前の猗窩座が終ぞ達する事のなかった至高の領域の、呪術師達にとってのその入門──『黒閃』
その火花は微笑む相手を選ばない。
黒き産声が、上がった瞬間だった。
「成りましたな。重畳重畳。しかし、我が分身である式を退けるとは───」
その威力は通常の打撃の2.5乗。
重なり合った拳と手刀は手刀を見事打ち破り、それだけに留まらない。
リンボの五体を容赦なく吹き飛ばした。
「ランサー!!」
認識可能速度を遥かに超えた交錯に完全に置いて行かれたプロデューサーが声を上げる。
ここでリンボを倒してしまうのは不味い。と考えたからだ。
だが、猗窩座はこれでリンボが死んだとはまるきり思ってはいなかった。
あの男が、これで死ぬわけはない。彼は、警戒を緩めなかった。
だが、プロデューサーが声を張りあげ、其方に意識を一瞬裂かれた隙は致命的だった。
崩れ落ち、消えていくリンボの五体が泥へと変わり、怪しげな方陣を作り出す。
舌打ちをしながら猗窩座はプロデューサーを突き飛ばし、方陣の範囲から逃がす物の──そこが限界だった。
「そうれ、輝き喰らえ、我が五芒星」
猗窩座の体が、不可視の力場に絡めとられる。
狭い室内だったのが災いした。回避しきれずリンボの呪いを受けた猗窩座は、床へと崩れ落ちる。
抜け出そうと全身に闘気を漲らせ、抜け出そうとするものの、間に合わない。
その隣を、無傷のリンボは悠々と通り過ぎた。
「止めろ、貴様──!!」
射殺さんとする目で猗窩座が睨むものの、リンボは気にしない。
リンボは彼にしては珍しく、プロデューサーに危害を与えようと思っていないのだから。
その証拠に、今なら幾らでも傀儡へと変えられる猗窩座にも動きを僅かな時間止める程度の呪いしか使っていない。
ただ、彼は思い出させたかったのだ。
初めて出会った時、プロデューサーの瞳の奥に確かにあった闇を。
今の彼が忘れかけて、過去のモノにしようとしているものを。
「…何のつもりか、聞いても?」
「いえね、拙僧はただご教授差し上げたかっただけですよ。
あの偶像共に何を吹き込まれたのかはとんと存じ上げませぬが……」
プロデューサーは身じろぎもせず、ただじっとリンボを見据える。
今この瞬間足掻いたところで、自分がリンボに勝てる可能性はゼロに等しい。
だから、彼の危害を加えるつもりは無いという言葉に賭けた。
リンボの両掌が、プロデューサーの頬へと触れる。
それに促されるままに顔を上へと向けられ、怪僧と視線が交わる。
「───貴殿が引き返すには、些か遅すぎたかと」
深い、洞の様な瞳だと思った。
その認識を最後に、プロデューサーの意識は現世から消えた。
……人生のツケは、当人にとって最も苦しい時に必ず回ってくるという。
過去は消えない。男が置いていこうとした過去は、ツケを返せと必ず追い立てる。
■
──あぁ、プロデューサーさん。
相変わらず、死にそうな顔してますねー
……ぶっちゃけ、もうそろそろ、潮時なんじゃないですか?
何がって?聖杯を目指すことですよ。
だって、もう本当は私の為に聖杯を目指すつもりないんじゃないですか?
あははっ。
本当に……めっちゃめちゃ、何も変わらないですね、貴女は。
私の事を思っているフリをして、本当は、綺麗な物だけを見ていたいんですよね。
だから、優しい人たちが許すって言えば、直ぐにその言葉に飛びつこうとする…
貴女はあの時から、何も変わってないんです。
だから、私の事を最後まで信じられないし。
私にも最後まで信じてもらえない。
過去(これまで)を裏切ってでも、持ってた宝石を全部投げ捨てでも。
私だけのプロデューサーになるって思ってくれた時は、ほんの少しだけ嬉しかったんですよ?
でも、本当は。
最初から私だけのプロデューサーになるつもりなんて無いんじゃないですか。
今の貴女は仕方ないって言いたくて、言われたいだけなんじゃないんですか?
私がWINGに負けたのも、私が身勝手で、幸せから逃げる子だったから仕方なかった。
ここで酷い事を一杯したのも、私のためだったから仕方なかった。
ここまで来て全部放り投げて帰るのも、優しい人たちが許すって言ったから仕方のない事だった……
そう、言いたいんじゃないですか?
だって。
…助けてくれたサーヴァントを倒した?作り物(
NPC)を死なせた?
そこじゃないですよね。貴女が戻れなくなったのは、そんな最近じゃない。
その前の、貴女が頭の奥に押し込んで、扉を閉めてる記憶を。
その時に、何を考えていたのかを。
都合よく忘れてる、その時の事を。
───ねぇ、プロデューサーさん。教えてくださいよ。
■
それは…聖杯戦争の本選に入る暫し前の、熱い太陽が照り付ける昼間の事だった。
…俺は熱に浮かされる様に、現在の自宅の近くにある公園に来ていた。
切れた電球だとか、飲み物を買うためだとか、大したことのない理由だったと思う。
どうせ昼間の内は、ランサーは動けないのだから、昼間は自由だった。
にちかを探す事も、この東京では最早意味は無い。
ただプロダクションの皆を巻き込まないために仕事は休職をして。
アイドル達と出くわさないよう仮の住処も用意して。それでも出かける事は最小限。
そんな中で生まれた僅かな気まぐれの時間だった。
その公園のベンチに腰掛けたのも、大した理由は無かった。
ただ、あんまりにも日差しが強かったから少し休憩しようと腰掛けただけだった。
「……君、学校は?」
そんな時だった。
茫洋と、先にベンチに腰かけていたその少年に声を掛けたのは。
283プロにいる彼女達の様に、アイドルにしようと思って声を掛けたわけでは当然ない。
第一、 彼は少年だった。
では何故声を掛けたかと問われると…ただ、何となくと返す他ないが。
「……あぁ、そうか。今は夏休み中だったか。お節介だったね」
少年からの返事はなく。
そもそもコミュニケーションを取ろうという意思すらない様子だった。
ただ…その子を見ていると、どうしようもなく心が締め付けられる様な錯覚を覚えた。
紅いスカーフを巻いて、薄汚れた格好で。
ただここではない遠い何処かを見つめるその少年に、関心が引き付けられた。
だが、そんな俺を横目に少年は何処か居心地の悪そうな様子で。
邪魔しては悪いかと考え、俺は一言謝罪を述べて、その日は公園を後にした。
その時、少年の手の甲に巻かれた包帯が嫌に鮮明に視界の端に映るのを感じた。
それから毎日、俺は昼間に公園に足を運んだ。
…どうしても、少年の事が気になったからだ。
時間にすれば一時間にも満たない僅かな外出だったため、ランサーも何も言わなかった。
そして、彼はやはり毎日あの公園のベンチにいた。
広いベンチの端に距離を開けて座り。
通報されても文句は言えないな。
そう思いつつ、俺は彼に何度か、益体のない事を話かけた。
ここにはよく来るのか、だとか。毎日暑いが飲み物などは飲んでいるのか、だとか。
少年は俺の問いかけに応える事は一度として無かったけど。
それでも俺は数日彼に話しかけ、世間話のような物を十五分行って去るのを繰り返した。
きっと、この時既に、お互い何となく察しは付いていたのだろうと思う。
今、隣にいる者が、マスターであることに。
そして、そんな時間が一週間過ぎて、十日目に差し掛かろうとしたところ。
その日、俺は意を決して尋ねてみた。
君は、マスターなのか、と。
今考えれば自殺行為にも等しい行いだったと思う。
ランサーが救援に入れない真昼の公園で、態々敵対関係であると明かすことは。
本当に、夏の熱気に浮かされていたのかもしれない。
その意味を口に出してから気づいて、どうしたものかと慌てたが、少年は冷静だった。
ただ、ゆっくりとその手の包帯を外して。
刻まれた赤い紋様を、俺に見せてきた。
「……君は、どうして此処に?」
少年がマスターであることを改めてから、まず口に出たのは、そんな言葉だった。
283の宝石たちとの交流の経験から言っても、詮索は相手を身構えさせてしまうだけだというのに。
そんな基本も忘れて、俺は尋ねてしまった。
当然、これまでの様に返事は帰ってこないと思われたが──ぽつりと、少年は呟く様に。
そう、本当に。途切れ途切れになりながら。それでも彼は俺に…話してくれた。
そして、ただ、生きたいと。彼はそう言った。
皆、俺が生きている事は罪で、俺が死ねば全て丸く収まる。
彼の周りにいた大人たちにそう、言われたらしい。
それを俺に告げてから──その後彼は、「だから」と続けた。
だから、此処から始めるのだと、彼は言った。
だから、聖杯をこの手で掴むのだと、彼は言った。
どれだけ周囲がお前は死ぬべきだとそう言ってきても。
例えそれが正しくても。生きることを望むのがどれほどの罪でも。
自分だけは、それでも生きたいのだと、そう言い続ける。そう彼は宣言した。
その言葉を聞いて、俺は。
「……きっと、君に罪は無いよ」
先ほどまでの様に、とっさに口から出た言葉ではない。
確かな意志と共に、放たれた言葉だった。
我ながら、偽善(エゴ)に満ちた言葉だと言いながら思った。
何も知らないくせに。
彼にそう言った大人たちだって、
彼らなりの理や正しさがあったのかもしれないのを承知の上で。
それでも、言わずにはいられなかった。
「……責任があるとしたら、君にそんな事を言わせてしまった、大人たちだ」
そうであって欲しいと、祈る様に。
俺はその言葉を口にした。
彼女だって、そうだ。
あの子は確かに、他者と、自分の想いを否定して。
身勝手な攻撃を近しい誰かに向けて、幸せになる事から逃げてしまうのかもしれない。
でも、それでも。
───私……283プロで……研修しまーーーーーす!!
あの子は、あの時、絶対に。幸せになるためにこの世界に飛び込んだ。
幸せになる事から逃げてしまうあの子が、笑うために、
誰もでもない自分が、誰かになるために、アイドルと言う道を選んだ。
…もしかしたら。彼女が283プロに入った頃に。
何か具体的に、君自身気づいていない才能が君にはあるのだと、そう言ってやれれば。
彼女が最初抱いてくれていた信頼が疑心に反転する頃までに、そう告げていれば。
あの結末が、何か変わったのではないかと、何度も何度も何度も考えた。
「──協力しないか」
そこに思考が行きついた果てに、出た言葉はそれだった。
俺にも俺の願いがある。だから聖杯は譲れないけれど。
それまでは、最後に戦うその時までは、俺は君に力を貸したいと。
そう告げた。
理由は、複数で徒党を組んだ方が勝率が挙がるだとか、打算もあったけれど。
何より、目の前の少年が放って置けなかったからだ。
ここまで凪の様な無表情だった少年の表情が、驚きと困惑に染まる。
そんな彼の様子を見て、俺は明日の晩まで考えていてくれと、そう伝えた。
こんな話、突然言われてもすぐには返答できないだろう。
サーヴァントと話し合う時間も必要だ。
この公園で待っていると、最後にそう言って、俺は公園を後にした。
少年が俺の目の前で死んだのは、約束である翌日晩の事だった。
■
少年のサーヴァントが友好的ではない万が一の事も考えて、ランサーを連れて。
満月の夜に、俺は少年を待った。
ランサーには、協力者になれるかもしれない子が来るとだけ伝えておいた。
彼は複雑な表情をしていたが、最終的には納得してくれた。
来るかどうかは何も保証がなく、むしろ少年にとっては不審者だったのを考えれば来る可能性は低かったかもしれない。
その予想を裏付ける様に、少年は来なかった。
…そこで帰っていればよかったのかもしれない。
でも、それでも俺は待った。少年は来るという不思議な確信があったからだ。
そして、少年はやってきた。
「君───その怪我、は───」
少年は、血まみれで、満身創痍だった。
傷の目新しさから、ついさっき、此処に赴く前に他の主従に襲われたのだと察した。
そして、そんなボロボロの状態で、サーヴァントを連れていない。
彼は戦いに敗れ、サーヴァントを失ったのだと、頭の片隅の打算的な部分がそう判断した。
「と、とにかく、直ぐ病院へ…!」
俺は慌ててズボンからスマホを取り出して救急車を呼ぼうとする。
そんな俺の体が宙を舞ったのは、その直後の事だった。
気持ち悪い浮遊感と共に後ろに飛んでいき、頭と背中を強かに打つ。
一体何が起きたのか理解しようと身を起こすと、少年が敵意の籠った瞳でランサーと対峙していた。
その時俺の口から出た「何を」は、果たして一体何方に向けての言葉だったのだろうか。
俺自身自覚がないままに、しかし自分に尋ねられていると思った少年は唸るような声で、俺に言った。
───…アンタを殺して、サーヴァントを奪う!
最初、彼が何を言っているかが分からなかった。
背中を打ち付けたせいで、苦しい。息も旨く吸えない。
どうして、こんなことになってしまったのか。
俺はただ、彼に生きていて欲しいと。そう思っただけなのに。
ただ、うわごとの様に、何で、と。そう繰り返す事しかできなかった。
そんな意図せず放った問いに対する少年の答えは簡潔だった。
───決まってるだろ…生きるっていうのは、他の誰かの命を喰らうって事だからだ!
そう言って彼は腰についたベルトの様なものに手をやる。
本気で彼は、俺を殺そうとしている。
彼の殺意は、本物だ。
生まれて初めて本物の殺意をぶつけられて、思考が混乱する。
俺が死ねばにちかはどうなる。
あの子は救われないままなのか?
283プロの中で。あの子一人の努力が、何も報われないまま全て終わってしまうのか。
そんなの────不公平じゃないか。
そんな言葉がぐるぐると巡って。
最後に、頭の奥から、黒い何かが、溢れる。
───術式展開・破壊殺───
そして、その一瞬。
そんな
黒い衝動に身をやつしたその一瞬は、少年にとって致命的だった。
彼に向かっていくランサーの背を見て、直後に我に返り。
止めなければと、令呪を輝かせる。
だが、にちかが去っていったあの日と同じで。
既にランサーを止めるには、どうしようもなく遅かった。
直後、ランサーの放った攻撃と、少年の発した何かの衝撃が衝突して。
衝撃と轟音が、視界を塗りつぶし────
───君に、罪は無いよ。
──責任があるとしたら、君にそんな事を言わせてしまった、大人たちだ。
……そして。
再び目を覚ました時には、全ては終わっていた。
その時の事だった。
俺の信じていた『何か』もまた、終わってしまったのは。
最後に俺が抱いていたのは怒りであり、憎しみだった。
そう、憎いと。本物の殺意を前にして、そう感じたのだ。
七草にちかの夢を認めようとしない運命を。
七草にちかの努力に報いなかった不公平を憎んで。
そして…ただ生きたいと願っていた、子供を殺した。
◆
意識が過去から、現在へと浮かび上がる。
目を醒ました時まず目に映ったのは、軟禁されていた一室の天井だった。
「───グッドモーニング。目を醒まされましたか。如何ですかな、気分は?」
身体を起こせば、見覚えのあるリンボの顔と、傍らに控えるランサーの姿が映る。
彼が無事なのを検めた後、表面上だけは笑顔を浮かべて返した。
「……ありがとう。最悪の気分だ」
「ンンンン!最高の誉め言葉ですなァ……」
「感謝の言葉は本当だけどね。君のお陰で忘れちゃいけない事を、思い出せた」
頭を打った衝撃によるものか、それとも心の防衛機能で意図的に封じていた物なのか。
それは定かではないが…リンボの手によってその記憶は表層へと引きずり出された。
気分は頗る付きの最悪だったが…きっと、それは過去にしてはいけない事だった。
急速にはっきりしていく意識を感じながら、辺りを見渡す。
すると、リンボやランサーの他に、知らない顔ぶれがそこにいた。
「おー、目が覚めたかPさん、体に異常はないか?
アーチャーちゃんに調べてもらったが、そこの糞坊主は何仕出かすか分からんからな」
「辛辣ですねァ。事実ですが」
「たりめーだ。俺達もう霊地ぶん獲るまでお前から目を離すつもりねーから覚悟しとけ
お前が油売ってたお陰でここで捕まえられたのは運がよかったわ」
ソファから身を起こしたプロデューサーの眼前に進み出る、タンポポの綿毛のような髪をした甘いマスクの男。
そしてその傍らで値踏みするような視線でこちらを見下ろしてくる、眼帯の男。
「…うん、その様子だと操られてる様子もなさそうだな。
良かった良かった、これから頼みたいことがあったからさ」
「……貴女は?」
「皮下真。元院長です。なに、大人として監督責任って奴を果してもらうだけですよ。
俺達が言った所でアンタの大事なアイドルちゃん達は言う事聞かねーだろうが、
アンタが言えばワンチャン止まるかもしれないからな。まず俺が話すけど」
皮下はそのまま簡潔に、今283が置かれている状況と、プロデューサーに頼みたい内容を説明する。
寝起きの頭でも、順序だった説明はすんなりと飲み込むことができた。
そして、理解する。
この交渉如何で、再び283の偶像達が戦火に巻き込まれるという事を。
得に皮下は、彼女達が此方の交渉を突っぱねた場合、容赦する方向では動かないと、ハッキリと宣言した。
「もしあの子らが要求を跳ねのけるなら俺達はあの子らを殺すつもりでいる。
そのための策ももう立てた。あらかじめ言っておきます」
──霊地強奪作戦を邪魔するのなら、海賊同盟は絶対に283に更なる犠牲者を出す。
何のことは無い、この男もまた。プロデューサーの敵だったという事だった。
「ンン、であるならば、彼女等に伝えておいてくださる哉?
貴方方の怨敵は、本命であるスカイツリーの方へと赴くつもりだと」
「はぁ?そんなもん邪魔してくれって言ってるようなもんだろーが」
「何、観客は多い方がよろしいでしょう。ダメだというのであれば…
拙僧の士気にかかわりますなァ……」
「うーん殴りたい…いいぜ、分かった。でも作戦の前に沙都子ちゃんに令呪を使ってもらうのが交換条件な。最低でも首輪は付けておかねーと俺達が安心できん」
プロデューサーを横目に、姦しく言い合う皮下とリンボ。
その様相を見て、もし断ろうと彼らは止まりはしないだろうと言事を察する。
彼等は極論、プロデューサーの答えを必要としていないのだ。
でも、だからこそ。
「……お話は分かりました。引き受けますよ。私も彼女達と話しておきたい事はありますから」
犯罪卿の遺してくれたものを無駄にするわけにはいかない。
彼女達の中でこれ以上犠牲者を出す事だけは絶対に避けなければいけない。
自分の言葉で、その状況を手繰り寄せられるなら猶更だ。
それに、プロデューサーの側からしても、確かめたいことはあった。
あの偶像の七草にちかが、あの日、自分の前から姿を消した七草にちかなのか。
決勝の時の事を話せば、直ぐにわかるだろうし、それだけはどうしても確かめておきたかった。
そして。
(───すまない)
プロデューサーは、心中で謝罪の言葉を述べる。
犯罪卿と、白瀬咲耶に。
彼等の遺してくれた想いは、確かに救いだった。
これからも彼女達の為に、にちかの為に戦う。その方針を変えるつもりは無い。
犯罪卿が願った対話も、背くつもりは無い。
でも、彼女達の齎してくれた救い全てを受け取る事は出来ない。
彼女達の元へ戻る事は、きっと無いだろう。
ただ、不公平な救済よりも、公平な裁きを。
一人の少年から始まり、たくさんの人間の命を。
理不尽に、永遠に奪ってしまった自分が救われてしまったら。
何の救いも無かった彼らの犠牲が、無駄になってしまう。
それは、どう考えても不公平(アンフェア)だ。
そして、その不公平は。
七草にちかが努力に見合った公平な報いを享受できる事を祈った、
七草にちかのプロデューサーとして。
一人の少年の未来を、永遠に奪ってまで、どうしても否定したかった事だから。
【中央区・某タワーマンション(グラス・チルドレン拠点)/二日目・早朝】
【プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:覚悟、魂への言葉による魂喪失、魔力消費(中)、???
[令呪]:残り一画
[装備]:なし
[道具]:リンボの護符×8枚、連絡用のガラケー(グラス・チルドレンからの支給)
[所持金]:そこそこ
[思考・状況]基本方針:“七草にちか”だけのプロデューサーとして動く。だが―――。
0:今は状況を把握し、立ち回りを精査する。そのために情報が必要となる。
1:皮下の要求通り、283との対話に臨む。
2:にちか(騎)と話すのは彼女達の安全が確保されてからだ。もしも“七草にちか”なら、聖杯を獲ってにちかの幸せを願う。
3:283陣営を攻撃する中でグラス・チルドレン陣営も同様に消耗させ、最終的に両者を排除する。
4:
神戸あさひもまた今後は利用出来ると考える。いざとなれば、使う。
5:
星野アイたちに関する情報は一旦保留。
[備考]
【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:頸の弱点克服の兆し、霊基の変質
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:マスターを聖杯戦争に優勝させる。自分達の勝利は――――。
1:プロデューサーに従い、戦い続ける。
【皮下真@夜桜さんちの大作戦】
[状態]:健康
[令呪]:残り二画
[装備]:?
[道具]:?
[所持金]:纏まった金額を所持(『葉桜』流通によっては更に利益を得ている可能性も有)
[思考・状況]
基本方針:医者として動きつつ、あらゆる手段を講じて勝利する。
0:霊地強奪の為の編成を組む。面倒クセ~~~。
1:大和から霊地を奪う、283プロの脱出を妨害する。両方やらなきゃいけないのが聖杯狙いの辛い所だな。
2:覚醒者に対する実験の準備を進める。
3:戦力を増やしつつ敵主従を減らす。
4:沙都子ちゃんとは仲良くしたいけど……あのサーヴァントはなー。怪しすぎだよなー。
5:峰津院財閥の対処もしておきたいけどよ……どうすっかなー? 一応、ICカードはあるけどこれもうダメだろ
6:梨花ちゃんのことは有効活用したい。…てか沙都子ちゃんと知り合いってマジ?
7:逃げたアイの捜索をさせる。とはいえ優先度は低め。
[備考]
※咲耶の行方不明報道と霧子の態度から、咲耶がマスターであったことを推測しています。
※会場の各所に、協力者と彼等が用意した隠れ家を配備しています。掌握している設備としては皮下医院が最大です。
虹花の主要メンバーや葉桜の被験体のような足がつくとまずい人間はカイドウの鬼ヶ島の中に格納しているようです。
※ハクジャから
田中摩美々、七草にちかについての情報と所感を受け取りました。
※峰津院財閥のICカード@デビルサバイバー2、風野灯織と八宮めぐるのスマートフォンを所持しています。
※虹花@夜桜さんちの大作戦 のメンバーの「アオヌマ」は皮下医院付近を監視しています。「アカイ」は星野アイの調査で現世に出ました
※皮下医院の崩壊に伴い「チャチャ」が死亡しました。「アオヌマ」の行方は後続の書き手様にお任せします
※ドクロドームの角の落下により、皮下医院が崩壊しました。カイドウのせいです。あーあ
皮下「何やってんだお前ェっ!!!!!!!!!!!!」
※複数の可能性の器の中途喪失とともに聖杯戦争が破綻する情報を得ました。
※キングに持たせた監視カメラから、沙都子と梨花の因縁について大体把握しました。結構ドン引きしています。主に前者に
【リップ@アンデッドアンラック】
[状態]:健康、魔力消費(小)
[令呪]:残り3画
[装備]:走刃脚、医療用メス数本、峰津院大和の名刺
[道具]:ヘルズクーポン(紙片)
[所持金]:数万円
[思考・状況]
基本方針:聖杯の力で“あの日”をやり直す。
0:タイミングは測れか。その通りだよ。
1:皮下と組むことに決定。ただしシュヴィに魂喰いをさせる気はない。
2:283プロを警戒。もし本当に聖杯戦争を破綻させかねない勢力なら皮下や大和と連携して殲滅に動く。
3:古手梨花を利用する。いざとなれば使いつぶす。
4:敵主従の排除。同盟などは状況を鑑みて判断。
5:地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)の量産について皮下の意見を伺う。
6:ガムテープの殺し屋達(グラス・チルドレン)は様子見。追撃が激しければ攻勢に出るが、今は他主従との潰し合いによる疲弊を待ちたい。
[備考]
※『ヘルズ・クーポン@忍者と極道』の製造方法を知りましたが、物資の都合から大量生産や完璧な再現は難しいと判断しました。
また『ガムテープの殺し屋達(グラス・チルドレン)』が一定の規模を持った集団であり、ヘルズ・クーポンの確保において同様の状況に置かれていることを推測しました。
※ロールは非合法の薬物を売る元医者となっています。医者時代は“記憶”として知覚しています。皮下医院も何度か訪れていたことになっていますが、皮下真とは殆ど交流していないようです。
【アーチャー(
シュヴィ・ドーラ)@ノーゲーム・ノーライフ】
[状態]:健康
[装備]:機凱種としての武装
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:叶うなら、もう一度リクに会いたい。
0:…マスター。シュヴィが、守るからね。
1:マスター(リップ)に従う。いざとなったら戦う。
2:マスターが心配。殺しはしたくないけと、彼が裏で暗躍していることにも薄々気づいている。
3:フォーリナー(アビゲイル)への恐怖。
4:皮下真とそのサーヴァント(カイドウ)達に警戒。
5:峰津院大和とそのサーヴァント(
ベルゼバブ)を警戒。特に、大和の方が危険かも知れない
6:セイバー(
宮本武蔵)を逃してしまったことに負い目。
※聖杯へのアクセスは現在干渉不可能となっています。
※梨花から奪った令呪一画分の魔力により、修復機能の向上させ損傷を治癒しました。
【アルタ―エゴ・リンボ(
蘆屋道満/本体)@Fate/Grand Order】
[状態]:気分高揚、魔力消費(中)、ダメージ(中)
[装備]:なし
[道具]:
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:この東京に新たな地獄を具現させる。
0:地獄界曼荼羅の完成に向けて準備を進める。
1:霊地の収奪と、窮極の地獄界曼荼羅の実行準備。
2:計画を最終段階に移す。フォーリナーのマスターを抹殺する。
3:式神は引き続き計画のために行動する。
4:…のつもりでしたが、やめました。祭りの気配がしますぞ、ンンン――。
5:式神にさせるつもりだった役目は本体が直接担うことに変更。何をするつもりかはおまかせします。
6:それはそうと新たな協力者(割れた子供達)の気質も把握しておきたい
7:“敵連合”は静観。あの蜘蛛に邪魔されるのは少々厄介。
8:機会があればまたプロデューサーに会いたい。
時系列順
投下順
最終更新:2022年11月19日 00:05