ひょんなことから女の子
名無草 1-2
最終更新:
hyon
-
view
94 :名無草 :2007/03/01(木) 12:27:20.61 ID:RWqtcOcQ0
ようやく涙は止まってくれた。
俺「……ありがとう」
姉「もう、大丈夫?」
俺「ん、大丈夫そう」
姉「そう」
最後に姉は俺の頭を一撫で、そうして隣に座る。
俺「これから、どうしようか」
目下の問題はこれからのこと、細かいことはその後でも構わないだろう。
姉「よし、それじゃぁお姉ちゃんと気持ちいいこt
俺「とりあえず友に電話してくる」
姉貴、レズだったんすか……。
思いながら部屋に戻る、姉貴の部屋を出るときに「残念」
なんて声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
携帯の電話帳を開き友に電話をかける。
『プルルル、プルルル、プr』
友「“俺”か、どうした?」
出来るだけ声を低くするように心がける。
俺「ちょっと風邪ひいちまってさ、今日は休むわ。
それと、悪いけど“男”のこと。頼めるか?」
友「なんか声変だな、まぁ良いけど。分かった、“男”の事は任せろ」
友も昨日のことで思うところがあるのか、すぐに了承してくれた。
俺「ん、悪い」
友「気にすんなって」
その後少しだけいつもの何気ないやり取りをして、電話を切った。
俺「……ありがとう」
姉「もう、大丈夫?」
俺「ん、大丈夫そう」
姉「そう」
最後に姉は俺の頭を一撫で、そうして隣に座る。
俺「これから、どうしようか」
目下の問題はこれからのこと、細かいことはその後でも構わないだろう。
姉「よし、それじゃぁお姉ちゃんと気持ちいいこt
俺「とりあえず友に電話してくる」
姉貴、レズだったんすか……。
思いながら部屋に戻る、姉貴の部屋を出るときに「残念」
なんて声が聞こえた気がしたが気のせいだろう。
携帯の電話帳を開き友に電話をかける。
『プルルル、プルルル、プr』
友「“俺”か、どうした?」
出来るだけ声を低くするように心がける。
俺「ちょっと風邪ひいちまってさ、今日は休むわ。
それと、悪いけど“男”のこと。頼めるか?」
友「なんか声変だな、まぁ良いけど。分かった、“男”の事は任せろ」
友も昨日のことで思うところがあるのか、すぐに了承してくれた。
俺「ん、悪い」
友「気にすんなって」
その後少しだけいつもの何気ないやり取りをして、電話を切った。
97 :名無草 :2007/03/01(木) 12:57:07.81 ID:RWqtcOcQ0
ふと時計を見ると、泣き出してからさらに一時間が経過していた。
腹、減ったな。思って居間へと向かう。
歩きながら体を少し見てみる。
服、ぶかぶかだな。そう言えばこれから何着よう……。
そんな事を考えている間に居間に到着。
お袋が何か言いたげにこっちを見て口をぱくぱくさせている。
俺「おはよう」
お袋「おはようってもう10時よ。ところで、あなたは誰?」
思えば当然の疑問だろう、
いきなり居間に見知らぬ女の子が登場したんだから。
俺「誰って、“俺”だけど」
多分信じないんだろうな、なんて思いながらも一応は名乗ってみる。
お袋「ああ、“俺”か。それで、朝ごはん食べるの?」
何なんだろう。流された訳でもなさそうだけど、信じられた気もしない。
俺「『何言ってんの、女の子が“俺”な訳ないでしょ』とかなんかないの?
逆に不安になるんだけど」
お袋「仕草も言葉遣いも“俺”そのものなんだもの、それより。
はい、ご飯」
純和風な朝食が並べられた、量はいつもの半分くらいな気がする。
気にせず食べ始め気づいたのは胃も縮んでいること、
いつもの半分でも十分に満腹になってしまった。
さすがお袋、子供のことは誰よりも分かるのかもしれない。
食べ終わって洗面所に直行、とりあえず鏡を見てみる。
そこに居たのは到底自分とは思えない幼げな女の子。
顔が小さくなっていて、まつげも長くなっている。
目は大きく、輪郭は少し丸みを帯びている気がする。
髪は肩口まで伸びていて栗色がかったストレート。
何より気になるのはパジャマが大きすぎて片方は肩が露出している、
もう片方も今にも脱げてしまいそうな不安げな取っ掛かりがあるだけだ。
腹、減ったな。思って居間へと向かう。
歩きながら体を少し見てみる。
服、ぶかぶかだな。そう言えばこれから何着よう……。
そんな事を考えている間に居間に到着。
お袋が何か言いたげにこっちを見て口をぱくぱくさせている。
俺「おはよう」
お袋「おはようってもう10時よ。ところで、あなたは誰?」
思えば当然の疑問だろう、
いきなり居間に見知らぬ女の子が登場したんだから。
俺「誰って、“俺”だけど」
多分信じないんだろうな、なんて思いながらも一応は名乗ってみる。
お袋「ああ、“俺”か。それで、朝ごはん食べるの?」
何なんだろう。流された訳でもなさそうだけど、信じられた気もしない。
俺「『何言ってんの、女の子が“俺”な訳ないでしょ』とかなんかないの?
逆に不安になるんだけど」
お袋「仕草も言葉遣いも“俺”そのものなんだもの、それより。
はい、ご飯」
純和風な朝食が並べられた、量はいつもの半分くらいな気がする。
気にせず食べ始め気づいたのは胃も縮んでいること、
いつもの半分でも十分に満腹になってしまった。
さすがお袋、子供のことは誰よりも分かるのかもしれない。
食べ終わって洗面所に直行、とりあえず鏡を見てみる。
そこに居たのは到底自分とは思えない幼げな女の子。
顔が小さくなっていて、まつげも長くなっている。
目は大きく、輪郭は少し丸みを帯びている気がする。
髪は肩口まで伸びていて栗色がかったストレート。
何より気になるのはパジャマが大きすぎて片方は肩が露出している、
もう片方も今にも脱げてしまいそうな不安げな取っ掛かりがあるだけだ。
99 :名無草 :2007/03/01(木) 13:13:23.43 ID:RWqtcOcQ0
呆然としていると後ろから声がした。
姉「とりあえずこれに着替えなさい」
と、渡されたのは姉貴のお古。何を強調したいのか一番上には下着がある。
ふと鏡を見ると困った顔の女の子がこちらを見つめていて、
余計に困ってしまう。しかも服がかなり肌蹴てるのが困りもの。
渋々服を脱ぐ。あの、姉貴、食い入るように見つめないでください。
服を脱いで『ぶらじゃぁ』なる物に手をかける、睨めっこが20秒程。
痺れを切らして姉貴が言う。
姉「何?つけ方分からないの?」
多分困り顔のまま頷く。
そうしてつけ方を教わる、その時に無駄に胸やら尻やらをさわられた。
されるがままに女装完了。いや、着替え完了、かな?
何にしてももう嫁にも婿にも行ける気がしない、どうとでもしてくれ。
その日は姉貴とお袋と三人で服を買いに行く事になった。
これは、地獄が始まる予感が止まらない。
姉「とりあえずこれに着替えなさい」
と、渡されたのは姉貴のお古。何を強調したいのか一番上には下着がある。
ふと鏡を見ると困った顔の女の子がこちらを見つめていて、
余計に困ってしまう。しかも服がかなり肌蹴てるのが困りもの。
渋々服を脱ぐ。あの、姉貴、食い入るように見つめないでください。
服を脱いで『ぶらじゃぁ』なる物に手をかける、睨めっこが20秒程。
痺れを切らして姉貴が言う。
姉「何?つけ方分からないの?」
多分困り顔のまま頷く。
そうしてつけ方を教わる、その時に無駄に胸やら尻やらをさわられた。
されるがままに女装完了。いや、着替え完了、かな?
何にしてももう嫁にも婿にも行ける気がしない、どうとでもしてくれ。
その日は姉貴とお袋と三人で服を買いに行く事になった。
これは、地獄が始まる予感が止まらない。
100 :名無草 :2007/03/01(木) 13:31:24.47 ID:RWqtcOcQ0
車でショッピングモールに移動、約20分ぐらいで到着。
車を出るまでは良かった。いや、良くはないんだがまだマシだった。
車から出た途端にいろんな事が気になり始める。
何か胸がムズムズする、スカートがスースーする。
人の目が気になる、野郎が何着てんだなんて目で見られてるんじゃないか?
凄い、たった20分かそこらでホームシックになっちまったよ。
オドオドしてると姉貴が耳元で囁く。
姉「大丈夫、変なところなんてないから。可愛いんだから自信持ちなさい」
……何か楽になった気がした。
朝からこんなのばっかりだな、姉貴、ありがとう。
聞こえないように小さく呟いたのに姉貴はこっちを見て微笑んでいる。
目を逸らしてお袋の背中を追う、
顔はありえないくらいに赤くなっているのが自分でも分かる。
何か、姉貴、男前すぎる。
よく姉貴に手紙渡してくれって頼まれた理由が分かった気がした。
差出人は女の子、内容はラブレター。
何か世の中間違えてる、それでもその女の子の気持ちも分かってしまう。
そうしてたどり着いた店を遠目から見て絶句した。
だって、あれは無理、絶対無理だって。
姉貴に頼まれても小遣い減らされても無理なものは無理だ。
だって、だってあの服は、あれは、ご、ゴスロリじゃないですか。
車を出るまでは良かった。いや、良くはないんだがまだマシだった。
車から出た途端にいろんな事が気になり始める。
何か胸がムズムズする、スカートがスースーする。
人の目が気になる、野郎が何着てんだなんて目で見られてるんじゃないか?
凄い、たった20分かそこらでホームシックになっちまったよ。
オドオドしてると姉貴が耳元で囁く。
姉「大丈夫、変なところなんてないから。可愛いんだから自信持ちなさい」
……何か楽になった気がした。
朝からこんなのばっかりだな、姉貴、ありがとう。
聞こえないように小さく呟いたのに姉貴はこっちを見て微笑んでいる。
目を逸らしてお袋の背中を追う、
顔はありえないくらいに赤くなっているのが自分でも分かる。
何か、姉貴、男前すぎる。
よく姉貴に手紙渡してくれって頼まれた理由が分かった気がした。
差出人は女の子、内容はラブレター。
何か世の中間違えてる、それでもその女の子の気持ちも分かってしまう。
そうしてたどり着いた店を遠目から見て絶句した。
だって、あれは無理、絶対無理だって。
姉貴に頼まれても小遣い減らされても無理なものは無理だ。
だって、だってあの服は、あれは、ご、ゴスロリじゃないですか。
101 :名無草 :2007/03/01(木) 13:57:16.51 ID:RWqtcOcQ0
結果、俺は今ゴスロリファッションショーのモデルをしています。
もうダメだ、男に戻るとかそんなのどうでも良いからもう帰らせてくれ。
あれから顔が肌色の戻ることは無かった。
散々「無理だ」と「お願いだから」の問答を繰り返した挙句、
結局実力行使で着せられてしまった。
着せられて写真を撮られ、脅されて今に至る。
何かギャラリーまで出来てる、女の人ばっかりで20人から30人くらい。
これなら写真ばら撒かれてもそう変わらないんじゃないの……。
なんて思いながらもそれだけはダメだと理性も本能もまくし立ててくる。
その後、そのギャラリーを引き連れて、姉貴に手を引かれて。
ゴスロリな俺は次の店に向かった。
もうダメだ、男に戻るとかそんなのどうでも良いからもう帰らせてくれ。
あれから顔が肌色の戻ることは無かった。
散々「無理だ」と「お願いだから」の問答を繰り返した挙句、
結局実力行使で着せられてしまった。
着せられて写真を撮られ、脅されて今に至る。
何かギャラリーまで出来てる、女の人ばっかりで20人から30人くらい。
これなら写真ばら撒かれてもそう変わらないんじゃないの……。
なんて思いながらもそれだけはダメだと理性も本能もまくし立ててくる。
その後、そのギャラリーを引き連れて、姉貴に手を引かれて。
ゴスロリな俺は次の店に向かった。
次の店はいろいろと次元が違った。
右を向けばメイドにナース、左を向けば婦警にセーラー服。
間違いなく俺は、俺の男の尊厳はここで朽ち果てると悟った。
本能が何かを叫んでいる。命をかけてでも、それだけは回避しろ。
理性が何かを伝えてくる。もう避けられない、諦めて無心に時を過ごせ。
それでも、男にはやらなくちゃならない事があるんだッ!
姉貴の手を振り解き、俺は走った。走り出して気づいた。
今の俺の姿。ゴスロリな衣装の時点でもう手遅れじゃね?
右を向けばメイドにナース、左を向けば婦警にセーラー服。
間違いなく俺は、俺の男の尊厳はここで朽ち果てると悟った。
本能が何かを叫んでいる。命をかけてでも、それだけは回避しろ。
理性が何かを伝えてくる。もう避けられない、諦めて無心に時を過ごせ。
それでも、男にはやらなくちゃならない事があるんだッ!
姉貴の手を振り解き、俺は走った。走り出して気づいた。
今の俺の姿。ゴスロリな衣装の時点でもう手遅れじゃね?
そうして30分。
巫女さんな俺は姉貴とお袋がギャラリーの人達と親睦を深めているのを、
遠目で眺めていた。
巫女さんな俺は姉貴とお袋がギャラリーの人達と親睦を深めているのを、
遠目で眺めていた。
戦いは終わった、そして俺は、いろんな物を失った。
何を手に入れたのか、今はまだよく分からない。
それでも戦いは終わった、これで、これで平穏な日々に帰れるんだ。
何を手に入れたのか、今はまだよく分からない。
それでも戦いは終わった、これで、これで平穏な日々に帰れるんだ。