「ちょ、ちょっとこれ、どうなってるのよ!?」
2階に戻ってからすぐに下のフロアが騒がしくなり、急に気温が高くなってきたことに不信感を覚えたアイラは、一早く下の階へ戻る。
どういうわけか、1階が火の海になっていた。
すでに火は取り返しがつかないほど燃え広がっている。
おまけに通路は、燃え盛る本棚が倒れている。
人の身で突破して、入り口に向かうには到底無理だ。
彼女の仲間ならば氷系の魔法で消化すること、あるいは爆発系の魔法で吹き飛ばすことが可能かもしれない。
あるいは津波やメイルストロムを使うことで消し去ることが出来るかもしれない。
しかし、どれも彼女は使うことが出来ない呪文と特技だ。
無い以上はもしもの話を考えても仕方が無い。
とにかく、この通路は人間には通れない。
離れた場所から、先遣隊の声が聞こえてくるが、助けに行くのは不可能だ。
「え?重ちー君?」
どうすべきか立ち往生していた所、能力を使った重ちーが自分を乗せて、すぐ近くの壁を伝って移動していた。
シュールなこと極まりない動き方をしていたが、壁は燃えていないため、少なくとも彼は大丈夫だろうと安堵する。
しかし、その確信は一瞬で砕け散った。
見えない壁にでも当たったかのように、突然彼は良からぬ方向に吹き飛ばされ、そのまま燃え盛る本棚の所へ落ちていく。
(今のは何?)
彼のスタンドがどういうものか分からないが、アレはきっとスタンドの失敗ではない。
窓際にいる襲撃者の攻撃によるものだ。
先遣隊はどこにいるのか分からないが、期待は出来ない。
空を飛べるミドナを呼びに行きたかったが、その時間は無い。
彼女が考え得る最悪のパターンとは、助けに行こうとして、自分も殺されることだ。
重清がやられたのは、魔法なのか狙撃なのかはたまた見知らぬ能力なのか分からないのが、どうにももどかしい。
だからと言って彼を見捨てたくはない。
ザックから、姿を消せる「モーテン星」を取り出し、胸に付けて走る。
彼が飛ばされた場所は、どちらかというと入り口よりも2階への階段に近い。
だから今急げば間に合う。
その期待を胸に、ジャンプして壁を無理矢理蹴り、一足跳びに重清の近くへ行く。
神の踊り手として鍛えた俊敏さが、道なき道を進むことさえも可能にする。
(熱っ!)
火の粉が飛んでくるが、それぐらいの熱さは我慢するしかない。
いくらかの火傷と引き換えに、アイラは彼が落ちた場所の近くにたどり着く。
「掴まって!」
「おらは……パパとママの所へ……帰るど……」
アイラの声がかき消えるかのような大声で、生を叫ぶ。
しかし、それが最後の叫びになった。
現に言葉の最後の方は、徐々に消えつつあった
彼の伸ばした、短い右手を掴み、火の中から引きずり出そうとする。
しかし、手遅れだった。
必死で生きようとする手が、だらりと力を失う。
助けられなかった。
どうにかして引っ張り出そうとするが、そこでさらに炎が絨毯の床を燃やして近づいてきた。
このままじゃ自身も危ない。
そう思ったアイラは、ディフェンダーを取り出し、炎の侵略を防ぐ。
攻撃だけではなく防御にも使える幅広の剣は、彼女を致命的な火傷からは守った。
しかし、それは重清を見捨てる選択でしかなかった。
加えて、火が不自然な動きをしたことで、自分が透明になって近づいていることを敵に察知されるかもしれない。
だが、追加の攻撃は来なかった。
しかし、いくら重い武器を振り回して戦うことが出来るアイラでさえ、体重が110キロある彼を、片手で抱えて、火の海を突っ切るのは不可能だ。
このままどうにかして図書館から出るか、2階へ戻りこの状況をゼルダたちに伝え、脱出ルートを作るか。
コンマ数秒悩んだのち、アイラは後者を選択することにした。
こんなことになってるのに、なぜ2階の者は誰も降りてこないのだと疑問と僅かな不快感を抱きながら、急いで階段をかけ上る。
勿論、モーテン星のスイッチは切った。
いつまで持つか分からない以上、ずっと付けている訳にはいかない。
「クソッ、何だよオマエ!!」
そこには、ミドナが来れなかった理由が存在した。
「気を付けて、アイラ!奴は両手から電気を打って来るわ!」
クリスチーヌが指したのは、猫と蝙蝠を合わせたような怪物だった。
空を飛び回り、2階にいる者達を攪乱していた。
その素早い動きでは、ゼルダの矢も当たらず、クリスチーヌの頭突きが当たる高さよりも上を飛んでいた。
唯一空を飛べるミドナだけが、戦えていたのだ。
「コイツ……これでも食らえ!!」
仮面の飾りが拳のような形を作り、小型の怪物に殴り掛かる。
しかし、怪物は難なくそれを躱し、反対にミドナに電撃を見舞う。
「ギイ!!」
「やりやがったな!!」
ミドナは八重歯をむき出しにして、敵意を一層露わにする。
旗色は良くない。
だが、それはアイラが戻ってきたことにより、大きく変わる。
敵の高さからすれば、アイラの跳躍力を持っても届くのは難しい。
しかし、彼女は今度はディフェンサーを壁に突き刺し、それを踏み台にしてより高くに飛び上がった。
幅広い剣は、攻撃や防御だけではなく、足場としても役に立った。
「これを食らいなさい。ムーンサルト!!」
「ギ!?」
回転しつつ体当たり。
予想外の攻撃に使い魔は避けられず、吹き飛ばされた。
「でかした!」
そこへミドナの拳を使った一撃がクリーンヒット。
吹き飛ばされ、力の差を感じたからか、2階の窓の外から逃げていく。
しかし、そこでゼルダが弓を引き絞り、矢を放った。
いくら動きが素早くても、敵の行き先が分かれば、矢を当てるなど容易な話だ。
彼女の光の力を秘めた矢は、闇の力を持つ者、転じて悪魔にこの上なく力を発揮する。
それが小悪魔の心臓に吸い込まれようとした時、急にそれは止まり、逆方向に飛ばされた。
「姫さん!危ない!!」
ミドナが叫ぶも、意味不明な方向に動いた矢を避けることは出来ず、その矢は彼女の右肩に吸い込まれる。
「うぅ……。」
「姫さん!!クソッ……!!」
当たった場所からして、致命傷ではないが、だからと言って放っておくわけにはいかない。
またも彼女を助けられなくなることを恐れたミドナは、姫の下に飛んでいく。
しかし、彼女の手当てだけをするわけにもいかない。
「みんな、気を付けて!!」
彼女が警告する。
夜、似たような動きをした銀の矢を見たから、その立役者が誰なのかはクリスチーヌは分かった。
案の定と言うか、空を舞うようにして窓から入って来たのは、ゼルダよりも若い燃えるような赤毛の少女だった。
「あの子モイさんって人を殺している!!」
「チッ、どいつもこいつも、何でそこまで血気盛んなんだ……。」
ミドナも苛立たしげな表情を浮かべる。
彼女にとって、モイという青年は狼だった時のリンクが散々化け物扱いされて攻撃された思い出しかない。
言うならば、どうでもいい人間だ。
だが、仲間の知り合い程度の人間と言えど、その人物を殺した相手を目の当たりにして、不快な気持ちを表さない方がおかしい。
「下を火の海にしたのもあなたね!」
「そうよ。」
この場所に来て、始めて真理亜は言葉を発した。
だが、その言葉はひどく冷めていた。
彼女の瞳の奥には、1階の炎とは異なる色の、青い炎が静かに燃えていた。
【B-5/図書館二階/一日目 朝】
【アイラ@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]:ダメージ(小) 軽い火傷 職業 調星者 (スーパースター)
[装備]:ディフェンダー@ FINAL FANTASY IV
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1モーテン星@魔界大冒険
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラを再度討つ 図書感からの脱出
1. 真理亜と使い魔を撃破
2. アルスとメルビンが心配
※職業は少なくとも踊り子、戦士、武闘家・吟遊詩人・笑わせ師は極めています。
参戦時期はED後。
【ゼルダ@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 】
[状態]:右肩に矢傷
[装備]:アルテミスの弓@ FINAL FANTASY IV
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:ザントの企みを阻止する 図書館からの脱出
1. 真理亜と使い魔を撃破
2. 怪我の治療をしたい。
参戦時期はミドナとリンク(狼)が出会い1回目の頃。
※参加者のトランプは確認していない。
【ミドナ@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 】
[状態]:ダメージ(中)
[装備]:ツラヌキナグーリ@ ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ザントを討ち、
光と影の両世界を救いたい
1:怪我したゼルダ姫が心配
2:真理亜と使い魔を倒す
参戦時期は瀕死の状態からゼルダにより復活した後
陰りの鏡や影の結晶石が会場にあるのではと考えています。
【クリスチーヌ@ペーパーマリオRPG】
[状態]:HP3/4
[装備]:イツーモゲンキ@ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品 アイアンボーガン(小)@ジョジョの奇妙な冒険 キングブルブリンの斧@ゼルダの伝説
[思考・状況]
基本行動方針:首輪解除のヒントを見つける
1.図書館から脱出する
2.仲間(マリオ、ビビアン)を探す
3.クッパ、バツガルフ、真理亜に警戒
4.モイやノコタロウ、ピーチの死を無駄にしない
5.首輪のサンプルが欲しい。
※図書館の本から、DQ7.FF4にある魔法についてある程度の知識を得ました。
※首輪についてある程度仮説を立てました。
• 爆発物ではないが、この首輪が原因で死ぬ可能性は払拭できない。
• 力を奪うのが目的
【秋月真理亜@新世界より】
[状態]:背中に打撲 返り血
[装備]:銀のダーツ 残り9本@ドラえもん のび太の魔界大冒険 使い魔@ドラえもん のび太の魔界大冒険
基本支給品×2ラーのかがみ@ドラゴンクエストⅦㅤエデンの戦士たちㅤモイの支給品0〜1
基本行動方針:渡辺早季@新世界よりを優勝させる。
1.2階にいるものを全滅させる。
2.殺害でも分断でも、出来るだけ戦力を削ぐ
3.いざとなれば逃走も辞さない
※4章後半で、守と共に神栖六十六町を脱出した後です
※ラーのかがみにより書き換えられた記憶を取り戻しています。
※呪力は攻撃威力・範囲が制限されており、距離が離れるほど威力が弱まります。
場所は変わり、図書館の入り口。
「彼女を殺すつもりはない。魔法は手加減をしておいた。だが、君は別だ。」
「どういうつもりだ!!満月!!」
そこにいるのは怒りをあらわにする大魔王と、焦点の合わない瞳を持った満月博士。
そして、不意の超能力の一撃を受けて、気絶した柊ナナ。
しかし、ここは屋外である以上、図書館を巻き込むことは無いまま、魔法を思う存分打つことが出来る。
いくら不死の力が失われたと言っても、魔法合戦で1人の人間に負けるわけがない。
そのはずだが、魔法は出なかった。
ふと見ると、満月は突然緑と紫色で構成された奇妙な杖を持っており、それが不気味な光を放っている。
それが自分の魔法を封じている原因だとは、自ずと分かった。
だが、それが分かるより、彼の豹変を分かりたかった。
「私は心が弱い男だ。先ほどから君にスキが出来ないか、そのことだけを考えていたせいで、重清君を助けるのに遅れてしまった。」
協力するつもりじゃなかったのか、とデマオンが言いたい裏で、満月はさらに続ける。
「私はね、美夜子を失ってしまった以上、君をのさばらせておくわけにはいかないんだ。
現に君はこの殺し合いが終わったら、また地球を征服するつもりだったのだろう?」
痛い所を付かれ、図星になるデマオン。
だが、彼も言い返す。
「それは否定せぬ。だが、それが貴様の娘を失ったことと、どういう関係があるのだ。」
美夜子を殺したのはデマオンではない。
だから協力すると言っておきながら、美夜子が死んだからと言って、デマオンに反旗を翻すのはおかしい。
怒りの矛先を向けるのだとすれば、それは美夜子を殺した何者か、あるいはこの殺し合いを開いた者達だ。
「このさい関係などどうでも良かろう。君を殺す。それが生き残ってしまった私の、唯一の望みなのだからな。」
その表情は、正気の人間のものとはとても思えなかった。
「やれるものならやってみろ!!魔力1つ封じたからと言って、人間ごときが魔族の王にかなうと思うな!!」
いくら魔力が無くても、過酷な環境で生まれ育った魔族の生命力は人間のそれとは一線を画する。
増してや、それが魔族の王ともなれば、その差は安易に覆らない。
突然、デマオンは下腹部に何かで斬られたような感覚を覚える。
出血はしていない。だが、突然の虚脱が彼を襲った。
「ぐ!?」
「私の武器は杖だけだと思ったか?」
満月博士が、杖を持ってない方の手で握りしめているのは、剣の柄。
実は彼は、放送が終わってからは見えない形でずっと握りしめていた。
そして、期は熟した。
彼の吐息が、青白く光り、柄の先に集まって刃を精製する。
それはかつてデマオンとは異なる世界の魔族が作った、人の憎しみを駆り立てる邪悪な道具。
魂の剣と呼ばれている。
「このような力を持つのか。だがこれで終わりはせん。美夜子の痛みを味わってもらう。」
彼が地球の侵略者たる魔族の王を殺すに至った理由は、魂の剣だけが原因ではない。
現に彼は、この殺し合いで最初に出会った時は、この大魔王に対する憎しみを抱いていた。
しかし同盟を組んだ方が得だということや、美夜子を見つけ、主催を倒すまでに無駄な力を使いたくないという優先順位のために、殺害したいという衝動を抑えていた。
しかし、彼女の喪失で心に生まれた穴は、邪悪な剣に容易に入り込まれてしまった。
長きに渡り燻っていた魔族への憎しみと、協力の間で揺れ動いていた葛藤は、邪剣の一押しによって容易に傾いた。
「願ったりかなったりだ。長年追い求めていた魔族の王を、この手で殺せるのだからな……。」
死人のような青い顔になりながら、正気とは思えない笑みを浮かべる満月。
それを睨みつけながらも、魔王の表情は極めて苦々しかった。
悪意の火種は、余すところなく広がっていく。
それは、手を取り合った8人の絆を、いともたやすく壊していった。
【矢安宮重清@ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 死亡】
【残り 37名】
【B-5/図書館前/一日目 朝】
【柊ナナ@無能なナナ】
[状態]後頭部に打撲 気絶
[装備]空気砲(90/100)@ドラえもん のび太の魔界大冒険
[道具]基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)、名簿を七並べ順に書き写したメモ、
[思考・状況]
基本行動方針:最低でも脱出狙い。可能ならオルゴ・デミーラ、ザントの撃破。最悪は優勝して帰還。
0.……?
1.ここにいるメンバーのうち何人かで、デパートへ向かう
2.殺し合いに乗っていない参加者と合流を目指す。
3.回復能力を持つミチルと東方仗助と合流したいが、1よりは優先順位は低め
4.小野寺キョウヤはこの殺し合いの中なら始末できるのか?
5.佐々木ユウカは出会ったら再殺する。
6.スタンド使いも能力者も変わらないな
7.満月博士、デマオンの関係に警戒
※参戦時期は20話「適者生存PART3」終了後です。
※矢安宮重清からスタンドについて、東方仗助について聞きました。
※広瀬康一、山岸由香子、ヌ・ミキタカゾ・ンシをスタンド使いと考えています。
※異世界の存在を認識しました。
【デマオン@のび太の魔界大冒険 】
[状態]:HP2/3 虚脱感 魔法封じ
[装備]:世界樹の葉@ ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1〜2
[思考・状況]
基本行動方針:不遜なるデク人形(オルゴ・デミーラ、ザント)をこの手で滅し、参加者どもの世界を征服する
0.満月博士……!!
1.デパートへ向かい「鍵」の正体が何なのか調べる
2.デマオン軍団の一員として、対主催の集団を集める。
3.刃向かうものには容赦しない
【満月博士@のび太の魔界大冒険 】
[状態]: 魔力消費(中) デマオンへの敵意 魂の剣による暴走状態
[装備]:魂の剣@ドラゴンクエストVII 魔封じの杖@ドラゴンクエストVII
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:デマオンの殺害
1.他の参加者はどうするか?
2.美夜子……
参戦時期はエンドロール後
ヤンとの情報交換でFF4 の世界の情報を得ました。
魂の剣@ドラゴンクエストVII
満月博士に支給されていた、最悪の支給品。
普段は剣の柄だけになってザックの中に眠っているが、彼が何者かに対する殺意を許してしまった場合、吐息が刃となって現れる。
持っていると人を憎もうとする気持ちだけが溢れ、正気でいられなくなる。
また他の剣と同様、使うだけで摩耗していき、同時に持ち主の魂もボロボロになっていく。
そのまま戦い続けると、最後には気が狂って悶え苦しみながら死ぬ。
正気を取り戻すには、本人の魂で作られた剣で持ち主の身体を貫くしかない。
本ロワの特別ルールとして、一撃で魂を奪うことは出来ないが、徐々に体力が減っていき、最終的には殺されてしまう。
魔封じの杖@ドラゴンクエストVII
満月博士に支給された杖。
道具として使うと、敵の魔法を封じることが出来る。
ただし、新世界よりの呪力、無能なナナの能力、ジョジョのスタンドなどは封じられない。
モーテン星@ドラえもん のび太の魔界大冒険
アイラに支給された、星形のバッジ
胸に付けることで、姿を消すことが出来る。
本ロワでは制限として、10分ほどしか電池が無い。
ファイアフラワー@ペーパーマリオRPG
モイに支給されていた道具。
使うとファイアマリオになるアイテムではなく、そこら中に火の粉を飛ばすことが出来る。
最終更新:2022年02月08日 10:19