「!!」
「まずい!!」

防御体制を取れる猶予が無かった二人は、そのまま雷撃を食らう事にはーーーならなかった。

「姫さん!!」
戦線離脱していたはずのゼルダが、紫色の丸盾を両手で掲げて、2人を守っていた。
ゼルダが持っていた魔法の盾は、敵の魔法攻撃を幾分か緩和させる力を持っていた。
血と埃でドレスとその身を汚しながらも、敢然と盾を掲げ、仲間を守る姿は自由の女神を思わせる猛々しさと美しさがあった。

「く……!!」
それでも多少ダメージはある。
両腕に痺れが走るし、ミドナが応急処置をしたとは言え、肩の傷も悪化する。
だが、耐えきれないほどではない。
クリスチーヌがゼルダに渡したバッジ「イツーモゲンキ」は電撃によるダメージこそ防げないが、麻痺による動きの阻害をシャットアウトした。


ゼルダとて、ハイラルの兵士を率いて、影の軍団と戦った経験はある。
結果こそは伴わず、降伏を余儀なくされ、城の一室に幽閉されてしまったが、それでも一人だけ戦えないことに我慢が出来なかった。
そして、肩を怪我して、使える武器が無くても、戦うことは出来る。


「姫さん……無茶をするなんて……クリスチーヌ!!何で止めなかった!!」
「ミドナ、言い争いをしている場合ではありません。戦うと言ったのは私です。
それよりもクリスチーヌ、今です!!」
「はい!あたしがいることも、忘れないでね!!」


使い魔とゼルダのせめぎ合いが繰り出される横から、クリスチーヌが頭突きを仕掛ける。
しかし、彼女がジャンプした所で、先程と同じように呪力で吹き飛ばされるーーーはずだった。

すぐに起き上がったアイラが構えを取ると、辺りが眩しい光に包まれた。
「これは!?」
スーパースターの力によって真理亜の視界を覆いつくしたのは、真っ白な光。
ホタルのような発光能力を持たない人間であるアイラが使うには、とある構えと一定の間が必要だったが、敵の意識がゼルダに集中したことにより、使うことが出来た。
人を焼いたり、脳や神経に異常を齎したりするわけでもない、ただの強烈な光だ。
しかし、その光は敵の目を眩ませることが出来る。
間違って望遠鏡で太陽を見てしまった時のような目の痛みが、真理亜を襲う。
慌てて目を閉じるが、もう遅い。

「くそ……目が……。」
これでしばらく、真理亜は周りの標的に呪力を当てることは出来ない。
唯一出来る、呪力で自らを浮かせる能力で、アイラたちから離れる


「助かるわ!アイラ!!」
呪力の干渉が無くなるのが分かると、すかさずクリスチーヌが頭突きを使い魔に浴びせる。
「ギャア!!」
たんこぶを作った使い魔は、慌てて主人の所へ逃げるが、それを塞ぐかのように、ミドナの影の手が使い魔の進行方向に現れる。

「もう一発食らいな!!」
影の手で殴打しようとするも、Sの字のカーブを描いて飛ぶ使い魔に躱されてしまう。

「チィ!!」
「アイラ!そのダーツを、ミドナさんに投げなさい!!」
「はい!」
ゼルダが指示を出す。
足元には、真理亜が呪力で飛ばした銀のダーツが1本転がっている。

アイラは指示の意図が分からなかったが、すぐに気づき、怪我をしてない方の肩でミドナへと投げた。
未知の力を持つ敵に対して、思うように連携が取れていなかった3人だったが、ゼルダという一人のリーダーがとる指揮のもと、上手く戦えるようになっていた。
アイラはハサミを渡す時のように、ダーツの尖っている側を持ってミドナに向けて投げる。

「ありがと!!アイラ、姫さん!!」
そのままダーツを受け取り、使い魔目掛けて投げた。真理亜はようやく視界が回復したばかりだ。
ゼルダが射た光の矢を跳ね返したようなことも出来ない。


「ギイイィィィィヤアァァァアア!!!!」
魔を払うダーツが刺さった使い魔は、この場にいた5人全員の鼓膜が破れるほど甲高く、不快な悲鳴を上げた。
数十人が一斉に黒板を引っ掻いた時のような音が、図書館の2階に響き渡る。
大魔王格の魔族でさえ、心臓に銀のダーツが刺されば即死する。
増してや、使い魔クラスの魔族など、身体の一部に銀のダーツが刺さればどうなるか、想像
に難くない。
その悲鳴が徐々に小さくなっていくと思うと、使い魔の身体が炎に包まれ、灰になった。



「よし、コウモリネコは倒した!!後はあの女を取り押さえるだけだ!!」
ミドナは颯爽と真理亜目掛けて飛んでいく。
そこへ、向かい風のように何かの力が逆方向から飛んで来た。

「今だ!!ワタシに構わず、アイツをどうにかしろ!!」
しかし、ミドナに呪力がぶつけられたということは、他の者は自由に行動できるということ。
クリスチーヌとアイラは言う通りに向かって行ける……はずだった。


「何……これ……!!」
しかし、アイラもクリスチーヌも、真理亜に近づくことは出来なかった。

「まさか……風を動かしているの!!」
「これは…モイさんを吹き飛ばした……。」
呪力で動かせるのは、固体や液体ばかりではない。
空気の塊を動かすことで、近づけないほどの強風を起こしたのだ。
かつて2年前に離塵師が、筑波山でバケネズミの集団を薙ぎ払う時に使った呪力の技術を、流用したのだ。
勿論、大人である離塵師と彼女では、制限とは関係なく呪力の精度には差がある。
だが、カマイタチを作った離塵師のように高度な技術は持たずとも、雑に呪力の操作だけで強風なら作れる。


「これは……ちょっときついな……。」
強風に乗り、散らばっていた本が、大風に舞う木の葉のように飛んでくる。
しかも、木の葉とは異なり、致命傷は与えてこないにせよ、ゴンゴンとぶつかってきて痛い。

さらに、災害はこれだけではなかった。
使い魔の死体を包んでいた炎が、本棚の本に引火したのだ。
引火した本が飛ばされ、さらに炎を広げていった。


この図書館は既に1階は火の海になっているが、2階もすでに幾分かは燃え広がっている。
「くそ……このままじゃ、アタシも姫さんも……!!」
しかし、障害物に手を掴み、飛ばされないようにするのがやっとだ。
強風で、しかも野次馬が悪役レスラーや無能政治家に投げる空き缶のように本が飛んでくる中では、近づくことさえ出来ない。


(私も……助けに行きたいけど、どうすれば……!!)
唯一強風による被害を受けていないのは、一番距離が離れているゼルダだった。
だからと言って、肩が怪我している上に、弓矢を使えてもまた跳ね返されるかもしれない以上、武器に手を触れられなかった。
先程とは違い、魔法では無く自然現象を呪力で強化した攻撃なので、魔法の盾もあまり意味をなさない。

だが、離れた位置からでも分かるほどの、真理亜の異変に気付いていた。
元々色白だった彼女の顔が、真っ青だったことを。
普通ならばとっくに戦線離脱してもおかしくないほど疲弊しているのが、分かっていた。
大風とページが捲れる音の中に混ざって、彼女の荒い呼吸も聞こえてきた。
呪力は魔法と同様、無から無限の有を生む力とされているが、必ずしもそういうわけではない。
例えば魔力を使い過ぎれば魔力切れによる疲労を起こすように、呪力も使い過ぎれば体力の消耗をもたらす。

(そこまでして……なぜ……。)
先程眠気を覚ますために、自らに電撃を浴びさせた時もそうだ。
彼女には、殺し合いに乗るための固い意志があったということが、自ずと伝わってきた。
そして、ゆえに彼女が人を殺すのを、先導者として止めねばならないと決意した。


しかし、打開策は中々見当たらない。
前の3人は風に飛ばされないようにするのに障害物を背にしたり、しがみ付いたりするので精いっぱいだった。
しかも、図書館の2階の炎は燃え広がっていく。


(クソ……持久戦に持ち込むつもりか……。)
窓際に陣取り、強風のせいで真理亜に近づくことも脱出することも出来ない。
そうしている間に、じわじわと火と煙が広がっていく。
この状況が進めば、一酸化炭素中毒で死ぬか焼け死ぬかのどちらかだ。


(そうか!!)
クリスチーヌは壁を背にして、風を凌いでいたのだが、突然閃いたように走り出した。

「ミドナさん!本を見て!!」
真理亜の周囲を、一見隙が無いように向かい風の壁が囲っているのだが、実は僅かながら無風の場所があるのをクリスチーヌは見抜いた。
本が宙を舞っていない場所だ。
彼女の目論見通り、真理亜は疲労によって呪力が弱まっており、それに沿って粗が生じていたのだ。

「そうか!!」
ミドナはクリスチーヌの指示通り、強風の中を飛んでいく。
無風という訳ではないが、これぐらいなら飛ばされずに済む。
クリスチーヌが地を駆け、ミドナが空を駆け、風の壁の弱い部分を突破していく。


「これで終わりだ!!」
ついにミドナの仮面の手が届く範囲までたどり着いた。
クリスチーヌも、もう少しでやって来る。

真理亜は強風を起こすことを止め、自分を飛ばして攻撃を躱す。
しかし、その瞬間、白く光を放つ矢が燃えるような赤髪の横を掠めた。


「次は当てます。」
「ありがとう。ミドナ、クリスチーヌ。あなた達のおかげよ。」
片手しか思うように動かせなかったゼルダだが、アイラがもう片方の手になってくれたことで、光の矢を射ることが出来た。


「チェックメイトだな。」
「………。」
「まだ何かあるかもしれない。油断しないで。」
得意げだったミドナだが、一度勝利を目の前にしてそれを逃がし、挙句にモイを失ったクリスチーヌは警戒していた。
この場で真理亜の打つ手はもう残されていない。
誰かを攻撃すれば、直ちに他の誰かが攻撃してくる。


「ミドナ、その少女と話をさせて。」
「ダメだ!!こんなヤツに近づいたりしたら、何されるか分かったもんじゃない!!」

ミドナは恩人であるゼルダには、絶対に傷を付けさせたくなかった。
だからこそ一悶着起きそうなデマオンが近くにいるのに反対をしていたし、殺し合いに乗っている真理亜を近づけさせるなんて以ての外だった。
それでも、ゼルダを信じたかった。
身を挺してまで影の世界の住人であったミドナを助けてくれたゼルダを、信じたかった。


「私はその少女を殺したくないし、死ぬつもりもありません。私を信じてください。」
「………オイ、赤髪。話聞いてやれ。姫さんに手を出したら許さないからな。」


「あなたの名前を教えてください。」
「そんなことして何になるの?そもそもあの鬱陶しいカードを見ればいいだけじゃない。」
「まずは言葉を交わすことが大事です。どんなに辛い時でも変わりません。」

他者とのつながりは、どんな場所でも大切なはずだ。
姫として国を作り、繫栄させていく義務があるゼルダだからこそ、猶更分かることだ。

「秋月真理亜……。」
不思議と真理亜の心の中から殺意という名の毒が抜けて行くのを感じた。
不意に感じたのは、望郷の想い。


「マリアと言いましたね。良い名前です。」
「だから何だというの?」
「その名前を付けてくれたあなたの家族は、あなたがやっていることを見ればどう思いますか?」

その時、ゼルダは真理亜の心の内に入りこんだ。

「あなたは家族や帰る場所と切り離された理不尽に耐えられなくて、他者に理不尽を押し付けているのでしょう。」
ゼルダはハイラル城の窓から見ていた。
僭王ザント率いる影の軍団にハイラルを奪われ、王国ごと影に飲み込まれてしまった時、帰る場所を無くした人のことを。
でも、彼女は知っていた。リンクやミドナのような、帰り道を作ってくれる人がいることに。
ゼルダの温かい手が、真理亜の心の内に入り込んでいく。


「あなたの気持ちは分かります。私達と協力して、帰り道を探しに行きましょう。」


しかし、心の内に入ることは、必ずしも分かち合えることではない。

「ふざけるな!!」
真理亜の慟哭が、空気を揺らす。
その声の鋭さに驚く間も無かった。
なぜならそこにいた真理亜以外の4人に、上からの引力が掛かったからだ。
いや違う。怒りに任せた真理亜が、呪力で全員を天井に叩きつけたのだ。


(なんでよ……!?)
室内でルーラを間違って使った時のような感覚を覚えながらも、アイラは驚く。
彼女の呪力は、一度に異なる方向の人を持ち上げることは出来ない筈。
答えは、呪力の違いにあった。


これまで真理亜が使っていたのは、何か一つの対象に力を加えたり、火を付けたりする呪力だけだった。
しかし、今彼女が使ったのは、自分の周囲にいる相手に、等しく力をかけるものだった。
真理亜のもう少し先の未来の出来事で例えるならば、鏑木肆星が360度全方向から襲ってきたバケネズミの集団を全員上方に押し上げたような光景だった。
彼女が極端に優秀な呪力の使い手ならば、このまま一人ずつ身体を引きちぎることが出来たが、それが出来るほど優れては無かった。
ただし真理亜はゼルダに対する怒りのあまり、制限下でも一時的に呪力のボルテージが上がったのだ。


「「「「●☆◇〇●△★△〇!!!!!」」」」
アイラ、クリスチーヌ、ミドナ、ゼルダの4人は文字で表せない悲鳴を上げる。

アイラは天井に全身をぶつけて、地面に落とされた後、片手と片足がおかしな方向に曲がっていた。
クリスチーヌは天井を頭にぶつけた所で舌を噛んだのか、口から薄赤い液体を零していた。
ミドナは打ち所が悪かったのか、身体を丸めて蹲っていた。

そしてゼルダは、地面に落ちる瞬間に、再び真理亜に持ち上げられた。


「私には帰らないって自分で決めたの!!その決意を、よりによってあなたが否定するな!!!!!!!」
一瞬呪力から解放され、黄昏の姫はその後凄まじい力で壁に叩きつけられた。
べちゃ、と気持ちの悪い音が響いた。
呪力の制限はかかってある以上、かつて真理亜のいた町で出てきた悪鬼に蹂躙された人間のように、壁に貼り付けられて趣味の悪い芸術作品になることは無かった。
だが、何度も壁に叩きつけられ、皮膚だけではなく、脊椎も頸椎も他の大事な内臓も傷つけられる。


「姫さん……。」
ミドナはその惨状を見ることしか出来なかった。
身体が動かせない以上は、真理亜を攻撃することもゼルダを助けることも出来ない。


真理亜はそのままゼルダの呪力を解放せず、何度目か壁にぶつけた後、上から思いっ切り叩き落とした。



ぐ  ち  ゃ


果物がつぶれた時のような音が響く。
そこまでするほど、真理亜はゼルダを許せなかった。
彼女は故郷を追われたのではない。
自分の決意で故郷を出たのだ。
そしてそれを決意せねばならない原因を作ったのは、ゼルダのようなリーダーである町の大人達だ。


慟哭は咽喉が枯れるまで出た。


(畜生……ちくしょう……)
ミドナは胸の奥に噴火する寸前のマグマのように、悔しさとやるせなさが募った。
折角姫を守ろうとしたのに、守れなかった。
もしあの時自分がゼルダに話をさせずに真理亜を殺しておけば。
もしあの時真理亜の襲撃を受ける前にゼルダを図書館から出していれば。
もしあの時もっときちんとゼルダを守っていれば。
真理亜への敵意より、自分の後悔だけがあった。


両手で印を結ぶ。
片手は折れていたが、それを無理矢理動かす時の激痛よりも、何も出来ないまま真理亜に負ける方が、彼女にとって地獄だった。
そして影の魔力を練る。
かつて獣になったリンクにかけられた鎖を千切った技だ。
動いていない相手に使えず、実践の有用性は限りなく無いが、真理亜がゼルダにかかりきりになっている今こそ、使える時だった。


両手に黒いオーラが集まり、それが解き放たれる。
「きゃっ!!」
真理亜の下腹部で何かが弾け、鮮血が迸り後方に吹き飛ばされる。


(はは……結局ダメだったか……)
やはり生き物相手にやるのは初めてだったため、本棚が邪魔して見えないがトドメこそはさせなかった。
そして悪い予想は辺り、赤髪の少女は窓から逃げていく。


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇



「はあ……はあ……ゲホッ!!」
口から咳と共に血を吐き出す。鼻からも血が出ていた。
秋月真理亜は、身体のあらゆるところが異なる色の赤で斑に染まっていた。
目の先は半分くらい靄が掛かっている。
ミドナから最後に食らった魔法だけではない。
怒りに任せて自分の力を越えた呪力を使ったが、その代償は重かった。
彼女は呪力の訓練で今のようなことが出来たわけでは無く。ただの怒りによるエネルギーの前借りに過ぎない。
感情が収まると、すぐに代償が疲労、頭痛、貧血などの形でやって来る。


まだ僅かながら残っている呪力を使って、図書館から少し離れた場所にある草原に隠れた。
この場所はそう遠くない時間、禁止エリアにされる。逆に近づく者はいないから、他人に殺される可能性は低くなる。
そして危ないとは分かっていても、地面に座り込む。

(きっと、あの人たち、もう生きていないよね。)
向こうの図書館から煙が上がっていた。
ミドナのせいでゼルダ以外はとどめを刺し損ねたが、動けなかったし、きっと焼け死んでいるだろう。

(何か……回復できる物……)
ザックを開け、モイが持っていた支給品の食べ物を手に取る。
『トニオの子羊の背中肉のリンゴソース掛け』という料理は、栄養を摂取できるだけではなく、内臓のダメージも回復できるらしい。
食事などとても出来るような状況では無いが、意識を手放せばこのまま動けなくなるのは目に見えていたので、無理矢理胃に押し込むことにした。
本当は絶品の料理のはずだが、味なんて分かるような状況では無く、胃が受け付けず、何度も何度も吐きかけたが、なんとか完食した。

突然、腹から大量の血が出る。

(毒!!?)
そう勘違いするが、どうやら内臓が回復する上での過程だったようで、痛みが過ぎると幾分か痛みは治まった。
まだ、体力は回復していないが、そのまま崩れ落ちた。



【C-6/一日目 午前】



【秋月真理亜@新世界より】
[状態]:ダメージ(中) 疲労(特大) 意識半分喪失 全身に軽い火傷 返り血
[装備]:銀のダーツ 残り5本@ドラえもん のび太の魔界大冒険 
基本支給品×2ラーのかがみ@ドラゴンクエストⅦㅤエデンの戦士たちㅤモイの支給品0〜1
基本行動方針:渡辺早季@新世界よりを優勝させる。
1.しばらくの間この場所で休憩をとる。
2. 12時になれば禁止エリアになるので、警戒する。

※4章後半で、守と共に神栖六十六町を脱出した後です

※ラーのかがみにより書き換えられた記憶を取り戻しています。

※呪力は攻撃威力・範囲が制限されており、距離が離れるほど威力が弱まります。ただし状況次第で、この制限が弱まります。
※彼女の支給品である使い魔@ドラえもん のび太の魔界大冒険は死亡しました。
※モイの支給品である「トニオの子羊の背中肉のリンゴソース掛け」は使い切りました。



【ゼルダ@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス 死亡】
【残り 34人】



「姫……さん。」
「どうやら、終わりみたいね。」
「そんな……嫌だ………。」
アイラから告げられたのは、悲しいぐらい残酷な現実だった。
動けない者がいる中で、火と煙だけが広がっていく。
それは、じわじわと残された者の命を焼いていった。
この図書館に、図書館だった建物に希望はない。





【ミドナ@ゼルダの伝説トワイライトプリンセス 死亡】
【クリスチーヌ@ペーパーマリオRPG 死亡】
【アイラ@ドラゴンクエストVII 死亡】


【残り 31人】



















――――まだよ。
既に顔半分が原形をとどめていないゼルダが、折れた右手を掲げていた。
その状況を、ミドナは見覚えがあった。
彼女の手の甲で3つに連なった正三角形が輝き、そして暖かくて優しげな光が3人に飛んでいく。

「何……これ……」
「暖かい……。」

死を覚悟していたが、予期せぬ形でアイラは痛みが消えていくことに驚いた。
クリスチーヌは、かつてカゲの女王に飲み込まれる直前のピーチがくれた力のことを思い出した。


かつてミドナは、死にかけていた所をゼルダがもたらしたその力で助かった。

今度は、あの時とは違ってやめろとさえ言えなかった。
ゼルダの行いを否定することは、アイラやクリスチーヌの死さえ肯定することになるし、そもそも彼女が再びこんなことをしなければならなくなったのは、自分が判断を誤ったのが原因だからだ。

「ああああああああぁぁぁぁ!!!」

上げたのは、懇願では無く、ただ悲しみと悔しさがないまぜになったような叫びだけだった。
本当なら、この役目は判断を間違えた自分が変わってあげたかった。
けれど、何もしないまま、自分達の身体の傷のみが癒えていく。
心の傷は治らないままだが。


――――ミドナ、悲しまないでください。こうなったのは、私が原因です。
――――彼女の、マリアの気持ちが分からず、それなのに分かった様なことを話したからです。
――――国の指導者失格ですね、私は。



最後の光が無くなると、ミドナだけではなく、クリスチーヌもアイラも立てるようになった。
それとは対照的に、ゼルダはピクリとも動かなくなった。
「ぼやぼやするな。早く窓から脱出するぞ。」
その言葉には、ミドナらしい覇気が無かった。
どう答えるか、クリスチーヌもアイラも戸惑ってしまい、結局答えは出なかった。


既に2階も炎に包まれている。
図書館としての役割を放棄し、戦場としての役割を放棄したこの場所は、建物としての役割をいつまで保てるかも分からない。


「ワタシは、どうしたらいいんだ。」
やることは分かっていた。
2階から脱出し、真理亜を追いかけ、ゼルダの仇を討ち、ザントとデミーラを倒す。
けれど、ミドナは何故かそう呟いた。
アイラは何も答えずに、ただ彼女の手を握りしめた。
手のないクリボーであったクリスチーヌは、ただ遠い目で向こうを見ていた。



【B-5/図書館二階/一日目 午前】

【アイラ@ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】
[状態]:ダメージ(小) 軽い火傷 職業 調星者 (スーパースター)
[装備]:ディフェンダー@ FINAL FANTASY IV
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0〜1モーテン星@魔界大冒険
[思考・状況]
基本行動方針:オルゴ・デミーラを再度討つ 図書感からの脱出
1. ここから脱出する
2. アルスとメルビンが心配
※職業は少なくとも踊り子、戦士、武闘家・吟遊詩人・笑わせ師は極めています。
参戦時期はED後。



【ミドナ@ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス 】
[状態]:ダメージ(小) 言いようのない悲しみ 後悔
[装備]:ツラヌキナグーリ@ ペーパーマリオRPG
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1
[思考・状況]
基本行動方針:ザントを討ち、光と影の両世界を救いたい
1:………。
2:図書館の2階から脱出する。真理亜が入ってきた窓がねらい目。
3:真理亜を追いかけ倒す
参戦時期は瀕死の状態からゼルダにより復活した後
陰りの鏡や影の結晶石が会場にあるのではと考えています。



【クリスチーヌ@ペーパーマリオRPG】
[状態]:HP1/2
[装備]:なし
[道具]:基本支給品 アイアンボーガン(小)@ジョジョの奇妙な冒険 キングブルブリンの斧@ゼルダの伝説
[思考・状況]
基本行動方針:首輪解除のヒントを見つける
1.図書館から脱出する
2.仲間(マリオ、ビビアン)を探す
3.クッパ、バツガルフ、真理亜に警戒
4.モイやノコタロウ、ピーチの死を無駄にしない
5.首輪のサンプルが欲しい。
※図書館の本から、DQ7.FF4にある魔法についてある程度の知識を得ました。
※首輪についてある程度仮説を立てました。
• 爆発物ではないが、この首輪が原因で死ぬ可能性は払拭できない。
• 力を奪うのが目的


※ゼルダの支給品 魔法の盾@ドラゴンクエストVII、イツーモゲンキ@ペーパーマリオRPG、その他支給品は死体の横にあります。
※図書館はもうじき倒壊します。


支給品紹介
【魔法の盾@ドラゴンクエストVII】
ゼルダに支給された盾。紫色の独特なデザインをしており、魔力を防ぐ力を秘めている。
また、軽いため女性でも持ち運べる利点もある。


【子羊の背中肉のリンゴソース掛け@ジョジョの奇妙な冒険】
モイに支給された料理。食べると空腹を満たすだけではなく、不調な内臓を治すことも出来る。


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時系列順 065:ジジ抜きで警戒するカード
063:白魔導士の決意 投下順 065:ジジ抜きで警戒するカード
054:悪意の火種が笑った時(前編) アイラ 070:It is no use crying over dropped moon
ミドナ
クリスチーヌ
秋月真理亜 076:これは呪いか、それとも罰か
ゼルダ GAME OVER
最終更新:2022年04月16日 18:45