舞羅8月クーデター

 舞羅8月クーデターとは、舞羅連邦首都新京都市にて北舞羅派の軍人・政治家とクラフタリア同盟連邦やタルトディッシュ連邦が協力して起こした反乱事件である。
 大規模な政治・軍事作戦はベイカー将軍率いる体制側を窮地に陥れたが、北舞羅派主力部隊の軍事的な敗北によりクーデターは失敗した。

舞羅8月クーデター
連邦議会議事堂・凱旋門前を制圧するベイカー政権軍装甲車
日時:2020年6月22日~8月3日
場所:新京都市・フエゴ島近海
目的:ベイカー政権の打倒、皇帝の奪還
結果:失敗
   ・舞羅帝国の成立
   ・北舞羅派の亡命
衝突した勢力
 舞羅連邦
(北舞羅派反乱軍)
 スティーブ・クラフタリア同盟連邦
 タルトディッシュ連邦
(BPD・グランファミリー)
 舞羅連邦
(ベイカー政権)
指導者
 近藤茂久
 東雲里奈
 スティーブ・ペルソン
 (不明)
 アメリア・ベイカー
 安帥帝比沙子
戦力
陸・空クーデター軍
 15614人
クラフタリア軍 陽動・支援部隊
 4~6万人
初期:4814人
合計:26315人
損害
戦死:15515人
戦傷:36人
国外脱出:約500人
戦死:231人
戦傷:1056人

背景

5月に発生したアメリア・ベイカー将軍のクーデターによりマックス・D・テイラー連合議会議長が追放され、舞羅連邦の元首・舞羅連合帝国(北舞羅)の首相・門州連邦共和国(南舞羅)の大統領の地位がベイカー将軍一人に集中する体制が成立した。
これにより、緩やかな連合体であった舞羅連邦は急速に中央集権化していったが、長きに渡って敵対関係であった南舞羅の大統領であるベイカー将軍のクーデターは、北舞羅の政治家・軍人はこの動きに反発した。
ベイカー将軍の出身もその理由であったが、皇帝に忠誠を誓う軍人たちにとって、皇帝をないがしろにした独裁体制の構築は許しがたいものだったのである。また、北舞羅に属していた政治家や市民たちも、極右・鎖国的な強硬策を断行するベイカー将軍からの迫害を恐れ、続々と隣国に脱出し始めていた。
このような状況の中、近藤茂久陸軍司令官、東雲里奈空軍司令官らを中心とする北舞羅派の軍人・政治家らは武力をもってベイカー将軍を排除し、舞羅連邦の実権を北舞羅派・皇帝の手に取り戻すことを画策した。彼らは以前から親交のあったCELTOを頼り、クラフタリア及びタルトディッシュ、ヴァルキアの要人と接触、諸外国をも巻き込んだ逆クーデターを始動させたのである。

尚、クーデターに呼ばれなかった北舞羅海軍については、南舞羅派の司令官に支配されていたため、むしろ攻撃対象と見做されていた。

作戦の概要

北舞羅の要人とCELTO代表の打ち合わせでは以下のような計画が決定された。
1.クラフタリア政府が「舞羅帝国南部フエゴ地域への侵攻計画があり、4-6万人規模の兵力を投入する準備がある」と発表
2.クラフタリア級強襲揚陸艦2隻、ヨグ=ソトース級戦艦2隻を中核とする同盟統合海軍艦隊及び、タルトディッシュ連邦のTGがフエゴ島付近へ展開する。
3.北舞羅の親CELTO派軍人である陸軍司令官 と 空軍司令官 がベイカー将軍に助言し、CELTO軍の大規模侵攻の予兆だと判断させる。
4.フエゴ島をはじめとする舞羅ークラフタリア国境が南舞羅の支配地域であることを口実に、ベイカー将軍旗下の南舞羅陸軍主力をフエゴ島及びアンデス国境地域へと集結させる。
5.南舞羅軍主力が首都新京都市から離れるため、首都中心部の警備体制は手薄になり、相対的に親CELTO派の北舞羅軍の勢力が優位になる。
6.BPD及びグラン ファミリーが親CELTO派北舞羅政治家の手引きのもと、警備が手薄になった連邦議会議事堂と近衛庁舎に侵入。ベイカー将軍と皇帝を確保する。
7.ベイカー政権が機能不全に陥っているうちに親CELTO派北舞羅軍が首都へ進軍。逆クーデターにより舞羅連邦の実権を北舞羅の手に取り戻す。

作戦前段階の経過

作戦の1~5までは不気味なほど順調に進み、第6段階における首都中枢の占領にも成功した。
しかし、肝心のベイカー将軍は南舞羅陸軍主力の移動視察に出ており、執務室にいるはずであった皇帝もなぜか見つからなかった。
この連絡を受け、親CELTO派北舞羅軍は、このままクーデターを起こすか起こさないかで意見が対立したが、
とある将校の「これを逃せば、もう次はない」との意見から結局首都への進軍が決定され、力押しでのクーデターは実行された。

両軍の陣容

クーデターを起こした親CELTO派北舞羅陸軍(以下、クーデター陸軍)は30式超重戦車や29式戦車を主力とする15000人からなる強力な機甲部隊(ただし、重装備のため動きは遅い)であり、
クーデターを起こした親CELTO派北舞羅空軍(以下、クーデター空軍)もクラフティン共和国製の爆撃機CF-04EMや戦闘機CF-06MA、および攻撃機MFA-31からなる約100機の精鋭部隊であった。
一方、首都新京都市に展開するベイカー政権軍の戦力は、クラフタリアの陽動作戦の影響でごく少数(5000名以下)にとどまっていた。
さらに、その装備も少数のRH-1偵察ヘリコプタや旧式のF-1戦闘機、テケタン、29式牽引砲を中心とする貧弱な歩兵戦力であった。

戦闘の過程


初戦

圧倒的優勢なクーデター陸空軍は高度な連携のもと、ベイカー政権軍の散発的抵抗を軽く蹴散らしながら首都への侵攻を開始した。
しかし、RH-1の観測から、ベイカー政権軍はクーデター軍の動きを完全に把握しており、手薄な第一防衛線の内側では、強固な第二防衛線の構築が迅速に進んでいた。
さらに、陽動につられてフエゴ方面に展開していた部隊のうち、空輸可能な7幅装輪戦闘車の部隊が新京都国際空港に続々と呼び戻され、反撃戦力が整えられつつあった。
そうとは知らないクーデター陸軍部隊はベイカー政権軍の第二防衛線にぶち当たり、突如として猛反撃を受け、進撃を一時停止することになった。

クーデター空軍の独断攻撃

陸上で激戦が続くなか、クーデター陸軍の停滞を深刻視したクーデター空軍部隊は、独断で対策を検討していた。
クーデター空軍はベイカー政権軍輸送機の動きから、新京都国際空港経由で補給が行われていることを見抜き、(陸軍部隊には無通告で)新京都国際空港への総攻撃を開始したのである。
彼らは、先のイットリカン艦隊との接触事件の結末から「能力の低いF-1戦闘機程度なら軽く撃退できるだろう」と考えていたが、ベイカー政権軍は空港周辺に28式対空戦車やSAAG-2をかき集めており、予想外の猛烈な対空砲火に晒されたクーデター空軍は混乱状態に陥った。
そこに、フエゴから引き戻されてきたAI制御のQA-1無人戦闘攻撃機や、圧倒的な高性能機であるクラフティン製CF09が殺到し、クーデター空軍は壊滅した。

ベイカー政権軍の反撃と反乱の収束

一方、空軍部隊が壊滅していることを知らないクーデター陸軍部隊はベイカー政権軍第二防衛線を強行突破し首都へ首都へと前進していた。
しかし、その過程でベイカー政権軍の陣地奥深くまではまり込んでしまう。
そんな中、突如連邦皇帝安師帝がベイカー政権軍の先陣に現れ、皇帝旗を掲げると同時にクーデター軍を逆賊と宣言した。
これに対し、皇帝の賛同を前提に団結・決起したクーデター陸軍は混乱し、その士気を大いに低下させた。
その隙を見逃さなかったベイカー政権軍は体制を立て直し、空港から到着した7幅装輪車の機動力を生かしてクーデター陸軍を半包囲した。
これにクーデター空軍を壊滅させたベイカー政権軍の空軍部隊や戦闘ヘリ部隊も加わり、集中砲火に晒されたクーデター陸軍は瓦解することになる。

クーデター軍の最期

包囲の完成を恐れたクーデター陸軍は潰走に近い撤退を開始するが、時すでに遅く、退路にはベイカー政権軍の空挺部隊が降下していた。
退路を断たれたクーデター陸軍は降伏宣言を出すが、ベイカー政権軍は「逆賊の言葉に貸す耳なし」と包囲攻撃を続行、
カンネーの戦い以来となる大規模包囲殲滅により、15000のクーデター陸軍は文字通り消滅する。

戦闘後

戦闘に敗れた北舞羅の親CELTO派軍人のうち、包囲を何とか脱出できたものはグラン ファミリーの手助けのもと這うようにして首都に到達した。
しかし、戦闘に勝利したベイカー政権軍は彼らの立てこもる首都中核に迫りつつあったため、
グランファミリーとBPDは北舞羅系の政府及び軍高官、関係者をひきつれ地下通路経由で首都を脱出し、そのままクラフタリアまで陸路で移動した。
逆クーデターには失敗したものの、軍と政府関係者の救出には成功する形となった。

考察

数・質共に圧倒的に優勢であったクーデター軍であったが、カリスマ的指導者がおらず、急造部隊ということもあって全く連携が取れていなかった。
それに対して、ベイカー政権軍は弱小ではあったが、全軍を統率するベイカー将軍の強力な指揮のもと、高い機動性と情報収集能力を生かした効率的な反撃を実施し、勝利したのである。

影響

戦闘の結果、北舞羅の親CELTP派軍人は全滅に近い損害を受けた。
また、ベイカー政権の徹底的な対応を見た海軍をはじめとするクーデター不参加の軍人たちも、ベイカー政権への反抗に消極的になった。
さらに、皇帝が反CELTOのベイカー政権側にいると分かったため、生き残った兵士の心情や民心もCELTOから離れた。
とどめに、ベイカー政権軍による残党狩り、タルトマフィア狩りが徹底して行われたため、舞羅におけるベイカー政権の支配は絶対なものとなった。

その後

クーデター鎮圧後、アメリア・ベイカー首相は議会で以下の演説を行い、新体制の確立と自らの初代帝国宰相就任を宣言した。

北舞羅派の売国奴による反乱は完全に失敗した。
残った売国奴も間もなく掃討されるだろう。

私はこの反乱で多くの親愛なる部下を失った・・
しかし、彼らの犠牲は私の決意をより強固なものとした!

安全を確保し、安定を維持するために
安師帝陛下の勅命のもと、舞羅は史上初の完全なる統一国家
”舞羅帝国”として再編される!

平和で、安心かつ安全な社会のために
最終更新:2020年08月03日 03:57