とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

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匿名ユーザー

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 元『神の右席』の右方で現居候、隻腕となったフィアンマは、イギリスのとある町の屋根の上に立っていた。
「まさか、『アレ』を使うやつがいるとはな……しかも、上条当麻を『核』に据える、か。一体どんな物好きなのか、それとも……」
 フィアンマは呟きながら考え込む。フィアンマもまた、高校生程度まで若返っていた。
(『聖なる右』を使ってこの状態か、やはり恐ろしい代物だな。もっとも、防御できただけでも十分だろうがな)
 フィアンマは『第三の腕』を出現させ、調子を確かめる。
(昔程の出力は出ない。安定もしない。が、どうやら戦闘はできそうだ)
「さて、行くか。俺様もこの舞台に混ぜてもらうとしよう」 
 そして、フィアンマは屋根の上から飛び降り、自分の荷物を持って、空港へと向かった。荷物とは言っても、パスポートと財布だけだが。

 日本、そして学園都市に向かうために。

 それから数時間のフライトの後、フィアンマは空港に到着した。両替を済ませ、外に出て空を見上げる。昼前といった所だろう。
「さて、どう行くか……タクシーだろうな」
 少し考えて財布を取り出す。が、中身の量からして、タクシーに乗ったとしたらヒッチハイクでイギリスまで帰る羽目になるだろう。
 わずかに沈黙した後、財布をポケットに戻した。
 フィアンマは別に体を鍛えていた訳では無いので、空港から歩くのは辛い。
 その上、格好つけたのは良いが、フィアンマはどうやって学園都市に行くのか知らない。
「これが、ヤツの見せたかった世界か……」
 冗談を言っても、気持ちは軽くならない。
 とはいえ、歩かなければ前には進まない。とりあえずは、地図を探す事にした。


 それから地図を探し、地図を頼りに学園都市のゲートまで着いたころには、もうすでに昼を過ぎていた。
「さて、それでは行くとするか」
 とは言っても、確か学園都市に入るには許可証が要るらしい。一応適当な理由をつければ発行してもらえるかも知れないが、さっきは考えていなかったが、フィアンマの顔が学園都市の末端まで伝わっている可能性もある。こちらの世界でも、第三次世界大戦は起きていた。もし伝わっていたら第三次世界大戦の首謀者として捕まるのは確実だろう。少し歩き、誰の目も届かない、いわゆる死角で止まる。
 フィアンマの『聖なる右』はもう自由自在に制御はできない。正直言って少し不安だったが、これ以外の方法は無い。
 『第三の腕』を右手があった部分に出現させる。右手はもう無いので『第三の腕』と呼ぶのはおかしいが。そして軽く力を込める。
「ふっ」
 軽く声を出し、第三の腕から下に力を放ち、反動で上に跳躍する。もちろん、壁を越えたい訳では無い。
 頂点に達した所で、壁の上を見回す。やはり、壁の上を警備ロボットが徘徊している。強行突破できなくは無さそうだが、別に学園都市と争う気は無いし、恐らく今のフィアンマでは負ける事になるだろう。
(さて、どうするか……)
 勢いが完全に死に、今度は重力に従い、落下していく。フィアンマは真上に飛んだつもりだったのだが……
 完全には力を制御できなかったようで、フィアンマは真上ではなく、わずかに前に跳躍していた。つまり、壁を越えることになる。
(……こんな事になるとはな)
 そんな事を考えていた丁度に、壁の上を通り越した。
 もちろん、壁を越して侵入しようとする不審人物を警備ロボットが見逃すはずも無い。
 警報がけたたましく響き、不審人物、つまりフィアンマを捕まえようと網が発射される。
「……こんな所で、止まるわけにはいかんのだよ!」
 右手の力を使い、虚空より片手剣サイズの赤い剣を出現させる。高速で振り回し、網を全て切り裂く。
 しばらく、剣で飛んでくる網を切り裂き続けていると、地面が近付く。剣を振り回してある程度勢いが失われていたいたようで、体を痛める事無く着地できた。
 どうやらロボットが警備員を呼んでいたらしい。向こうから、数人の警備員が走ってくる。確か『アンチスキル』と言う名前だったような気がする。
(少々不本意だが、ここは戦うしか無い様だな)
 剣は放棄する。赤い剣には峰が無いうえ、フィアンマに手加減できるような剣の技術は無い。そもそも手加減できても第三の腕の、目標に対して最適な威力で攻撃する、という性質のせいで倒してしまうだろう。『気絶で済む程度』に設定すれば済む話かもしれないが、設定に失敗する可能性がある。剣は空気に溶けるように消え去った。
 右手に、気絶で済む程度に何とか力を込める。そして射程内に誘い込む。
(これで終わりだ)
 右手を突き出す。だが、攻撃が放たれる前に、

 『第三の腕』が霧散した。

(こんな早くに……!?くそっ!)
 警備員はもうすぐそこまで迫っている。捕まれば学園都市の外に追い出されるだろう。
 逃げ道を探す。が、そんな都合良くある訳が無い。
 完全に警備員に包囲された。
「両手を頭の後ろに回し、地面に伏せろ」
 極めて事務的に警備員の一人は宣言する。
 今のフィアンマに抵抗する術は無い。大人しく言うとおりにする。
(さて、どうなるか……)
 とは考えても、追い出されるだけだろう。恐らく末端だろうから、フィアンマが魔術師だと言うことは知らないだろう。
「振り出しに戻る、か」
 だが、すぐには諦められる物では無い。右手に目をやる。おそらく、警備員には見えないが、『天使の力』が『第三の腕』があった部分に集まっていた。
 状況を打開するための手段は思い付いた。しかし、この方法では被害が予測できない。それでも、前に進むためにフィアンマは使うことにする。



(しかし、この服装……学生じゃ無さそうだけどなぁ。それとも、ただ単に珍しい服なのか?)
 警備員(アンチスキル)の笹島は警備ロボットからの通報でここまで駆けつけた。そこには、高校生ぐらいの少年が居た。
 どうやら能力らしき物を使ってこちらを倒そうとしていたので、とりあえずは逮捕した。
 私服を着ている学生というのも学園都市では珍しくは無い。特に今日は休日である。
 だから、とりあえずはどこの学生か、何をしていたのか取調べを行おうと思っていたのだが……
 右腕を見る。腕は無かった。どうやらさっきの奇怪な腕は能力で出したものらしい。
(珍しい能力だなぁ……大能力者〈レベル4〉ぐらいかな?でも、何で右腕が無いんだろうか……)
 なんて事を笹島が考えていると、不意に重圧のようなものを感じた。
 赤髪の少年の右手があった部分に、見えない何かが収束していく。
 そして、

 赤髪の少年を中心に、衝撃波らしき物が巻き起こった。

 それが何だったのか確かめる間も無く、笹島は、近くの壁まで吹き飛ばされ、そのまま意識を失った。



「……やはり、無理はする物では無いな」
 フィアンマは血を口からこぼしながら呟く。『天使の力』の爆発は、フィアンマ自身に最もダメージを与えていた。
 辺りを見回す。どうやら、気絶で済んでくれたようだ。
「『あいつ』は何処か、まずはそこからか」
 フィアンマはその場を立ち去った。

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