『花見日和に何を思う』
「いやーっ! 今日はホントいい天気だよなぁー。桜もバッチリ満開で。ま、さ、に、お花見日和ってやつですかぁー!」
上嬢当子は、両手に持った荷物ごと力いっぱい背伸びをしてこの青天を謳歌する。
しかしそんな上嬢ののん気とも取れる一言に、上条の直後ろを歩いていた一団の影が陽炎のように揺らめいた。
上嬢当子は、両手に持った荷物ごと力いっぱい背伸びをしてこの青天を謳歌する。
しかしそんな上嬢ののん気とも取れる一言に、上条の直後ろを歩いていた一団の影が陽炎のように揺らめいた。
「そんな一言では誤魔化されないんだよ、とうこ」
「むしろ。この状況でもそんなのん気な言葉が出る君が信じられないと思う」
「アンタにはこの始末をこれからきいっちり着けて貰うんだから、判ってるんでしょうねぇ?」
「しかしこの状況はあなたらしくて安心します、とミサカはブッキングに対する憤りと蚊帳の外にならなかった安堵感をない混ぜにしながら言ってみます」
「うっ」
静かだが、それだけに怒りの程が知れる、インデックス、姫神秋沙、御坂美琴、御坂妹の言葉に、上嬢はビクッと首を引っ込めた。
その内、姫神、美琴、御坂妹の3人、プラスむっつりと押し黙っている吹寄制理と、吹寄とは逆に満面の笑みを絶やさない白井黒子の合計5人はそれぞれ思い思いのサイズの風呂敷包みだったり、トートバックなどを持っている。
「むしろ。この状況でもそんなのん気な言葉が出る君が信じられないと思う」
「アンタにはこの始末をこれからきいっちり着けて貰うんだから、判ってるんでしょうねぇ?」
「しかしこの状況はあなたらしくて安心します、とミサカはブッキングに対する憤りと蚊帳の外にならなかった安堵感をない混ぜにしながら言ってみます」
「うっ」
静かだが、それだけに怒りの程が知れる、インデックス、姫神秋沙、御坂美琴、御坂妹の言葉に、上嬢はビクッと首を引っ込めた。
その内、姫神、美琴、御坂妹の3人、プラスむっつりと押し黙っている吹寄制理と、吹寄とは逆に満面の笑みを絶やさない白井黒子の合計5人はそれぞれ思い思いのサイズの風呂敷包みだったり、トートバックなどを持っている。
全ては上嬢とのお花見の為である。
その為に皆張り切って用意して来たのだ。
2人っきりであんな事やこんな事をなどと考えていたのだ。
なのに……。
その為に皆張り切って用意して来たのだ。
2人っきりであんな事やこんな事をなどと考えていたのだ。
なのに……。
(とうことの久しぶりの水入らずのお出かけだと思ったのに……)
(ライバルは吹寄さんだけ。そう思っていたのに)
(上嬢当子、上嬢当子、上嬢当子、上嬢当子、上嬢当……)
(チビシスターと黒子だけかと思ったらコイツはまた手広くやりやがってぇぇぇぇぇええええええええええええ)
(攻略ルーチンの再定義が必要のようです、とミサカはミサカネットワークに協力を求めます)
(うふふふ、皆さんこの程度で一喜一憂していてはまだまだ黒子の敵ではございませんですわ)
(ライバルは吹寄さんだけ。そう思っていたのに)
(上嬢当子、上嬢当子、上嬢当子、上嬢当子、上嬢当……)
(チビシスターと黒子だけかと思ったらコイツはまた手広くやりやがってぇぇぇぇぇええええええええええええ)
(攻略ルーチンの再定義が必要のようです、とミサカはミサカネットワークに協力を求めます)
(うふふふ、皆さんこの程度で一喜一憂していてはまだまだ黒子の敵ではございませんですわ)
「な、何ですか? 何なんですか、その親の敵でも見つけ……、あ、ごめんなさい。マジスイマセン。だからこんな場所で暴力だけは反対ですって、わーいわーい、平和が一番だよねー」
(ああ、何で皆で楽しく遊びましょうってカミジョーさんのナイスアイデアを理解してくれねぇんだろうなぁ。ホント不幸だぁー)
女なのに中々女心が理解できない上嬢であった。
(ああ、何で皆で楽しく遊びましょうってカミジョーさんのナイスアイデアを理解してくれねぇんだろうなぁ。ホント不幸だぁー)
女なのに中々女心が理解できない上嬢であった。
そんな不穏な空気に包まれた上嬢と女性陣の間に、突然白井が割って入ったのはその時であった。
白井は相変わらずの満面の笑みを皆に向けると、
白井は相変わらずの満面の笑みを皆に向けると、
「まあまあ皆さん、その様に上嬢さんをお責めになったらいけませんですわ。上嬢さんにも、きぃーっと何か深いお考えがあった――そうでございますよね、上嬢さん?」
「うわーん、白井ぃー、心の友よぉぉぉおおおお!」
白井の助け舟に感極まった上嬢は、手荷物を地面に置くと白井に抱きついた。
「うわーん、白井ぃー、心の友よぉぉぉおおおお!」
白井の助け舟に感極まった上嬢は、手荷物を地面に置くと白井に抱きついた。
「「「「「「!!」」」」」」
「おおー、よしよし、上嬢さんもぉお大丈夫ですわよぉ、おほほほほ♪」
白井は上嬢に見えない位置で、女性陣(ライバル)に対して勝ち誇ったような、実に悪そうな笑みを見せた。
「おおー、よしよし、上嬢さんもぉお大丈夫ですわよぉ、おほほほほ♪」
白井は上嬢に見えない位置で、女性陣(ライバル)に対して勝ち誇ったような、実に悪そうな笑みを見せた。
(ウフフ、恋愛とは時にはからめ手も必要ですのよ。ちっこいのは別にしまして皆さん年上ですのにまだまだ勉強不そ――)
白井が心の中で勝ち名乗りとも取れる言葉を紡ごうとしたその時だった。
白井が心の中で勝ち名乗りとも取れる言葉を紡ごうとしたその時だった。
「ぐあっ!」
鈍い打突音と上嬢の無様な叫びを残して白井の腕の中に居た上嬢が忽然と消えた。
鈍い打突音と上嬢の無様な叫びを残して白井の腕の中に居た上嬢が忽然と消えた。
「え、あれ?」
白井がキョトンとして自分の腕の中を眺めていると、前方で何かが倒れる音が聞こえた。
皆が音のした方に注目すると、そこには尻餅をついて額を押さえている上嬢の姿があった。
白井がキョトンとして自分の腕の中を眺めていると、前方で何かが倒れる音が聞こえた。
皆が音のした方に注目すると、そこには尻餅をついて額を押さえている上嬢の姿があった。
「いいい、いってぇー!! ふ、吹寄、テメ、カミジョーさんに殺意でもあるんですかっ!!」
上嬢は白井の背後で拳を突き出したままの姿勢を解いた吹寄に食ってかかる。
上嬢は白井の背後で拳を突き出したままの姿勢を解いた吹寄に食ってかかる。
「いい加減にしないか上嬢当子。貴様これ以上騒動を起こして何が楽し――」
そんな上嬢に地の底から響いてくるかのような吹寄の叱責の言葉が――突然途切れる。
上嬢を覗く皆は、まず吹寄に注目。
その吹寄はと言うと、顔を真っ赤にして硬直している。
微妙に震える唇が、何かを見て驚いているのだと言う事を皆に伝えていた。
そんな上嬢に地の底から響いてくるかのような吹寄の叱責の言葉が――突然途切れる。
上嬢を覗く皆は、まず吹寄に注目。
その吹寄はと言うと、顔を真っ赤にして硬直している。
微妙に震える唇が、何かを見て驚いているのだと言う事を皆に伝えていた。
そして、気付いた全員が吹寄の視線の先を追うとそこには!?
「私には同性の下着に劣情を催すようなルーチンはインストールされていない筈ですが、とミサカは興奮を必死で抑えて平静を装います」
御坂妹の言葉の通り、そこには尻餅を付いた上嬢の姿があった。
今日の上嬢の服装は、春を意識して選んだピンクの半袖ニットに、黒のタイトミニ、縞模様のサイハイソックスにローファー。
そのタイトミニがすっかりずり上がってしまって、上嬢にしては些か派手な印象を受ける黒のショーツが露わになっていた。
御坂妹の言葉の通り、そこには尻餅を付いた上嬢の姿があった。
今日の上嬢の服装は、春を意識して選んだピンクの半袖ニットに、黒のタイトミニ、縞模様のサイハイソックスにローファー。
そのタイトミニがすっかりずり上がってしまって、上嬢にしては些か派手な印象を受ける黒のショーツが露わになっていた。
同性とは言え――彼女たちに同性と言う言葉は既に不問だろうか――、目の前にそれなりに好意を持った――あえて控えめに表現しておく――相手が、あられもなく足を広げて秘密の部分を覆う最後の砦をさらけ出している光景。
「と、とうこ!」
「あっ……」
「ア、ア、ア、ア、ア……」
インデックス、姫神、美琴の3人はまともな言葉が出てこない。
そんな中いち早く復帰したのは、最初にその衝撃の場面を目撃した吹寄だった。
彼女は正気に戻ると、直に視線をあらぬ方向に向けると、
「あっ……」
「ア、ア、ア、ア、ア……」
インデックス、姫神、美琴の3人はまともな言葉が出てこない。
そんな中いち早く復帰したのは、最初にその衝撃の場面を目撃した吹寄だった。
彼女は正気に戻ると、直に視線をあらぬ方向に向けると、
「き、貴様っ、は、はや、早く足を閉じるとか立ち上がるとかしなさいっ!!」
「んだよ吹寄、そんな怒ってばっかじゃカミジョーさんどうして言いか判んねえかよー」
「わ、悪かったわね、で、でもそれは、貴様が……、って上嬢当子っ、下着が見えてるのが判らないの!!」
チラッと視線を戻した吹寄は、状況が好転していないのを確認すると、叫ぶように上嬢にその事を指摘した。
「んだよ吹寄、そんな怒ってばっかじゃカミジョーさんどうして言いか判んねえかよー」
「わ、悪かったわね、で、でもそれは、貴様が……、って上嬢当子っ、下着が見えてるのが判らないの!!」
チラッと視線を戻した吹寄は、状況が好転していないのを確認すると、叫ぶように上嬢にその事を指摘した。
「あ? う、うわっ、こりゃ失敬」
やっと吹寄の言いたい事が判った上嬢は慌てて足を閉じるとスカートを一生懸命に戻した。
そして上嬢はよいしょっと立ち上がった所で、ふと今の騒ぎの爆心地に最も近かった白井が一言も発さずに硬直しているのを見つけた。
やっと吹寄の言いたい事が判った上嬢は慌てて足を閉じるとスカートを一生懸命に戻した。
そして上嬢はよいしょっと立ち上がった所で、ふと今の騒ぎの爆心地に最も近かった白井が一言も発さずに硬直しているのを見つけた。
「おーい、し、ら、い。大丈夫かー?」
上嬢は白井の肩を掴んでゆっくりと揺すりながら呼びかけて見た。すると、
上嬢は白井の肩を掴んでゆっくりと揺すりながら呼びかけて見た。すると、
「そ、その下着はまさか……?」
呆然としたままの白井の一言に瞬間「?」といぶかしげな表情を見せた上嬢だったが、直に合点がいった様子でひとつポンと掌を拳で叩いた。
呆然としたままの白井の一言に瞬間「?」といぶかしげな表情を見せた上嬢だったが、直に合点がいった様子でひとつポンと掌を拳で叩いた。
「そそ。この間白井に貰ったやつな。今日はいい天気だし折角だから初めておろして見たんだけど――」
「黒子ぉー、ア、アンタ、アイツに一体なに贈ってんのよ!?」
上嬢の衝撃の告白に美琴が爆発して吠え立てる。
ところがそんな美琴を無視して、白井は上嬢の言葉に耳を傾ける。
「黒子ぉー、ア、アンタ、アイツに一体なに贈ってんのよ!?」
上嬢の衝撃の告白に美琴が爆発して吠え立てる。
ところがそんな美琴を無視して、白井は上嬢の言葉に耳を傾ける。
「な、何か問題でもございましたですの?」
「こけなきゃいいんだろうけどさぁー」
白井に答えるように上嬢は白井に背を向けると――惜しげもなくスカートをめくりあげた。
スカートの中から現れたのはショーツに包まれたお尻――ではなく、少し赤くなった生尻であった。
どうやら白井が贈ったショーツは、いわゆる『Tバック』だったらしい。
「こけなきゃいいんだろうけどさぁー」
白井に答えるように上嬢は白井に背を向けると――惜しげもなくスカートをめくりあげた。
スカートの中から現れたのはショーツに包まれたお尻――ではなく、少し赤くなった生尻であった。
どうやら白井が贈ったショーツは、いわゆる『Tバック』だったらしい。
「見ろよ白井、さっきのでケツが擦れちまったぜ。やっぱこういうのはもう少し大人になってからじゃないとだめだなぁ」
上嬢は、小ぶりなお尻を突き出しながら、しみじみとそんな事を白井に語る。
上嬢は、小ぶりなお尻を突き出しながら、しみじみとそんな事を白井に語る。
所で外野の面子一同はと言うと、
「お尻」
「ええ、お尻ね」
と相槌を打ち合う姫神と吹寄と、
「ええ、お尻ね」
と相槌を打ち合う姫神と吹寄と、
「見事にむき出しですね、とミサ……ぅぅ……はわ血圧上昇により鼻血がでました」
と表面上はいつもと変わらず、鼻をハンカチで押さえる御坂妹。
と表面上はいつもと変わらず、鼻をハンカチで押さえる御坂妹。
「と、とうこぉー! 何でそういうのをまず私に見せないの! そういう秘密主義なところかなり嫌かも!」
そして上嬢の真正面に回りこんできたインデックスは凄まじい剣幕で捲くし立てる。
そして上嬢の真正面に回りこんできたインデックスは凄まじい剣幕で捲くし立てる。
「うふ」
突然白井の不穏な気配を察知した美琴は硬直から溶けると臨戦態勢をとる。
そして次の瞬間――
突然白井の不穏な気配を察知した美琴は硬直から溶けると臨戦態勢をとる。
そして次の瞬間――
「うふふふわはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」
「ひへ? く、黒子さん?」
(やば、黒子がキレた……)
白井の突然の高笑いに、皆は我に帰っていっせいに白井から一歩遠のいた。
「ひへ? く、黒子さん?」
(やば、黒子がキレた……)
白井の突然の高笑いに、皆は我に帰っていっせいに白井から一歩遠のいた。
「来た来た来たァぁぁぁぁああああああああああ!! ついにわたくしの時代到来ですわ!!」
「な、何、何が到来なんだ?」
「わたくしの贈ったショーツを身につけたと言うことは、即ちわたくしの愛を受け取ったも同じ事。と言う事は――」
全員の目の前から白井が姿を消す。そして次に白井が姿を現したのは――
「な、何、何が到来なんだ?」
「わたくしの贈ったショーツを身につけたと言うことは、即ちわたくしの愛を受け取ったも同じ事。と言う事は――」
全員の目の前から白井が姿を消す。そして次に白井が姿を現したのは――
「この可愛いお尻もわたくしのものぉほほふふふへへへははあああああああ……」
「ひえっ!!」
上嬢の背後にテレポートした白井は、怪しい笑い声と共に上嬢のタイトミニの上から上嬢の尻を鷲掴みにした。
一同騒然とする中一つの影が動いたのはその時だった。
「ひえっ!!」
上嬢の背後にテレポートした白井は、怪しい笑い声と共に上嬢のタイトミニの上から上嬢の尻を鷲掴みにした。
一同騒然とする中一つの影が動いたのはその時だった。
(ごめん黒子っ!)
「ぴぎゃ!?」
バリっと乾いた音が響き渡ると、白井が力なく膝を折った。
そのまま地面に倒れてしまうかと思われた白井だったが、そこは美琴が優しく抱きとめた。
「ぴぎゃ!?」
バリっと乾いた音が響き渡ると、白井が力なく膝を折った。
そのまま地面に倒れてしまうかと思われた白井だったが、そこは美琴が優しく抱きとめた。
「サ、サンキュー御坂。で、白井はどうしたんだ?」
「そ、それはアンタがおし、おし、ぉ……何でもないわよ。何時もの発作でしょ」
何時になく歯切れの悪い美琴の返事に上嬢は違和感を感じがそれ以上は追求せず、美琴の腕の中で目を回している白井を気遣って頭を撫でたりしている。
「そ、それはアンタがおし、おし、ぉ……何でもないわよ。何時もの発作でしょ」
何時になく歯切れの悪い美琴の返事に上嬢は違和感を感じがそれ以上は追求せず、美琴の腕の中で目を回している白井を気遣って頭を撫でたりしている。
(黒子には後でコイツにどうやってあんな物を渡したのか問いただすとして、とりあえずグッジョブ!)
何だかんだで歪んだお年頃の美琴であった。
何だかんだで歪んだお年頃の美琴であった。