~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
わたわたと両腕を振って取り乱す上嬢の隣に、すすっと御坂妹が移動して来た。
御坂妹は上嬢の服をちょいちょいと引っ張って上嬢の注意をこちらに向けさせると、両手で弁当箱を持ち上げて見せた。
御坂妹は上嬢の服をちょいちょいと引っ張って上嬢の注意をこちらに向けさせると、両手で弁当箱を持ち上げて見せた。
「次は私の番ですね、とミサカは自信作の玉子焼きをチョイスします」
「ん、ただの玉子焼きじゃねーな? 一体何が入ってんだ?」
目の前に出された玉子焼きの断面を凝視しながら上嬢は見た目の感想を述べた。
「ん、ただの玉子焼きじゃねーな? 一体何が入ってんだ?」
目の前に出された玉子焼きの断面を凝視しながら上嬢は見た目の感想を述べた。
「全ては食べてみれば判ります、とミサカはあなたの口元に玉子焼きを運びながら「あーん」と言ってみます」
そう言って、御坂妹は箸で持った玉子焼きを上嬢の鼻先に持ち上げて見せると、表情はそのままながらかわいらしく小首を傾げて見せた。
そう言って、御坂妹は箸で持った玉子焼きを上嬢の鼻先に持ち上げて見せると、表情はそのままながらかわいらしく小首を傾げて見せた。
「御坂妹よ、お前もか? もぅ……。ほら、あぁー……」
もうこの状況に半ば諦め気分の上嬢は半ばやけくそ気味に大きく口をあけると、御坂妹はそこにそっと玉子焼きを運んだ。
御坂妹は、玉子焼きが上嬢の口の中に吸い込まれてゆく様を見て少し頬を染めた。
その口元には満足そうな笑みが浮かぶ。
ところが、玉子焼きが全部上嬢の口の中に消えてしまうと、御坂妹が目を丸くして「あっ」と小さく声をあげる。
もうこの状況に半ば諦め気分の上嬢は半ばやけくそ気味に大きく口をあけると、御坂妹はそこにそっと玉子焼きを運んだ。
御坂妹は、玉子焼きが上嬢の口の中に吸い込まれてゆく様を見て少し頬を染めた。
その口元には満足そうな笑みが浮かぶ。
ところが、玉子焼きが全部上嬢の口の中に消えてしまうと、御坂妹が目を丸くして「あっ」と小さく声をあげる。
そんな事などお構い無しに玉子焼きを堪能した上嬢は満足そうに口の中のものを飲み込む。
「んく、んく、んん……、これはツナと……パセリか?」
上嬢は玉子焼きを食べ終わって、材料を聞いてみるつもりだったのだ。ところが、
上嬢は玉子焼きを食べ終わって、材料を聞いてみるつもりだったのだ。ところが、
「あれ、御坂妹……おーい」
「私の食べる分がありません、とミサカはチョイスしたおかずの失敗に茫然自失です」
御坂妹は上嬢との間接キスのチャンスを逃して呆然としていた。
がっくりと落ちた肩がそのショックを物語っている。
「私の食べる分がありません、とミサカはチョイスしたおかずの失敗に茫然自失です」
御坂妹は上嬢との間接キスのチャンスを逃して呆然としていた。
がっくりと落ちた肩がそのショックを物語っている。
そんな様子を見て吹寄は少し御坂妹の事が可愛そうに思えたが、ここは弱肉強食の女の戦場、そんな甘い気持ちを両頬を叩いて吹き飛ばす。
(いょし、行くわよ制理!)
その気合と共にぐいっと、上嬢を自分の方に向きなおさせた吹寄は、
その気合と共にぐいっと、上嬢を自分の方に向きなおさせた吹寄は、
「次は私よ上嬢当子!」
「ふ、吹寄、何だその気合の入りようは?」
「そ、そんな事はどうでもいいのよ。貴様はさっさとこの中から食べたいものを選ぶ!」
吹寄は、上嬢の目の前に勢い良くバスケットケースを差し出した。
そんな吹寄の気合に、とっとおされぎみになる上嬢。
「ふ、吹寄、何だその気合の入りようは?」
「そ、そんな事はどうでもいいのよ。貴様はさっさとこの中から食べたいものを選ぶ!」
吹寄は、上嬢の目の前に勢い良くバスケットケースを差し出した。
そんな吹寄の気合に、とっとおされぎみになる上嬢。
「んだよ、おっかねえなぁ吹寄は……で、どれどれ。うわっ、色々あんじゃん」
そこには色とりどりの具材を挟んだサンドイッチがずらっと並んでいる。
そこには色とりどりの具材を挟んだサンドイッチがずらっと並んでいる。
「これがツナとキュウリ、でこれがハムとチェダーチーズとピクルス、これがタマゴ、これは蒸しチキンとレタス、で最後にこれが豚カツサンド」
「うっわぁー」
吹寄の息を付かせぬ説明の嵐に、上嬢は宝石箱の中身でも覗き込むように目を輝かせる。
上嬢当子、彼女は基本的に食べることが大好きなお年頃なのだ。
「うっわぁー」
吹寄の息を付かせぬ説明の嵐に、上嬢は宝石箱の中身でも覗き込むように目を輝かせる。
上嬢当子、彼女は基本的に食べることが大好きなお年頃なのだ。
「あたしのお奨めはハムかしらね」
「じゃ、それを――っておい!」
では早速とばかりにサンドイッチに手を伸ばそうとした上嬢の前からバスケットケースが消えた。
期待していただけに憤慨した上嬢は、顔を上げて吹寄に食って掛かろうとした。
ところが、吹寄が機先を制すように上嬢の鼻先に人差し指を突きつけたので、自然と上嬢は体をそらせて動きを止める。
そこに追い討ちとばかりに吹寄の檄が飛ぶ。
「じゃ、それを――っておい!」
では早速とばかりにサンドイッチに手を伸ばそうとした上嬢の前からバスケットケースが消えた。
期待していただけに憤慨した上嬢は、顔を上げて吹寄に食って掛かろうとした。
ところが、吹寄が機先を制すように上嬢の鼻先に人差し指を突きつけたので、自然と上嬢は体をそらせて動きを止める。
そこに追い討ちとばかりに吹寄の檄が飛ぶ。
「た、食べさせてやるから貴様は口を開けて待ってなさい!」
「いやぁ……、何も指を指さなくても」
上嬢は、顔を真っ赤にして上ずりながら喋る吹寄の姿にちょっと引き気味に答えるが、テンションの上がった吹寄には通じない。
上嬢が所望したハムサンドを構えた吹寄は、
「いやぁ……、何も指を指さなくても」
上嬢は、顔を真っ赤にして上ずりながら喋る吹寄の姿にちょっと引き気味に答えるが、テンションの上がった吹寄には通じない。
上嬢が所望したハムサンドを構えた吹寄は、
「き、貴様はつべこべ言わない! さ、あ、あーん」
「んだよもうっ、あぁー……!!」
既に定番となって来たフレーズに、上嬢はまた大きな声を上げてぱっくりと口を開いた。
そこに吹寄が震える手でサンドイッチを運んでやり、「ほら、しっかり噛む!」の合図で半ばからかじり取る。
吹寄の命令口調にちょっと不機嫌そうに咀嚼していた上嬢だったが、急に目をカッと見開くとガバッと吹寄の両肩を掴んだ。
急な上嬢の動きに吹寄は、こっそりと口に含んだ上嬢の食べかけのサンドイッチをマッハの速度で口の中に押し込む。
そんな事はお構い無しの上嬢は、
「んだよもうっ、あぁー……!!」
既に定番となって来たフレーズに、上嬢はまた大きな声を上げてぱっくりと口を開いた。
そこに吹寄が震える手でサンドイッチを運んでやり、「ほら、しっかり噛む!」の合図で半ばからかじり取る。
吹寄の命令口調にちょっと不機嫌そうに咀嚼していた上嬢だったが、急に目をカッと見開くとガバッと吹寄の両肩を掴んだ。
急な上嬢の動きに吹寄は、こっそりと口に含んだ上嬢の食べかけのサンドイッチをマッハの速度で口の中に押し込む。
そんな事はお構い無しの上嬢は、
「んぐんぐんぐっ!? 美味い!! このハムとチーズのハーモニーとかピクルスの酸味がアクセントだとか……、と、とにかく……、結婚してくれ吹寄!!」
上嬢の突拍子も無い告白に場の空気が凍りつく。
特に爆心地の中心でもあり、標的にされた吹寄は堪ったものではなかった。
上嬢の突拍子も無い告白に場の空気が凍りつく。
特に爆心地の中心でもあり、標的にされた吹寄は堪ったものではなかった。
「ふ、ふぉえ!? う……くぅっ!」
吹寄は、驚きのあまりサンドイッチを喉に詰まらせてしまったのだ。
そんな事が起きているとは知らない上嬢は、急ににこっと笑顔を作ると、
吹寄は、驚きのあまりサンドイッチを喉に詰まらせてしまったのだ。
そんな事が起きているとは知らない上嬢は、急ににこっと笑顔を作ると、
「なーんてなー、ははは……って、オイどうした吹寄?」
先程の衝撃の告白を笑いに変えようとしたのだが、ふと吹寄の様子に気が付いてキョトンとする。
対する吹寄は死地から帰還した安堵も覚めやらぬまま上嬢に食って掛かる。
先程の衝撃の告白を笑いに変えようとしたのだが、ふと吹寄の様子に気が付いてキョトンとする。
対する吹寄は死地から帰還した安堵も覚めやらぬまま上嬢に食って掛かる。
「ぐはっ! はぁー……。き、貴様はあたしを殺す気なの!?」
「どわっ!? じょ、冗談、冗談だって吹寄。ス、スマン。悪かったってばー」
慌ててその場を取り繕おうとする上嬢に、些か毒気を抜かれた吹寄は大きく一つため息をついて、
「どわっ!? じょ、冗談、冗談だって吹寄。ス、スマン。悪かったってばー」
慌ててその場を取り繕おうとする上嬢に、些か毒気を抜かれた吹寄は大きく一つため息をついて、
「ふーっ。上嬢、貴様は何でそう言う事を臆面も無く言うのよ……」
「あはははははは、面目次第もございません」
頬を赤く染めて俯く恋する乙女の吹寄にも笑顔でスルーする上嬢であった。
「あはははははは、面目次第もございません」
頬を赤く染めて俯く恋する乙女の吹寄にも笑顔でスルーする上嬢であった。
そんな上嬢の袖がまたちょいちょいと引っ張られる。
そちらの方に上嬢が振り向くと、そこには次は私の出番とばかりに弁当箱を持ち上げた姫神が居た。
そちらの方に上嬢が振り向くと、そこには次は私の出番とばかりに弁当箱を持ち上げた姫神が居た。
「何でしょうか、姫神さん?」
「次は私」
「お? おお……」
上嬢は順番と言われて、姫神の持つ弁当箱の中を覗き込んだ。
そこには慎ましくも鮮やかな純和風の料理が並んでいる。
ひとつ洋風のフライが混じっているがこれはご愛嬌といったところだろうか。
「次は私」
「お? おお……」
上嬢は順番と言われて、姫神の持つ弁当箱の中を覗き込んだ。
そこには慎ましくも鮮やかな純和風の料理が並んでいる。
ひとつ洋風のフライが混じっているがこれはご愛嬌といったところだろうか。
「おおっ!? こ、これはまた姫神らしいと言いますかセオリー通りといいますか……」
目を輝かせて言う上嬢の一言に姫神の片眉がぴくりとあがる。
目を輝かせて言う上嬢の一言に姫神の片眉がぴくりとあがる。
「君は。いちいち引っかかる事を言うのね」
「え? 何か言ったか姫神」
「何も。それよりお弁当。私のお奨めはこれ。おからコロッケ」
「おからコロッケ……。そりゃまた何とも地味なものを」
珍しく上嬢がちょっとガッカリした顔をしながら言った言葉に、に姫神の片眉がぴくぴくっと動いた。
「え? 何か言ったか姫神」
「何も。それよりお弁当。私のお奨めはこれ。おからコロッケ」
「おからコロッケ……。そりゃまた何とも地味なものを」
珍しく上嬢がちょっとガッカリした顔をしながら言った言葉に、に姫神の片眉がぴくぴくっと動いた。
「それは。もしかして。私への当て付け?」
「へ? い、いやぁ……、そんな事ございませんですの事よ……。ほらほら、あー……」
分が悪いことを誤魔化すように上嬢は自ら口をあける。
「へ? い、いやぁ……、そんな事ございませんですの事よ……。ほらほら、あー……」
分が悪いことを誤魔化すように上嬢は自ら口をあける。
「ムッ。またそうやって誤魔化す」
そんな上嬢に不満を感じるものの、ここで食べさせないと次には進まない事は姫神自身が一番良く判っている。
そんな上嬢に不満を感じるものの、ここで食べさせないと次には進まない事は姫神自身が一番良く判っている。
「ちょっと悔しいけど。あーん」
上嬢の口におからコロッケが運ばれる。
上嬢はそれを半分ほど噛み千切ると、味わうようにゆっくりと口を動かした。
上嬢の口におからコロッケが運ばれる。
上嬢はそれを半分ほど噛み千切ると、味わうようにゆっくりと口を動かした。
「んぐんぐんぐ……んくっ。え、何このさっぱり感!? 揚げ物じゃねーみたい……?」
「フライパンに薄く油を引いて焼くの。だから油っぽくならない」
「ほえー、体の事にも気遣ってるんだな……まるでお母さんみたいだな姫神」
上嬢の一言に、姫神が斜めになってしまう。
その顔にも心なしか陰影が深いように感じられた。
「フライパンに薄く油を引いて焼くの。だから油っぽくならない」
「ほえー、体の事にも気遣ってるんだな……まるでお母さんみたいだな姫神」
上嬢の一言に、姫神が斜めになってしまう。
その顔にも心なしか陰影が深いように感じられた。
「あれ、気に入らなかったか? カミジョーさんこれでも誉めたつもりなんですけど」
「いい。期待した私が馬鹿だった。んー……。あむっ」
姫神は上嬢への怒りをぶつけるかのように、上嬢の食べかけのコロッケにかぶりついた。
「いい。期待した私が馬鹿だった。んー……。あむっ」
姫神は上嬢への怒りをぶつけるかのように、上嬢の食べかけのコロッケにかぶりついた。
「さーて、これで一巡した訳だ。インデックス? まだ私のお弁当残って……」
上嬢が振り返ると、インデックスは慌ててそっぽを向いた。
上嬢が振り返ると、インデックスは慌ててそっぽを向いた。
「どうした、インデックス?」
「どうもしないんだよとうこ。私はこうしてとうこが作ったお弁当を食べてるんだよ。だから邪魔しないで欲しいかも!」
そう言うと、またプイと向こうを向いて箸にさした大きなおにぎりにかじりついた。
「どうもしないんだよとうこ。私はこうしてとうこが作ったお弁当を食べてるんだよ。だから邪魔しないで欲しいかも!」
そう言うと、またプイと向こうを向いて箸にさした大きなおにぎりにかじりついた。
(何だしょーがねーなーインデックスは。ここはカミジョーさんが)
「ほらインデックス。ほっぺたにご飯付いてんぞ」
「え? 取ってよとうこ」
そう言ってインデックスは頬を上嬢の方に差し出した。
「ほらインデックス。ほっぺたにご飯付いてんぞ」
「え? 取ってよとうこ」
そう言ってインデックスは頬を上嬢の方に差し出した。
「んだ、ほら。じゃ、ちょっとこっち」
上嬢は、そう言うと、インデックスの肩に手を置いて――――頬に付いたご飯粒をぺろっと舐め取った。
上嬢は、そう言うと、インデックスの肩に手を置いて――――頬に付いたご飯粒をぺろっと舐め取った。
「きゃ」
「取れたぞ」
小さく悲鳴を上げたインデックスに、上嬢はにっこり笑ってそう告げた。
そんな上嬢に、インデックスは顔を真っ赤にしながら、
「取れたぞ」
小さく悲鳴を上げたインデックスに、上嬢はにっこり笑ってそう告げた。
そんな上嬢に、インデックスは顔を真っ赤にしながら、
「ちょ、ちょっと人前じゃはずかしいかも……」
と恥ずかしさと嬉しさをない交ぜにしたような顔で俯いた。
と恥ずかしさと嬉しさをない交ぜにしたような顔で俯いた。
ところで、そんな和やかラブラブな雰囲気の外では、今の今まで頑張っていた女の子たちのアイデンティティがガラガラと音を立てて崩れていた。
いや、1人だけは違っていた。
彼女、御坂妹はすぐさまルーチンの再定義を行うと、自身の頬にご飯粒をつけて上嬢に突撃した。
いや、1人だけは違っていた。
彼女、御坂妹はすぐさまルーチンの再定義を行うと、自身の頬にご飯粒をつけて上嬢に突撃した。
「あ、あの、お願いがあるのですが、とミサカは勇気を振り絞ってあなたに話しかけます」
「え、何? てか、御坂妹。お前、頬にご飯付いてるぞ」
「と、取っていただけますか? とミサカは頬を差し出してお願いします」
上嬢は御坂妹の願いに答えようと、御坂妹の頬に手を伸ばす。しかし、
「え、何? てか、御坂妹。お前、頬にご飯付いてるぞ」
「と、取っていただけますか? とミサカは頬を差し出してお願いします」
上嬢は御坂妹の願いに答えようと、御坂妹の頬に手を伸ばす。しかし、
「あの……」
「ん?」
御坂妹が消え入りそうな声を出したので、上嬢の手が止まる。
「ん?」
御坂妹が消え入りそうな声を出したので、上嬢の手が止まる。
「か、彼女と同じようにして欲しいのですが、とミサカは白い修道服の彼女を指差します」
「へ? ま、いいけど」
一瞬キョトンとした上嬢だったが、何だか良く判らないなりに快諾すると、御坂妹の頬に唇を寄せた。
上嬢が頬をペロッと舐めた瞬間、御坂妹の肩が震えた。
「へ? ま、いいけど」
一瞬キョトンとした上嬢だったが、何だか良く判らないなりに快諾すると、御坂妹の頬に唇を寄せた。
上嬢が頬をペロッと舐めた瞬間、御坂妹の肩が震えた。
「ん。ほら、取ったぞ。で、お願いって御坂妹?」
上嬢は御坂妹から顔を一度離すと、御坂妹の顔を覗き込みながら話しかけた。
ところが、御坂妹はと言うと、
上嬢は御坂妹から顔を一度離すと、御坂妹の顔を覗き込みながら話しかけた。
ところが、御坂妹はと言うと、
「あ、あの、だ、大丈夫です、とミ、ミサ、ミサカはく、口も衝撃的でしたが、その、ほ、頬もいいものですね、とミ、ミサカは……」
と消え入りそうな声で何かごにょごにょ言うと、上嬢から離れていってしまった。
と消え入りそうな声で何かごにょごにょ言うと、上嬢から離れていってしまった。
「変な御坂いもうひょ!?」
今日の上嬢は本当に色々な意味でひっぱりだこである。
ぐるんと向きを変えられた上嬢の前には、満面の笑みを湛えた吹寄と、何故か不敵な笑みを口の端に浮かべた姫神が居た。
今日の上嬢は本当に色々な意味でひっぱりだこである。
ぐるんと向きを変えられた上嬢の前には、満面の笑みを湛えた吹寄と、何故か不敵な笑みを口の端に浮かべた姫神が居た。
「上嬢当子」
「上嬢さん」
「ひ、ひゃいぃ! 何でございましょうか? 吹寄さん。姫神さん」
2人の只ならぬ雰囲気に上嬢は震え上がる。
「上嬢さん」
「ひ、ひゃいぃ! 何でございましょうか? 吹寄さん。姫神さん」
2人の只ならぬ雰囲気に上嬢は震え上がる。
「あたしたちの頬にも何故かご飯粒が付いてるのよ」
「それで。是非君に。取って欲しいのだけど。いい?」
あまりの気迫に思わず辺りに助けを求めようとした上嬢だったが、右を見ても左を見ても居るのは夢見る乙女ばかり。
「それで。是非君に。取って欲しいのだけど。いい?」
あまりの気迫に思わず辺りに助けを求めようとした上嬢だったが、右を見ても左を見ても居るのは夢見る乙女ばかり。
「「取るの? 取らないの?」」
「ひっ!? や、やらせていただきます! やらせていただきますともおぜう様方ぁ!!」
そう言うと上嬢は鬼気迫る2人の頬に震える唇を近づけるのだった。
「ひっ!? や、やらせていただきます! やらせていただきますともおぜう様方ぁ!!」
そう言うと上嬢は鬼気迫る2人の頬に震える唇を近づけるのだった。