狼道士先生 - ここだけ異能のある世界ウィキ

プロフィール

名前：迅狼珠　睡蓮（じんろうしゅ　すいれん）
身長：172cm
種族：道士のエネミー(自称)
所属：いのきゃん

概要

いのきゃんで畜産科の副担任をやってるエネミー。元が動物のエネミーなので家畜と話して体調を調べたりブラッシングをしてお世話したりしている。
結構チョロくからかうと顔が赤くなる。そして嘘を嘘と見抜けないポンコツ。
鼻がよく効くので美味しい料理に敏感だが猫舌。熱いものは食べれないのでふーふーして冷ましてから食べる。耳や尻尾は親しい人にしか触らせない。

過去

...

僵尸のエネミー

元は人間や家畜を襲って被害を出していた凶暴な野生の狼。あまりにも悪さが過ぎたので討伐され僵尸として使役されたのが始まり。
長い間人間の支配下に置かれていたが、時間を経つと御札が擦り切れ自由になり、現在は人の様になりたいと言語や常識、道徳を学び先生になれるほどに成長した。
とある人 から人化の術を手に入れたが戻り方を忘れたので人になってから元の姿に戻れてない。でも本狼は満足そう。

...

「私の昔話？いいよー教えてあげる！」
「その代わり、どんなに内容でもつまんなかった…なんて言わないでね。あんまり話すの得意じゃないんだから！」

「昔、私はあんまり人が好きじゃなくてね…親が狩られちゃったんだ。当時は狼の毛皮が流行だったらしいからそのせいかな？」
「……弟がいたんだ。まだちっちゃくて可愛くて…沢山可愛がってあげたんだよ。母乳はあげてあげられないけど、その代わりに沢山お肉を取ってきたの。たっくさん食べてる姿を見て、「将来は私より大きくなるのかな」「きっと私よりも強くなるんだろうな」って見守るのが楽しかったなあ…」
「でもね。死んじゃった」
「私が狩られた日にね、人達に巣を見つけられたんだ。あの人達は待ち伏せするつもりだったんだろうね。巣には私がいなかった。弟一匹だけじゃ村人にだって勝てないよ」
「いつも通り獲物を狩って巣に運んで、人に襲われて…弟が死んだのに気付いたのは私が死ぬ直前。せめて顔だけでも、って思ったらあったのは濁った目だけだったの」

「次に目覚めたのは僵尸になった後。まあ死んじゃったんだから当たり前だよねー」
「びっくりしたの、よく覚えてる…夢でも見てるのかな？ってふわふわした気持ちで沢山荷物を運んだりしたよ。夜は首輪を繋がれて藁の上で寝て、お昼は鞭で叩かれながら働くの！毛皮のお陰で痛くは無かったけど…あの時はずっとぼーっとしてたからあんまり覚えてないな」
「起きて、働いて、寝れないから夜を見上げて。せめて怒鳴られたくはないから翌日は頑張って」
「単調で飽きそうな毎日でも、それしかやる事が無いのなら案外長く続くの。知ってた？」

「御札がボロボロになった後、ようやくはっとして鏡を見たんだ。そこにはもう文字も読めない御札と、それにお似合いの随分ボロボロになった私。どっちも色褪せて水簿らしくてね…ふふ、恥ずかしいな」
「御札は私が自分から外さないようにって術が掛けてあったんだ。でも札がボロボロになってたせいでそれも壊れてたの！凄い奇跡だよね」
「最初はね、そのまま飼い殺しになろうとしてたよ。私はもう死んでるもん。何処かに行ったって生きてる意味がないって…弟にも申し訳が立たないしね」
「でもね。お墓を見つけたんだ」
「私の弟のお墓。何十年経ったって忘れない匂いが土の下から漂ってたからすぐに分かった！中身はないけど私のお墓も隣にあったね。ちゃんと弔われてた。優しい人はいたんだなって、その時ようやく思ったよ」
「だから私、そうなりたいって思ったの。優しい人になりたいって。ただの憧れだけど…でも泥沼に沈んでた気持ちが引き上げられた気分だった」

「それから沢山頑張ったよ」
「人の普通を学んでいつも通りを学んで常識を学んで道德を学んで…」
「それでようやく人にもなれた。戻り方は忘れちゃったけど…それでもいいかなって思ってるの。一人前になるまで狼でいるのは辞め」
「毎日良い事をして、また弟に会えたら沢山自慢話をしてあげるんだ！」

「思ったより長くなっちゃったね…お話は終わり！満足したかな？」
「またね！」

...

黄泉返り、泥に浮かんだ睡蓮は　幼きを思ひて終の禊へ

どうしようもない私はもう終わり！ちゃんと沢山徳を積んで、あの子を極楽浄土へ連れて行くんだ。
しっかり頑張った。大丈夫。仏様はきっと見てくれている。
今度は側にいるよ。守るよ。大好きだよ。私の、私の可愛い弟。何よりも純真で無垢だったもう返らない子。

…ああ…君の名前は何だったっけ、なあ……