新年、それはどちらの世界にとっても一大イベントである。
ここ
ラ・ムールでも非常に大きなイベントが行われるのだ。
夜明け前ラ・ムールの某所、ここには多くの猫人だけでなくその他の国の種族が入り交じって集まっている。
なぜか?
それは元日には太陽神ラーが、御自ら太陽を掲げて初日の出と太陽の運行を行う日だからである。
そう、彼らは普段はめったに見られない絶大な人気を誇る太陽神がノコノコとこの世界に顕現するためにみな一年に一度、この太陽がよく見える場所へと集まっているのだ。
彼らはこの日のために非常にお金をかける。
それは彼らの姿や持ち物を見てもよく分かるだろう。
例えば、ラ・ムール人は奴隷兵や傭兵をよく使うためにめったに見られない正式な国民の戦装束、
スラヴィア人は最近できたばかりの太陽の光を防ぐきぐるみ型防護服を着ていたり、珍しい精霊を宿らせた武具や
新天地から輸入した地球製のバルカンやロケットランチャー、機関銃など高価で普段はなかなか見られない兵器が偉大なる太陽神を迎えるために勢ぞろいしている。
「えーおせんにキャラメル、.50BMG はいかがですかぁ?」「おい、姉ちゃんこっちにあるだけよこせ」
「今年の指揮役は冥界のワニと恐れられてるニャハブ将軍がやるらしいぜ」「今年はラ・ムールも本気ね」
「おい、弾丸はちゃんとよっておいたか?」「ああ、任せろ選別の上に精霊の加護付きだ…不発なんか出させねえぜ」
集まったみなも楽しげに太陽神の登場を今か今かと待ち受けている。
しばらくすると、ざわざわと騒ぐみなの前に立派なひげを生やし耳が欠け隻眼の厳つい猫人の男が立ち右手を上げる。
すると全ての人は押し黙り、指揮役のその将軍ニャハブのごつい右手を見つめソレを待った。
ジリジリと焼けつくような雰囲気の中で時間が過ぎる。だんだんと東の空が明るくなってきた。
と、突然ニャハブが左手を西の空へと向けた。
遙か西の空からこちらがわかるほどの大きな精霊を使った花火が上がったのだ。
「西だ!!!砲を回せ!あのクソ野郎がまたフェイント使いやがったぞ!!」
騒然とする群集、みなが獲物を西の空へ急いで向けると巨大なソレはもう地平線から顔を出していた。
「…うむ、愛しき地上のヒトたちよ。達者であったか?新年あけましておめでとう。今年も宜しくな」
太陽神ラーが平然と太陽を掲げて顔を出していた。
そしてその言葉が終わるか終わらないかの内にみなが西に回頭したことを確認した将軍の右手が振り下ろされる。
「OPEN FIRE !!OPEN FIRE!!!!」
同時に凄まじい数の槍や矢や斬撃、刺突、打撃、銃弾、砲弾、ロケットなどが賄賂を送られ舞踏隊などの精霊術師達にノセられた精霊達によって射程と威力を大幅に拡大されて偉大なる太陽神のにこやかな顔面に激しく叩きつけられ、それと同時に
「DAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAIIIII!!!!」
「死ね!クソ祟り神がーーーー!!!毎日のように意味の分からん災厄を呼び込みやがってぇぇぇぇえええ!!!!」「国民でもねえのに通りがかっただけでうちの船沈めやがって!!あの世で俺にWABITUDUKEROOOOOOOO!!!!」「何が今年も宜しくだ!!てめえのせいで俺がどんな悲惨な状況になったと思ってやがる!!??てめえに今年なんかねぇんだよ!!!この世から永久に消え去れクソ間抜けがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
太陽神様の朗らかな新年の挨拶に対してみな思い思いの心を込めた新年のあいさつをぶつける。
「はっはっは!地上の民草は今日も元気なようだ…早速その有り余る元気を今年始めの試練に使ってもらおうかな?」
あまりに圧倒的な質量の攻撃に対して神バリヤーが破られて体にかなりの攻撃を受けながらも太陽神は余裕そうにそうお言葉をおっしゃった。
「クソ!!これだけ叩き込んで効いてねえのか!?」
みなが絶望の表情を浮かべる。
しかし
「はっはっは…では、まず……ごぶぁ!?」
轟音とともに飛来した大量の戦車砲弾とミサイルによって神の口が塞がれる。
「諦めてはいけません!!!」
後方から部品として密輸入し組立て終わったばかりの戦車やミサイル、自走砲の部隊がエンジン音を轟かせながらこちらへ爆進してきていたのだ!
しかもそのラ・ムールの聖猫旗を付けた戦車の上には前王の息女であらせられるネネ様が乗り指揮をとっている。同時に
「貴様ら!!王女殿下が来て下さったぞ!!!ケツの穴を締めろ!!!!!舞踏隊!精霊の加護をもっと強めろ!!新兵共、狙いは全て奴の馬鹿でかい間抜け面だ!!!火力を集中して奴の防御を突破する!!!奴の口からクソを垂れ流させるな!!!!」
将軍が重機関銃をぶん回しながら激と指示を飛ばし、皆の士気を上げる。
「王女殿下と近衛兵達が来てくれたぞ!!!勝利は我等が手に!!!」「あの腐れ間抜けをぶっつぶせーーー!!!!」「王女殿下と将軍に続けぇぇぇえええええーーーーーー!!!!!!」
勢いを盛り返す民衆は大量の攻撃を太陽神の御顔に集中させ始めた
「ぬう!?なかなかの元気の良さだ。しかし、こちらも太陽神を名乗る身…新年早々やすやすと皆からの試練に負けるわけにはいかん!こうなれば奥の手を使わせてもらおう…」
さしもの太陽神もこの攻撃の激しさには参ったのか奥の手を使うとか言い出しあそばれた。
「今、歴代太陽神必殺の『 太 陽 ガーーーーーード ! ! ! 』」
そう言いながら持っていた太陽を恭しく顔の前に突き出して攻撃をガードする太陽神ラー!!
…良いのか?それ
ヒビ入り始めたけど…
「あのアホ!!よりによって商売道具の太陽でガードし始めたぞ!!!!」
「もういい!!!紳士の時間は終わりだ!!!!!奴の金的を狙って集中砲火するぞ!!!!!キン○マぶっ潰してオカマにしてから奴を
モルテのとこへ送りつけてやれーーーーーーーーーー!!!!!!!」「(ボソ)モノスゴイイラナイ…」
「ぶっ殺せーーーーーーーーーー!!!!!」
「「「「「「HYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」」」」」」
この新年恒例のお祭りは太陽神が身の危険を感じて「うむ!今日も良い試練日和だった!ではまた来年な?」などと捨て台詞をおっしゃって太陽を置いて逃亡するまで続けられる。
このお祭りは数百年ほどの歴史があり、非常に壮大かつ豪華なお祭りとして世界中に知られており参加者は年々増え続けている。
また、近年は異世界側だけでなく、ラ・ムールへの観光客が増えた地球からも続々と参加者が集っているようだ。
『ここではないどこか』
「いやあ、いつも年の瀬にラムールからの武器の発注が増えると思うのですが、太陽神殿は我らと違い世界中のヒトから熱烈に愛されているようで羨ましいですなぁ」
「うむ!!……代わって見るかね?群神殿…いや、むしろ代わってくれ。毎年使われる武器や兵器の質と量がレベルアップしていて恐ろしいからな!
あと最近、貴殿らの国からの輸入品が猛威を振るっているので、そろそろ地球からの輸入規制を入れて欲しいのだが?」
「どちらも謹んでお断りいたします。我らでは彼らの熱烈な愛に身が持ちませんし、我らが国にとってもこのお祭り騒ぎは良い利益をもたらしてくれるものなので…」
「貴殿らが死神殿や龍神殿、獣神殿達から嫌われている理由がよく分かったよ」
「彼等も流石に太陽神殿のファン達ほど情熱的ではありませんよ」
「むぅ……これも試練…なのか?」
蛇足:新年には早いですがログで見たネタを元に一気に書きました。文責は当方にありますので何かあればお伝え下さい。
- ラー様愛されてるなー(棒 -- (名無しさん) 2012-12-03 21:29:33
- ラー様ガンバレー(棒 -- (としあき) 2012-12-03 22:14:47
- フェイント⇒西から登場で噴いて兵隊たちの罵倒でもう一回噴いた。ラー様ガンバレー(棒 -- (名無しさん) 2012-12-05 19:48:15
- 無茶な武器の登場も商人の国ならではでしょうか。愛される神のフェイントに思わず笑いました。撃つ方もギャラリーもどこかで「ラーは滅せず」と思っていそうな雰囲気も感じました -- (名無しさん) 2015-05-31 20:22:46
最終更新:2013年04月02日 12:03