【性態学者の小話】

「そういえばさ、クーリエ。スラヴィアモルテって神サマいるじゃん」
「それが何か?」
「聞けば結構カワイイ女装っ娘って噂があってさ、一度でいいからお姿拝んでみたいな~って思ってさ」
「……………神すら性欲の対象にする気ですか」
「いや、流石にそんな事は…」
「神をも恐れぬ性欲の持ち主とは、流石ですサツキ様。ここまで来ると、神々との交配を意図して世界樹が創造した超変異種ではないかという可能性すら出てきます」
「誰がそこまで変態だっ!?」



「唐突ですがサツキ様。お互い動物に喩えてみませんか」
「うん、本当にいきなりだね…」
「サツキ様は三月ウサギがお似合いだと思います」
「架空のキャラじゃん!?じゃあクーリエは…冷凍マグロ?」
「ほう…いい度胸ですね。後で絞めます」



「というわけで今晩は地球の料理を数点作ってみたよ!」
「…サツキ様にこのような特技があるとは、意外です」
「ふっふっふっ、学園の女の子にモテようとして一生懸命修行したからね」
「しかし私は生気さえあればよいので、こんなには食べられませんね」
「………あっ」
「サツキ様は食べないので?」
「異世界人の口に合うようにしてるから…その…」
「―――食材の無駄使いですね」
「あぅぅ………」



「クーリエ、そろそろ旅に出発するから荷物持ってきて」
「はい。…ところで、サツキ様。その装備は一体」
「これ?護身用の万能ナイフでしょ、いつものYシャツミニスカでしょ、それから皮のベストにブーツ…あぁそうそう、これがあった」
「一応お聞きしますが、何ですかそれは」
「スケスケのベビードールにフリフリでデコったピンクのショーツ!」
「…他に何か実用的な装備はないのですか」



「サツキ様、エリスタリアの実家からお荷物が届きました」
「やっと来たか……待ってたんだよコレ」
「香水、ですか。好色家で女装趣味のサツキ様らしいですね」
「最近あっちで流行りなんだよね~。水分補給と体臭調整がコレひとつで出来るし」
「腹立たしい程のスルースキルですね……ところで、その香水は何処で作られたものですか?」
「うちの集落。品種改良したハーブとかを混ぜんだけど、今回のは催淫作用のあるものにしてもらった特別性さ!」
「まさか私にかけるつもりではないですよね」
「ハハハ、まさかそんな事するわけないじゃないだからその手離して痛い、痛いってばっ!?」



「ねぇ、クーリエってあたしの言う事なら何でも聞くの?」
「はい」
「じゃあ猫人のコスプレして『萌え萌えにゃ~ん♪』って言ってみて!」
「承知しました。…萌え萌えにゃーん」
「……」
「…萌え萌えにゃーん」
「もういい…あたしが悪かった、謝るからもう無理しないで…」
「萌え萌えにゃーん」

「そういえば先輩はどんな名前にしたんですか?」
「どんなって何の?」
「こっちで使う名前ですよ」
「う~ん、色々候補提示されたけど結局元の名前にしたかな~」
「ちなみに候補ってどんなですか?」
「え~っと……『五月』と、『皐月』かな?」
「……」
「……」
「……まんまですね」
「うん……」

「うう……寒い、めっちゃ寒いよ莉々ちゃん……」
「そういえば先輩、確か異世界には精霊っていうのいたよね? アレでどうにかできないの?」
「そ、それは無理かな……」
「なんで? 異世界人なら何とかできるんじゃないの」
「確か、こんな時の為に火精呼ぼうとしたんだけどね……」
「うん」
「強いの呼ぼうとして、熱愛的な歌とか踊りとかストリップとかナニとかやって見せたけど、恥ずかしがって結局来てくれなかったんだ……」
「先輩、まさか精霊まで研究対象にする気だったんじゃあ……?」
「いいよね、精霊って。丁度いいサイズで……」
(あぁ……先輩、あまりの寒さに理性が吹っ飛んでる……)

「サツキせんぱーい……あれ、クーリエさん?」
「何の御用ですか、メス犬。サツキ様なら自室で燃え尽きていますが」
「なんでまたそんな事に」
「この世界に『バレンタインデー』なるものがあるのはご存知ですよね?」
「え、まぁ知ってるけど……」
「その時不特定多数の女性から色々頂いたらしくて」
「うんうん」
「そのお返しの日である『ホワイトデー』で、サツキ様が『お返し』しに出回った結果、体調不良で倒れてしまったのです」
「あー……そういえば私の所にも来てたっけ先輩。妙に顔色悪かったけどやっぱりそういう事だったのね」
「まぁ、実家の村から送られてきたという薬草や茸で精力もかなり回復してきましたし、後はそのまま寝かせておけばまた元気に盛り回るでしょう」
「じゃあまた今度来るから……ってクーリエさん、なんで腕掴んでるんですか!?」
「サツキ様があのザマなので、ロクに食事が取れていないのです。この際メス犬でも贅沢は言いません」

「そういえば先輩、母の日は何かやったりとかしないんですか?」
「母の日って言われてもなぁ……あたしら作ったのって世界樹様だし、そう容易く会えないかな~」
「あっ、確かに! でもホラ、育ててくれた人とかいるじゃない?」
「なるほど~、そういう人なら村にいるなぁ~」
「ふむふむ。それで、どんな人なんですか? やっぱり先輩みたいにアレな人なんですか?」
「『アレ』が何を指してるかわかんないけど……ちょっと変わってるけど、色々教えてくれたいい人だったよ」
「色々……!!」
「おかげで近所のチビっ子達相手にも教える事ができて人気者になれたっけなぁ~。あぁ、なんかまた顔見たくなってきたよ」
「……」
「……どしたの、そんな目輝かせて……」
「その、なんていうか……一緒に連れてってほしいな~っていうか私もその人の事見てみたいな~っていうか」
(ダメだこの莉々ちゃん……連れてきたら面白実験サンプルとしてめっちゃ弄られそう……)

「……先輩、母の日なのに何やってんですか?」
「うん。実はあたしなりに母の日のお祝い的な事やろうと思って」
「で、その花束とコップの液体は……?」
「一応、世界樹様と捧げ物の遺伝子情報をイメージしてみたんだ。ちなみにコップに入ってるのは牛乳だから安心して」
「何に安心すんの!? ていうかコップに牛乳とかサキュバスじゃないんだから」
「いいじゃないですかメス犬。ある意味サツキ様らしい発想で、微笑ましいかと」
「クーリエ、それどういう意味?」
「いえ別に。サツキ様の事ですから、それだけで済ますとは思えませんでしたので」
「そうだねぇ~。できれば全身全霊を以って尽くしてあげたいなぁ~、とかは思うけど神様相手にはねぇ~……」
「先輩、目つきが完全にヤバイ事になってる……ていうかエルフってみんなこうなの……」

「そういえば先輩って毎朝クーリエさんに吸われてるの?」
「う、うん。まぁね……」
「なんでそこで微妙な反応になるの!?」
「全くです。仮にも私という女を同棲させていいように扱っておいて何を言いますか」
「クーリエさん真顔なのにすごい事言ってる……」
「一応、私は吸精型ですので。たかが食事に恥じらいなど感じませんよ」
「へ、へぇ……」
「何を身構えているのですかメス犬」
「ひょっとしたら私相手にも、その、色々吸われちゃうんじゃなかな~……って」

「大延の獣人っ娘っていいよね、ケモ臭さと女の子らしい匂いが混じって……」
「どーしたの莉々ちゃん、いきなり興奮してさ」
「だって、あのフサフサした毛で抱かれたら凄い気持ちよさそうじゃない?」
「う、うん。まぁ、クセになるよね、あのフサフサっていうかモフモフ」
「先輩、抱いた事あるの!? いいな~今度でいいから紹介して!」
「一応研究目的でなら……ってあたしは仲介人かい!!!」
「ケチ~。そういえば先輩も花っぽい香りするよね、なんか特別な香水とかしてるの?」
「うんにゃ、元からこんな体臭だよ。ていうかエルフは大体こんなだって学校で習ったと思うんだけど、なんだったらあたしが改めて教えてあげようかな~……」
「そうやって獲物を引き付けて食い尽くすのがサツキ様の常套手段ですよ、気をつけなさいメス犬」
「クーリエさんいつの間に!? ていうか今更そんな事言われてももう……」

「そういえばクーリエ、スラヴィアンって身体のパーツ付け替えられるのってマジ?」
「一応、そういう個体と専門の造形家はいるというのは聞きますが」
「おぉ~……じゃあクーリエがめっちゃつおいのって色々弄られたからだったりして」
「まさか。私の身体に変なモノは一切付いていませんよ」
「う~ん残念。てっきりそうだと思ってたんだけどなぁ~」
「そんなにナニか付け足して欲しいと言うのであれば、試しに付けてみましょうか」
「何を?」
「サツキ様が生まれつきぶら下げてるモノです」
「えっ……?」
「まぁ、冗談ですよ。流石にこのポートアイラントといえど、そのような施設があるとは思えませんし」
(なんだろう……ちょっと期待しちゃったよあたし)
「何を発情してやがりますか。また一滴も残らず搾り取られたいのですか」

「クーリエさん、ちょっと質問!」
「なんでしょうかメス犬」
「いきなりその言い方だと莉々ちゃん泣いちゃうって」
「いいもん……慣れてるから。それはそうと、クーリエさんって何で生気吸収がアレなの?」
「もう少し具体的に」
「あんまメタな事言いたかないけど、それ以上は載せられなくなるから勘弁してあげて」
「はい、サツキ様。そうですね……強いて言えば、そういう風に生み出されたとしか」
「なんでまた……ひょっとして、スラヴィアでのご主人様って相当な変態だったんじゃあ」
「まぁ、変態というのは否定しませんが」
「何故そこであたしを見るのクーリエ、ひどい!!!」
「いえ、ただ変態と言うとどうしてもサツキ様が真っ先に浮かんでくるもので」
「確かに、H大好きで女の子みたいな身体で女装してて、凄い変態要素満載だよねサツキ先輩」
「あなたもですよ、レズで淫乱なメス犬」
  • 俺も見て見たいよ育ての親! -- (名無しさん) 2014-05-08 23:11:32
  • クーリエのドSさが増していくと同時に三人のパワーバランスが出来上がっているようにも思える。もうサツキではクーリエに勝つことができないのか? -- (名無しさん) 2014-08-09 23:32:40
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最終更新:2014年08月09日 21:22