ポートアイランドにある十津那大学。その構内の一角で何やら賑やかし。
何時誰が貼ったのか不明のチラシ、
ラ・ムールで行われるカレーコンテストの概容であった。
大
ゲート祭と時期を同じくして開催されるために日本のゲートからラ・ムールに飛んでの参加も可能なことから何かと人目を引いたのだ。
「カレーコンテストかー!ラ・ムール観光ついでに出場してみませんか?ね?ね?!」
「う~ん。精力増強剤としての香辛料研究はしているけど料理としてはしてないからね。 …ところでココ大学だけど何で普通にいるのさ後輩ちゃん」
「えー?見学だからじゃないですか!固いことは言いっこなしですよ!」
「見学って、今平日の午前中…」
キャピキャピとはしゃぐ学園制服の女子に半ば抱き抱えられげんなりしている可愛らしいツインテールの
エルフ。
カレーのコンテストと言うくらいなので重要なのはカレーを作る腕前とその材料になるであろうことは明白。
「これ面白そうじゃない?二人一組ってことならヒロト君とトガリで出てみたら?」
「わっ、私が?!」
「大ゲート祭で淡路ゲートからすぐにラ・ムールに行けるとは言っても一日二日じゃ帰ってこれそうにないのでは?
6月と言ったら暑さも増してきてコンビニも忙しくなるからなぁ。多分俺が行きたがってもシフトが許してくれない」
チラシを前に笑ったり赤くなったり悩んだりと見目楽しい鬼人と鱗人と人間の女女男のトリオ。
「あら。同じバイトのネイピアさんは店長が「店の宣伝になるから制服着用で出場するならオッケーと言ってた」ってさ。
スラヴィアンだから料理苦手ってネイピアさんは断念してたけど、ヒロト君なら出場すれば良い線いくんじゃないの?」
「ちょっとカスミさん、何時の間にそんな話の裏を」
「そう言えばカスミはさっき一限目終わってから外のコンビニに行ってたな」
「ということでヒロト君とトガリで出場決定ね!」
「なっ!ななななっ!?」
「俺とトガリさんが出るとして、カスミさんはどうするんです?応援とか?」
「ん~、私はちょっと実家に定時連絡も兼ねての用事かな~。早く終わらせて応援にはいくつもりだから!」
わいわいと空気をそのまま担いで廊下を後にする三人。
そこに荷物を沢山抱えた人間とエルフの二人組みが通りかかる。
「お?何だ祭りの告知か。それも異世界からの」
「へぇー地球にまで報せが来るって珍しいね。えぇと、ラ・ムールでカレーコンテストだってさ」
「なーるほど。今度の大ゲ祭は南蛮か
新天地の東にでも行って冒険と思ってたけどそっちも面白そうだな。いっちょ出場してみっか」
「メノー、そんな簡単に言うけど僕は料理苦手だしメノーも言うほどの腕前じゃないよね?出ても優勝とか絶対無理だよ」
「ふっふーん。実はそうでもないんだなぁ!人間の叡智の結晶ってもんがあるからな!あとイスズには何も期待してないから気にするな」
「ふーんだ。どうせ僕は味音痴ですよ…ってまさかメノー、叡智ってそれ使う気なの?」
男は何やら荷物の中から一つを取り出し自慢げにひらつかせる。
「カレーコンテストとしか書いてないから“コレ”使ってもいいだろう?」
「えー…倫理的に見てどうなのかなぁ」
「大丈夫大丈夫。そうと決まれば帰って準備しなくちゃな!どうせならラ・ムールついでに中央砂漠の遺跡探しとかもできそうだし」
「う~ん、僕は暑いのはちょっと苦手だなー」
かくしてカレーコンテストの開催される異世界ラ・ムールにある香辛料の商業で栄える香辛都市メッチャ・カーラーを目指し様々な思惑を抱えた者達があちこちで動き始めたのだった!