どうも皆様、お今晩は。
十一門亭ぱい孫でございます。
どうにも寒い日が続きますわな。
え?嫌だなぁ。そりゃ冬だからなーだなんて。
いくらアタシだって、夏にこんな挨拶しませんよ。
ええ?お前今年の夏に、肌寒い日が続くーって挨拶しただろ、ですって?
お客さん、よく覚えてらっしゃるねぇ
でもね。あの後カーッと暑くなりやしたからね。
アタシの言う事は、真逆になるんですよ。
だから明日から、ポカポカ小春日和になるって寸法ですよ。
ポカポカ陽気って言ったら、こんな話があります。
もう丁度1年前にもなりますかねぇ。
ポカポカ陽気の春の事でしたよ。
アタシ、噺家でしょ?いや、噺家なんですよぅ。
お客さん、寄席のチケット買ったんじゃないんですかい。
それでハナシカっつーくらいだから、若い頃から花とシカを追っかけてたモンですがね。
何?ツマラナイ?まあまあ若い頃の話ですからね。
それで、年ぃ食っても花とシカじゃあ芸が無いってもんで、ハナシの種を拾いに行ったんですよ。
どこへって?異世界ですよ。異世界。
アッチも随分とポカポカと過ごしやすいところでしてね。
で、そこに精霊ってのがいるんですわ。
精霊っつーとこう、羽根が生えててヒ~ラヒラってもんですがね。
何?そうじゃない?それは妖精だって?
そこでクレームをつけてきたのが、精霊の中でも年嵩の長老サマですわ。
「オイお前。見知らぬ顔だがどこから来て、どのくちでデマカセを言っとるのか」
とまあ、出会い頭にこうですよ。
でまあアタシが。
「いやいや長老。精霊も妖精もセイが出るので一緒でしょう」
すると長老、こうのたまった。
「お前さんはどうにもハデに言霊をバラまいておるのう。
それじゃあ若い精霊がビックリして逃げちってしまうわい」
「長老、そりゃあ困る。せっかく来た異世界だ。若いピチピチの精霊も見てみたい」
「何だお前さん。ウワサのピッチハイカーってヤツかね」
「いやいや長老。ピッチじゃなくてヒッチ。ヒッチハイカーですよぅ。
ピッチハイカーじゃ、ピチピチチャプチャプランランランってなもんだ」
「ピチピチチャプチャプ?
するとお前さんは、水の精か何かを探してるのかね」
「おっと長老、話が早いね。
アタシは確かに捜し物をしてるんだけどねぇ。
アタシが探してんのは、ハナシの種さね」
「ハナシの種は知らねども、フシギな種の話なら知っておる」
「そいつぁ聞きのがせねぇ。どんな話だい」
「
エリスタリアという国に、それはそれは大きな木が生えておっての。
その木、
世界樹になる実がたいそう美味だと評判で、ある時男がそれを手に入れての。
一口ほおばってみると、そりゃあまあホッペタが何度も落ちるほどの甘さ。
少しづつ少しづつ食べた男も、とうとう最後は種一つ。
こうまで来たら種も残すものかと、男はエイヤッと種も食ろうてしまったのじゃ。
すると次の日、世界樹の種は男の頭の上にピョコンと芽を出しツルを出し。
しまいにゃ大きな木になってしもうた。
するとウワサを聞きつけたエリスタリアの
エルフどもが、大喜びで男の頭に登り始めて、
その名を「頭の国」と名付けてしもうた。
そうしたらもう、エルフどもは毎日毎晩花見にお祭りの大騒ぎよ。
男もすっかりまいってしまい、ええいうるさいと頭の木を引っこ抜いてしもうた。
ところが木を引っこ抜いたあとの穴に、こんどは水の精霊が住み着いてしもうた。
「頭の海」と呼んで、魚竜を捕るわ船で貿易を始めるわの大騒ぎ。あげくに海戦砲撃まで始める始末よ。
定置網を仕掛けられるわ、大砲の流れ弾を食らうわで、男はもうすっかり頭に血が登ってしまい、
とうとう自分で自分の頭の海に飛び込んで、命を断ってしまったのじゃと。
どうじゃね?フシギな種のハナシじゃろう」
「ソイツはいいね。で、その頭の海ってのは、どこにあるんだい」
アタシがそう聞いたら、長老は悲しそうに笑って消えっちまったんですわ。
どうせなら、その「頭の海」ってのを見物したかったモンですがねぇ。
え?随分と精霊(せーれー)らしくない長老だって?
そりゃアンタ、冷静(れーせー)に考え過ぎってなモンでさ。
おあとがよろしいようで。
- オチのための話ではなくて話の最後にオチがあったという感じでしょうか。一席で異世界の珍しい話を聞きに来る客が増えそうなテンポのよさでした -- (名無しさん) 2013-10-27 18:34:14
最終更新:2013年10月27日 18:31