発想の源
Rhodanthe*『きんいろローダンセ』に@が出てくるという噂を耳にしコードを調べた。
Fm7 | D♭M7(9) | E♭ | |
Ⅱm7 | ♭ⅦM7(9) | Ⅰ |
筆者はD♭M7(9)というよりもむしろ直前のFm7を引き継いだFm7/D♭のように聞こえたのだが(*2)、だとすると一般的に使われるのは強進行のFm7/B♭(Ⅱm7/Ⅴ)だ。以上を踏まえて、Ⅱm7/Ⅴと♭Ⅶ@の間になにかしらの繋がりを見出せないかと考えたのである。
※以下、便宜上、ピッチクラス[0,2,6,10]のコード(ブラックアダー)を「@7」、ピッチクラス[0,2,6,11]のコードを「@M7」と表記します。
詳しくはブラックアダー、4和音だしセブンスコードよね?って話を参照。
詳しくはブラックアダー、4和音だしセブンスコードよね?って話を参照。
実際にやってみた
結論から言うと、次のようなプロセスを経ることでⅡm7/Ⅴから♭Ⅶ@7を生成できた。
Ⅱm7/Ⅴ
↓①ルートを強進行からバックドア進行にチェンジ
Ⅱm7/♭Ⅶ(♭ⅦM7(9))
↓②SDm化
Ⅱm7-5/♭Ⅶ(♭Ⅶ7(9))
↓③テンション付与
Ⅱm7-5(9)/♭Ⅶ
↓④omit1,3
♭Ⅵaug/♭Ⅶ(♭Ⅶ@7)
1つずつ紐解いていこう。
まず、①の操作ではベースを強進行からバックドア進行に変えている。
バックドア進行というのは、ルートに対して全音下のドミナントセブンスから解決に至る進行である。パラレルマイナーからの借用と考えられ、Ⅳm7→♭Ⅶ7→Ⅰのような形でよく用いられる。今回はⅡm7/ⅤがⅤ7と似た役割を持っていると考え、ベースを♭Ⅶにすることでバックドア進行とした。
バックドア進行というのは、ルートに対して全音下のドミナントセブンスから解決に至る進行である。パラレルマイナーからの借用と考えられ、Ⅳm7→♭Ⅶ7→Ⅰのような形でよく用いられる。今回はⅡm7/ⅤがⅤ7と似た役割を持っていると考え、ベースを♭Ⅶにすることでバックドア進行とした。
②では、Ⅱm7をSDm化しⅡm7-5にする。こちらもパラレルマイナーからの借用である。後述するが、②が♭Ⅶ@7を生成するにあたって最も重要な操作と言える。
コードの大きな役割の変更はこれで終わりで、③,④は@7を作るための操作となる。一連のプロセスによって得られた♭Ⅶ@7は「Ⅱm7-5(9)/♭Ⅶ」と表記できるものである。
♭Ⅶ@M7もできるよ!
②の操作を行わない場合(Ⅱm7(9)/♭Ⅶ)、出来上がるコードは@7ではなく@M7となる。
♭Ⅶ@7は短調色が強く、♭Ⅶ@M7は比較的弱めという対比が生まれる。実際に『きんいろローダンセ』で聞き比べてみると、違いがわかりやすいだろう。
♭Ⅶ@7は短調色が強く、♭Ⅶ@M7は比較的弱めという対比が生まれる。実際に『きんいろローダンセ』で聞き比べてみると、違いがわかりやすいだろう。
@7は近年の流行りであるが、響きがかなり異質なため、うまく使わないとメロディと干渉してしまうケースが多々あった。@M7は@7特有の異質さを和らげ、使いやすくする救世主となり得るかもしれない。