♯Ⅳ@のスケールって何になるんだろう、ということを疑問に思ったので考察。
予め言っておくが♭Ⅴ@ではない。♭Ⅴ@なら(しかも進行先がⅣM7の裏コード型なら)対応スケールは大体リディアンドミナントである。今回はⅣmM7のルート上げとしての♯Ⅳ@について考える。この辺りは研究記事『♯Ⅳ@か、♭Ⅴ@か』も参照してほしい。
予め言っておくが♭Ⅴ@ではない。♭Ⅴ@なら(しかも進行先がⅣM7の裏コード型なら)対応スケールは大体リディアンドミナントである。今回はⅣmM7のルート上げとしての♯Ⅳ@について考える。この辺りは研究記事『♯Ⅳ@か、♭Ⅴ@か』も参照してほしい。
モーダル・インターチェンジで考える
話を簡単にするために、Key=Cに固定し、Dm7→Em7→F♯@→Gaug7→Cというコード進行をもとに考える。
手順としては、Cメジャースケールから変位させた何らかのスケールを想定し、そのモードとして対応するコードスケールを導き出す(モーダル・インターチェンジ)。
手順としては、Cメジャースケールから変位させた何らかのスケールを想定し、そのモードとして対応するコードスケールを導き出す(モーダル・インターチェンジ)。
FM7(スタート) | C | D | E | F | G | A | B |
FmM7(SDm化) | C | D | E | F | G | A♭ | B |
F♯@(ルート上げ) | C | D | E | F♯ | G | A♭ | B |
ということで、C・D・E・F♯・G・A♭・Bという構成音を持つスケールが得られた。これは……馴染みのある名前が無さそうだ。一応The Exciting Universe Of Music TheoryではHarmonic Lydianという名前を与えているが、筆者は初耳だった。(*1)
知ってるスケールを求めて我々はアマゾンの奥地に(ry
ここで、コードにF♯@に関わらないG・B・Dを変位させることを考える。
Gは半音で挟まれているので動かせない。となるとBかDを動かすことになる。
SDm化した際に、6音目のAのみフラットさせハーモニック・メジャー・スケールにしたが、しばしばBもフラットさせメロディック・メジャー・スケールを使うこともある。こちらで試してみる。
Gは半音で挟まれているので動かせない。となるとBかDを動かすことになる。
SDm化した際に、6音目のAのみフラットさせハーモニック・メジャー・スケールにしたが、しばしばBもフラットさせメロディック・メジャー・スケールを使うこともある。こちらで試してみる。
FM7(スタート) | C | D | E | F | G | A | B |
FmM7(SDm化) | C | D | E | F | G | A♭ | B♭ |
F♯@(ルート上げ) | C | D | E | F♯ | G | A♭ | B♭ |
こちらもあまり見覚えがないが、実はナポリタン・メジャーと呼ばれるスケールの第4モードになっている。
さらに、ここから二重の半音を形成する要因となっているGを省くと、
さらに、ここから二重の半音を形成する要因となっているGを省くと、
F♯@(ルート上げ) | C | D | E | F♯ | A♭ | B♭ |
6音音階となり、これは完全にホール・トーン・スケールである。
F♯m7-5をベースに考える
FmM7を出発点にすると、F♯・G・A♭という2連半音が発生してしまった。
F♯m7-5(9)をベースに考えるとどうだろうか。
F♯m7-5(9)をベースに考えるとどうだろうか。
FM7(スタート) | C | D | E | F | G | A | B |
F♯m7-5 | C | D | E | F♯ | G | A | B |
この時点ではリディアン。F♯上にコードを作るとF♯m7-5(♭9,♮11,♭13)となり、♭9がアヴォイド・ノートになる。
@を作るため、♭9を♮9にする。
@を作るため、♭9を♮9にする。
F♯@ | C | D | E | F♯ | G♯ | A | B |
これは……Lydian Augmented! 知ってるスケールだ!
SoundQuestでは「パラレルマイナーコードで♭IIIを使用した際の候補モードのひとつになります」と説明されており(*2)、実際Cリディアン・オーグメンテッドが♭ⅢになるようAを主音と見立てると、Aメロディック・マイナーということになり、すっきりする。
リディアン・オーグメンテッドの第4モードは「エオリアン♭5」や「ロクリアン♮2」などの呼び方があるが、m7-5が出発点となり、♭9だったところを変位させたという経緯を踏まえると「ロクリアン♮2」が良さそうだ。
SoundQuestでは「パラレルマイナーコードで♭IIIを使用した際の候補モードのひとつになります」と説明されており(*2)、実際Cリディアン・オーグメンテッドが♭ⅢになるようAを主音と見立てると、Aメロディック・マイナーということになり、すっきりする。
リディアン・オーグメンテッドの第4モードは「エオリアン♭5」や「ロクリアン♮2」などの呼び方があるが、m7-5が出発点となり、♭9だったところを変位させたという経緯を踏まえると「ロクリアン♮2」が良さそうだ。
結論
多分「♯Ⅳロクリアン♮2」が良い。
参考
Scale 1383: "Pynian" - Ian Ring
Scale 1389: "Minor Locrian" - Ian Ring
メロディックマイナーのコードスケール - SoundQuest
Scale 1389: "Minor Locrian" - Ian Ring
メロディックマイナーのコードスケール - SoundQuest