「くそがっ! ふりきれねぇ!」
悪態をつきながら宇野秀明は、拾い上げたライフルの安全装置を外すと、今入ってきたばかりのドアに向けて乱射する。
三点バーストの弾丸が扉をぶち破り部屋に突入しせんとする少女へと殺到する。
「グラァ!」と雄叫びを上げながら横飛びで回避するその獣のような姿を見ながら、必死に引き金を引いて相手を釘付けにしつつ、なんとか隙を見て周囲を見渡す。
弾切れをおこす。
ライフルを扉へと投げつける。
チラリと顔を出した少女がそれを認めて、「ラァ!」と吠えるとともに獣のような手で打ち払う。
その隙に新たなライフルを手にした宇野は、また安全装置を外すと少女に向けて撃つ。
それを少女は部屋の外へと戻ることで逃れ、その新たな隙をついて宇野は次の部屋へと移動した。
三点バーストの弾丸が扉をぶち破り部屋に突入しせんとする少女へと殺到する。
「グラァ!」と雄叫びを上げながら横飛びで回避するその獣のような姿を見ながら、必死に引き金を引いて相手を釘付けにしつつ、なんとか隙を見て周囲を見渡す。
弾切れをおこす。
ライフルを扉へと投げつける。
チラリと顔を出した少女がそれを認めて、「ラァ!」と吠えるとともに獣のような手で打ち払う。
その隙に新たなライフルを手にした宇野は、また安全装置を外すと少女に向けて撃つ。
それを少女は部屋の外へと戻ることで逃れ、その新たな隙をついて宇野は次の部屋へと移動した。
宇野はふつうの中学生だ。
少し警察やらなんやらとやり合ったことがあるだけで、こんな殺し合いなどにはまるで縁がない、ただの東京に住む一般人である。自分でもわかっているが親に甘やかされてきたほうだし、小柄な体型もあってこういう荒事は向いてないというのはわかっている。
少し警察やらなんやらとやり合ったことがあるだけで、こんな殺し合いなどにはまるで縁がない、ただの東京に住む一般人である。自分でもわかっているが親に甘やかされてきたほうだし、小柄な体型もあってこういう荒事は向いてないというのはわかっている。
「危な!」
だがそれでもやらなければいけない時があるのだ。
気絶から目覚めて、知らない場所にいて、周りにときおり落ちている武器に最初はテンションが上がるも、その量に次第に戦慄し、そんなところで出会った少女。
心細さと下心、そしてなにより心配もあって声をかけた少女は。
気絶から目覚めて、知らない場所にいて、周りにときおり落ちている武器に最初はテンションが上がるも、その量に次第に戦慄し、そんなところで出会った少女。
心細さと下心、そしてなにより心配もあって声をかけた少女は。
「グルルルアッ!」
「なんなんだよこのコスプレ女! クスリでもやってんのか!?」
「なんなんだよこのコスプレ女! クスリでもやってんのか!?」
なぜかケモミミが生えていた。
手にもケモノっぽい手袋をしていた。
そして行動もケモノだった。
身体能力もケモノだった。
あとオッパイ大きかった。
手にもケモノっぽい手袋をしていた。
そして行動もケモノだった。
身体能力もケモノだった。
あとオッパイ大きかった。
「やべっ、弾切れた。」
彼女の名前はビースト。
ジャパリパークと呼ばれる島において神出鬼没に出現した謎の存在である。
彼女が何を目的としているのか、何故宇野を襲っているのか、それはわからない。
ただ彼女がライフルを担いで話しかけてきた宇野を見るや彼に襲いかかり、その結果として今現在の銃撃戦があるという事実だけがそこにあった。
ジャパリパークと呼ばれる島において神出鬼没に出現した謎の存在である。
彼女が何を目的としているのか、何故宇野を襲っているのか、それはわからない。
ただ彼女がライフルを担いで話しかけてきた宇野を見るや彼に襲いかかり、その結果として今現在の銃撃戦があるという事実だけがそこにあった。
「ちょ、待って待って待ってって!」
「ウガアアアアアアッッ!!」
「ウガアアアアアアッッ!!」
新しく逃げ込んだ部屋は、次の部屋への扉が無かった。角部屋、行き止まり。
慌てて手近なライフルを手に取るも、今度のそれは連射ができそうな今までのタイプのものではなく、単発式の本当のライフルだ。そのことに安全装置を外しながら気づくも、今更他の武器に持ち替える間もない、そして構えようとしたところで、ついに少女が組み付いてきた。
慌てて手近なライフルを手に取るも、今度のそれは連射ができそうな今までのタイプのものではなく、単発式の本当のライフルだ。そのことに安全装置を外しながら気づくも、今更他の武器に持ち替える間もない、そして構えようとしたところで、ついに少女が組み付いてきた。
「待って、話し合おう! く、力強え……!」
「ガアアアッ!」
「ガアアアッ!」
そのまま壁際へと追い詰められる。なんとかライフルを割り込ませ、コンクリ壁に銃口と銃把が何度もぶつかる。その間に何度も顔の前で少女が吠える。ギラリと尖った犬歯が見えた。
(ああ、これ死んだな。)
少女の猫パンチが顔の真横のコンクリを砕いたのを見て、宇野は死を察した。
中学になってからの一年、何度か危ない目に合ってきた。というか、自分から首を突っ込みに行った。それは夏休みに廃工場で立て篭った仲間がいたからだ。女の子みたいな華奢さで、ビビリだったからあだ名がシマリスちゃんだった。そんなビビリな宇野だから、これはもう駄目だとよく理解できた。
どうあがいても、目の前の少女には勝てない。いや、そもそも少女ではない。そのことにもっと早く気づけばもっと別の最期だったかもしれない。
しかし現実は非常である。弾き飛ばされて床を滑る。強かに打ち付けた背中の痛みは、真正面に迫った死によって感じなくなった。ああ、これで終わりなんだ。最後にみんなに会いたかった。ここはどこなんだろう。家に帰りたい。お母さん心配してるかな。あの時もそうだった。廃工場に立て篭った自分を泣きながら家に帰るように説得しに来た。その時に啖呵を切ってから、あだ名がコブラに変わった。獰猛なコブラた。ビビっても強く出るから勇気があるんだ。だから、そうだ、俺は――
中学になってからの一年、何度か危ない目に合ってきた。というか、自分から首を突っ込みに行った。それは夏休みに廃工場で立て篭った仲間がいたからだ。女の子みたいな華奢さで、ビビリだったからあだ名がシマリスちゃんだった。そんなビビリな宇野だから、これはもう駄目だとよく理解できた。
どうあがいても、目の前の少女には勝てない。いや、そもそも少女ではない。そのことにもっと早く気づけばもっと別の最期だったかもしれない。
しかし現実は非常である。弾き飛ばされて床を滑る。強かに打ち付けた背中の痛みは、真正面に迫った死によって感じなくなった。ああ、これで終わりなんだ。最後にみんなに会いたかった。ここはどこなんだろう。家に帰りたい。お母さん心配してるかな。あの時もそうだった。廃工場に立て篭った自分を泣きながら家に帰るように説得しに来た。その時に啖呵を切ってから、あだ名がコブラに変わった。獰猛なコブラた。ビビっても強く出るから勇気があるんだ。だから、そうだ、俺は――
「俺はコブラの宇野秀明だあああああああっ!!」
「ガアッ!?」
「ガアッ!?」
そして宇野は、飛びかかってきた少女に立ち上がってブチ当たった。
自分から当たりに行こうとして、恐怖で腰が引けてしまう。だがそれが功を奏した。
狙い通り当たりにいけば、正面衝突して命は無かっただろう。あのままうずくまるままでは、どうなっていたかわからない。
だから、それは期せずして最適解。
ちょうど巴投げをするかのように、宇野と少女は窓ガラスを突き破って部屋から出る。
くるりと空中で一回転して植え込みに落ちた宇野の逆さになった視界で、少女が猫のように四足で着地する。
そこに向けて、宇野は発砲した。
抱きかかえるように持っていたライフルは、銃口がどこを向いているかもそもそもどうやって持っているかもわからないがとにかく引き金を引く。顔の真ん前で火を吹き、硝煙が目と鼻を焼く。視界が白く消えていく直前に見た最後の光景は、少女の手首につけられた手枷の一つが撃ち抜かれたところだった。
自分から当たりに行こうとして、恐怖で腰が引けてしまう。だがそれが功を奏した。
狙い通り当たりにいけば、正面衝突して命は無かっただろう。あのままうずくまるままでは、どうなっていたかわからない。
だから、それは期せずして最適解。
ちょうど巴投げをするかのように、宇野と少女は窓ガラスを突き破って部屋から出る。
くるりと空中で一回転して植え込みに落ちた宇野の逆さになった視界で、少女が猫のように四足で着地する。
そこに向けて、宇野は発砲した。
抱きかかえるように持っていたライフルは、銃口がどこを向いているかもそもそもどうやって持っているかもわからないがとにかく引き金を引く。顔の真ん前で火を吹き、硝煙が目と鼻を焼く。視界が白く消えていく直前に見た最後の光景は、少女の手首につけられた手枷の一つが撃ち抜かれたところだった。
「ガオオオオオオッ!!」
(へ、ヘヘ……一矢報いる、てこういうのだよな……)
(へ、ヘヘ……一矢報いる、てこういうのだよな……)
宇野は閉ざされた視界と効かなくなった鼻と、水中にいるかのような耳を感じながら、笑った。
この体の具合的にもう駄目だろう。すぐに手当てすれば死なないだろうが、あの少女はきっと俺を殺すだろう、でも俺も一発やり返してやった、喧嘩なんてろくにしたことも無ければ勝ったことなんて一度も無いけれど、それでもちょっとはやり返せた。そう満足気に笑うと、一気に気が遠くなる。
あいつらみたいに、小説の主人公みたいな格好良さは無かったかもしれないけれど、名脇役ぐらいにはなれたかな、そう思いながら、宇野は意識を手放した。
この体の具合的にもう駄目だろう。すぐに手当てすれば死なないだろうが、あの少女はきっと俺を殺すだろう、でも俺も一発やり返してやった、喧嘩なんてろくにしたことも無ければ勝ったことなんて一度も無いけれど、それでもちょっとはやり返せた。そう満足気に笑うと、一気に気が遠くなる。
あいつらみたいに、小説の主人公みたいな格好良さは無かったかもしれないけれど、名脇役ぐらいにはなれたかな、そう思いながら、宇野は意識を手放した。
「乗れ!」
「ファッ!?」
「ファッ!?」
手放した意識をソッコーで掴まされた。
目の前にイケメンがいた。
死を覚悟したところでバイクになったイケメンが来る。
目の前にイケメンがいた。
死を覚悟したところでバイクになったイケメンが来る。
「俺は……ヒロインだった?」
「お前までヤクやってんのか? しっかりしろ! 舌噛むぞ!」
「お前までヤクやってんのか? しっかりしろ! 舌噛むぞ!」
宇野は股の下から振動を感じた。たぶん、バイクのエンジンの鼓動だ。
(バイク乗るとこんな感じなんだな。)
「ウアアアアアアッ!」
「掴まってろよ、出すぞ!」
「ウアアアアアアッ!」
「掴まってろよ、出すぞ!」
ぐおん、と音を立ててバイクが方向転換する。
あ、これ、バイクが格好良くスタートする時のアレだ、名前しんないけど――そんなことを考える宇野の後ろから少女が出しているとは思えない足音が迫る。
随分と長いようにも、わりとアッサリと思えるようにもそれは、いつの間にかバイクの音にかき消されるように消えていた。
あ、これ、バイクが格好良くスタートする時のアレだ、名前しんないけど――そんなことを考える宇野の後ろから少女が出しているとは思えない足音が迫る。
随分と長いようにも、わりとアッサリと思えるようにもそれは、いつの間にかバイクの音にかき消されるように消えていた。
「……話せるか?」
しばらく無言でバイクを飛ばしていたイケメンが問いかけてくる。「ああ、ありがとう」と宇野はなんとか絞り出すと共に、気がつけば思い切りしがみついていたことに今さらながらに気づいて自分が恥ずかしくなった。筋肉質なガッチリとした身体つきだ。タフな男っていうのはこういうのかな、などととりとめもないことを考える。
「……格闘技やってる?」
「……最初に聞くの、それ?」
「すみません……」
「……キックやってる。」
「……最初に聞くの、それ?」
「すみません……」
「……キックやってる。」
「俺はコブラの宇野秀明だあああああああっ!!」
「ガアッ!?」
「ガアッ!?」
そして宇野は、飛びかかってきた少女に立ち上がってブチ当たった。
自分から当たりに行こうとして、恐怖で腰が引けてしまう。だがそれが功を奏した。
狙い通り当たりにいけば、正面衝突して命は無かっただろう。あのままうずくまるままでは、どうなっていたかわからない。
だから、それは期せずして最適解。
ちょうど巴投げをするかのように、宇野と少女は窓ガラスを突き破って部屋から出る。
くるりと空中で一回転して植え込みに落ちた宇野の逆さになった視界で、少女が猫のように四足で着地する。
そこに向けて、宇野は発砲した。
抱きかかえるように持っていたライフルは、銃口がどこを向いているかもそもそもどうやって持っているかもわからないがとにかく引き金を引く。顔の真ん前で火を吹き、硝煙が目と鼻を焼く。視界が白く消えていく直前に見た最後の光景は、少女の手首につけられた手枷の一つが撃ち抜かれたところだった。
自分から当たりに行こうとして、恐怖で腰が引けてしまう。だがそれが功を奏した。
狙い通り当たりにいけば、正面衝突して命は無かっただろう。あのままうずくまるままでは、どうなっていたかわからない。
だから、それは期せずして最適解。
ちょうど巴投げをするかのように、宇野と少女は窓ガラスを突き破って部屋から出る。
くるりと空中で一回転して植え込みに落ちた宇野の逆さになった視界で、少女が猫のように四足で着地する。
そこに向けて、宇野は発砲した。
抱きかかえるように持っていたライフルは、銃口がどこを向いているかもそもそもどうやって持っているかもわからないがとにかく引き金を引く。顔の真ん前で火を吹き、硝煙が目と鼻を焼く。視界が白く消えていく直前に見た最後の光景は、少女の手首につけられた手枷の一つが撃ち抜かれたところだった。
「ガオオオオオオッ!!」
(へ、ヘヘ……一矢報いる、てこういうのだよな……)
(へ、ヘヘ……一矢報いる、てこういうのだよな……)
宇野は閉ざされた視界と効かなくなった鼻と、水中にいるかのような耳を感じながら、笑った。
この体の具合的にもう駄目だろう。すぐに手当てすれば死なないだろうが、あの少女はきっと俺を殺すだろう、でも俺も一発やり返してやった、喧嘩なんてろくにしたことも無ければ勝ったことなんて一度も無いけれど、それでもちょっとはやり返せた。そう満足気に笑うと、一気に気が遠くなる。
あいつらみたいに、小説の主人公みたいな格好良さは無かったかもしれないけれど、名脇役ぐらいにはなれたかな、そう思いながら、宇野は意識を手放した。
この体の具合的にもう駄目だろう。すぐに手当てすれば死なないだろうが、あの少女はきっと俺を殺すだろう、でも俺も一発やり返してやった、喧嘩なんてろくにしたことも無ければ勝ったことなんて一度も無いけれど、それでもちょっとはやり返せた。そう満足気に笑うと、一気に気が遠くなる。
あいつらみたいに、小説の主人公みたいな格好良さは無かったかもしれないけれど、名脇役ぐらいにはなれたかな、そう思いながら、宇野は意識を手放した。
「乗れ!」
「ファッ!?」
「ファッ!?」
手放した意識をソッコーで掴まされた。
目の前にイケメンがいた。
死を覚悟したところでバイクになったイケメンが来る。
目の前にイケメンがいた。
死を覚悟したところでバイクになったイケメンが来る。
「俺は……ヒロインだった?」
「お前までヤクやってんのか? しっかりしろ! 舌噛むぞ!」
「お前までヤクやってんのか? しっかりしろ! 舌噛むぞ!」
宇野は股の下から振動を感じた。たぶん、バイクのエンジンの鼓動だ。
(バイク乗るとこんな感じなんだな。)
「ウアアアアアアッ!」
「掴まってろよ、出すぞ!」
「ウアアアアアアッ!」
「掴まってろよ、出すぞ!」
ぐおん、と音を立ててバイクが方向転換する。
あ、これ、バイクが格好良くスタートする時のアレだ、名前しんないけど――そんなことを考える宇野の後ろから少女が出しているとは思えない足音が迫る。
随分と長いようにも、わりとアッサリと思えるようにもそれは、いつの間にかバイクの音にかき消されるように消えていた。
あ、これ、バイクが格好良くスタートする時のアレだ、名前しんないけど――そんなことを考える宇野の後ろから少女が出しているとは思えない足音が迫る。
随分と長いようにも、わりとアッサリと思えるようにもそれは、いつの間にかバイクの音にかき消されるように消えていた。
「……話せるか?」
しばらく無言でバイクを飛ばしていたイケメンが問いかけてくる。「ああ、ありがとう」と宇野はなんとか絞り出すと共に、気がつけば思い切りしがみついていたことに今さらながらに気づいて自分が恥ずかしくなった。筋肉質なガッチリとした身体つきだ。タフな男っていうのはこういうのかな、などととりとめもないことを考える。
「……格闘技やってる?」
「……最初に聞くの、それ?」
「すみません……」
「……キックやってる。」
「……最初に聞くの、それ?」
「すみません……」
「……キックやってる。」
【0000過ぎちょい 都市部】
【宇野秀明@ぼくらのデスゲーム(ぼくらシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
生き残る
●小目標
イケメン(竜土)と話す
【目標】
●大目標
生き残る
●小目標
イケメン(竜土)と話す
【ビースト@角川つばさ文庫版 けものフレンズ 大切な想い(けものフレンズシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
襲ってくるヤツを狩る
●小目標
???
【目標】
●大目標
襲ってくるヤツを狩る
●小目標
???
【竜土@天使のはしご5(天使のはしごシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
誰かが死ぬのは嫌だ
●小目標
助けたコイツ(宇野)と話す
【目標】
●大目標
誰かが死ぬのは嫌だ
●小目標
助けたコイツ(宇野)と話す