「村上さん、またあったよ。」
「ウソだろ……」
「ウソだろ……」
慎重な手つきで、小村克美はクレイモア地雷を両手で手に取る。
ガンシューティングゲームで見たことがある、センサー式の爆薬を、村上が転がしている買い物かごにゆっくりと入れた。
そして一緒に見つけたアサルトライフルからマガジンを抜くとこれも買い物かご入れる。
既に二台目となったカートを見ながら、こんだけ武器あるとホラーっていうよりFPSだよな、などと思いながら、改めて今の状況に頭を悩ませた。
ガンシューティングゲームで見たことがある、センサー式の爆薬を、村上が転がしている買い物かごにゆっくりと入れた。
そして一緒に見つけたアサルトライフルからマガジンを抜くとこれも買い物かご入れる。
既に二台目となったカートを見ながら、こんだけ武器あるとホラーっていうよりFPSだよな、などと思いながら、改めて今の状況に頭を悩ませた。
克美はただの男子小学生だ。
東京の郊外に住むゲーム好きの、日本に万単位でいる一般的な子供である。
そんな自分がなんでこんな特殊部隊のエージェントでもなきゃ巻き込まれないようなイベントに参加しているのか、人選おかしいんじゃないか、などと愚痴りたくもなる。
ゲームスタートからずっと同行している村上もそうだ。
体育会系の中学生というのはそりゃ漫画の主人公にはなりそうだけど、別に何か得意なことがあるわけではないらしい。
ゲームならこういう場所で最初に出会うのはそれなりの重要人物だと思うのだが、お互いの第一印象は「ふつう……」というものだった。
東京の郊外に住むゲーム好きの、日本に万単位でいる一般的な子供である。
そんな自分がなんでこんな特殊部隊のエージェントでもなきゃ巻き込まれないようなイベントに参加しているのか、人選おかしいんじゃないか、などと愚痴りたくもなる。
ゲームスタートからずっと同行している村上もそうだ。
体育会系の中学生というのはそりゃ漫画の主人公にはなりそうだけど、別に何か得意なことがあるわけではないらしい。
ゲームならこういう場所で最初に出会うのはそれなりの重要人物だと思うのだが、お互いの第一印象は「ふつう……」というものだった。
「あ、またあった。」
「今度はなんだ? 手榴弾?」
「ううん、またM16A4。」
「今度はなんだ? 手榴弾?」
「ううん、またM16A4。」
棚の一つ一つ、店の一つ一つを巡っては銃から弾を抜き、爆薬を拾っていく。
最初は銃ごと持っていこうと思ったが、異常なまでのドロップ率と『アイテムは持てば持つほど重くなる』というゲームとは違う仕様に諦め今に至る。
「こんなんならワタルからファンタジーゲー借りとくんだった」と友人の姿を頭の中で浮かべながらボヤくが、どこからか響いた軽いパキりという音に、足を止める。
冷や汗が流れる。
横の村上と目を見合わせる。
そして数分して何も起こらないと判断して、「行こうか」という村上の言葉に頷き、歩くことを再開した。
最初は銃ごと持っていこうと思ったが、異常なまでのドロップ率と『アイテムは持てば持つほど重くなる』というゲームとは違う仕様に諦め今に至る。
「こんなんならワタルからファンタジーゲー借りとくんだった」と友人の姿を頭の中で浮かべながらボヤくが、どこからか響いた軽いパキりという音に、足を止める。
冷や汗が流れる。
横の村上と目を見合わせる。
そして数分して何も起こらないと判断して、「行こうか」という村上の言葉に頷き、歩くことを再開した。
「……なあ、やっぱり見間違いじゃない、よな……?」
「……わかんないけどさ、銃はあっても困らないと思うよ?」
「……そっか。」
「……わかんないけどさ、銃はあっても困らないと思うよ?」
「……そっか。」
俯いたところで手榴弾を見つけ、買い物かごに入れる。
ついに三つ目のかごが埋まり残るは四つ目。そこまできて近くにあったカートを取ると、五つ目と六つ目のかごを乗せた。
話は三十分前に遡る。
どこかのデパートらしき場所で目を覚した二人は、数分後には同じフロアにいたのもあり合流し、情報交換をしていた。
と言っても大したことを話せるわけでもないのだが、幸か不幸か二人は見たのだ。
エスカレーターにより吹き抜けとなった場所で、数階下の位置にいた巨人を。
詳細はわからない。
だが、明らかに人間のものではない頭部と、おかしいサイズ感、なにより筋骨隆々とした身体。どう見ても敵、しかもボスキャラっぽかった。
というわけで二人で必死になって武器を集めているのだが、集めれば集めるほど不安な気持ちが膨らんでいく。
こんなにも武器が多いということは、それはすなわちそれだけ敵が多くて強いということではないか、と。
ついに三つ目のかごが埋まり残るは四つ目。そこまできて近くにあったカートを取ると、五つ目と六つ目のかごを乗せた。
話は三十分前に遡る。
どこかのデパートらしき場所で目を覚した二人は、数分後には同じフロアにいたのもあり合流し、情報交換をしていた。
と言っても大したことを話せるわけでもないのだが、幸か不幸か二人は見たのだ。
エスカレーターにより吹き抜けとなった場所で、数階下の位置にいた巨人を。
詳細はわからない。
だが、明らかに人間のものではない頭部と、おかしいサイズ感、なにより筋骨隆々とした身体。どう見ても敵、しかもボスキャラっぽかった。
というわけで二人で必死になって武器を集めているのだが、集めれば集めるほど不安な気持ちが膨らんでいく。
こんなにも武器が多いということは、それはすなわちそれだけ敵が多くて強いということではないか、と。
「こんだけ弾あったらゲーセンのゲームみたいに撃てそうだな。」
「だからってあんなボスキャラと戦うん勝てやだよ。」
「だからってあんなボスキャラと戦うん勝てやだよ。」
愚痴っても仕方ないとは思うものの、愚痴らずにはやっていられない。
幸いにして、あのボス以外にこのデパートに敵はいないようだ。殺し合いと言っていた気がするが、バランスがおかしいと思う。
そんなことを考えながらただひたすらに武器を集めていると、少しは安心してきた。いくらなんでも、これだけの武器があればとりあえずあのボスにも効くだろうと。
最初は現実逃避同然に始めたことでも、目の前に積み上がる手榴弾の山が自信を与えてくれる。野球部のボールのごとく山盛りになったものが全部爆弾だと思うと、なんとかなりそうな気がしてくるものだ。
幸いにして、あのボス以外にこのデパートに敵はいないようだ。殺し合いと言っていた気がするが、バランスがおかしいと思う。
そんなことを考えながらただひたすらに武器を集めていると、少しは安心してきた。いくらなんでも、これだけの武器があればとりあえずあのボスにも効くだろうと。
最初は現実逃避同然に始めたことでも、目の前に積み上がる手榴弾の山が自信を与えてくれる。野球部のボールのごとく山盛りになったものが全部爆弾だと思うと、なんとかなりそうな気がしてくるものだ。
「しっ、また動いた。」
「あいつ、同じところをぐるぐる回ってるのか?」
「そうみたいだ、あれ?」
「あいつ、同じところをぐるぐる回ってるのか?」
「そうみたいだ、あれ?」
余裕は冷静さを連れてくる。さっきは見るのも怖かった蜘蛛頭の巨人が、突然エスカレーターを走り出したことに村上は気づいた。
登ってくるのか!? そう2人して身を震わせるも、その逆、巨人は駆け下りて行く。
なんだなんだと思っていると、下から怒号や叫び声が聞こえてきた。「おっさん!」という悲鳴に二人で顔を見合わせた。
一体下は何が起きているんだ?
登ってくるのか!? そう2人して身を震わせるも、その逆、巨人は駆け下りて行く。
なんだなんだと思っていると、下から怒号や叫び声が聞こえてきた。「おっさん!」という悲鳴に二人で顔を見合わせた。
一体下は何が起きているんだ?
それは結局今まで通りという意味だ。何もしないに等しい。参加者であるのにゲームに参加していないとも言える。
だがその臆病さは、前のループよりも2人を死から遠ざけていた。
だがその臆病さは、前のループよりも2人を死から遠ざけていた。
前回、克美は下の億泰グループと接触したところ、めぐり合わせ悪く蜘蛛頭の巨人こと蜘蛛の鬼(父)に襲われ死亡した。
今回は、カザンから毒を抜かれ、その影響で電車が正常に動き、その影響で億泰がメイト達と出会い、克美達に合わずに鬼と戦闘になった。
その違いが、克美を生かしている。
今回は、カザンから毒を抜かれ、その影響で電車が正常に動き、その影響で億泰がメイト達と出会い、克美達に合わずに鬼と戦闘になった。
その違いが、克美を生かしている。
それは殺し合い全体から見れば大した差はないのかもしれない。
克美はしょせん、ふつうの小学生。なんの特別な力とも暮らしとも関わりがない。
彼の友人であるワタルや転校生のミツルのように、異世界転移してチートレベルの加護や武器や魔法を手に入れて剣と魔法の世界で大冒険、なんてない。
物語で言うのならば、彼はせいぜい主人公の友達ぐらいの脇役だろう。
そして殺し合いでも、首輪すら付けられずに会場に放置されているNPC程度に変えが効く存在だ。
克美はしょせん、ふつうの小学生。なんの特別な力とも暮らしとも関わりがない。
彼の友人であるワタルや転校生のミツルのように、異世界転移してチートレベルの加護や武器や魔法を手に入れて剣と魔法の世界で大冒険、なんてない。
物語で言うのならば、彼はせいぜい主人公の友達ぐらいの脇役だろう。
そして殺し合いでも、首輪すら付けられずに会場に放置されているNPC程度に変えが効く存在だ。
では、もし登場話で参加者の噛ませ犬として殺されるNPCが、参加者として振る舞うとどうなるのだろうか?
「なあ、さっきのあれ、誰か死んだのかな。」
「わからないぜ。ただ──」
「わからないぜ。ただ──」
問いかける村上に、克美は答えて、ただ、と続けた。
「──あんなふうに、死にたくない。ゲームじゃないんだ、モブキャラみたいに見えないところで死ぬなんてヤダ。生きて、生きて帰りたいんだよ。」
【0044 都市部・デパート】
『チーム:プレイアブル昇格』
【小村克美@ブレイブ・ストーリー (1)幽霊ビル(ブレイブ・ストーリーシリーズ)@角川つばさ文庫】
【目標】
●大目標
よくわからないが死にたくない。
●中目標
巨人(蜘蛛の鬼(父))に気をつける。
●小目標
こっそり武器を集める。
【目標】
●大目標
よくわからないが死にたくない。
●中目標
巨人(蜘蛛の鬼(父))に気をつける。
●小目標
こっそり武器を集める。
【村上@泣いちゃいそうだよ (泣いちゃいそうだよシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
よくわからないが死にたくない。
●中目標
巨人(蜘蛛の鬼(父))に気をつける。
●小目標
こっそり武器を集める。
【目標】
●大目標
よくわからないが死にたくない。
●中目標
巨人(蜘蛛の鬼(父))に気をつける。
●小目標
こっそり武器を集める。