「んじゃまあ、行ってくる。」
時間はゲーム開始からまだ程ないころ。
坂田銀時は仙道ヒカルと風間トオルにそう言って病院を後にした。
ありきたりな出会いと情報交換、それを終えた彼らの次の方針は、トオルがバイクの鍵を見つけたことで決まった。
街を1時間ほどバイクで流し、3人の知り合いがいないか確かめる。その間にトオルたちは病院で息を潜めるという手はずだ。入り口も施錠すればそうそう押し入ろうとはしないだろう。
坂田銀時は仙道ヒカルと風間トオルにそう言って病院を後にした。
ありきたりな出会いと情報交換、それを終えた彼らの次の方針は、トオルがバイクの鍵を見つけたことで決まった。
街を1時間ほどバイクで流し、3人の知り合いがいないか確かめる。その間にトオルたちは病院で息を潜めるという手はずだ。入り口も施錠すればそうそう押し入ろうとはしないだろう。
「行っちゃったね……」
「仙道さん……」
「ああ、うん、ゴメン。そうだ、なにか食べよっか。」
「仙道さん……」
「ああ、うん、ゴメン。そうだ、なにか食べよっか。」
心配そうな声を上げたヒカルは、そんな自分にもっと心配そうな声で呼びかけたトオルに慌てて話題をそらす。
迷宮教室、突然はじまった生徒を殺すための授業、つい数日前に自分含めたクラスメイトが九死に一生を得たそれを思い起こさせるこの殺し合いにどうしても不安は募るが、今回はトオルのような幼児まで巻き込まれている。そう考えるとより緊張が増すというものだ。
迷宮教室、突然はじまった生徒を殺すための授業、つい数日前に自分含めたクラスメイトが九死に一生を得たそれを思い起こさせるこの殺し合いにどうしても不安は募るが、今回はトオルのような幼児まで巻き込まれている。そう考えるとより緊張が増すというものだ。
「暗いな……懐中電灯とかないかな?」
「レーザーポインターなら。」
「レーザーポインター……ないよりはマシかな?」
「レーザーポインターなら。」
「レーザーポインター……ないよりはマシかな?」
灯りも点けず家探しをする。ナースステーションにはいくばくかのお菓子があった。甘いはずのそれは異様に味気なく感じて、なんとはなしに部屋を見渡していたヒカルはふと1つの家電に視線を止めた。
「そういえば……通報してなかったよね。」
今更ながら警察に電話をしていなかったことを思い出す。どう考えても繋がらないだろうが、やるだけやってもいいだろうと、子供2人で暗い部屋で無言でいることに耐えられず立ち上がろうとする。
「それが、つながりませんでした。」
「あっ、そう……」
「あっ、そう……」
が、この病院が初期位置のトオルに否定されて、浮かした腰を下ろす。
部屋にはまた気まずい沈黙が満ちた。
夜の、しかも無人の病院という恐ろしいロケーションだけでも気が滅入るのに、知らない子供と2人、人から見つからないように過ごすのは息が詰まる。銀時が帰ってくるまでの小一時間が異様に長く感じた。
戻った銀時は必ずどこからかスイーツを持って帰り、それでトオルたちと情報共有がてら休憩する。そしてまたバイクで走って行く。それが何度か繰り返された時だ。
なんの前触れもなく、電話が鳴った。
部屋にはまた気まずい沈黙が満ちた。
夜の、しかも無人の病院という恐ろしいロケーションだけでも気が滅入るのに、知らない子供と2人、人から見つからないように過ごすのは息が詰まる。銀時が帰ってくるまでの小一時間が異様に長く感じた。
戻った銀時は必ずどこからかスイーツを持って帰り、それでトオルたちと情報共有がてら休憩する。そしてまたバイクで走って行く。それが何度か繰り返された時だ。
なんの前触れもなく、電話が鳴った。
「……小栗さん、かな。」
「いや、電話番号はわからないんじゃなかな。」
「いや、電話番号はわからないんじゃなかな。」
そういえば銀時が帰ってくるのが遅い。なにかあったから連絡をよこしたのではとトオルは思ったが、それはありえないとヒカルは判断する。110番さえ数字が読めないから勘でかけたのだ、番号のわからない病院にかけてくるのは──
「警察が、折り返しでかけてきた?」
悩む間も電話は鳴っていく。いつ切れるかわからない。迷っている暇は無かった。
「もしもし。」
震える手で電話を取り上げたトオルが言うと。
「もしもし、私は関織子っていいます。あの……参加者の、人ですか?」
聞こえてきたのは、少女の声だった。
時刻は3時を回ったころ。
「えっと、この部屋かな?」
関織子ことおっこは、通信指令室と書かれたプレートのあるドアを開けた。中には大量の机があり、おっこにはよくわからない機械が置かれている。
「あのパソコンで確認できそうだね。」
後ろからついてくる天地神明の言う言葉にあたふたしながらパソコンをいじろうとし、すぐさま諦める。見かねた天地は苦笑しながらマウスをドラッグした。
もうまもなく、警察署には10人の人間が残ることになる。
白銀御行、アスモデウス・アリス、山田奈緒子、吉永双葉、石川五エ門、黒鳥千代子、四宮かぐや、宮美二鳥、関織子、天地神明だ。
このうち最初の6名は多かれ少なかれ負傷している。怪我人である五エ門が他の人間を診れるのもあって、健康な4人から何人か選んで警察署を調べることになった。
あれだけの戦いがあったとはいえ、警察署内の殆どの部屋はだれも立ち入ったことがない。そういった場所にまだ見ぬ参加者が潜んでいる可能性は否定できない。それに警察署なら通報された電話の記録を入手できる可能性もある。他の参加者と、それも助けを求める参加者と連絡をとることは急務とも言えた。
では誰が調べに行くかというと、途端に適任者がいなくなる。一番そつなくこなせるかぐやはアリスと唯一コミュニケーションが取れる上、元からの知り合いの白銀もいるため不適当だ。天地も医者の息子として手当てを手伝うのに回したい。二鳥は疲労が抜けきっていない上に山田やチョコとの因縁があるので見張っておきたい。最終的におっこしか残らないのだが、さすがに1人で行かせるわけにもいかない。悩む時間ももったいないので、五エ門でなんとか代役ができる天地がおっこに着いていくことになった。
白銀御行、アスモデウス・アリス、山田奈緒子、吉永双葉、石川五エ門、黒鳥千代子、四宮かぐや、宮美二鳥、関織子、天地神明だ。
このうち最初の6名は多かれ少なかれ負傷している。怪我人である五エ門が他の人間を診れるのもあって、健康な4人から何人か選んで警察署を調べることになった。
あれだけの戦いがあったとはいえ、警察署内の殆どの部屋はだれも立ち入ったことがない。そういった場所にまだ見ぬ参加者が潜んでいる可能性は否定できない。それに警察署なら通報された電話の記録を入手できる可能性もある。他の参加者と、それも助けを求める参加者と連絡をとることは急務とも言えた。
では誰が調べに行くかというと、途端に適任者がいなくなる。一番そつなくこなせるかぐやはアリスと唯一コミュニケーションが取れる上、元からの知り合いの白銀もいるため不適当だ。天地も医者の息子として手当てを手伝うのに回したい。二鳥は疲労が抜けきっていない上に山田やチョコとの因縁があるので見張っておきたい。最終的におっこしか残らないのだが、さすがに1人で行かせるわけにもいかない。悩む時間ももったいないので、五エ門でなんとか代役ができる天地がおっこに着いていくことになった。
「これは……相当な数だね。」
「こ、これ全部ですか!?」
「うん。それにスクロールすると……ほら。」
「こんなに……それじゃあ、何百人も通報してきた人がいた、ってことですよね。」
「そうとも限らないよ、ほら、こことここ、それにここからここまで同じ電話番号だ。1つの電話から何度もかけてる人もいるみたいだね。」
「こ、これ全部ですか!?」
「うん。それにスクロールすると……ほら。」
「こんなに……それじゃあ、何百人も通報してきた人がいた、ってことですよね。」
「そうとも限らないよ、ほら、こことここ、それにここからここまで同じ電話番号だ。1つの電話から何度もかけてる人もいるみたいだね。」
伊達に天才ではない天地はすぐに通報履歴を見つけた。そもそもが迅速な通報のためのものなのだ、癖はあっても見やすくはできている。これがかぐやであればおっこと2人機械音痴で途方に暮れていただろうが、彼にそのような弱点は無い。
まずは2人で手分けして、履歴の頭からかけ直すこととする。新しい順にかけることも考えたが、それなら向こうからかけてくると踏む。そもそも天地としてはあまりメリットを感じていないどころか警察に通報したら繋がるような場所に自分の存在を知らしめることになるので、ぶっちゃけ繋がってほしくない。
しかし、天は彼を好きではないようだ。もしくはおっこの天運か。一番最初に電話をかけた風間トオルへとおっこがかけると、「もしもし」と声がした。
まずは2人で手分けして、履歴の頭からかけ直すこととする。新しい順にかけることも考えたが、それなら向こうからかけてくると踏む。そもそも天地としてはあまりメリットを感じていないどころか警察に通報したら繋がるような場所に自分の存在を知らしめることになるので、ぶっちゃけ繋がってほしくない。
しかし、天は彼を好きではないようだ。もしくはおっこの天運か。一番最初に電話をかけた風間トオルへとおっこがかけると、「もしもし」と声がした。
「もしもし、私は関織子っていいます。あの……参加者の、人ですか?」
(しまったな……名乗らないように釘刺しとくんだった。)
(しまったな……名乗らないように釘刺しとくんだった。)
どこの誰かもわからない殺し合う相手に、普段の若おかみの調子で本名を名乗ったおっこに舌打ちが出かける。根本的に性善説で生きているおっこに偽名を使うなどという発想は無い。一方の天地は個人情報を開示すればどうなるかを熟知している。そもそも携帯電話すらろくに触ったことのないおっことSNSを使いこなす天地とではデジタルリテラシーに大きな差があった。
「はい、もしもし。」
考えている間にも、天地の方にも電話がつながる。こちらは風見涼馬が公衆電話からかけたものだが、当の本人ではなく通りがかった男に繋がった。その名は。
(偽名を名乗るべきか……リスクもあるが本名を名乗るよりマシ……でも……)
「もしもし。この電話に着信履歴があったので折り返したのですが、どちら様でしょうか。」
「着信履歴? これ公衆電話ですよーと。あ、名前は小栗旬です。」
(偽名だな。)
「関です。」
「もしもし。この電話に着信履歴があったので折り返したのですが、どちら様でしょうか。」
「着信履歴? これ公衆電話ですよーと。あ、名前は小栗旬です。」
(偽名だな。)
「関です。」
トオルたちと別れてバイクをはしらせていた坂田銀時である。バレバレな偽名に、天地も偽名でいくことにした。おっこの苗字を名乗ったのは、「これからたくさん電話をかけるんだから同じ名前の方が信頼してもらえる」とかなんだか言っておっこを丸め込むためである。
「風間トオル、です。あの、警察の方ですか?」
「いえ、警察署に避難していて。それで──」
「いえ、警察署に避難していて。それで──」
「関さんね。あいにくオレは通りがかりだからなんもわかんねえんだが。」
「そうですか。何度かかけていたので、心配だったんですが……」
「そうですか。何度かかけていたので、心配だったんですが……」
別れた銀時とトオルが、電話越しにニアミスしていることを知る由もなく。
このあと2人はそれぞれ警察署から離れた人間と接触することになるなど予想できる者はいなかった。
このあと2人はそれぞれ警察署から離れた人間と接触することになるなど予想できる者はいなかった。
【0305 『南部』】
【坂田銀時@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫 死亡】
●大目標
デスゲームものなんて一時期のマガジンかよ。今のジャンプでこういうのはウケねーぞコノヤロー。
●中目標
主人公以外も巻き込まれてんなら神楽や新八もヤバいか……?
●小目標
補完話だから前後してるけどこの後紅絹たちんとこ戻るんだよなこれが。
●大目標
デスゲームものなんて一時期のマガジンかよ。今のジャンプでこういうのはウケねーぞコノヤロー。
●中目標
主人公以外も巻き込まれてんなら神楽や新八もヤバいか……?
●小目標
補完話だから前後してるけどこの後紅絹たちんとこ戻るんだよなこれが。
【仙道ヒカル@迷宮教室 最悪な先生と最高の友達(迷宮教室シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
この殺し合いから脱出する。
●中目標
幼なじみやクラスメイトガ心配。
●小目標
この電話は……?
【目標】
●大目標
この殺し合いから脱出する。
●中目標
幼なじみやクラスメイトガ心配。
●小目標
この電話は……?
【風間トオル@映画ノベライズ クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
この電話は……?
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
この電話は……?
【関織子@若おかみは小学生! 映画ノベライズ(若おかみシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
白銀さんたちといっしょに殺し合いから脱出する。
●中目標
怪我してる人たちを看病したい。
●小目標
電話で話す。
【目標】
●大目標
白銀さんたちといっしょに殺し合いから脱出する。
●中目標
怪我してる人たちを看病したい。
●小目標
電話で話す。
【天地神明@トモダチデスゲーム(トモダチデスゲームシリーズ)@講談社青い鳥文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
信頼されるように努めて、超人的な参加者から身を守れる立ち回りをする。
●小目標
チート参加者を丸め込んでグループを立ち上げる。まずは邪魔な白銀とかぐやを処理する。
【目標】
●大目標
生き残る。
●中目標
信頼されるように努めて、超人的な参加者から身を守れる立ち回りをする。
●小目標
チート参加者を丸め込んでグループを立ち上げる。まずは邪魔な白銀とかぐやを処理する。