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児童文庫ロワ

疾風と業火

最終更新:2025年08月08日 03:35

jidoubunko1

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だれでも歓迎! 編集
 必要なのはタイミングだ。
 双方の手に銃、こちらはあちらの存在に気づき、あちらはこちらに気づいていない、数は2人に対して人数不明の多数。
 条件は悪い。だがやらなければ殺されるのは自分たちだという恐怖を自覚していた。

「行くよ、圭ちゃん。」

 何度も視界内に人影が見当たらないことを確認して、園崎魅音は大きな音を立てないよう慎重に、それでいて即座に発砲できるように素早くロッカーから飛び出た。


 魅音が前原圭一と山田奈緒子の3人で身を潜めていた警察署にうずまきナルトの影分身が侵入したことに端を発した警察署の戦い。
 ナルトの言葉から来訪した石川五エ門と緋村剣心を求めて切り進む雪代縁の戦闘が起こり、混乱する中でナルトの影分身により警察署を制圧されたのだが、それすらも把握できず、魅音は圭一と2人でロッカーに隠れるのが精一杯だった。
 その後吉永双葉や神楽が縁と戦闘になったことも、天地神明が山田と合流したことも彼女たちが知る由もない。ただただ、殺した人間と同じ顔と姿の人間が何十人も目の前に存在したことだけが、2人の目にする範囲でわかることだ。
 思わず疑うのは幻覚である。ストレスなどから自分たちが正気でなくなったと疑う他ない。それもそうだろう。どこの世界に影分身が実在すると思うか。彼女たちにわかるはずがない。射殺したら煙になり銃を落とす存在は、人間であっても人間でなくても、恐怖の対象以外の何者でもなかった。

「よし、誰もいない。」
「魅音、どうする気だ?」

 恐怖をありありと目に浮かべて問いかける圭一に、魅音は片手を掲げた。鍵がぶらさがった。

「これ、ヘリコプターの鍵。屋上にあるみたいなんだよね。」
「ヘリって……動かせるのか?」
「まあね、ハワイで親父に習った。これでもおじさんお嬢様だし。」

 魅音は冗談めかして言ったが、半分は事実だ。
 園崎家は雛見沢周辺を縄張りとする極道の家。その次期当主である魅音は、その『筋』の『英才教育』を受けている。銃(チャカ)の扱いやヘリコプターの操縦(テク)もその一貫だ。
 彼女からすればそんなものが役立つ日などできれば来てほしくなかったのだが、今となっては死中に活を見出すこととなったので文句は言えない。
 だから彼女は気づかなかった。圭一がナルトの影分身に向ける恐怖の目を、次第に魅音にも向けていることに。この窮地を脱することに集中している魅音には、届かない。ナルトの影分身をあっさり射殺したことにも、山田を見捨てようとしていることにも、こんな状況で無謀なことをしようとしていることにも。
 そもそもこの襲撃は、魅音が影分身を射殺したことが原因の一つだ。襲撃を警戒するあまり軽かった引鉄は、災厄を呼び寄せた。とはいえ彼女が撃たなくとも縁は警察署を目指していたのでどのみち戦いは起きていただろう。他の参加者同士で潰し合ってくれていることを考えれば、そこだけはむしろプラスであったかもしれない。しかしそれを差し引いても、大きなマイナスを見落としてはならない。圭一からの不信というマイナスを。

(魅音、本当にお前は──)
「足音もしない……行くよ!」
「お、おう!」

 無理やり声をひねり出す。
 圭一はどこに向けたらいいかわからない恐怖を飲み込んだ。



 同時刻、警察署上階。
 縁と神楽の戦闘はいよいよ佳境に入っていた。
 チョコの手引により生じた五エ門抜きでの戦い。その苛烈なインファイトにナルトの影分身はなすすべなく、既に50体以上が消滅していた。
 それには全く使い慣れていない武器を使っていることも大きい。影分身たちはなまじ誤射を警戒しなくていい分適当に撃ちまくり、半数以上が自滅により射殺されていた。
 そして影分身の存在が神楽の邪魔をする。先の打ち合いから不利を悟った縁は、神楽とは間合いを取り続け銃撃戦に持ち込んでいる。致命傷を狙うのではなく、前進を阻むための弾幕に、神楽は傘を拡げてジリジリと進むしかない。強引に突破しようにもナルトたちが邪魔になり近づく前に撃たれるのは目に見えていた。そうしているうちに縁との距離は着実に開いていく。
 しかし、この二人の戦いはその実、神楽が徐々に追い詰めていた。縁の流れ弾は影分身にも当たり、増えるペースより減るペースの方が早い。なにより、縁は神楽に致命傷を狙っていないのではなく、狙えないのだ。神楽を殺そうとするとどうしても体が鈍ってしまう。先の無刀での虎伏絶刀勢は、神楽があの程度では死なないという脅威を殺さなくて済むという安堵から放てたもの。とは本人が認めることは決してない。彼は本気で殺そうとはしている。しているが、そこから出される結論は神楽を殺すことのないような攻撃を選ぶ。

「お前ら邪魔ネ!」
「「うわあああ!?」」

 苛立つ神楽が影分身を2体掴みあげ放り投げる。縁は冷静に後退し、煙と化して消えるのにも惑わされず神楽の足止めを行う。影分身は脆すぎて銃撃の盾の役目も果たせない。そのくせ神楽の機動は邪魔になるので、彼女からすればいない方がだいぶマシだ。とはいえ縁が後退を選んでいるのは殺しても殺しても続々と現れるナルトを忌避しているからという理由もあるのだが。

「おりゃあ!」「撃ちまくれってばよ!」
「チッ……」

 階段まで辿り着き登ろうとし始めた縁に、上からの銃撃が襲う。一気に駆け上ると即座に倒すが、更に上階から、そして下階からも銃撃。そのおかげで神楽が踏み込めないでいるが、縁も動けない。
 上からの銃撃が弾切れで止んだタイミングで、縁と神楽は駆けた。

「邪魔だ。」

 悲鳴を上げる間も与えずに瞬殺し、更に上へ。その背後からは猛然と神楽が迫る。今までに稼いだ距離的アドバンテージは瞬く間になくなり、数メートル後方に感じるプレッシャーで縁の背筋が泡立つ。しなやかな筋肉を躍動させ、更に上へと駆け上ろうと方向転換した時、神楽の顔が目の前にあった。

「〜〜ッ!」
「このっ!」

 神楽が猛然と伸ばした手が鼻先をかすめる。更に一歩踏み込む彼女の手がついに縁を捉えようとして、その手の勢いが急に落ちた。
 神楽自身も驚くが、原因はすぐにわかった。膝が笑っている。さっきの一撃が今ここで足に来た。

(このままじゃ逃げられるネ。)
「ナルト! なんか他にできることないアルか!」

 神楽がダメージを負っているように、縁も疲労している。先に限界が来るのは縁だ。だが今のこの数分間だけ、神楽にダメージが少しの間つきまとうその数分間だけ、縁に届かない。届かなければ押し切られる。
 切羽詰まった彼女が打つ手はもうこれしかない。ナルト頼りだ。

「なんかって、なんだよ!」「あ、あれとかよくないか?」「あれってなんだってばよ。」「それは、『アレ』だよ。」「そうか、アレか!」

 影分身たちの間で会議が行われる。無茶振りだが、なにかあるらしい。
 その言葉に縁は警戒を強める。そしてどんな搦手も見逃さないと集中して最上階へと駆け上がった縁が見たのは、屋上を警備していた影分身が駆け下りてくる光景。まだこれだけ残っていたのかと驚くが、冷静に射殺しようとして、彼らの手から銃が無く、代わりに妙な印を結んでいることに気づいて──

「「「「「ハーレムの術!!」」」」」
「──ハ?」

 上から『全裸の姉』が降ってきた。
 雪代巴は、もう十年も前に死んだ。殺されたのだ。緋村抜刀斎に。
 あの日のことは一日たりとも忘れたことはない。
 縁が大陸に渡り腕を磨き、裏社会の頭目にまでなり、日本を火の海にせんと戻ってきたのは、全ては憎き抜刀斎に生地獄を味合わせるため。
 その、最愛の姉が、裸で落ちてくる。
 理解が追いつかない。
 何人もの姉が、雪のように落ちてくる。
 思わず縁は、両手を拡げていた。
 このままでは姉が怪我をする。
 だから受け止めようとするして
 しかし何人もの姉を一人で受け止めることなどできはしない。
 その瞬間、縁の頭は焼き切れ、完全なパニック状態になる。

「ToLOVEるカ!!」
「グアアアア!!」

 その顔面に神楽の拳が突き刺さり、顔面が鼻を中心に陥没して、ようやく縁は正気を取り戻した。幻覚だ!

(!!!!!?!?!!!!!!)

 神楽に殴り飛ばされ、壁へとめり込む。人形にコンクリートがひび割れ、一瞬意識が飛ぶ。
 次の瞬間、縁は追撃をかけようとした神楽をカウンターで殴り飛ばして階段から転がり落とした。

「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 声にならない絶叫を上げると、目についたナルト達を皆殺しにする。思わずビビって上へと逃げる影分身を追って、彼はまた駆け上がりだした。


 ハーレムの術。
 それは後の七代目火影が考案した卑猥な術だ。
 セクシーな裸の美女に変化することで油断を誘う『お色気の術』に、『影分身の術』を合わせることで、相手を包囲し視界も奪うという恐るべき忍術である。
 その凄まじさは、忍者の祖である六道仙人の母にしてチャクラを齎した者、大筒木カグヤを封印するきっかけとなったと言えば伝わるであろう。
 後世では禁術に指定されたりされてなかったりするほどだ。
 ただし、この術は別に雪代巴に変化する術ではない。影分身たちが変化した美女の姿はバラバラだ。にもかかわらず縁が姉と誤認したのは、彼の中である一定の年齢の女性を姉へと重ねてしまうからだ。そして世界一美しい姉は必然的に美女から連想されるものだ。そうなったらもう全部が姉に見えるのも仕方ない本当に仕方ない。


「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 そしてそのことに気づいた縁の殺意は最大限に増していた。
 姉を裸にした。これは殺すだけでは済まさない。
 実際は別に縁の姉に変化したわけではないのだが、そんなことはどうでもいい。
 ナルトは殺す。絶対に殺す。確実に殺す。殺す殺す殺す殺す!!

「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 絶叫しながら屋上のドアを蹴破る。鉄製のそれは爆発したかのように吹き飛び、屋上を滑った。
 だが彼が目にしたのはそれではない。
 彼の目の前でホバリングするヘリコプターでもない。
 そのヘリコプターを操縦する姉の姿だ。

「■■■■■■■■■■■■■■■!!」

 白い悪魔は、猛然とヘリコプターへと駆け出した。


「ゲェッ!? さっきの!?」

 一方、姉と間違われた魅音はドン引きして思わず急制動しかけたのをなんとか堪えて出力が上がるのを祈った。
 縁が暴れまくったおかげで、警察署内の移動はなんとかうまく行った。何度も影分身をやり過ごし、エレベーターに生きた心地がしないまま乗り込み、影分身たちと入れ違いで屋上に辿り着いたときにはへたり込みそうになった。

「魅音、本当にイケるのか?」
「大丈夫……うん、イケる。イケるよ!」

 屋上がヘリポートになっていて、ヘリの実物を見たときにはダッシュした。ドアを開け、様々な計器に目を奪われるも、最低限飛ばすのに必要なスイッチを思い出してエンジンをかける。無事にローターが回り出したときには歓声も上げた。
 そしてようやく、ようやく出力が安定して、飛べるとなった時に、爆音がしてドアが飛んできた。
 縁だ。

「上がれ上がれ上がれ上がれぇ!!」
「く、来るな! 来るなぁ!!」

 絶叫する魅音と圭一の声も、ローターの音もかき消す程の絶叫を上げながら縁が迫る。どこから声を出してるのかもわからないほどの大音量だ。ヘッドセット越しでもなお耳を圧する。本当に人間なのかと疑わざるを得ない。鼻と口からは止めどなく血が溢れ、人間でも喰ったように血が滴る口は、まさしく鬼だった。

「上がったあ!」

 ふわりと浮遊感がする。魅音が喜びの声を上げた途端、襲ってきたのはガクンという、揺れ。唐突に傾く。
 恐る恐る、見る。血まみれの手が、ドアの窓ガラスにべたりと張り付いた。

「こんのぉ!?」

 もう何を言ってるかも自分ですらわからず、魅音は操縦席から拳銃を乱射した。手だけでわかる、あの男は、離陸の寸前でヘリにしがみついて来たと!
 ドアを開けようとしたところに拳銃弾を受けたのか、一瞬手が止まる。が、また動き出す。ロックをかけているので開かないが、そんなことをお構いなしにガンガンとドアが鳴る。圭一が慌てて抑え込むが、まるで太刀打ちできない。ヒグマか何かから暴れているような、そんなパワーだ。

 ガスン!

「なんだあっ!?」

 更に悪いことは続く。
 縁を追った神楽と影分身たちは屋上に到達した。そこで見るのは、縁がヘリに掴まっている光景。
 そうなれば当然こう考える。「屋上にいた仲間と空から逃げる気だ」と。

「待てゴラァ!」

 折れた鼻から鼻血を流す神楽と、消滅を免れた数体の影分身が、アサルトライフルを、マシンガンを、ショットガンを乱射する。既に神楽でもジャンプで届かないほどの高度と距離だが、銃弾なら届く。数秒の間に100を超える弾丸が放たれた。
 不幸中の幸いは、それらが致命的な部品を撃ち抜かなかったことだろう。何ヶ所か油圧を撃ち抜き、出力が上がらなくなって操縦も上手くできなくなった程度だ。
 ちなみに魅音は素人なのでもちろん堕ちる。

「グッ、グ……ウゥ!」

 狙われた張本人の縁は一発も当たらなかった。しかしドアをこじ開けようとしたところに銃弾が襲い、手を離さざるを得なくなり、片手の指先でしがみつくハメになる。そのおかげで圭一はドアを抑える必要がなくなったのだが、銃撃を受けて割れた窓ガラスが顔にいくつも刺さり、聞こえてくる縁の唸り声と合わせて顔を青くしていた。

「クソッ! 上がれぇ! 上がらんかぁ!」

 必死にエンジン出力を上げ、操縦桿を引き上げる。そんな魅音の努力も虚しく、ヘリは瞬く間に体制を崩した。縁がぶら下がる方へと傾き、地面へと堕ちていく。重力に引かれて加速度的に堕ちようとする機体を無理やり立て直そうとする。

(ヤバイ、ヤバイヤバイ、上がれ、上がってよ、上がれってんだ!)

 目の前には道の真ん中でこちらを見上げている何人かの人間がいる。その中の1人が、彼女たちが生き延びために尽力していた黒鳥千代子だとわかりはしない。ただ必死に、必死に操縦桿を引く。

「魅音!」
「上がる! 絶対上げる!」
「魅音!」

 急降下でドアに磔にされている圭一に怒鳴り返しながら、魅音はあらゆる神々に祈った。オヤシロさまでも誰でもいい、一生に一度のお願いです、墜落させないでください。
 その願いは、叶えられた。

「いっけえええええ!!!」

 慌てた様子で伏せたり逃げたりする人間たち。彼らの近くにあった自家用車に衝突する寸前、重力に揚力が勝った。高度の低下が止まり、道路から2m、5m、10mと離れていく。
 魅音は圭一と顔を見合わせる。バチン! 言葉にならない雄叫びを上げて思いっきりハイタッチした。
 墜落の寸前で、効きの悪かった油圧が動くのが間に合ったのだ。出力は上がり機体の体勢は正常なものへ。そのまま速度と高度を上げて、ヘリは北上を始めた。
 魅音は、圭一越しに見える窓ガラスにべたりと残された血の手形を見て冷や汗を拭う。あの悪鬼はどうやらさっきの急制動で振り落とせたようだ。あれから数分経っても襲ってくる気配は無い。そのことにホッとして、魅音はようやくヘリを着陸させることを思い出した。さっきまでどう墜落させないかを考えていたせいで、自分から高度を下げる発想が消えていたのだ。いつの間にか速度も高度もすっかり上がっていて、と思ったところで計器に目が行く。
 下がっている。速度も、高度も。

「ほんとすげぇよ、マジ映画みたいだったぜ。」
「下がってる……」
「え?」

 魅音は自分がわかる範囲の機具を全て操作する。動かない。何も。
 油圧が死んだのだ。
 銃痕から流れ出たオイルは、ついに油圧の作動に必要な量を下回ったのだ。

「圭一! 平たい場所探して!」
「魅音? 嘘だよな?」
「ヤバイ、堕ちる。」
「嘘だよな!?」

 魅音は必死で目を凝らした。赤い霧のせいでほとんど何も見えない。自分の下の地面だけが鮮明だ。そして鮮明さで、おおよその高度を知る。もう100mもない。
 更に悪いことは重なる。おぼろげに前方に影が見える。それが何か理解して血の気が引いた。

「山だ……」

 高さにして200mもないだろう。小山だ。小山が目の前に迫っている。ゆっくりとそこに突っ込んでいっている。
 高度は上げられない。方向も変えられない。
 奇跡は2度は、起こらない。
 ずるりと、力なく手が、操縦桿から離れかけた。
 その手を熱いものが包み、操縦桿を握らせた。

「諦めるな!」

 圭一が、魅音の手を手で包み込んでいた。

「魅音、すげぇよ。お前ずっとすげえ。ヘリに乗る前も冷静に行動してたし、乗った後も堕ちそうになるのを立て直したし、こんなのできるのお前だけだよ。魅音がいなかったら、オレは警察署で死んでた。あの時お前に話を聞いてもらえたから、生きてやろうって思えたんだ。オレはダメなやつだけど、お前が世界一スゴい女の子だってことはわかるぜ。オレを見捨てないでずっと隣りに居てくれた。横で見てきたからわかる、お前なら絶対何があっても大丈夫だ。絶対雛見沢に帰れる、またレナや沙都子や梨花ちゃんと会える、オレにはわかるよ、お前かそれをできるって。みろよ、あそこに学校があるぜ。こんな場所でも、学校って雛見沢と変わんないんだな。あそこに降りるだけだ。降りて部活の仲間に会いにいくだけだって、スッゲー簡単だろ? できるできる気持ちの問題だお前ならやれるってこれまでもできたんだ今度も奇跡を起こせるって魅音ならできるってだってお前スッゲェ頑張ってるもん!」

 まくし立てる圭一に魅音はしばらく呆気にとられた。途中から何言ってるかよくわからなかったが、不思議と自分ならできると、このヘリを安全に着陸できると、そんな自信がわいてきた。そんな力が圭一の言葉にはあった。自分でも不思議なほどに、あの校庭に着陸できる気がしてきている。
 魅音は深呼吸を一つして言った。

「圭ちゃん、エンジンを止める。」
「わかった!」

 それは賭けだった。
 ヘリはエンジンが停止しても落下の際の風をプロペラで受けて滑空することができる。だがそれは、魅音の未熟な操縦技術では到底不可能なことだった。
 魅音はエンジンを切ると、その回転をプロペラと切り離した。前方へと進む推力も高度を維持する推力も無くなる。異様に静かになった期待の中で、ヘリは空を滑った。
 一つ幸運だったのは、動力を失った場合でも姿勢制御できるように非常用の油圧が用意され、それが稼働したことだろう。本来は油圧系統に問題が発生した場合にスイッチで切り替えられるのだが、機体の訓練はおろか操縦自体が素人魅音では、パニック状態でなくともそれを操作することなどできなかった。期せずして動くようになった操縦桿は僥倖である。
 魅音はヘリを旋回させた。校庭は東西が長辺の長方形となっている。対角線から侵入して、少しでも長く滑走路にしようとする。

「ダメだ、まだ高い……」

 降りようとして、旋回を続ける。高さも速さも、思うように落ちない。大事なのはタイミングだ。狙った地点に狙った侵入角でも着陸する必要がある。
 それはプロでなければまず不可能だろう。だが魅音には無根拠に自信があった。
 2度回り、3度回り、4度目。ここだ。魅音は操縦桿を倒した。グッと落ちる。ぶつかる、その直前で操縦桿を引く。落ちるスピードが一瞬緩やかになり、重力で体が押し付けられる。そのすぐ後に、ガリガリという衝撃が魅音のシートベルトを締め付けた。

「と、まれええっ──」

 ミシミシとアバラが嫌な音を立てる。土煙が視界をなくし、ガラスが降り注いで魅音の意識は無くなった。

「──イッテェ……生きてる、のか?」

 その横で頭を抱えていた圭一は、締め付けられた腹部を抑えながら。見回す。周りの景色は、地表だ、生きている、ということを確認するより先に感じた、熱。

「降りれたのか……アッチ! 燃えてる!?」

 油圧から漏れ出た油と摩擦熱、発火するには充分だった。瞬く間に煙が上がって、圭一は慌ててシートベルトを外した。ドアを外そうとして、全く開かないことに気づいた。着陸の衝撃で変形している、とはわからないものの顔が青くなる。惨劇は終わっていない。このままでは脱出できずに丸焼きだ。

「魅音! 起きろ! マジかよ……」

 魅音側のドアならばと思って声をかけて、そこで異様に静かな魅音にようやく気づく。彼女は着陸した後も操縦桿を握っていた。寸前で耐ショック姿勢をとった圭一に比べて、受けたダメージは明らかに大きかったのだ。

(そんな、ここまで来てかよ。ヘリを飛ばして、しかも緊急着陸までやったんだぜ、こんな奴いねえよ、誰だってできない、奇跡を起こしたんだぜ? それがこんな終わりってありかよ?)

 奇跡は何度も怒らない。
 だから奇跡なのだ。
 2度起こっただけでも大盤振る舞い、それ以上を期待するなどおこがましいにもほどがある。
 圭一は神に祈る。
 せめてシートベルトだけでも外そうと。外して、窓ガラスをなんとか割ってと。
 だが祈ったところで何も変わらない。
 神の愛想も尽きている。
 ベルト一つも外すことができない。
 圭一自身も、不時着のダメージで体に力が入らなかった。
 それでもなんとかベルトを外そうとして、ベルトを銃で撃ち抜こうとした。
 その手がベッタリと血で汚れていて、圭一は突然頭がクリアになった。

(──そうか、そうだよな、オレ……人殺してるんだもんな。)
(そんなやつが、助かるわけねえよ。)
(でも、ああ神様、死ぬのはオレだけでいいだろ? オレをかばってくれたからって、魅音まで巻き込まないでくれよ。)
「……違うか……巻き込んだのは……オレか……」

 銃の引鉄を引こうとして、全く力が入らない。
 その理由はわからず、圭一は手を下ろした。
 一酸化炭素も回ってきている。体が更に動かなくなってきている。
 目もかすみ、魅音の顔もよく見えない。それでも最期にその顔を焼き付けようと目を凝らした彼は、悪魔と目があった。

「お前──」
「覇ッ!!」

 ──神が助けないような人間に手を差し伸べるのは、悪魔だ。
 雪代縁はドアをぶち破ると、次にシートベルトを切り捨て、魅音を引きずり出した。
 縁はこの十数分の間、ずっとヘリにぶら下がっていたのだ。ドアが開かなかったので着陸するまで待つことにし、警察署近くでの急降下の際に態勢を立て直してそのまま不時着するまで張り付いたのだ。最後は時速100キロ近いスピードで校庭を滑るヘリから飛び降り受け身を取り、ダメージから回復次第駆けつけたのである。

「待てよ……連れてくなよ……!」

 圭一は自分でもどこにそんな力があったのかわからないほどの力で飛びかかっていた。火事場の馬鹿力とはまさにこのこと、傍から見れば弱々しくヘリから転げ落ち、なんとか二本足で立っているようでも、魅音を追いかける。
 なんで縁が現れ、なんで魅音を連れて行くのか、突然の不合理な展開に頭が追いつかない。
 なんなら縁もわかっていない。なぜ自分は魅音を助けたのか、そして今も助けているのか。着地の際に頭を打っての混乱か。言語化できない。

 ついに爆発を起こしたヘリに煽られ吹き飛んで、気絶してもなお、圭一は魅音へと手を伸ばしていた。



【0245 『北部』 学校】

【園崎魅音@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第二話 綿流し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る。
●中目標
 家族や部活メンバーが巻き込まれていたら合流する。
●小目標
 ???

【前原圭一@双葉社ジュニア文庫 ひぐらしのなく頃に 第一話 鬼隠し編 上(ひぐらしのなく頃にシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
 生き残る。
●中目標
 ???
●小目標
 ???

【雪代縁@るろうに剣心 最終章 The Final映画ノベライズ みらい文庫版@集英社みらい文庫】
●大目標
 人誅をなし緋村剣心を絶望させ生地獄を味合わせる。
●中目標
 緋村剣心と首輪を解除できる人間を探す。
●小目標
 ???



【0222 『南部』 繁華街・警察署】

【神楽@銀魂 映画ノベライズ みらい文庫版(銀魂シリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
 バトルロワイヤルとその主催者を潰す。
●中目標
 病院と首輪を外せる人間を探す。
●小目標
 ???

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