▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
『
古明地さとり』
【早朝】C-4 魔法の森
―――『想起』…!
――
―
『おっと、早速一人目を発見!』
『鴉符―――八咫烏ダイブ!』
『フッ、随分と貧弱な太陽だ』
『ああぁぁぁああ! 何なのよ!アンタはさ!?』
『……『覚悟』が足りないようだな、小娘』
『あの状況、貴様が真の戦士であるのならば、決して俺を離しはしなかっただろう』
『たとえ腕を飛ばされようが脚をもがれようともだ』
『とはいえ、この
ワムウが少しばかり焦らされたのも事実!その『食えない』能力の厄介さも含めて、貴様を『敵』として認めよう!』
―――『想起』!
――
―
『ま、待ってくれ!僕たちは別に争う気はない、この殺し合いを止めるために行動しているんだ。協力してもらえないか?』
『ジョジョ!そこから離れなさい!』
『殺し合い?そんなもの関係ないわ、さっき言ったでしょう。核融合の力でこの地上を焼き尽くすと』
『手始めに命蓮寺ってところに乗り込んで焼き討ちにしてやるわ。あんたたちの始末はそのついでよ』
『…殺し合いに乗るというのか、君だって殺し合いに参加させられた仲間がいるはずじゃないのか?』
『さとり様にこいし様、お燐はもちろん私の力で助けるわ。八咫烏様の力に私のこと見直してくれるはずよ!』
―――『想起』!
――
―
『――君の名は『
霊烏路空』、だったよな?』
『空。僕達は、君の『家族』を保護しているんだ』
『…そういや、さっきあのレミリアってコから聞いたぜ。なんつうかさ…アンタとさとりは、家族みたいなモンなんだろ?』
『俺はその、馬鹿だからよぉ~…上手く説明できねぇけどさ』
『空がこんなクソッタレなゲームに乗っちまったら、そのさとりってコ…悲しむと思うんだよ…』
『自分の家族が罪を犯すってのは…マジで悲しいことなんだぜ』
『だからさ、空。俺達と一緒に来ねーか?荒木と太田をブッ潰して、みんなで脱出するんだよッ!』
『………ごめん』
『ちょっと嬉しかったけどさ。別に私、あなた達に着いていく気はないよ』
『じゃあね、二人とも』
『爆符――――メガフレア』
―――――
―――
―
我が愛するペットの冷淡無情な爆撃を最後として、私はおくうの記憶の深層から現世へと意識を戻す。
瞬間、肩にドッと疲れが重みとなってのしかかり、フゥと一息吐いた。
体調は依然最悪。ではあるのだが、本来私はとっくに殺されている身であるはず。
あの『悪魔』に致命傷の攻撃を受けて、そこから随分長い間昏睡していた。
私を救ってくれた参加者がいるはずだ。身体の絶望的なダメージも幾分治療されている。
この6時間、私の周りで何が起こっていたのか?私はそれを知りたい。
「ありがとう、おくう…ここでいいわ。私を下ろして。大丈夫…大丈夫だから」
「はっ!どうかあまり無茶をなさらぬよう、足元にお気をつけ下さい!」
私を抱えてゆっくりと低空飛行を行っていたおくうは、私の体調を心から心配するように気遣いの言葉を掛けてくれた。
森の中の大木の陰にそっと下り、そのまま木の幹に体を預ける。
未だ状況が分からない私はもう一度、さっきと同じ質問をおくうに投げかけてみた。
「おくう…私に一体何が起こったのか…?誰が私を助けてくれたのか…?心当たりはある?」
「それは…さとり様!当然、この空めがさとり様の危機を救って…」
「おくう。私に嘘は通じませんよ」
「……! ぁ…申し訳、ございません…」
しょんぼりという擬音が聞こえそうなほどに目の前のペットは翼と一緒に体を縮こませる。
まぁ、元々口が達者でも無いおくうにこの状況の説明は難しいと判断し、手っ取り早く彼女の記憶を読んだのも私だけど。
おくうの記憶に現れた幾つかの人物。その光景を思い浮かべながら私は今一度状況を整理する。
「おくう、どうやら貴方も何度かの危機に遭い、最後にあの吸血鬼と体格の大きな男性に破れ意識を失った…そうですね?」
「…はい。間違い、ありません…」
「そして、民家で目を覚ました時には私が既に治療された状態でベッドに寝かされていた…ですか。
その状況から考えて、どうやら私はその場に居た二人の男性…確か『ジョジョ』とか『億康』とか呼ばれていましたっけ。彼らに命を救われた可能性が高そうです」
「…しかし、お言葉ですがさとり様。奴ら地上の人間は我々地底の妖怪にあまり良い感情を持っておりません。
ましてや今回はこんな状況です。さとり様に危害を与えぬ者とも限りません。私はそれを思って――」
「おくう。私はこの死合いの場に降り立って、まもなく死にかけました」
おくうの言葉をピシャリと遮って、私は自らに起こった境遇を説明する。
赤い人形を従える『悪魔』との交戦。
その絶対的な『暴力』に敗北し、命を落としかけたこと。
姿勢を低くしたまま話を聞くおくうの顔色は目に見えて青くなっていき、そして話の最後には怒りへと変わっていた。
「なんという…ッ!その少年がさとり様をこんな目に…ッ!許せない!!」
とうとう我慢出来ずに怒りのまま立ち上がり、そのまま敵討ちにでも飛び立とうと興奮するおくうを私は冷静な声で宥める。
そうじゃない。そうじゃないのよ。
私に起こった体験…そしておくうの心を覗いた『ヴィジョン』の中で繰り広げられた劇で、私が見逃せない部分はそこではない。
「おくう、落ち着きなさい。私は、この足で歩く事こそ出来ませんが…こうして生きています。
そのことに私は今、感謝している。この命を失わずにもう一度貴方と出会えた事が…たまらなく嬉しいのです」
「は……はっ!ありがたき…ありがたきお言葉です!」
敵への憎しみが、褒められたことへの悦びへと一瞬で転換し、再び片膝をついて忠心を見せるおくう。
心を覗き見るまでもなく、主である私の言葉ひとつひとつが彼女の心に染みこんで、恍惚感を覚えていくのが分かる。
主の役に立てたことが本当に嬉しいのでしょう。私に対するその忠誠心と愛がひしひしと伝わってくる。
だが、彼女は私が言いたいこと…その本質をまるで理解出来ていない。表面でしか捉えていない。
溜め息が漏れるのを我慢し、私は歩く事もままならない足を無理矢理正座に組みかえて、子へと説教でもするみたいに目を据わらせる。
「おくう。勘違いしないで下さい。私は今、貴方を褒めているのではありませんよ。
むしろ逆…諌めているのです。貴方のこれまでの行動は、とても褒められたものではありません」
「え……」
それまでの嬉々とした心理から一転、途端に彼女の心に影が曇る。
下げていた頭を上げ、不可解そうな表情で私の目を見つめる。
『なぜ…?』『どうして…』『さとり様のおっしゃることの意味が分からない』
そんな疑問の言葉がおくうの心を次第に占めていく。
一瞬の間を溜め、私は遠慮がちに口を開いた。
「―――瀕死の私にトドメを刺す為にあの『少年』は向かってきました。
私の意識はそこで途絶えましたが、この命があるということは私を救ってくれた方は、危険を顧みず私を守ってくれたはずなのです。
そしてこの傷の治療までしてくれた…。狂気渦巻くこの地獄の世界ではかけがえのない『勇ましさ』と『優しさ』です。
本来ならば私自らが頭を下げて、彼らに限り無く大きな『感謝』を表するべきでした」
「ぁ……い、いえしかし!奴らは地上の人間です!醜く、卑怯で、さとり様を地底へと追いやったのは彼の種族です!
そのような奴らにさとり様が頭を下げることなど、あってはならないことかと…」
「違いますよ、おくう。地上だとか地底だとか、人間だとか妖怪だとかは関係ありません。
悪意、不信、暴虐、狂気…そのような暗霊の感情が入り混じり、心を弱くしてしまうこの世界において彼らのような精神はとても尊いもの。
その大恩を蹂躙しては、そもそもの大儀も失い、ヒトや妖怪ですらなくなります。
もしそれを忘れたならば…心は死に、取り返しのつかないことになるでしょう。
しかし、貴方は彼らに感謝するどころか牙を向けてしまった。私はそこを咎めているのです」
「……返す言葉も、御座いません…」
今度こそ完全におくうは俯いてしまった。
彼女の心象がまるで自分のことのように心に雪崩れ込んでくるのが分かる。
億康という人間が差し伸べた手を払い、暴力という形で返したおくうの感情が。
なによりも私という存在を想って行動してきたおくうの愛情が。
私は鋭く向けていた目を幾分か和らげ、俯いたままの彼女に出来る限り優しく問いかける。
「おくう。貴方は何故、あのような暴挙に出てしまったの?
私に話してごらんなさい。心を偽らず、全て話すのです」
聞くまでもない事だった。
心を読めば全て伝わってくる。彼女の意思が。忠義が。
それでも聞かずにはいられなかった。彼女自身の言葉で話してほしかった。
私はおくうの主であり、家族でもあるのだから。
やがておくうは、下を向いたままポツポツと語り始めた。
「…私は、ただ認めてほしかった。大好きなさとり様の力になりたかった…
あいつらはもしかすればさとり様に害なす者なのかもしれない…そんな理屈は本当は嘘で、建前でした。
さとり様の心がどんどん私から離れていくのが、きっと堪らなく悔しかったのです…!
こんな私でも、八咫烏様の力を使えばみんな振り向いてくれるかもしれない…さとり様も認めてくれるかもしれない。
だから、さとり様を奪われたくなかった。頭を撫でて…褒めてほしかった。
それを期待しての、独断です…。さとり様…私は、私は間違っていたのでしょうか…?」
俯いたまま不安げに語るおくうの声は、最早いつものお調子者のトーンではなく、ひどく弱々しい子供の声だ。
この子はどこまでも真っ直ぐで、純粋で、自分に正直な子だ。
だからこそ、自分が認められないことへの『恐怖』が心の底に張り付いていた。
それに気付くことが出来なかった…いえ、本当は私もそれに気付いていた。気付いていながら、放置していたのだ。
それはおくうの私に対する、一方通行の愛情以外の何者でも無かった。
我ながら呆れ果てる。これでは地霊殿の主失格だ。妹が心を閉ざすのも頷ける堕落というわけだ。
これは私の失態だ。だからこの心に決着をつけるのは私でもある…!
「…おくう。貴方の行動が間違っているかどうか…それは貴方自身も理解しているはずですよ。
貴方の心は全て聴こえています。それは私と貴方が既に『一心同体』と言っても良いぐらいに。
ならば逆に問いましょう。おくう、貴方が間違っていないというのならば、何故その心に『罪悪感』を感じているのですか?
億康さんの良心を踏み躙った…そのことに対して貴方は僅かながら『後ろ暗い感情』を発しています。
その罪悪感に貴方自身はもしかすれば気付いてないのかもしれませんが、私の心の目は誤魔化せません」
「罪悪…感……私が……」
不安の波が理性という名の防波堤に押し寄せ、今にも穴を穿とうとしていた。
おくうは今、動揺している。迷っている。
自身が正しいと信じた行動が、結果的に誰のためにもならず、人を傷付けるだけの行為に終わってしまった事に狼狽している。
彼女は…私のためなら何だってするだろう。
何故なら彼女は『見返り』を求めているからだ。
人に対し何かをしてあげるという行為は、全て『見返り』を期待しての行為だ。
彼女の場合も例外ではなく、それは頭を撫でてほしいとか、自分の力を認めてほしいとかいうささやかなものに過ぎない。
だから彼女もこうして私に仕えてくれているし、大切に想ってくれている。
だが、私はおくうのために何かをしてあげているだろうか?
勿論、彼女の事を家族のように大切に想っているし、だからこそ主従関係が成立する。
しかし私は彼女に対して何も『見返り』を用意しなかった。一方通行の愛情とはそれのことだ。
『無償の愛』などというものがこの世に存在するのか。少なくとも私の知る限りには無いだろう。
これではおくうが行き過ぎた行動に出るのも、起こるべくして起きた悲劇と言っても言い過ぎではない。
その一因は私にある。罪悪を感じているのは私もそうだった。
これはおくうの純一無雑な心が生み出した事件だと単純に考えてはいけない。
もし私がおくうに対し見返りを与えなければいけないというのなら…私がやるべき事とは…。
「おくう。どうか…どうか顔を上げてください」
顔を覆い、痛みに耐えかねる子供のように今にも泣き出しそうなおくうへと静かに語りかける。
そして私は、正座したままの姿勢で両手を地へと置き、ゆっくりと頭を下げ始めた。
「…っ!? さ、さとり様…!さとり様こそ、頭をお上げください!!」
「いいえ、そうはいかないわ。私と貴方は一心同体…。すなわち貴方の罪は、私の罪も同じです。
貴方の心に巣食う『不安』に気付いていながら、私は今日まで何も行動を起こさなかった。
主として…家族として、とても恥ずかしい事ですね…」
威厳も誇りも捨て、おくうの感情に感化された私までが泣きそうになってきた。
その情けない顔を見られたくないという意もあり、私は深々と頭を下げ続ける。
慌てふためるおくうの言葉を遮るように、私は偽り無い本心からの想いを言葉として吐露する。
「―――ごめんなさい。貴方の気持ちを私は考えていませんでした。どうか許してください」
地霊殿の主ともあろう者が、あろうことかたかだかペットの地獄鴉に手をつき、頭を垂らす。
どこぞの閻魔などがこの光景を見れば、さぞや皺を寄せながら頭を抱えることでしょう。
権威も何も無い丸裸の心で、私は目の前で困惑する少女へと精一杯の謝意を述べた。
「さ…とり様……!さとり、さまぁ…!わたし…!わたしは、ただ…っ!」
「ええ…ええ、分かっています。私たちは、家族ですものね…。
こいしもお燐も、きっと無事です…!また、一緒に暮らしましょう。きっと…一緒になれます…」
やがて感情の糸が切れたようにドッと泣きついてくるか弱き少女を胸に抱き、私は可能な限りの慈愛を以って彼女の頭を撫でた。
肩を震わせ、嗚咽を漏らす少女につられ、とうとう私の頬に伝った雫は何処から流れてくるものだろう。
その根源には、今まで我慢していた想い…家族とまた再会できて嬉しいという、偽り無き本音が確かに存在していた。
「おくう…!辛かったでしょう…寂しかったでしょう…!ごめ、なさ…っ!ごめんね……っ!
貴方は私の、大事な家族です…!また会えて…本当に、良かった…!ありがとう…ありがとう…!」
「うぁあ……!さ、とり…さまぁ…!わたしも…わだしも嬉しいです…!!
ひっぐ…! っあぁ……あっ、ぁああぁぁっ、あああぁぁん……」
「ええ…!まだ、遅くはないはずです…。『彼ら』に謝りに戻りましょう。
貴方は誰よりも純粋で良い子……きっと私たちを迎え入れてくれるはずよ…だから、泣かないで?」
私がやるべき事とは…おくうを今度こそ導いてあげること。
その強大な力を…誰かを傷付けることに使うのではなく、誰かを護るために使ってほしい。
主として…家族として…私がこの子を導いていかなければならない…!
その決意を心に強く、強く刻みこんで。
今はただ、胸の中で咽ぶこの子をひたすら抱きしめてやった…。
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『―――以上、18名だ。
素晴らしい! なかなかいいペースじゃないか!
参加者の2割がこれまでにその命を燃やし尽くしたってわけなんだからな!
個人的にはそれ以上に、予想外の名前が挙がっている事にもビックリしているよ!
脱落者18名につき、残りの生存者は72名と言うわけだな。
まぁ、中には「生きてるとは言い難い者たち」も数名いるが、そこは大目に見て欲しいかなぁ』
――――――
―――
―
「………ハァーーー……っ」
息を吐き出しながら、震える指でペンを机に置く。
もう一度名簿に記載された名前を上から順に目を通していく。
幾つかの×印が意味するところは、このゲームにおける『脱落者』。
―――その数、18人。
実に参加者の2割がこの6時間の間に早々と帰らぬ者となっていた。
その2割の中に、愛する家族の名は無い。
頬に垂れる汗の粒は安堵によるものか、はたまた恐怖からか。
しかし事実として『
古明地こいし』と『
火焔猫燐』の名は確かに呼ばれてはいなかった。
袖で汗を拭い、古明地さとりは恐れていた『最悪の事態』は起こらなかった事にひとまず安心し、名簿を閉じる。
しかし、やはり不安などというものはそう簡単に払拭しえるものではない。
伊吹萃香や
星熊勇儀といった地底の強靭な鬼ともあろう存在が、既にやられている。
ともすれば『優勝候補』と言ってもいいぐらいの二人が、こうも容易く逝ってしまっているのだ。
互いに潰し合う程の薄っぺらな仲ではないことは知っている。参加者の『誰か』が彼女らを殺したのだ。
それは最初に自分を襲撃してきた、あの鬼よりも遥かに鬼のような人間がまだまだこの会場に存在しているという事だろうか?
それを一瞬考えただけで、さとりの背筋は凍りつくほどに固まった。
(こいし…お燐…!お願いです…!どうか、無事でいて…!)
目を閉じて手を組み、ただひたすらに身内の無事を祈り続ける。
幻想郷には多くの神が居るが、このゲームにおいて祈りを聞き入れてくれる神などは一人として存在しない。
そんなことは分かりきっているが、それでもさとりは祈らずにはいられなかった。
何の罪も無い家族達が無残に殺されるなど、この世にあってはならないことだ。
あの子達は決して強い妖怪ではない。例の少年のように凶悪な参加者に出会ってしまえば、成す術なくたちまち殺されてしまうだろう。
こんな所でのんびりしている場合ではない。すぐにでも来た道を戻り、『彼ら』と会うべきだ。
瀕死の自分、そしておくうを受け入れようとしたあの方達なら、どんな困難もきっと乗り越えられるはず。
さとりは何となくだが、そんな気がしてならなかった。
空の心越しに覗いた彼らの姿を見た時、さとりは無意識のうちに感じた。
未来へと進む『光』を。
彼らの精神に宿る『輝く』なにかを。
そんなあやふやで根拠も無い直感だが、今の自分たちには頼る者も居ない。
彼らに会えばきっと何かが変わるはず。
このどうしようもない暗黒の盤上において、進むべき指針となってくれるような気がするのだ。
(ひとまず彼らに会ってみよう。まだそう遠くない所にいるはず…)
当面の標が見えた。
膳は急げという。机の上に散らばった名簿や筆記用具などを片付け、出発の準備をする。
さとりの足は、随分良くなってきてはいるがまだまだ満足に歩けないでいた。
しかし本来ならば二度と歩けないほどのダメージを負ったにも関わらず、今ではその痛みも殆ど消え、感覚も少しは戻っている。
そっと足に触れてみると、擦っているだけで心がほんのり和らぐような奇妙な感覚があった。
この謎の力にさとりはほんの少し、希望が湧いた。
(大丈夫よ…何とかなる。きっと…何とかなるはず……。でも、この足のことは置いておくにしても…)
そう。さとりの心にはさっきから言いようのない『不安』が渦巻いていた。
『今』のこの現状…いくつか不安が残る。希望もあるが…やはり不安の比率が勝っていた。
その最大の不安の種の一つが―――
「さとり様…そのー、お身体の方は大丈夫ですか…?足もそうですけど、その、お腹とか…」
横に座る空がさとりの体調を気遣ってきた。
そのぷくりと膨らんだお腹を注視しながら、「食べ過ぎには注意しないとですよ」などと非常に失礼な事を呑気に呟いている。
自身の腹部を慎重な手つきで擦りながら、さとりはこれまでの経緯を思い出す。
―――
――
―
………………うん。全く『身に覚えが無い』わ。
(えと…私の名前は『古明地さとり』。妹は『こいし』。ペットは『霊烏路空』と『火焔猫燐』…。
あの『荒木』と『太田』という人間に連れてこられ、今現在殺し合いのゲームに参加させられている。
これが夢ならばどんなにいいことか…でも、記憶に間違いはない…わよね?うん、これは現実、だと思う)
だとしたら、今自分に起こっている現象はどう説明を付ければいいのだろう…?
ありのまま今起こっている事を話すなら…
『瀕死の重傷から目を覚ませば、懐胎していた』
何を言っているのか分からないと思うけど、私も何をされたのか分からない。
頭がどうにかなりそうだわ…
正直言って、今日一番のビックリであった。
自分に何が起こっているのか。まるで理解が追いつかない。
これはどこからどう見ても『妊婦』そのもの。
念を押して言っておくが…本当に念を押すが…この自分に『そんなことをした経験』など、無い。絶対に無い。ありえない。
しかも昨日の今日どころの騒ぎではない。たった6時間昏睡してる間にこれである。
「お…おくう…?一応、聞くけどね?わ、私のこの『お腹』について何か心当たりとか…ある?」
「うにゅ?」
間抜けな表情で反応する空は何の事やらといった風だ。
試しに心を読んでみるが、肝心な部分の記憶がすっぽりと抜け落ちているのか、収穫は無かった。
さっき読んだ彼女の記憶のヴィジョンではベッドに寝かしつけられた私が映っていた。
その時点では特に異常は見受けられなかったのだから、ここに来るまでに何か『とんでもない事』が起こったはずなのだ。
「おくう…お願いだから思い出して…!私を運んでここに来るまでに、私に『何か』してませんか…?」
「むむ~~~っ! …………いえ、特に思い出せません!」
心を読む。
『むむ~~~っ! …………いえ、特に思い出せません!』
だめだこりゃ。
『なにもしてません』ではなく『特に思い出せません』ときた。
どうやら本当に綺麗さっぱり忘れているらしい。
彼女がこの会場に降り立ってから色々な出来事は記憶しているクセに、肝心要の部分が抜け落ちていたのでは困る。
しかし三歩歩く度にひとつ忘れるこの地獄鴉が一度忘れた事柄は、今後絶対に思い出すことはない習性がある事を主のさとりはよく知っていた。
頭を抱える事態がまた一つ増えたことにさとりの心はパンクしそうになるが、何とか冷静を保とうとする。
この腹部に存在する『モノ』…。
これがなんなのか、皆目見当も付かないが、不思議とコレはそう悪いモノでもないような気がした。
何か『とてつもないエネルギー』が自分の中に宿っている。
何となくだが、それだけは間違いの無い事実だと直感する。
そしてこのエネルギーがこの先の未来、自分にとって『吉』となるか『凶』となるか…。
漠然に考えながらもさとりはその事実をひとまず…ひとまずだが頭の隅に置いておく。
不安事項はそれだけではないのだ。
さとりは自分の腹部から隣の空へと視線を移し、先程気付いていた疑問を投げ掛けた。
「ところでおくう…さっきから気になっていたのですが、右手の『制御棒』はどうしたのですか…?」
普段ならば否が応でも目を引く我がペットの右手に装着されているはずの大きな制御棒。
今は綺麗に取り外されており、白くしなやかな腕が露出している。
「うにゅ? …………あ。ホントだ、いつ外れたんだろう…?」
まさか今頃気付いたのだろうか。空は首を傾げながら右手を開いたり閉じたりしている。
恐らく縄で縛られている時に没収されてしまったのだろうとさとりは推測するが、だとしたなら少々危険だ。
空は八咫烏の力を手に入れ、核融合という強大すぎる能力を操れるようになってしまった。
その強力な力を操るのに制御棒は本来必要無い。制御棒はあくまで制御の為の棒なのだ。
それを失ってしまったらどうなるか、想像に難くない。
…が、とはいえその制御棒も彼らが預かり持っているのならば、そう悲観することでも無い。
これから戻って、返してもらえばいいだけのこと。さとりはそう楽観し、念のために忠告を授ける。
「おくう。貴方の八咫烏の力は本来、貴方自身の能力の許容量を大きく超えている。
その力をセーブする制御棒が無いということは、核融合の力は貴方の潜在エネルギーを必要以上に引き出してしまうということ。
約束して。制御棒が無い内は絶対に無茶をしない、と」
「それは勿論!了解しました!
…それならば差し出がましいようですが私からもひとつ、さとり様にお約束して欲しいことがございます。
さとり様は治療してもらったとはいえ、未だご重体の様子。どうか…さとり様も無茶だけはしないで頂きたいのです。
その代わり…さとり様は私が命に代えても必ずお守りします」
頭を下げ、膝をつく空にさとりはふふ、と微笑する。
普段は気が抜けていることも少なくない空だが、こんな時は本当に頼もしく思えてくる。
そんなペットの姿が愛おしく感じ、さとりは彼女の頭にそっと触れながら返答した。
「おくう、貴方の力はね…誰かを傷付ける為のモノではないの。
それはきっと…誰かを護る為の力。とても気高くて、誇りあるモノよ。
だから貴方に『命令』します。その力でどうか、私を護ってください。
そして…また一緒に暮らしましょう。家族みんなで…!」
主の命を受けた空は破顔し、心からの笑顔になる。
今度こそ自分は愛する主から期待されている。頼られている。
その事実に空の心は有頂天、かつてないほどに高揚感を覚えた。
その大きく揺れ動く心象はさとりにも届く。
子供のように無邪気に嬉々となる空を眺めながら、ひとつの決心をした。
―――こんなゲームには絶対乗ってやるつもりはない。
―――こいしとお燐を探しだし、どうにかここから脱出してやる、と。
「さとり様…!私…私…絶っっっっ対に貴方をお守りしますッ!
こいし様やお燐もすぐに見つけて、みんなで地霊殿に帰りましょうッ!」
「えぇ…頼りにしてるわ、おくう。
…それじゃあ、早速来た道を戻って億康さん達に謝りましょうか?」
その言葉を聞いた瞬間、空は「うぇ…」と若干不満気な声を漏らしたが、その態度すらもさとりは笑い流す。
喧嘩しても仲直りが出来る子供のように、空には純粋な善心がある。それを知らぬさとりではなかった。
―――きっと、なんとかなる。
漠然で根拠も無い理だが、さとりにはそんな気がしてならない。
そうと決まれば早めにここを出よう。
空のデイパックはさとりが背負い、出立の準備を取る。
歩くことも出来ない為、ここへ来る時と同じ様にさとりは空が抱えて飛行することになる。
地霊殿の主として、その情けない姿に羞恥を感じるさとりだったが、こればかりは致し方ない。
ここは我慢して空の世話になろうと椅子を引いた時、さとりはふと思う。
(…結局、この『部屋』で見たものは何だったのかしら…?確かに『あの姿』はこいしとお燐に見えたのだけれど…)
さっきから二人が居るこの部屋は実に『奇妙』だった。
ここへ来る前、さとりと空が互いの思いを吐露した後のことである。
魔法の森の最深部を彷徨っていた二人は、この『大きな木』に設置されていた『部屋』を見かける。
普通の大木にドアが取り付けられていて、窓まで見受けられた。しかも窓の中には民家のような空間が広がっている。
どう考えても普通ではない光景に、次の瞬間さとり達は『驚くべき人物』を発見する。
窓の中に見た二人の人物は、後ろ姿ではあったが確かに『こいし』と『お燐』のものであった。
ドクンと心臓が早まり始めるのを抑えられず、すぐさまさとりは空に指示し、部屋の中に飛び込んだ。
部屋の中も至って普通の和風木造部屋であり、それが逆に不気味さを煽っていた。
しかし二人は警戒するよりも、何より先に家族の姿を探す。
だが、二人は居なかった。
見間違いだったのか、さとりは不思議に思いながらもそう結論付け、落胆しながら椅子の上にドカリとやや乱暴に腰を落とす。
丁度放送時間も差し迫っていた事もあり、そのまま謎の部屋で身体を落ち着けていたのだが…。
(…やっぱり私、まだ疲れているのね。二人に早く会いたいという焦燥の気持ちが幻覚を見せたんだわ…)
さとりの最後の不安事項がこの不気味な部屋であった。
そもそも普通、木の中にこんな空間が存在し得るだろうか?
だが実際に身を以って体験している以上、確かに存在するという事実に間違いは無いのだろう。
空は大して気にも留めていない様子だが、さとりとしてはこの空間に居るというだけで不安が募っていく。
(…出ましょう。こんな所に居ても何の解決にもならないわ)
この幻想郷では常識に囚われてはいけない。
強引な論で自分を納得させ、さとりはここを出るため空に抱きかかえられようとした。
―――その時であった。
ガラ……
引き戸を動かすかのような僅かな物音が、後方から聞こえてきた。
驚き振り返るさとりの目に映ったのは、木製の食器棚。
周りを見渡しても当然、ヒトの気配は無い。
だが、食器棚の下の戸棚が僅かに開いていた。
さっきこの部屋を調べた時、この戸は開いていたかどうか…?さとりは自信無さげに記憶を掘り起こす。
が、どうにも思い出せないし、あれはただの食器棚だ。中に人が隠れていることは考えられない。
幻覚に続いて幻聴まで聴こえてくるとは、いよいよ疲れているらしい。
それで納得させ、再び空の方へと視線を戻す。
「さとり様…?どうかされたのですか?」
「いえ…何でもないわ。さぁ、行きましょうか、おく――」
ズズ……
「ッ!?」
今度は勢いよく振り返り、食器棚の方へと身構える。
引き戸は――さっきよりも開いていた。
開いた戸の奥に広がる闇が、彼女の恐怖心を加速的に迫り上げた。
今度は気のせいではない。あの中に『ナニか』いる…!
「おくう…この部屋、何か分からないけど『危険』だわ…!すぐに脱出するわよ…!」
さとりは先程『悪魔』に襲撃された時の、あの嫌な感じを思い出していた。
冷や汗が頬を伝い、悪寒が戦慄と共に全身を駆け巡る。
空はさとりの言った意味が一瞬理解できず、思わず不思議そうに聞き返した。
「え?危険って、どういう――」
「今すぐここを出るわよッ!!急ぎなさい早くッッ!!!」
主の珍しく鬼気迫る表情に異常を感じたか、空は顔を険しく変えてさとりを抱きかかえる。
何が起こっているのか分からない。分からないが、主に危険が迫っているらしき事は理解出来た。
空は漆黒の翼とマントを大きく展開させ、さとりを抱きながら全速でドアの方向へ飛翔する。
だが、その行動は一瞬遅かった。
ガラッ!と、棚の引き戸が大きく開かれ、闇の中から『ナニか』が高速で飛び出してきたッ!しかも一つや二つではないッ!
謎の黒いナニかは瞬く間に、二人の全身にベッタリと吸い込まれるようにくっ付いてきた。
それはよく見れば影のように真っ黒な『足跡』の形を成しており、さとりが今までに見た事も無いような存在であった。
「ああぁぁ…ッ!?こ…これは…!『力』が、吸い取られて…!?」
「うああああぁぁぁッ!?な、何よこの足跡ッ!?気持ち…悪いッ!」
二人の全身に数え切れない足跡が纏わり付いていき、空達を宙から叩き落した。
ベタベタと隙間無く身体の表面を埋めようと突っ込んでくる足跡を、空は必死に振り払おうと抵抗を試みる。
が、どういうわけか『触れない』ッ!
「く…そぉ……!何コレ…触れないッ!しかも、コイツら…どんどんエネルギーを…『吸い取ってる』…!」
見る見るうちに身体から力が抜けていく感覚を感じ、二人は次第に動けなくなってくる。
やはりこの部屋は『ワナ』だった。幻覚を見せ、進入して来た者のエネルギーを吸い取るワナ。
己の迂闊さを後悔する暇もなく、さとりは絶望的状況の中、必死に突破口を考える。
こちらから触れないのなら『逃げる』しか方法は無い。
だが、どうやって?自分は足が動かず、おくうもその全身を敵に捕らわれ、翼を広げる事も出来ないようだ。
……ダメだ!突破口なんて無い!絶体絶命だッ!
とうとう足跡たちが身体の中に食い込み始めた。
『2度目』の死を覚悟する。せっかく救われた命が早くも無慈悲に奪われようとしていた。
意識が朦々と霞む。この世界において『弱者』は全てを貪り狩られてしまうのか。
せめて、家族の命だけは何とかしてやりたかった。
その懸命な思いが無意識にさとりの腕を動かし、隣でもがく空の肩を掴んでいた。
薄れる視界に空の不敵な笑みが映る。
「さとり様…!それ、『ナイス』です…ッ!ブッ飛ばしますから、そのまましっかり肩…掴んでてくださいね…ッ!」
床にうつ伏せで倒れたままの姿勢で右腕を前へかざし、その先端には超密度の燃焼エネルギーが集中していく。
次の瞬間、赤白く輝きを放つ右腕から凄まじい轟音と共に爆縮された高エネルギーが発射されるッ!
「―――爆符『メガフレア』ッ!!」
さとりに当たらぬよう身体を抱き寄せ、高圧縮の爆焔を部屋に撃ち込む。
狙いなど無い。空の目的は敵を攻撃することではなかった。
さとりを掴んだまま、二人は撃ち出したエネルギーの反対方向、すなわち部屋の外まで勢いのまま吹き飛ばされる!
時速60キロどころではないスピードで屋外まで吹き飛ぶ速度に、この足跡はついてこれなかった。
身体に張り付いていた足跡たちが次々に剥がれ、二人はとりあえずの危機は脱出した。
互いが離れ落ちないようにしっかりと抱いたまま、二人は部屋から数十メートル離れた地点まで大きく飛ばされ、着弾する。
「痛ったたた~……あ、あれ…?おかしいな…『メガフレア』を撃ち出したつもりだったんだけど、今の…『ギガフレア』だった…?
い…いや、それよりもさとり様ッ!ご無事ですかッ!?少々、荒っぽいやり方でしたが、何とかアイツらを引き剥がしました!
「う……お、くう……。わ、私は…大丈夫です…ありがとう…」
身体を起こしながら互いの無事を確認する。
随分体力を失ってしまったが、ギリギリのところで命は助かったようだ。だがあまり楽観も出来ない。
この謎の敵の攻撃が今ので終わったとは思えない。あの足跡もすぐに自分らを追ってくるはずだ。
おくうの今の状態を考えるとあまり頼める立場ではないが、このままではまたやられてしまう。
さとりは空に向かって、急いでここを離れようと叫ぼうとした…だがその瞬間、脳内に響く『声』がそれを遮る。
『く■…奇襲■失敗■■したか…!■■し、こ■も超■るべ■『試■』…!■対に逃が■な■!』
『■の翼■持つ妖■の方…■ん■もな■火力■持っ■■わ。でも■相■が炎■操■なら…!』
相変わらずひどく靄がかかったように曖昧だが、さとりの『第三の目』には2人の心の声が確かに届いた。
近くに居る!
「おくう!貴方の右後方に居ますッ!」
その機敏な叫声とほぼ同時に、空はさとりの示す方向へと腕を構え、再度燃焼エネルギーを集中させる。
狙うは木々の陰!撃つは大火力の『メガフレア』!!
回避不能の広範囲の火焔が地を焦がしながら視界を埋め尽くし、敵の隠れる木陰へと放たれたッ!
―――が、ここで不可解な事象が発生した。
一直線に敵へと向かう爆発の如き紅焔が、突然飴細工のように軌道を上方に曲げて目標を逸れたのだ。
特大の爆焔は木々を焼け焦がしながら、そのまま朝空の彼方へと消えていった。
「…ッ!? あ、あれれ?なんで勝手に曲がっちゃうの!? しかも今のも『メガフレア』じゃなく『ギガフレア』だった…!」
わけのわからぬ2つの現象に頭を悩ませるも、空はもう一度攻撃を撃ち込もうと腕先へと霊力を高める。
しかし、そこですぐにさとりの制止が入って空を止めた。
「待っておくう!言ったはずよッ!『無茶はしないで』と!今の貴方は能力の制御が出来ていないッ!」
攻撃の挙動をピタリと止め、空は歯痒い思いで握り拳を作ったが、現状は確かにさとりの言った通りだった。
先の爆撃も、そして今の爆撃も共に『メガフレア』を放ったはずだ。
しかし発射されたのは上位互換である『ギガフレア』。明らかに力をコントロール出来ていない証拠だ。
加えて空は己の身に少しずつ『異常』をきたしているのを自覚し始めていた。
(う…!なんか、やっぱさっきからどうも身体が『熱い』…かも…!)
元々一介の地獄鴉に過ぎぬ妖怪に、八咫烏の強大すぎるエネルギーは不釣合いであった。
だからこその制御棒なのだが、それも無い今、核融合の力は空の身体に無尽に溜まり募るばかりだ。
これ以上空に無理をさせるわけにはいかない。かくなる上はこの自分が…!
そう思い始めるさとりだったが、またも予想外の事態が現れた。
「…妊婦さんの言う通りよ。そっちのカラスさんの『焔』の爆撃は私達には通じないわ。それでもいいのなら、どうぞ。好きなだけ撃ちなさい?」
木陰から二人の女性が堂々と姿を見せた。
一人は金色の髪と瞳で、何故か『植物』の様な物を持った小柄な少女。
もう一人は同じく金色の髪で、頭上に花を模した飾りを付けた女性であり、見れば左腕を欠損している様子だ。
秋静葉と
寅丸星。
狩人と化した二人の『修羅』がさとりと空を冷たく、しかしドス黒く燃える視線で射抜いていた。
彼女らの両の瞳に映るのは、狂気にも近い『執念』。
その並々ならぬ感情を直視したさとりに戦慄、走る。
敵と遭遇した場合、『説得』という選択肢も頭に入れていたさとりも、その行為は『不可能』だと直感した。
わざわざ二人揃って姿を現したということは、今度こそ自分らにトドメを刺せるという『確固たる手段』があるということ。
そして自分も空も満足に能力を発揮し得ぬ現状、残る道は『逃走』だ。
碌に歩けぬ自分でも怯ませるぐらいは出来る…そう思考する矢先、自分の盾になるように前へと躍り出た影は空のもの。
「さとり様!少々の無茶でもお許し下さい!私はまだ戦えますッ!」
叫び、再び敵の二人へと腕を構える空。
だが、それを黙って見ている場合ではない。さとりはすぐに空を止める。
「約束したでしょう、おくう!!それに無駄よ!あの二人に『焔』の攻撃は届かないッ!」
慣れない大声で叫ぶさとりは考える。
先程、空が撃ち放った高威力の『ギガフレア』でさえ、敵を避けるようにして外れた。いや、『外された』。
何か『トリック』がある。しかしそれが何かと聞かれれば…皆目見当がつかない。
頼みの読心能力も制限のせいで、この距離ではあまり役に立たない。
ならば…!
「おくう退いてッ!!想起『テリブルスーヴニール』ッ!!」
前を立ち塞ぐ空を強引に退かし、さとりは残った力を振り絞って自身の切り札を発動させる。
眠りを覚ます恐怖の記憶(トラウマ)を呼び起こす白光する光源を敵に向けて放ったッ!
「!? いけません、静葉さん!あの光を見ては……うああッ!!!」
「うっ……!? ああああぁぁあああッ!!!!」
寅丸は相手の抵抗を警戒するも、既に遅かった。
さとりのテリブルスーヴニールは光を直視しただけで術中に陥る。後手に回れば、回避は殆ど不可能に近い能力なのだ。
寅丸と静葉は一瞬の隙を突かれ、自身の持つ最悪の『トラウマ』に強制的に襲われてしまう。
―――『想起』ッ!
――
―
『秋穣子よ!み・の・り・こッ!さっきから聞いてたら、いきなり拉致して、今度は殺しあえ!?あんた達何考えてんのよッ!』
『あのさぁ、君こそ僕の説明聞いてた?それとも幻想郷じゃ、丁寧に説明している相手に喧嘩吹っかけるのが挨拶なわけ?』
『ンフフ、まあまあ荒木先生。一寸待って下さい』
『ちょうど良いじゃないですか。我々に逆らったらどうなるか説明するのは、具体例を挙げるのが一番だと思いますよ。その子『神様』の部類ですし』
『そうか、それは確かに都合がいい』
『ちょっとアンタ!人の話聞いてるの!何二人で変な事言い出して……』
―――ボンッ
「う……いやぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアアアアアアアァァァア``ア``ア``ア``ア``ッッ!!!!!!!」
―――『想起』ッ!!
――
―
『…ご主人、もう奴はそう長くないだろう。惨いことになるが――――』
―――パァン。
『―――え?』
『ナズー、リン―――』
『何かと思えば…』
『この『
カーズ』にとって、雑作もない虫ケラ共か』
『―――――貴、様ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!!』
―――パァン。
「ひ……っ!?あ…あぁ……うぁああああああぁぁぁああああ……ッッ!!!!!」
絶叫。
頭を押さえ、恐怖の涙を流しながら悲鳴を上げる静葉。
失った左腕の傷口を押さえ、絶望のあまり地に転げる寅丸。
傷を抉ったその上からまた刃物で突き刺すような、そんな絶望的な悲鳴を聞きながら、さとりは空へと撤退の指示を出す。
空は慌ててさとりを抱きかかえ、黒き翼で飛翔を開始する。またとない逃げのチャンスだ。
苦痛にもたげる静葉たちの姿を視界に入れながら、さとりは自身のこの能力にやはり良い感情は浮かべなかった。
敵とはいえ、心の傷を無理矢理掘り起こして嬲るなどという悪魔のような力は、他人に恐れられて当然であった。
複雑な感情を心に宿しながらも、今はただこの敵から全力で逃げなければいけない。それのみを考える。
「さとり様!飛ばして行きますからしっかり掴んでて下さいッ!!」
核エネルギーを推進力にしての高速飛行。
低空で燃費も悪いが、主を危険に晒すわけには絶対にいかない。
空はさとりを胸に抱えたまま、全力で飛び立った。
どんどん小さくなる静葉たちの姿を後方に置き、深く暗い魔法の森を突き進む。
その時、背後から静葉の殺意に塗れた絶叫が木霊した。
「く、くそォォッ!!『アンタ達』ッ!!絶対にブッ殺してやるぅぅぅぅゥゥーーーーーーッ!!」
ゾワリ…!と、さとりの背筋に鳥肌が立った。
敵意を向けられるのは慣れていたが、あれほどまでの狂気に堕ちた『執念』を向けられたのは初めてだった。
怖かった。
すぐにこの場から逃げ出したかった。
トラウマを掘り起こした際に少しだけ覗いた彼女らの『記憶』は、愛する者を失ったことから這い出てきた、凄惨な『執念』。
―――もし、自分も愛する家族を失ってしまったら…。
―――彼女たちのように執念に取り憑かれたりはしない……そんな根拠が果たして自分にあるのか。
さとりが恐怖を覚えたのはそこであった。
震え始めた腕で懸命に空へしがみつくさとりを、ギュッと抱きしめ返す空は何を思うか。
陽も届かぬ不気味な森を突き進む二人の背中は、ひどく小さく見えた。
「さとり様……私は…私が、さとり様をお守りします…!必ずや…!」
腕の中でしっかりと抱かれたまま聞いた家族の決意は、さとりの心へと穏やかに染み入って聞こえた。
主である自分がこんな情けない姿を見せるわけにはいかない。
希望は、ある。
もしも『彼ら』に会うことが出来れば、この絶望的な状況にも『光の路』が見えてくるかもしれない。
それを考えると、この不安な心にも何故だか『勇気』が湧いてきた。
絶対に、あの平和な日常へと帰ろう…!家族全員で!
―――だが、運命の足音は残酷にもすぐそこへと迫ってきていた。
「さとり様ッ!またあの『足跡』ですッ!左右から追ってきますッ!!」
「…!?」
しまった!
後ろを振り返りながらさとりは悔やむ。
空の負担を考えて、速度を上げすぎないようにしたのが裏目に出てしまったのだ。
さとり達の右後方、左後方から無数の足跡が飛来してくる!
「ハァ…ハァ…ッ!さ、とり様…!速度を、上げます…!振り落とされないように…お願いします!」
空の様子がおかしい。飛行に使う核融合エネルギーをやはり制御し切れていない。
加えて先程もあの足跡に散々体力を吸われたばかりなのだ。
彼女の額に汗がダラダラと垂れ始め、かなり無理をしていることはさとりの目から見ても明らかであった。
「おくう!お願い!無理はもうしないで…ッ!このままじゃあ貴方…!」
「大丈夫、です…!あの足跡…そこまで速いスピードではないようです…。きっと、振り切れる…ハァ……ッ!」
苦しそうに飛び続ける空の言う通り、確かにあの足跡たちの速度はそこまで速いものではなかった。
だが、さとりはその様子を見ながらも、何か『違和感』を感じた。
左右から追ってくる足跡。
追いつくか、追いつかれるかのギリギリの距離感。
何だ。この違和感の正体は。
『何か』…重大なことを忘れているような……思い出せ…ッ!
自分の記憶の中にその正体はあるはずだ。それは何だ。
このだんだんと追い詰められているような悪寒は…………
―――『追い詰められて』……
(…………!)
嫌な予感の正体はつい数分前の記憶にあった。
まさか…と思いながらも、さとりは急いでデイパックの中の『地図』と『コンパス』を取り出す。
コンパスの指針と自分達が飛び向かっている方向を見比べる。
それは『偶然』なのか、はたまた敵に『嵌められた』か。
―――自分達は現在、『西』に向かって飛んでいる。
(マズイッ!!確かさっきまで私達がいたエリアは………『C-4』ですってッ!!)
バサバサと風に煽られる地図を苦労して広げた結果は、最悪の事実を伝えていた。
このまま逃げ続けていれば…いや、もしかしたら既に『進入』しているかもしれない…!
確か…確かさっきの放送で伝えられた『禁止エリア』の場所は…!
「おくう!!罠よッ!!私達は知らず知らずの内に『誘導』させられていたッ!!ここは既に禁止エリア…『B-4』よッ!!」
「禁止…エリアですか…?そこに入ったら、どうなるんでしたっけ!?」
進入して10分経てば、二人ともボカンだ。
二人の身体に寒気が過ぎる。すぐにこのエリアから脱出しなければいけない。
だが、どうやらそれも難しいらしい。足跡たちが右からも左からも迫ってくる。
今更方向を変えることは許されそうにない。ならばどうするか…?
決まっている。このままA-4まで直進するしかないッ!
この速度なら…恐らく10分以内に禁止エリアを通り過ぎることも難しくはないだろう。
スピードを上げたならば…もしかしたら北か南のエリアまですぐに曲がり切れる可能性はある。
だが、空の不調を考えればそれは悪手のような気がしてならない。
ここで彼女に無理をさせ、取り返しがつかない事態にまで発展する可能性もある。
どうする…!?どうすれば…この状況を切り抜けられる…!?
「ハァ…ハァ……!気に、しないで下さい、さとり様…!私は…貴方をお守りすると…約束、しましたので…!」
さとりを見下ろし、苦しげな笑顔で微笑む空に対し、さとりは頑張って下さい、とはとても言えなかった。
「ダメ…ダメですよ、おくう…!約束、と言うのなら貴方はもうひとつ約束をしたはずです。『絶対に無茶はしない』と…!
方向は、このままです。敵に追いつかれない、ギリギリの速度で飛んで下さい…!絶対、何とかなるはずです!」
その根拠も無い結論が、しかし空を不思議と安心する気分に浸してくれた。
(さとり様の命令なら凄く安心できる。私に勇気をもたらしてくれる!
この人のためなら、何も怖くない!つらくない!
…だから、見てろよこの『敵』ッ!さとり様を傷付けようとするコイツらは絶対に許さないッ!
今は逃げるだけだが、あとでコテンパンにボコボコにしてやるッ!!)
心中で深く決心する空は、今は主を抱えて逃げるしか出来ない。
深い森の中で、二人の逃避行は終わらない。
『光』を求めて、『希望』に縋って、終わりの見えぬ絶望の底から飛び立つ為に翼を広げる。
その先にあるのは…果たして『終焉』か。それとも…。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
『秋静葉』
【朝】C-4 魔法の森 西
「はぁー…!はぁー…!あいつら…絶対に許せない…ッ!すぐに追いかけて…殺してやるわッ!」
『トラウマ』に襲われた衝撃からか、涙を流しながら吐き気をどうにか抑え、代わりに唾罵を走らせる静葉。
さとり達の逃げた方向を睨みつけながら、普段吐いたことのないような悪態を吐く。
「静葉さん…大丈夫、ですか…!」
地面に手をつく静葉を心配して近寄ってきた寅丸であったが、彼女の方もあまり無事な容態ではない。
二人揃ってなんてザマだ…静葉は表情を苦渋に歪めながら悔しそうに拳を地面に叩きつけた。
その様子を眺めながら寅丸は、自らの心情を吐露する。
「静葉さん…私は先の攻撃で、かつての『部下』が殺された光景を見せ付けられました…。
『
ナズーリン』…とても利口で、私の誇りある部下、でした」
「……」
「そんな彼女も既にこのゲームで殺され、私は彼女を殺した大男からも惨めに逃げおおせ…そして貴方と出会いました。
貴方と組む事を決意し、実際に大事な弟子をも殺めました。
そのことで私はやっと自分の気持ちに『区切り』を付けられたのだと…そう思っていました」
「…でも、そうではなかった」
「…はい。ナズーリンが殺される瞬間がいつまでも脳裏にこびりつき、私の『最も嫌な記憶』として襲われ、みすみす敵を逃してしまった。
それは私の『弱さ』であり、『恐れ』なのでしょう。『恐怖』を乗り越えなければ、このゲームに生き残ることは出来ません」
「…私も同じ気持ち。しかし『恐怖』は我が物にしてこそ乗り越える『価値』がある…そうよね?」
「はい。しかし無念ですが、私達はその域まで達していなかった。それ故の失態が、先の戦闘です。
静葉さんと出会った時、貴方は言ってくれました。
『強くなるには“感情”を克服しなければならない』
『最早私達に感情はない。弱者で罪人で死人なら、それに見合った戦いをすればいい』…と」
「…自分で言っておいて、全く呆れ果てる発言だったわね。私達、結局ちっとも強くなれてない。
私達は、自分に敗北したようなものよ…。お互い、随分平和ボケした人生を送ってたみたいね」
自嘲するような笑いが口から漏れ、静葉は悔しさで拳を握り締める。
そしてボソリと、彼女の口から静かなる怒りが吐かれた。
「―――このままでは、終われない…絶対に……!」
「…既に『ハイウェイ・スター』はあの二人の『ニオイ』を覚え、追わせています。
あの二人を禁止エリアに追い込む所まで詰めていますが…ハイウェイ・スターの射程距離はエリアを飛び越えてまではいけない…。
つまり私から1キロ以上離れられません。すぐに追いますか?」
「当然、追うわ。次はこんな失敗…絶対に起こさない…!少しずつでいい…『成長』しなくては…!」
そう言って静葉は手放してしまった『猫草』を拾い、追撃を仕掛けようと、敵の逃げた方向を見据える。
「静葉さん。さっきはあの地獄鴉の爆発的エネルギーを『空気』を操って逸らしました。
その猫草とやらの能力で周りに『真空』を作り、意図的に『空気の道』を生み出せば、酸素を源とする『焔』の攻撃はその『道』に沿らせて避わせるでしょう。
しかしあの妖怪の力の本質は『核融合』の能力と聞きます。
いくら真空状態でも『核融合』の力そのものをぶつけられれば、防御し切れない可能性が高いです。
『猫草』の能力を過信して、近づき過ぎないようにして下さい」
「成る程…『戦い』に関しては貴方の方が熟知しているってわけね…。
分かった、心に刻んどくわ。そして、奴らは今すぐ追って仕留める…!
禁止エリアだろうが何だろうが、知ったこっちゃないわ。
私は貴方よりも山や森を歩き慣れていると思う。先陣は私が切るから寅丸さんは後からついてきて、私をフォローしてくれる?」
「決まりですね。急いで彼女たちを追いかけましょう。私は聖のため…この闘いに必ず勝ち残る」
「私も…穣子のために、絶対…!」
かくして二人の修羅は、駆けた。
その金色に輝く髪を血の色で染めようとも、彼女たちは決して戦いをやめることはないだろう。
何故なら、二人の叶えるべき『想い』は、終焉のその『先』にあるのだから。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
【B-4 魔法の森 東/朝】
【古明地さとり@東方地霊殿】
[状態]:脊椎損傷による下半身不随?内臓破裂(波紋による治療で回復中)、体力消費(中)、霊力消費(中)
[装備]:草刈り鎌、聖人の遺体(頭部)@ジョジョ第7部
[道具]:基本支給品(空のもの)
[思考・状況]
基本行動方針:地霊殿の皆を探し、会場から脱出。
1:おくうと共に億康達と会って、謝る。
2:ひとまずこの敵から逃げなくては!
3:おくうに無茶はさせない。
4:お腹に宿った遺体については保留。
[備考]
※会場の大広間で、火炎猫燐、霊烏路空、古明地こいしと、その他何人かのside東方projectの参加者の姿を確認しています。
※参戦時期は少なくとも地霊殿本編終了以降です。
※読心能力に制限を受けています。東方地霊殿原作などでは画面目測で10m以上離れた相手の心を読むことができる描写がありますが、
このバトル・ロワイアルでは完全に心を読むことのできる距離が1m以内に制限されています。
それより離れた相手の心は近眼に罹ったようにピントがボケ、断片的にしか読むことができません。
精神を統一するなどの方法で読心の射程を伸ばすことはできるかも知れません。
※主催者から、イエローカード一枚の宣告を受けました。
もう一枚もらったら『頭バーン』とのことですが、主催者が彼らな訳ですし、意外と何ともないかもしれません。
そもそもイエローカードの発言自体、ノリで口に出しただけかも知れません。
【霊烏路空@東方地霊殿】
[状態]:右頬強打、腹部に打撲(中)、体力消費(大)、霊力消費(大)、体温上昇(中)、僅かな罪悪感
[装備]:制御棒なし
[道具]:なし(基本支給品は現在さとりが所持)
[思考・状況]
基本行動方針:地霊殿の皆を探し、会場から脱出。
1:さとり様をお守りする!
2:地霊殿の住人は保護する。
3:ひとまずこの敵から逃げなくては!
4:あの人間(ジョナサン、億泰)に会ったら…謝る?う~ん…。
5:ワムウ(名前知らない)は私が倒した(キリッ
[備考]
※参戦時期は東方地霊殿の異変発生中です。
※制御棒の喪失により核融合の能力が不安定な状態になっています。
その為、能力使用の度に核融合の熱によって体温が際限なく上昇します。
長時間能力を使わなければ少しずつ常温へと戻っていきます。
それ以外にも能力使用による影響があるかもしれません。
【C-4 魔法の森 西/朝】
【秋静葉@東方風神録】
[状態]:覚悟、主催者への恐怖(現在は抑え込んでいる)、
エシディシへの恐怖、精神疲労(中)、みぞおちに打撲、
右足に小さな貫通傷(痛みはあるが、行動には支障ない)、エシディシの『死の結婚指輪』を心臓付近に埋め込まれる(2日目の正午に毒で死ぬ)
[装備]:猫草(ストレイ・キャット)@ジョジョ第4部、上着の一部が破かれた
[道具]:基本支給品、不明支給品@現実×1(エシディシのもの、確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:穣子を生き返らせる為に戦う。
1:感情を克服してこの闘いに勝ち残る。手段は選ばない。
2:だけど、恐怖を乗り越えただけでは生き残れない。寅丸と共に強くなる。
3:さとりと空は必ず仕留める。
4:エシディシを二日目の正午までに倒し、鼻ピアスの中の解毒剤を奪う。
5:二人の主催者、特に太田順也に恐怖。だけど、あの二人には必ず復讐する。
6:寅丸と二人生き残った場合はその時どうするか考える。
[備考]
※参戦時期は後の書き手さんにお任せします。
※猫草で真空を作り、ある程度の『炎系』の攻撃は防げますが、空の操る『核融合』の大きすぎるパワーは防げない可能性があります。
【寅丸星@東方星蓮船】
[状態]:左腕欠損、精神疲労(中)
[装備]:スーパースコープ3D(5/6)@東方心綺楼、スタンドDISC『ハイウェイ・スター』
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:聖を護る。
1:感情を克服してこの闘いに勝ち残る。手段は選ばない。
2:だけど、恐怖を乗り越えただけでは生き残れない。静葉と共に強くなる。
3:さとりと空は必ず仕留める。
4:誰であろうと聖以外容赦しない。
5:静葉と二人生き残った場合はその時どうするか考える。
[備考]
※参戦時期は神霊廟以降です。
※能力の制限の度合いは不明です。
最終更新:2014年09月23日 22:46