第046話 湘北の柱 ◆SzP3LHozsw
「――とは言ってみたものの、なんのアテもなく捜し回るってのは結構骨だよな……」
地図を片手に、溜息混じりに呟く。
地形と地図を照らし合わせたところ、どうもさっきまで寝ていた崖がA-2らしいことは既にわかっていた。
そこから道なりに少し歩いたのだから、ここがB-2付近ということもほぼ間違いないだろう。
自分の居場所がどこか把握できているのだから、多少は動きやすそうに思えるのだが、逆に自分の位置を知ってしまっただけに軽い失望を覚えた。
なにせ今自分が居るのは北の一番外れなのである。
これから島中を虱潰しに捜し回るとして、一体どれくらいの労力と時間が掛かるのか――。漠とし過ぎていて思いも及ばない。
地形と地図を照らし合わせたところ、どうもさっきまで寝ていた崖がA-2らしいことは既にわかっていた。
そこから道なりに少し歩いたのだから、ここがB-2付近ということもほぼ間違いないだろう。
自分の居場所がどこか把握できているのだから、多少は動きやすそうに思えるのだが、逆に自分の位置を知ってしまっただけに軽い失望を覚えた。
なにせ今自分が居るのは北の一番外れなのである。
これから島中を虱潰しに捜し回るとして、一体どれくらいの労力と時間が掛かるのか――。漠とし過ぎていて思いも及ばない。
「まあ、嘆いてみたところで何も始まらねえか」
かぶりを振って無意味な考えをかなぐり捨てる。
大事なのは気力を失わないこと。安西流に言えば『諦めたらそこで試合終了』なのだ。
意味のない懸念に囚われて気力をなくすほど、愚かなことはなかった。
大事なのは気力を失わないこと。安西流に言えば『諦めたらそこで試合終了』なのだ。
意味のない懸念に囚われて気力をなくすほど、愚かなことはなかった。
「んじゃあ、どうすっかな」
ちょうどY字路に差し掛かっていた。
左に折れればB-03に入り、やがて鎌石村に出る。
右に行けば、迂回しながら右手に海岸線を見るルートで南下して行くことになる。
或いは第三の選択として、車道を降りて道なき道を行くこともできた。
左に折れればB-03に入り、やがて鎌石村に出る。
右に行けば、迂回しながら右手に海岸線を見るルートで南下して行くことになる。
或いは第三の選択として、車道を降りて道なき道を行くこともできた。
(村なら隠れる場所とかあるだろうし、食い物や武器だってあるかもしれないから、あいつらや晴子ちゃんを捜すんなら立ち寄ってみてえけど、
あんまし目立つような行動してるとこっちが誰かに見つかっちまうかもしれねえんだよな……)
あんまし目立つような行動してるとこっちが誰かに見つかっちまうかもしれねえんだよな……)
できれば誰にも出くわすことなく、安全に行きたい。しかしそれは自分の意思だけでどうにかなるものでもない。
丸く膨らんだデイパックに視線を移した。
丸く膨らんだデイパックに視線を移した。
「なんつったって、こっちはバスケットボール1個しか持ってねえ」
悩みどころだった。
この手持ちの危うい状態で、人が集まりやすいだろう村を目指すのか。
それとも敢えて危険は冒さず、村のような目立ちやすい場所は避け、何のアテもないまま野山を経巡るのか。
いずれの道を選ぶにせよ、大変なのは間違いない。
この手持ちの危うい状態で、人が集まりやすいだろう村を目指すのか。
それとも敢えて危険は冒さず、村のような目立ちやすい場所は避け、何のアテもないまま野山を経巡るのか。
いずれの道を選ぶにせよ、大変なのは間違いない。
(問題は、あいつらがどう動くかだ)
肝心なのはそこだ。どんな行動をするのか予測しながらでないと、この広い島で捜し出すのは困難である。
村にある家屋に閉じ篭もって震えているのであれば話は早いが、どうもそんな姿を想像できない連中ばかりだった。
村にある家屋に閉じ篭もって震えているのであれば話は早いが、どうもそんな姿を想像できない連中ばかりだった。
(例えば桜木はどうだ――。あいつなら「ハルコさーん! 今行きますからねー!」とかなんとか叫びながら、島中をウロチョロ動き回る。
あの馬鹿のことだから、これは間違いねえ)
あの馬鹿のことだから、これは間違いねえ)
そんな桜木の姿なら容易に想像つくから不思議だった。
(宮城はどうだ? あいつなら……駄目だ、あいつも桜木と似たようなところがあるから、とても大人しく隠れているとは思えねえ。
なら流川は……って同じだな。何考えてるかわからないとこはあるが、やっぱじっとしているような奴じゃねえか……)
なら流川は……って同じだな。何考えてるかわからないとこはあるが、やっぱじっとしているような奴じゃねえか……)
どいつもこいつも、揃いも揃ってそういう奴らばかりなのだ。
これでは捜す方は気苦労が絶えない。
これでは捜す方は気苦労が絶えない。
(こんなとき、赤木が居りゃあな……)
不意にまた背番号4を背負った背中が見えた。大きく、頼もしい背中だった。
もしここに本当に赤木が居たら、どれほど救われることか――。
単に人手が増えるというだけでなく、それ以上に精神的支えができるはずだった。決して折れることのない、湘北の大黒柱だ。
もしここに本当に赤木が居たら、どれほど救われることか――。
単に人手が増えるというだけでなく、それ以上に精神的支えができるはずだった。決して折れることのない、湘北の大黒柱だ。
(赤木が居ればここまでの苦労をすることもないだろうし、赤木が居れば負担は軽くなる。赤木が居れば……)
「――ってよせよせ! 感傷的になっちゃ駄目だ」
「――ってよせよせ! 感傷的になっちゃ駄目だ」
声に出して言うと、朧に浮かび上がっていた赤木の背中はすっと闇に消えた。
少し寂しい気もしたが、それでよかった。
少し寂しい気もしたが、それでよかった。
「俺が冷静さを欠いちまったら、誰があの馬鹿共をまとめるっていうんだ? 赤木が居ない今、その役は俺が背負わなきゃなんねえ。
しっかりしろよ三井寿。お前がビシっと決めてなきゃ、みんな二度と湘北に戻れなくなっちまう。またやるんだろ? バスケ。
だったら弱音なんか吐くんじゃねえ。赤木のことも、今は忘れろ。今は生きている奴だけのことを考えるんだ」
しっかりしろよ三井寿。お前がビシっと決めてなきゃ、みんな二度と湘北に戻れなくなっちまう。またやるんだろ? バスケ。
だったら弱音なんか吐くんじゃねえ。赤木のことも、今は忘れろ。今は生きている奴だけのことを考えるんだ」
それで迷いは吹っ切れた。
また気力が漲ってくるようだった。
また気力が漲ってくるようだった。
「生きてる奴のことか……。そうだ、晴子ちゃん。他の奴らは自分達で何とかするだろうとして、あの子だけは誰かが守ってやらねえと」
晴子のことを考える。最後に見たときの様子からして、とても平静ではいないだろう。
放っておいていい状態ではないはずだった。一刻も早く合流して、助け支えてやる必要がある。
散々悩んだ挙句、足は左の道を選んでいた。
まずは鎌石村に赴き、そこで晴子を捜す。危険は承知の上だった。
放っておいていい状態ではないはずだった。一刻も早く合流して、助け支えてやる必要がある。
散々悩んだ挙句、足は左の道を選んでいた。
まずは鎌石村に赴き、そこで晴子を捜す。危険は承知の上だった。
「こういう展開でこそ、オレは燃える奴だったはずだ。行ってやろうじゃねえか鎌石村。鬼が出るか蛇が出るか……へっ、面白れえ、試してみるか」
デイパックに収められたバスケットボールをおまじないのようにひと撫ですると、居るかどうかもわからない晴子を求めて歩度を速めた。
【B-02/車道/一日目・午前3時ごろ】
【男子37番 三井寿@SLAM DUNK】
[状態]:健康
[装備]:バスケットボール@SLAM DUNK
[道具]:支給品一式
[思考]:1.湘北メンバーと晴子を探す
2.生き残って、バスケのある日常へと帰る
[状態]:健康
[装備]:バスケットボール@SLAM DUNK
[道具]:支給品一式
[思考]:1.湘北メンバーと晴子を探す
2.生き残って、バスケのある日常へと帰る
| リング | 三井寿 | 会合 × ボス郎 × DEATH NOTE ~そして対主催へ |