クラス:アヴェンジャー
真名:ウラジーミル・コマロフ
性別:男性
全長/重量:273cm/--kg(鎧装着時。重量は国家機密に付き記載不可)
身長/体重:181cm/78kg(人間時。全身を炎が覆っているため身長は不定)
属性:秩序・悪
地域:ソビエト連邦
出典:史実
筋力:B+ 耐久:A 敏捷:B+ 魔力:E- 幸運:E- 宝具:EX
復讐者:D
祖国ソビエトへ抱く憎しみ。復讐者としてのランクは低く、補正も些細なもの。
それは抱いた復讐心が「打倒」へと繋がらずに潰えた事による。若干の精神汚染が見受けられる程度。
騎乗:C-
騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせる。
航空関係であれば十分に搭乗可能。但しコマロフが操作した乗り物は必ず“墜落”する。
星の開拓者[偽]:E
人類史においてターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル――――その模倣。
あらゆる難航・難行を“実現不可能なまま”“あり得る「イフ」として成立させる”。不確定な未来を「成功」した未来に固定する楔。
コマロフの場合は「ソユーズ1号の着陸が成功した未来」にその身を紐付けし、自身を覆う鎧として固定化させている。
魔力放出(炎):A+++
武器ないし自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出することによって能力を向上させる。
ソユーズ1号の墜落時、その身を覆った業火の具現。本人の意志で制御する事は出来ず、絶えずその身から放出し続ける。
鎧装着時はメインエンジンの燃料兼推進力として使用。鎧解除後は体中から炎が溢れ出し、火属性に対しての完全な耐性と吸収能力を獲得。
紅鉄の鎧:EX
コマロフの身体を覆う異形の鎧。科学の粋が詰まった機械鎧で、宇宙空間での活動すらも「事実上は」可能。
メインエンジン1基に加えサブエンジンを3基搭載。ソーラーパネルによる魔力供給を可能とし、ブースターを転用した短距離主砲を2門搭載する。
最大出力時には筋力及び敏捷値にブースト補正が付与。発動後はクールタイムとして5ターンの間行動不能に陥る。
赤熱した鉄を髣髴とさせる彩りに胸元に刻まれた鎌と槌は、彼の祖国「ソビエト連邦」の国旗がモチーフだという。
後述する宝具『死出の鉄棺』発動後は消失。パージされた機体は炎となって、燃え盛るコマロフ本体へと吸収されていく。
『死出の鉄棺(ソユーズ・アズィン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:10,000km 最大捕捉:1人
全身を覆う『紅鉄の鎧』を用いて巨大な一つの有人宇宙船――――『ソユーズ1号』へと変形する。
形状こそ史実通りの機体だが、ロケットを使用せずとも打ち上げが可能なように大出力のエンジンを搭載、全ての武装を「推進力」へと転用するなど内部構造は大きく変化している。
発動の際には目標を半強制的に搭乗させる為、性質的には固有結界に近いものとなる。しかしその在り方や規模は大きく異なる為、既に展開された固有結界内でも使用可能。
発動後は数秒後のカウントダウンの後点火、飛翔。最大出力で大気圏へと突入した後にコントロールを失い、地上へ向かって急降下…………そして、墜落。爆発炎上後に『紅鉄の鎧』ごと消失する。
宝具発動後にはスキル:『紅鉄の鎧』を失う代わりに『灰鉄の躰』を獲得。物々しい無骨なる機械の姿から一転――――燃え盛る炎を纏って戦闘を続行する。
コマロフが搭乗した宇宙船「ソユーズ1号」。コールサインは「ルビー」。
打ち上げ以前から多くの欠点や弱点が指摘されていた機体であったが、政府の圧力により発射が強行された。
結果として、多くの者がソユーズ1号へ抱いていた杞憂は現実のものとなり、機体は制御不能に陥った後落下。パラシュートも機能せずに墜落し、爆発炎上の後に大破する。
そんなソユーズ1号の失敗を宝具とし、自らを“復讐者”たらしめる楔とした。この宝具は彼が抱く「無念」、そして「怨嗟」の象徴であり、同時に終ぞ得る事の叶わなかった「栄光」への渇望なのである。
なお、本来の搭乗者はコマロフではなく「ユーリイ・ガガーリン」。後に人類で初めて宇宙空間へと飛び出した星の開拓者にして……コマロフにとって、掛け替えのない親友であった。
生きては帰ってこれぬ片道の旅であると知っていたからこそ、コマロフは自ら搭乗を名乗り出た。親友の命を守るために―――――栄え在る星の開拓を、唯一人の友人へと託すがために。
『仇す革命(ペレストロイカ)』
鎧が背負う2門の主砲。ブースターを改装したミドルレンジモデル。最大射程は100mほど。
実弾を射出するのではなく、点火時に生じる炎そのものを放出し攻撃を行う。瞬間特化の火炎放射器めいたもの。
『労る紅槌(モーラト)』
推進機関を内蔵した大型の鉄槌。艦船の主砲に用いられる弾頭を装填し、爆発的な威力を発揮させる。
『培う紅鎌(セールプ)』
物々しい刃を備えた大型の鉄鎌。随所に肉抜き加工が施されており、見た目とは裏腹に取り回しは良好。
灰鉄の躰:-
コマロフの本体。炎が覆うその肉体は、既に灼熱の業火により焼き尽くされ、隅々まで炭化した“亡骸”である。
スキルではなく呪い。紅鉄の鎧及び『死出の鉄棺』発動後に入れ替わりとなる形で出現。全ての能動的物理干渉が不可能となる。
『赤の奈落(クラースヌィ・ビェズドナー)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~200 最大捕捉:300人
纏う炎を極限まで圧縮、有する魔力全てを擲って炸裂させる“墜落の火”。
彼の遺体に埋まる機体の残骸、鉄片等も全て射出し、全方位へ向けてのオールレンジ攻撃を敢行。
半径100m全てを焼け野原へと変える程の威力を誇り、『死出の鉄棺』が墜落までの行程を再現する物であるのに対し、こちらは純粋に墜落時の「爆発」を現すものである。
炭化したコマロフの身体を形成する炎すらも放出してしまう為、発動後には焼き焦げたコマロフ本体が現れた後……燻ぶる炎を揺らしながら、怨嗟の言葉を残して灰と化す。
発動後も集中的に魔力供給を行えば霊格を維持できるが、仮に実体化出来るまで回復したとしても戦闘能力は皆無な為ほぼ無意味。
無骨な鎧に身を包んだサーヴァント。背後からは絶える事なく炎が吹き出し、その巨体が僅かにでも動いたならば金属の軋む音が響き渡る。
内部を覗く事は出来ず、頭部の球状ディスプレイから見えるのは炎ばかり。重厚な紅の機体から感じ取れる感情は、偏に溢れ出す「復讐心」のみである。
基本的に言葉を発する事はなく、機体から響くのは重たい金属音と駆動音、そして滾る炎の音のみ。時折機械的なシステム音が響くものの、それは「鎧」に搭載された物に過ぎない。
命令を下されれば忠実に行動し、圧倒的な破壊力を以ってマスターへと「勝利」を授ける。ある程度の意思疎通は可能なようで、頷いたり首を振ったり、時にはサムズアップで感情を知らせることも。
ディスプレイには投射機能が備わっており、行動のみでは意思疎通が困難な場合のみ「文字を直接表示する」事で意志を伝える。尤も、殆どの場合は淡々とした単語であることが殆どだが。
約3メートルという巨体に加えて機械的な風貌。秘匿が優先される聖杯戦争では行動しにくい姿であるため、それを察してか普段は舞台となる街の上空を飛行し哨戒を行っている様子。
その真名は「ウラジーミル・コマロフ」。ソビエト連邦が誇る宇宙飛行士であるが、宇宙へと辿り着く事は無く命を「落とした」パイロット。
ソビエト連邦で初めての有人宇宙船に乗り込んだ人物で、同時に宇宙開拓史に於ける初めての死傷者。死後は国葬に伏され、遺灰は赤の広場へと埋められた。
彼が乗り込んだ宇宙船「ソユーズ」は今でこそ主流な宇宙船の一つとなっているが、当時の彼が搭乗した「ソユーズ1号」は未完成とも呼べるほどの出来栄えで、事前の調査では欠点が203項目も発覚した程。
それは打ち上げ当日にあっても解決される事はなく、もし飛べば「絶対に何らかのトラブルが発生する」という状態にあった。それでも打ち上げが強行されたのは……予定日が、ソ連に取って欠かせぬ記念日であったため。
ソユーズ1号の打ち上げにあたって多くのパイロットが招集されたというが、死ぬ事が決定づけられた泥船に勇んで乗ろうとする者など居ない。なおこの招集には後の英雄「ユーリイ・ガガーリン」も含まれていた。
もし名乗るものが居なければガガーリンが乗せられることだろう。その状況の中で一人名乗りを上げたのは――――――ガガーリンの親友、ウラジーミル・コマロフであった。
打ち上げの当日、ガガーリンは宇宙服を着用してセンターへと姿を表し「コマロフは疲れている、俺を乗せてくれ」と頼み込んだというが、その願いが聞き届けられることは無く……継ぎ接ぎの鉄棺は、夜空へ向かって飛び立っていく。
結果、多くの者が抱いた杞憂は現実のものとなる。大気圏に突入したソユーズ1号は幾つものトラブルを発生させ、帰還用のパラシュートすらも開けぬまま降下を始めたのだ。
やがて灼熱の炎を纏って墜落する機体。管制塔とのやり取りを傍受していた米軍曰く……ウラジーミル・コマロフ最期の言葉は、この未完成な宇宙船を打ち上げたソ連政府の人々を呪う怨嗟の叫びであったという。
1967年4月24日03:22:52、野原へ墜落。衝撃で爆発炎上の後に大破した機体から見つかったものは―――――――。
死ぬ間際に抱いた怨嗟の怒りを、そして自らを焼き尽くした炎を纏い現れたる復讐者「ウラジーミル・コマロフ」。
紅鉄の殻に覆われた炎の身体。炭となって尚“復讐心”だけを糧として、星の開拓者と「なり得た」男は火を滾らせる。
「管制塔。こちらソユーズ1号――――還って来たぞ。私は地球に還って来た。貴様らに赤い地球を見せる為に。」
『栄え在る友に捧ぐ青星(ボリェ・ミール・ガルヴニェーボ)』
ランク:EX 種別:対人[自己]宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
―――――後に、星の開拓者と成る友へ捧ぐ光。
コマロフ本人が気が付かぬ内に得ていた理想。彼が決して自覚すること無く、彼が復讐者である限り扱えぬ慈しみの宝具。
初めて宇宙へと辿り着いた星の開拓者……掛け替えのない親友を救い、間接的に星の開拓者に携わった彼へと与えられた唯一の名誉。
ソビエト連邦に対しての恨みを買われアヴェンジャーと成り果てたコマロフだが―――この宝具の存在に気が付いた時、彼は復讐の輪廻より解き放たれる。
発動の条件は…………聖杯戦争に於いて、嘗ての友人たる『ユーリイ・ガガーリン』と邂逅を果たす事。及び、彼との対話の中で復讐を消し去る事。
彼へ託した開拓が、決して無意味な物でなかったのならば。彼の身代わりとなった自分自身が、決して無駄な死で無かったのならば。
「君の人生が、薄青の栄光に満ちたものであったならば」
復讐の火は終ぞ絶え、現れるはクラス「
ライダー」……宇宙飛行士としてではなく、一人のパイロットとして名を馳せた一人の軍人。
最終更新:2016年09月21日 21:39