オーガスタ・エイダ・ラブレス

【元ネタ】史実/『ディファレンス・エンジン』
【CLASS】キャスター
【マスター】
【真名】オーガスタ・エイダ・ラブレス(結婚前の姿で召喚されているためオーガスタ・エイダ・バイロンとも)
【性別】女性
【身長・体重】
【属性】混沌・中立
【ステータス】筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:A 幸運:E 宝具:EX

【クラス別スキル】
陣地作成:C 
魔術師(クラッカー)として、解析機関(アナリティカル・エンジン)を用いて自らに有利な陣地を作り上げる。
エイダは本来魔術師ではなく、プログラマーの祖とも呼ばれる人物である。
彼女が作成する陣地は、無限に続く数学の世界である。
永遠に解析機関によって計算され続ける“数”の世界こそがエイダの工房。
彼女の陣地に入った者は無限に反復される計算に囚われることとなるだろう。

道具制作:A
魔術(クラッキング)により様々な道具を作り上げる能力。
いわゆる魔術は修得していないものの、解析機関を応用したクラッキングによって事象に干渉し、様々な機械などを生み出すことができる。
機械の動作については、プログラムを記載した機関(エンジン)カードと呼ばれるパンチカードを挿入することによって行われる。


【固有スキル】
解析数学:EX
エイダの高い数学の知識によって獲得したスキル。
解析機関を用いることによって、非常に難解な計算を自在に行う事が可能。
事物を一つの「数式」に変換し、機関によって「解析」する。

クラッキング:B
解析機関に独自のプログラムを走らせることによって、万象を計算し、事象に介入することができる。
言い換えるならば世界の物理法則にハッキングをかけることによって魔術を行使するのである。
干渉し、実行する事象・プログラムの規模が大きければ大きいほど計算には時間がかかる。

機関(エンジン)の女王:A
あるいは、計算機の女王(ラ・レーヌ・デ・ゾルディナトゥール)。
あらゆる種類の機械・計算機を自在に使いこなすことができる。
それはたとえ彼女が生きていた時代には存在していなかったデジタル・コンピュータでも同じである。
ただし、そのためにはまず操作する機械について、「解析数学」を用いて脳内できちんと解析をする必要がある。
その「解析」を元に機械などを操り作成したりするため、ある種の投影魔術とも言える。
また、数学的なものや最新式の技術には強い興味を示すことになり、熱中すれば回りが見えなくなることも。

高速詠唱:B
非常に複雑で高度なプログラムを驚異的なスピードで解析し、走らせる(詠唱する)ことができる。
そのため、本来必要な演算の時間などが大幅に短縮される。

無辜の怪物:B
本人の意思や姿とは関係なく、風評によって真相をねじ曲げられたものの深度を指す。
エイダの場合はその奔放な生活とそのあり方である。
このスキルにより、彼女が生前起こしたスキャンダラスな事件のイメージが増幅され、ギャンブラー、淫蕩、精神疾患のスキルが付加されている。

ギャンブラー:A
生来のギャンブル好きのために付与されたスキル。
エイダは賭け競馬熱中しており、ギャンブル狂といっていいほどのものであったという。勝つよりは負けることのほうが多かったようだ。
根も葉もないものだが、エイダにねだられたバベッジが、数学に基づいて絶対確実な賭けシステムを考案したという噂まであり、その噂がこのスキルを更に強化している。
このスキルのために数学の徒でありながら、ときにギャンブル的思考に陥り、賭け事を持ちかけられれば断れなくなる。
その代わり、その賭けに勝利した場合は己のステータスが強化される。

淫蕩:E
生前の不倫にまつわるエピソードによって付加されたスキル。
生前、エイダは札付きの色事師と関係を持ち、夫がいながら不倫の関係を結んでしまう。エイダは女癖の悪いこの男にたらしこまれ、色々と貢がされてしまった。
このため、そういった女癖の悪いジゴロに弱く、マスター・サーヴァント問わずそのことで油断を生み出すことがある。
特に自らのマスターがそのような男であった場合、好きなように弄ばれかねない。
しかし、サーヴァントとしては、バベッジと初めて出会ったときの少女の姿として召喚されるため、このスキルのランクは最低まで下がっている。

精神疾患:E
真偽の程は別にして、エイダは躁鬱病であったとか、麻薬に手を出していたなどの噂が存在する。
それによって付加されたスキル。
幻覚や幻聴に悩まされることが時折存在する。
しかし、サーヴァントとしては、バベッジと初めて出会ったときの少女の姿として召喚されるため、このスキルのランクは最低まで下がっている。


【宝具】
『燦爛なりし階差世界(プログラム・ラン グレート・モーダス)』
ランク:EX 種別:対軍宝具?
「大解析機関」を召喚し、そこに「モーダス」と呼ばれるプログラムの書かれた機関カードを読み込ませる事によって発動する宝具。
「大解析機関」によって一種の固有結界を出現させる。呼び出されるのは、バベッジの「階差機関」と「解析機関」が完成した有り得た「蒸気文明」、現代とは違う「階差世界」そのものである。
そこはあらゆる出来事が数式によって表され、あらゆる数式が「解析機関」によって計算される数学の世界である。
その世界で、「モーダス」を走らせれば、「モーダス」は世界にも解を与えられるようになる。
その世界においては、「解析機関」は万能のコンピュータであるためである。

「モーダス」はプログラムにして、一つの“公式”である。世界方程式である。
それは無限に近い反復を繰り返すことにより、近似解を発生させるもの。
エイダが「解析数学」にて解析した相手のデータを「モーダス」プログラムに入力し、「大解析機関」に演算させることによって、相手の行動に対する近似解を得る。
その解にもとづいて、相手の起こす事象に介入するのである。また、空間そのものをも支配する。
相手の宝具が武器であり、解析可能であるならばそれを「蒸気文明」式に再現もできる。
この宝具を使用している際は、バベッジが蒸気王であるならば、まさしくエイダは機関の女王なのである。
なおあくまで近似した解のため、予想外の要素などが現れた際は計算は大きく狂う。

この固有結界と、「モーダス」プログラムによって近似解を得た場合にのみ、エイダは全ての能力値が相手のものよりひとつ+されたものとなる。
固有結界内では「蒸気文明」の産物である機械群がほぼ無限に使用可能。勿論チャールズ・バベッジ型のヘルタースケルターも存在している。
ただしこの宝具の持続時間はかなり短い。非常に強力であるがゆえに、エイダにも大きな負担をかける。
一度使用すれば魔力は枯渇するため、一か八かの大きな“賭け”でもある。
相手のサーヴァントに対し、この宝具で勝利できなければエイダの勝利は絶望的なものとなる。

なお、史実にはこの「モーダス」というプログラムは存在していない。


【宝具(真)】
『絢爛なりし灰燼世界(ディメンジョン・オブ・スチーム)』
ランク:A+ 種別:対軍宝具
偉大なる碩学にしてキャスターの英霊、チャールズ・バベッジの固有結界。
このエイダはバベッジの固有結界として生み出された、本来あり得なかった「蒸気文明世界」に誕生した存在である。
バベッジが夢見た「有り得た未来」に誕生した「大解析機関(メガ・アナリティカル・エンジン)」によって反復演算され続ける「モーダス・プログラム」の“夢”のかけら。
現実のエイダとは異なる「差分的(ディファレンス)」な存在である。
そのため彼女は当然ながら、本来完成しなかった「解析機関」を有している。
この彼女はバベッジの固有結界から生まれた存在であり、バベッジの固有結界こそが真の宝具となる。
バベッジの固有結界がもう一つのロンドンを構成した時、このエイダは生まれ、機関の女王として英霊となったのである。


【Weapon】
機関(エンジン)カード
機械語(プログラム)がパンチされたカード。
これを解析機関にセットすることによって世界の物理法則にクラッキングをかけて魔術を行使する。
なお、相手に投げつけてもその効果は発揮される。


解析機関
バベッジが構想した、コンピュータの祖とも呼ばれるもの。
現実には完成しなかったはずだが、エイダはこれを所持し、小型化して自らのドレスの中に仕込んでいる。
そのドレスの中に存在するスロットに機関カードを差し込んで魔術(演算)を行使する。
その性能は構想されていたものよりも格段に上昇しており、現代のコンピュータを遥かに凌駕する演算機能を備えている。


【解説】

1815年に生まれ、1852年に没したイギリスの貴族の女性である。
オーガスタ・エイダ・バイロン。有名な詩人であるジョージ・バイロンの娘。
結婚後はオーガスタ・エイダ・ラブレスとなる。
チャールズ・バベッジと親交を持ち、彼の構想する「階差機関」「解析機関」に非情な興味を抱き、バベッジの教えを受けた。
バベッジの解析機関についての講演録の訳注を行い、この訳注のおかげで、バベッジの「解析機関」についての詳細を我々は知ることができる。
「解析機関」についての深い理解を示し、世界最初のプログラマーとも呼ばれる。

エイダは元来聡明な少女であり、数学については母親譲りの天分を発揮した。
天才数学少女であったエイダは17歳のときに、とあるパーディーでバベッジとめぐりあい、その後バベッジによって、階差機関の一部を披露するためのパーティーに招待される。
そこでエイダはバベッジの階差機関という機械式計算機の虜となる。
そして、彼女はバベッジの下に頻繁に出入りするようになり、絆を深めていった。
バベッジの講演録の註釈をつけることにより、「解析機関」を夜に知らしめ、伝道することに心を砕いた。
このことにより、機関の女王という称号を得ることとなった。

しかし、エイダにはギャンブル癖や不倫の癖があり、スキャンダラスな事件も起こしていた。一説にはコカインなどにも手を出していたと言われる。
そのような生活のためか、34歳のときに旅行中に体調を崩し、子宮ガンが発覚する。
その後病状は悪化していったが、エイダの母親はこの機会をふしだらな生活を続ける娘の矯正の機会だと感じたのか、
道徳的な書物を読ませたり、鎮痛のための阿片の使用を医師が求めた際も首を縦に振らない時があり、末期ガンの苦痛に耐えるという苦行を課した。
エイダがバベッジに会いたいとせがんでも母親はそれを聞き入れず、ついにエイダは苦痛に苛まれながら、
バベッジの夢であった「解析機関」の完成を見ないまま、36歳の若さでこの世を去った。

エイダの母はエイダの死後、バベッジにエイダからの手紙を全て返却するようになど言われ、
さらにエイダが形見として残そうとしていたバベッジ監修の著作さえもバベッジの手に渡らなかった。
バベッジは、娘のように扱っていたエイダの悲惨な死とその母親の残酷な仕打ちにひどく心を痛めたという。

「解析機関」に理解を示し、自らもプログラムなどを書いて「機関の女王」と呼ばれたエイダ。
死後数百年経って、エイダの名はアメリカ国防総省が開発したプログラミング言語「ADA」に冠せられる栄誉に浴した。

――これが、“史実”におけるエイダの一生である。

しかし、キャスターの英霊として召喚されたエイダは、“史実”のエイダとは異なっている。

――それは、解析機関が反復し続ける中で生まれた、夢の一つ。
――それは、チャールズ・バベッジの夢見た世界に生きた、あり得た可能性の一つ。
――「蒸気文明の到来」という有り得た未来に現れた、機関の女王。
――「階差機関」と「解析機関」が急速な発達を遂げた、バベッジの夢の世界のかけらである。

キャスターのサーヴァントであるチャールズ・バベッジの宝具にして固有結界、『絢爛なりし灰燼世界』によって生まれた、エイダのあり得た可能性の一つ。
そして、エイダにまつわる風聞や、彼女とバベッジが登場する『ディファレンス・エンジン』という小説のイメージなどから作り上げられた英霊である。
このエイダはバベッジの「階差機関」や「解析機関」が生み出された世界に生きたことになっているため、「解析機関」を有している。
このため、現実の認識に歪みが生じている。現実にはバベッジのコンピュータは完成しなかったのだが、
エイダにとっては全てのコンピュータの祖はバベッジのものに直結していると映っている。

聖杯戦争は、自らの才能と、バベッジの機関の性能を示すための場であると思っており、バベッジが開発した機関を用いて戦うこととなる。

数学、最新式のコンピュータなどに強い興味を示し、マスターにはそれについて質問攻めすることもしばしば。
召喚される際の姿は、バベッジと出会った17歳のときの姿である。
それは、彼女がもっとも純粋に輝き、バベッジの機関に恋い焦がれた全盛期の姿である。

美しい貴族の令嬢といった容姿だが、性格としては奔放であり、気が強いところも見られる。
またギャンブル好きであり、彼女に競馬を見せてしまえば、かなり熱中してしまうこととなるだろう。


【一人称】私
【二人称】貴方/マスター


【聖杯への望み】
師にして父親的存在であったチャールズ・バベッジとの再会。
現実世界のエイダであるならば、その願いはバベッジの夢の実現、「蒸気文明世界の到来」や「解析機関の完成」になるが、
このエイダは現実のエイダとは異なり、バベッジの夢が実現した世界の存在である。
そのため、本来の願いとは異なる願いを抱いている。
エイダは生前、決して幸福とは言い切れなかった。病に伏してからは、バベッジとまともに会うこともできず、
苦痛の中で死を遂げた。故に、彼女が願うのは自らの父親のような存在であった、チャールズ・バベッジとの再会し、彼ととも過ごすことである。

バベッジの機関に魅せられ、恋い焦がれた少女であったときのように――


【その他】
『マスター・エイダ』
とある並行世界にて生まれた“現実”のエイダは、19世紀中葉、大英帝国のロンドン、時計塔のお膝元でありながら行われた聖杯戦争に巻き込まれ、
マスターとして“未来”の英霊である「蒸気王」を召喚している。
彼女の不遇な最期を知る「蒸気王」は、かつて娘のように愛した無垢で聡明な少女を血なまぐさい聖杯戦争から遠ざけようとするが――?

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最終更新:2016年09月24日 19:03