- 彼女は遷移状態で恋をする こなたSide(5)
『好き』
……その二文字が、頭に響く。
それを口に出した所為で。
それを租借するのが難しくて。
それで昨日は……あんまり眠れなかった。
眼を閉じたら見える。
私に笑いかける、彼の笑顔が。
そして蘇る。
彼に言われた言葉が。
彼に言った、言葉が。
そのどちらもが同じ意味で。
そのどちらもが……私を苛める。
気がつかなければよかった、こんな気持ち。
気がつかなければよかった、こんな想い。
だって……。
だって、それは……無駄なんだから。
「好きなわけ、ない……か」
反芻する。租借する。
……苦くて、酸っぱくて、飲み込めない。
大好きな学食のB定食もこれじゃあ進みが悪い。
折角のご飯の時間なのに……一人じゃやっぱり、味気ない。
「泉さん」
「こなちゃん」
「?」
声に気がつき、振り返る。
そこには、二人。
つかさとみゆき君。
「おやおや、友人さんはもう退席されたんでしょうか」
そう言って私の向かいと隣りにそれぞれ座り自分のお弁当を置く。
みゆき君の言葉に、慌てて取り繕う。
「う、うんっ。皆速いねー食べるの」
……。
もちろん、嘘。
誘ってすら……ないもん。
いくら一人で美味しくなくても……誰かと食べたい気分じゃなかったから。
「お兄ちゃんは今日は、別だよ」
「今頃一人で寂しくお弁当を突付いているでしょう、いい気味です」
聞いてもないのに、二人がかがみの事を付け加える。
……。
そっか、かがみ……居ないんだ。
あははっ、何寂しがってるんだろ。
私が……避けてる癖に。
「まぁ、喧嘩の原因は分かってます。あの甘露煮君でしょう」
「け、喧嘩って程じゃないよ。ちょっと、言い合いになっただけで」
昨日はみゆき君の家から、抜け出した。
かがみと喧嘩して、ってなるのかな。
そっか、そうだよね。
私たち今……喧嘩してるんだ。
そうだよ、大嫌いって……言ったんだもん。
「お兄ちゃんも、凄く心配してたよ?」
「……かがみ、が?」
その単語に反応して、心臓が跳ねる。
うぅ……みっともないなぁ、相変わらず。
「ええ、いつもに輪をかけて辛気臭い顔してましたね」
「こなちゃんも、いつまでも喧嘩してるのは嫌なんじゃない?」
「そう……だけど」
でも、と心が反対する。
会って、どうするの?
胸に芽生えた気持ちに気付いた今は……会うのが、怖い。
だってきっとまた、みっともなく暴れるんだ。
それで、みっともなく切り裂かれる。
それが分かってるのに、心が叫ぶ。
……会いたい、って。
あはは……馬鹿だな、私って。
「もうちょっと……時間置いてからじゃ、駄目かな」
「はい、そう思いまして」
と、みゆき君がチラシを取り出す。
「仲直りがてらにこういうのはどうでしょう」
「花火大会?」
チラシを手渡され、眼を通す。
そっか、もうそんな時期かぁ……。
「今度の土曜日です。そこにぜひ皆さんで」
「……かがみ、も?」
「うん、お兄ちゃんも楽しみにしてるって」
お祭り、かぁ。
……。
浴衣なんか着たら……何て言うかな。
あははっ、また変な事考えてる。
どうせ、気にもしないよ。
それに浴衣なんて、もう押入れの奥に締まっちゃってるし。
着付けもお父さんに手伝ってもらわないと無理だし、動きにくいだけだし。
でも……可愛いって、褒めてくれるかも。
「どうでしょう、何か用事でもありますか?」
「ふぇ! あ、ええと。うん」
呆けてたところでみゆき君が声をかけてきたので慌てる。
土曜日。
……それまでならきっと、整理出来るかな。
整理?
それは……おかしいか。
だってもう、答えが出てるのに。
だから後は納得するだけ。
想うだけ、無駄だって。
それが出来たら……多分、大丈夫。
顔をあわせてもきっと、笑えるよ。
「……そだね、予定空けとくよ」
ほらね……笑えた。
……その二文字が、頭に響く。
それを口に出した所為で。
それを租借するのが難しくて。
それで昨日は……あんまり眠れなかった。
眼を閉じたら見える。
私に笑いかける、彼の笑顔が。
そして蘇る。
彼に言われた言葉が。
彼に言った、言葉が。
そのどちらもが同じ意味で。
そのどちらもが……私を苛める。
気がつかなければよかった、こんな気持ち。
気がつかなければよかった、こんな想い。
だって……。
だって、それは……無駄なんだから。
「好きなわけ、ない……か」
反芻する。租借する。
……苦くて、酸っぱくて、飲み込めない。
大好きな学食のB定食もこれじゃあ進みが悪い。
折角のご飯の時間なのに……一人じゃやっぱり、味気ない。
「泉さん」
「こなちゃん」
「?」
声に気がつき、振り返る。
そこには、二人。
つかさとみゆき君。
「おやおや、友人さんはもう退席されたんでしょうか」
そう言って私の向かいと隣りにそれぞれ座り自分のお弁当を置く。
みゆき君の言葉に、慌てて取り繕う。
「う、うんっ。皆速いねー食べるの」
……。
もちろん、嘘。
誘ってすら……ないもん。
いくら一人で美味しくなくても……誰かと食べたい気分じゃなかったから。
「お兄ちゃんは今日は、別だよ」
「今頃一人で寂しくお弁当を突付いているでしょう、いい気味です」
聞いてもないのに、二人がかがみの事を付け加える。
……。
そっか、かがみ……居ないんだ。
あははっ、何寂しがってるんだろ。
私が……避けてる癖に。
「まぁ、喧嘩の原因は分かってます。あの甘露煮君でしょう」
「け、喧嘩って程じゃないよ。ちょっと、言い合いになっただけで」
昨日はみゆき君の家から、抜け出した。
かがみと喧嘩して、ってなるのかな。
そっか、そうだよね。
私たち今……喧嘩してるんだ。
そうだよ、大嫌いって……言ったんだもん。
「お兄ちゃんも、凄く心配してたよ?」
「……かがみ、が?」
その単語に反応して、心臓が跳ねる。
うぅ……みっともないなぁ、相変わらず。
「ええ、いつもに輪をかけて辛気臭い顔してましたね」
「こなちゃんも、いつまでも喧嘩してるのは嫌なんじゃない?」
「そう……だけど」
でも、と心が反対する。
会って、どうするの?
胸に芽生えた気持ちに気付いた今は……会うのが、怖い。
だってきっとまた、みっともなく暴れるんだ。
それで、みっともなく切り裂かれる。
それが分かってるのに、心が叫ぶ。
……会いたい、って。
あはは……馬鹿だな、私って。
「もうちょっと……時間置いてからじゃ、駄目かな」
「はい、そう思いまして」
と、みゆき君がチラシを取り出す。
「仲直りがてらにこういうのはどうでしょう」
「花火大会?」
チラシを手渡され、眼を通す。
そっか、もうそんな時期かぁ……。
「今度の土曜日です。そこにぜひ皆さんで」
「……かがみ、も?」
「うん、お兄ちゃんも楽しみにしてるって」
お祭り、かぁ。
……。
浴衣なんか着たら……何て言うかな。
あははっ、また変な事考えてる。
どうせ、気にもしないよ。
それに浴衣なんて、もう押入れの奥に締まっちゃってるし。
着付けもお父さんに手伝ってもらわないと無理だし、動きにくいだけだし。
でも……可愛いって、褒めてくれるかも。
「どうでしょう、何か用事でもありますか?」
「ふぇ! あ、ええと。うん」
呆けてたところでみゆき君が声をかけてきたので慌てる。
土曜日。
……それまでならきっと、整理出来るかな。
整理?
それは……おかしいか。
だってもう、答えが出てるのに。
だから後は納得するだけ。
想うだけ、無駄だって。
それが出来たら……多分、大丈夫。
顔をあわせてもきっと、笑えるよ。
「……そだね、予定空けとくよ」
ほらね……笑えた。
土曜日。
少し陽も落ち始めた辺りに家を出る。
服は……浴衣。
お祭りに行くって言ったら、お父さんが出してくれた。
別に良かったのにな……私服でも。
だって着たらまた、期待してる自分に気付いちゃう。
後ろで纏めた髪が不自然に気になる。
視線がまるでそこに集まってる気分。
変、とか言うかな。
似合ってるって、言ってくれるかな。
何も……言わないかな。
……。
結局今週は、一度もかがみには会えなかった。
ううん、会わなかった。
昼休みのたびに、学食に逃げた。
休み時間のたびに、教室から逃げた。
結局心の整理は……つかないまま。
待ち合わせの駅の鏡に自分が映るたびに、心が跳ねる。
何度も確かめたはずの髪型を確かめる。
帯が緩んでないか確かめる。
服が乱れてないか確かめる。
本当……みっともない。
「あっ、こなちゃん来たよっ」
つかさの声が耳に届き、慌てる。
だって、つかさが居る。
そしたら……居る、よね。
「こんにちわ泉さん、浴衣が良く似合っていますね」
「うん、本当。すっごい可愛い」
「あ、ありがとっ。二人とも」
二人の声に体が強張っていく。
まだ、視線が上げられない。
上げたらそこに、居る。
見なくても分かる……居る。
「ほらっ、お兄ちゃん」
「ん……ああ」
声が耳から入り、体が痺れる。
この声を聞くのも……何日ぶりだろう。
そうだよね、そんな声だっけ。
「……よッス」
「あ……」
声に反応して視線をあげる。
視線が交わる。
心臓が揺れる。
胸の中が、彼で溢れる。
ああ、やっぱりなんだな。
やっぱり……好きなんだ。
その胸に溢れる気持ちをかみ締めて。
その想いを思い知らされて。
その想いを噛み締めて……。
「……なんか久しぶりだねっ。かがみっ」
自然と笑顔がこぼれた。
いつもの無理な笑顔じゃない。
自然と溢れた、彼への笑顔。
認めてしまった。口に出してしまった。租借してしまった。
それならもう……向き合うしかないのかな。
ねぇ、かがみ。
好きになっても……いい?
好きのままで居ても……いい?
「ねぇ、かがみ」
「ん?」
かがみの眼を見る。
少し強張って、睨んだかもしれない。
「ゆ、ゆ……」
心臓が暴れる。
動悸が耳を劈く。
体が震える。
『浴衣、似合ってる?』
その一言だけ。
それだけ、だから。
それだけ……言う。
……言うっ!
「ぅおーい、柊ぃー!」
「ぬおっ!」
その時だ。
大きな声と共にかがみの体が、大きく揺れた。
自然とこぼれた笑顔に……亀裂が入った気がした。
少し陽も落ち始めた辺りに家を出る。
服は……浴衣。
お祭りに行くって言ったら、お父さんが出してくれた。
別に良かったのにな……私服でも。
だって着たらまた、期待してる自分に気付いちゃう。
後ろで纏めた髪が不自然に気になる。
視線がまるでそこに集まってる気分。
変、とか言うかな。
似合ってるって、言ってくれるかな。
何も……言わないかな。
……。
結局今週は、一度もかがみには会えなかった。
ううん、会わなかった。
昼休みのたびに、学食に逃げた。
休み時間のたびに、教室から逃げた。
結局心の整理は……つかないまま。
待ち合わせの駅の鏡に自分が映るたびに、心が跳ねる。
何度も確かめたはずの髪型を確かめる。
帯が緩んでないか確かめる。
服が乱れてないか確かめる。
本当……みっともない。
「あっ、こなちゃん来たよっ」
つかさの声が耳に届き、慌てる。
だって、つかさが居る。
そしたら……居る、よね。
「こんにちわ泉さん、浴衣が良く似合っていますね」
「うん、本当。すっごい可愛い」
「あ、ありがとっ。二人とも」
二人の声に体が強張っていく。
まだ、視線が上げられない。
上げたらそこに、居る。
見なくても分かる……居る。
「ほらっ、お兄ちゃん」
「ん……ああ」
声が耳から入り、体が痺れる。
この声を聞くのも……何日ぶりだろう。
そうだよね、そんな声だっけ。
「……よッス」
「あ……」
声に反応して視線をあげる。
視線が交わる。
心臓が揺れる。
胸の中が、彼で溢れる。
ああ、やっぱりなんだな。
やっぱり……好きなんだ。
その胸に溢れる気持ちをかみ締めて。
その想いを思い知らされて。
その想いを噛み締めて……。
「……なんか久しぶりだねっ。かがみっ」
自然と笑顔がこぼれた。
いつもの無理な笑顔じゃない。
自然と溢れた、彼への笑顔。
認めてしまった。口に出してしまった。租借してしまった。
それならもう……向き合うしかないのかな。
ねぇ、かがみ。
好きになっても……いい?
好きのままで居ても……いい?
「ねぇ、かがみ」
「ん?」
かがみの眼を見る。
少し強張って、睨んだかもしれない。
「ゆ、ゆ……」
心臓が暴れる。
動悸が耳を劈く。
体が震える。
『浴衣、似合ってる?』
その一言だけ。
それだけ、だから。
それだけ……言う。
……言うっ!
「ぅおーい、柊ぃー!」
「ぬおっ!」
その時だ。
大きな声と共にかがみの体が、大きく揺れた。
自然とこぼれた笑顔に……亀裂が入った気がした。
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- 最近ゆきさんの台詞が自分のリビドーを刺激して止みません。
いいキャラ立ちだなぁ…
GJです! -- 名無しさん (2007-12-29 02:06:09)