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ガラスの壁 第2話

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 2. (つかさ視点)


 6時間目が過ぎて、今日の授業は全て終わる。
 教科書や文房具を鞄にしまっていると、こなちゃんが歩み寄ってくる。
「つかさ…… ちょっとゲマズ寄らない? 」
「えっ、わ、私? 」
 いつもは、隣の教室にいるお姉ちゃんを真っ先に誘う。
私が誘われることはあっても、その時はお姉ちゃんも一緒だ。

「あの、お姉ちゃんは一緒に行かないの? 」
 私は、首を傾げながら問いかけた。
「今日は、つかさと二人で行きたい気分だから」
 こなちゃんの言葉に、心臓が高鳴って…… 
お昼の出来事が脳裏をよぎって、顔が青ざめる。
 もしかして、私が覗いていたことがバレてる?

 反射的に周囲を見渡す。教室にはクラスメイトの多くは残っているが、
ゆきちゃんの姿はもう見えない。
 一方、目の前にいるこなちゃんは、いつもと変わらない表情をしている。
「うん。こなちゃん」
 断る理由を見つけ出せなくて、私はただ頷くしかなかった。

 駅前のゲーマーズで、こなちゃんは、予め買うと決めていた本と、
雑誌を棚から抜き出すと、さっさとレジに出してしまう。
 普段なら、こなちゃんは店内をあちこちと動き回り、吟味を重ねてから
ようやく買うのだけれど。

 店から出ると、冷たい風が吹き込んでくる。
 私は、首を竦めながら身体をぎゅっと抱きしめた。
 初冬の商店街のスピーカーからは、早くもクリスマスソングが
流れてくる。
 駅がはっきり見えるところまで歩いたところで、こなちゃんは話しかけた。
「つかさ、ちょっとお茶しようか」
「うん…… 」
 私は、こなちゃんの言われるまま、喫茶店の扉をくぐる。
 からん…… 心地よい音が耳朶をくすぐった。


 一番奥の座席に座ると、すぐに若い女性の店員さんが注文を取りに
歩いてくる。
 こなちゃんは、ブレンドコーヒー、私はカフェオーレを頼むと、
店員さんは、営業用の笑顔を振りまいて去っていった。

 暫く、沈黙が続いたあと―― 
 こなちゃんが、いきなり話を切り出した。
「今日の昼休み、つかさ、講堂にいたよね」
「ええっ、どうして知ってるの? 」
 背中に冷や汗を流しながら、慌てている私をみながら、
こなちゃんは苦笑した。
「やっぱり…… いたんだ」
「あっ」
 カマ、かけられちゃったんだ――
 私は自分の単純さが恥ずかしくなって、がくっとうなだれる。

「結局、つかさは一部始終を見たんだね」
 あっという間に、最高裁の判決を待つ、有罪確定寸前の
被告のように追い詰められてしまう。
 私はうなだれながら、頷くしかない。

「正直だから好きだよ。つかさ」
 こなちゃんの唇から放たれる、何気ない『好き』にひどく動揺する。
『好き』の意味がゆたかちゃんと全然違うことが分かっているのに、
ときめいてしまう。
 こなちゃんは罪な女の子だ。
「ご、ごめんなさい」
 羞恥で顔を赤くしながら謝ったところで、店員さんがコーヒーと
カフェオーレを運んできた。


 こなちゃんは、薄い湯気を立てている黒い液体を、一口だけ
含んでから、悪戯っぽい表情をみせて言った。
「純情なつかさには、ちょっと強烈だったかな」
「そ、それは、そのう…… 」
 しどろもどろになる私を、からかうようにみつめている。
「見てしまったものは、仕方がないから」
「あっ、うん…… 」
 こなちゃんは、安堵する私を観察しながら言葉を続ける。
「できれば、内緒にしておいてほしいんだけどね」
 こなちゃんが私を誘った目的は、ゆたかちゃんとの情事に対する
口止めだったんだ。

 私のココロに小さな落胆が生まれる。
「う、うん。いいけど」
「けど? 」
 こなちゃんの、吸い込まれそうな蒼い瞳が、私を絡めとって離さない。
 目に見えない圧力に押されながらも、何とか自分の正直な気持ちを
口にする。
「こなちゃんと、お昼ご飯を一緒に食べられないのは、とても寂しいよ」
 私の言葉に、こなちゃんは虚を突かれたように表情をとめて…… 
深いため息をついた。
「それに、お姉ちゃんも、ゆきちゃんも、こなちゃんと一緒に
過ごしたいんだよ」

 私たちは3年生だ。年が明けるといよいよ受験本番に突入する。
 まずはセンター試験、そして2次試験と続くわけで、あと何度
4人でお昼を一緒にすることができるか、分からない。
 そして、一部の後期試験が続く3月初めには、卒業してしまい、
それぞれ別の道を歩むことになる。


 こなちゃんは、少しだけ哀しそうな表情で呟いた。
「ごめんね。つかさ…… 」
「ううん」
 私は首を横に振ってから、思い切って尋ねてみる。
「ゆたかちゃんと付き合って、どれくらいになるの? 」
「両想いになれたのは、1ヶ月前かな」
 こなちゃんの表情が一瞬で幸せそうに変わってしまうことが、
たまらなく辛い。

「最初は家で会えるから、学校ではあまり顔を合わせなくても大丈夫かな…… 
なんて思っていたんだ。でも、だんだん我慢できなくなっちゃって」
 こなちゃんは、どこか自嘲めいた口調で言ってから、小さく舌を出した。
「あの講堂は穴場だとは思っていたけどね。誰も使っていないし。
でも、こんなに早くばれちゃうとは思わなかったよ」

「ごめんね。こなちゃん」
 私は、こなちゃんの恋人との大切な時間を、ぶち壊しにしてしまったんだ。
「ううん、気にしないでいいから」
 こなちゃんはパタパタと手を振った。
「それにね。つかさに見られてエッチをするのって、結構快感だったから」
 冗談めかして、こなちゃんは私のはしたない行為を許してくれる。
 本当は凄く怒ってもいいはずなのに…… こなちゃんは凄く優くて、
却って心苦しくなってしまうんだ。
「みんなと昼食は一緒にとれないけど、他は普段どおりだから」
「う、うん」
 私はこわばる頬を叩き、精一杯の微笑みをつくって頷いた。


 駅でこなちゃんと別れてから、家に帰る。
 家族と夕食を共にして、入浴を済ませてから、パジャマ姿で
ベッドに転がる。
 課された宿題にとりかかる気なんて、全く起きなかった。

「こなちゃん…… あんなコトしてたんだ」
 こなちゃんとゆたかちゃんとの『真昼の情事』が脳裏に鮮明に
浮かんでくる。
 こなちゃんは、とても嬉しそうに小早川ゆたかちゃんの
大事な場所をいじって、ゆたかちゃんは可愛い声で喘いで、華奢な身体を
びくびくと震わせていた。
「こなちゃん。私にも、シテくれないかな…… 」
 いやらしい妄想を浮かべてしまい、顔を赤らめる。

 そうだ。脳内でゆたかちゃんを私にしてしまおう。誰もみていないし。

『つかさ…… 』
 瞼を閉じて、こなちゃんの映像を再生する。
 こなちゃんが私の肩を抱いて、甘いキスをするんだ。
「ん…… 」
 空想上のこなちゃんの柔らかい唇が、私をなぞっていく。
 それから、パジャマのボタンを外して脱がしてもらおう。
『つかさの肌、すべすべだよ』
 口付けを交わしながら、おへその周辺をなぞって、ブラ越しに
乳房をいじる。
「んん…… 」
 私は小さく喘いだ。頭の中にいるこなちゃんは、少し頬を
膨らませている。
『つかさの方が大きいなんてずるいよ』
「そんなこといったって…… 」
 既に私の乳首は、硬く膨らんでいる。
 私は、背中に手を回してホックを外して、愛撫に邪魔となった
ブラを落とす。


 親指と人差し指を使って、露出した乳首を摘むようにいじっていると、
少しずつ気持ち良くなってくる。
 感情も昂ぶり、私は喘ぐように呟く。
「わたし、こなちゃんのこと好き」
 こなちゃんが一番好き。こなちゃん無しでは生きていられない程、
大好きなの。
 でも、たった一言がいえなくて、3年間が過ぎようとしている。
 それでもね。私の頭の中だったら、こなちゃんは想いに答えてくれるんだ。
『つかさ…… 綺麗だよ』
「ん…… こなちゃん」
 こなちゃんとのディープな口付けを想像しながら、下腹部に手を伸ばすと、
既に大事なところは湿り始めていた。

「んはっ」
 快感に震えながら、パジャマの下も脱いでしまう。
 ショーツを覗くと、クロッチの色が既に変わっている。
「こなちゃん」
 だけど、私の中にいる、こなちゃんは曖昧な笑みをうかべたまま
何も言わない。
「私のキモチ、ホントだよ」
 ゆたかちゃんと両想いなこなちゃんが、振り向いてくれることはない。
 だけど、私はこなちゃんのコトを諦め切れないんだ。

「んっ…… 」
 濡れたアソコを下着越しにゆっくりとなぞる。とても切ない感触が
じんわりと伝わって、私の弱い心を締め付ける。
「んあ、はうっ」
『つかさ…… 』
 空想上のこなちゃんが淡く、霞んでしまう。
「待ってよ。こなちゃん」
 陽炎のように揺らめくこなちゃんは、オナニーに『自分の身体』を
利用している私の痴態を、もの哀しげに見つめている
 それなのに、私は昂ぶる気持ちを抑えられない。

「私、こなちゃん…… 本当に、好きなの」
 小さな嬌声をあげながら、何度もスキを連発する。

 こなちゃんは高校で一番最初に仲良くなった女の子なんだ。
 誤解で倒された外人さんはちょっと可哀想だったけど、あの時の
こなちゃんは凛々しくて、とても格好良かった。
 こなちゃんは、私とは趣味が違っていたけど、そんな些細なことは
気にならなかった。
 小さな身体から、はちきれそうなくらいに溢れるパワーと、底抜けの
明るさに、瞬く間に魅了されてしまったよ。
 もし、ゆたかちゃんが、高校に入学する前に告白したら、
こなちゃんは私の気持ちに応えてくれたかもしれないのに。 


 私は、切ない思いを無理矢理閉じ込めて、快楽を得ることに集中する。
 右手で膨らみかけの胸を揉みながら、利き手となる左手で秘裂をいじくる。
「あ…… あぅ」
 ベッドの上で未成熟な裸体を晒しながら、喘ぎ声を漏らす。
「駄目、こなちゃん、だめっ…… 」
 私は、秘所を刺激していた指の動きを加速させていく。
「もう、いっちゃうよ。こなちゃん。イッっちゃうんだから」
 淫らな声をあげながら、ぬめりを帯びた指を激しく動かし、
アソコの膨らんだ突起と、膣口を同時にいじくり回す。
「あっ、ひゃあ、あうぅ…… こなちゃん。こなちゃん! 」
 激しくよがりながら、想い人の名前を連呼する。

 私の嬌声が部屋中に響く。
 こなちゃんの名前を呼べば振り向いてくれるなんて、
大きな勘違いだと分かっているよ。でも、やめられないの。
「こなちゃんがスキ! 私、こなちゃんのコト大好きなの! 」
 夢中になって、アソコを激しくいじくり回す。
 大事な場所から蜜が大量に溢れ出して、白いシーツを汚していく。
「だめ。んああ、こなちゃん、だめええええっ」
 もうすぐいっちゃう。でも、もう我慢できないよ。こなちゃん。
「んああっ、だめ、いく、いっちゃう、んんあああああっ! 」
 ひときわ大きな絶叫をあげて、私は峠を越えた。

 激しい自慰でイッたあと、荒い息をあげながら天井を見上げる。
 快楽の波が退いていくとともに、既におぼろげになっていた
想像上のこなちゃんは、陽が昇った後の霧のように完全に消えてしまい、
どうしようもない現実が戻ってきてしまう。

「こなちゃん…… どうして? 」
 どうして、ゆたかちゃんと付き合うの? 
 どうして私は、こなちゃんに好きといえなかったの? 
 自責と悔悟の念が次々に押し寄せてくる。
「いやだよ。こなちゃんと一緒にいたいよ…… 」
 私はシーツに顔を押し付けたまま泣いた。疲れて声が涸れるまで
涙を流し続けた。


 泣くだけ泣いた後、私はのろのろと起き上がり、汚れた下着を取替えて、
再びパジャマを着る。
「顔、洗わなくっちゃ」
 残った気力を振り絞り、廊下に出て洗面所で顔を涙で赤く腫れてしまった
顔を洗っている時に、お姉ちゃんが声をかけてきた。
「つかさ…… 」
「おねえちゃん? 」
 長いツインテールをリボンでくくった、お姉ちゃんは、私の顔が濡れている
のにも関わらず、ぎゅっと抱きしめてくる。
「ど、どうしたの? 」
「ごめん。つかさ。アンタが辛い思いをしてることに、全然気がつかなくて」
「あ、あの、もしかして? 」
「悪いけど聞こえちゃったから…… 」
 お姉ちゃんの言葉に、恥ずかしくて顔が赤くなる。

「本当に、こなたはどうしようもないやつね」
「でも、こなちゃんは大切な友達で、大好きだし…… 」
「それが罪作りだっていっているのよ! 」
 お姉ちゃんの口調はいつになく厳しかった。
 確かに、最近、朝から晩までこなちゃんのことばかり考えている。
 このままの心理状態で年を越したら、大変なコトになってしまうだろう。

「つかさ。私は今まで、こなたとゆたかちゃんのことは、言い方は悪いけど
他人事だと思っていた。もちろんこなたは大切な親友よ。こなたの恋は
応援してあげたいし、どんなに親しくても立ち入れない領域があるわ。
ここまでは分かるかしら? 」
「う、うん。なんとか」
 私は頷いた。『親しき仲にも礼儀あり』という言葉を、お姉ちゃんは
表現をかえて、説明してくれたのだろう。


「でもね。つかさを、こんなに泣かせると話は別だわ」
「えっ!? 」
 お姉ちゃん、こなちゃん達に怒っているの?
「今、こなたとゆたかちゃんは、両手を繋いでしまっているの。
これはラノベの一節の受け売りだけどね」
 お姉ちゃんはライトノベルをよく読む。

「恋をすることはとても大切な事。でもね。だからと言って二人だけの世界に
閉じこもってはいけないの。こなたはゆたかちゃんと二人きりでいいと、
思っているけど。こなたの周りには私やつかさ、みゆきがいる。
 そして、ゆたかちゃんの周りには、田村さんや岩崎さん、パトリシア
さんがいるわ。彼女達を無視したまま、生活することなんてできやしないのよ」

 一気に捲くし立てたお姉ちゃんの、こなちゃん達への激しい非難に、
私は、ただ呆然と立ちつくすしかなかった。
 そして、お姉ちゃんの視線が、単に私とこなちゃんとの間だけではなくて、
こなちゃんとゆたかちゃんの周囲にいる親しい人達までを、しっかりと
見据えていることに気がついた。
 お姉ちゃんには、一生敵いそうにないことを改めて思わされる。

「つかさ」
「な、なに」
「こなたと、ゆたかちゃんの関係について教えてくれるかしら」
「どういう事? 」
「昨日、私とみゆきが講堂から去った後、つかさはまだ残っていたわね」
「うん…… 」
「あの後、何があったの? こなたとゆたかちゃんは何をしたの? 」
 お姉ちゃんに最も恐れていたことを聞かれた。でも、今の私には言えない。
こなちゃんに口止めされていることを、話せる訳ないよ。

 私は、瞼に涙をためながら首を横に振った。
「ごめんね。おねえちゃん」
「待ちなさい、つかさ! 」
 お姉ちゃんの声を振り切って、自分の部屋に駆け込み、鍵を閉める。
 後を追ったお姉ちゃんが、私の名前を叫びながら、何度かドアを叩いたけど、
私はベッドの中にうずくまり、ひたすら両耳を塞ぐ。
 しばらくして、お姉ちゃんはようやくあきらめたようで、物音はしなくなった。
 一時的には逃れることができたけど、お姉ちゃん相手にいつまで
黙っていられるか、正直言って自信が無い。

 考えること自体に酷く疲れてしまった私は、毛布にもぐりこんだまま
瞼を閉じて、夢の世界に逃避した。


※参考文献 今野緒雪著 「マリア様がみてる(いばらの森)(白き花びら)」

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ガラスの壁 第3話へ続く













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  • つかさ可哀想だナ…… -- 名無しさん (2008-05-08 19:43:45)
  • 縺九′縺ソ繧薙?蜿ー隧槭′荳?迸ャ縺ァ縺セ繧翫∩縺ヲ繝阪ち縺?縺ィ繧上°縺」縺滓釜繧後▲縺ヲ荳?菴難ス暦ス暦ス -- 縺ソ縺ソ縺ェ縺 (2008-04-09 08:49:30)
  • つかさったらえっちねぇー。




    -- 生足さん (2008-02-24 01:52:48)

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