少しずつずれてしまった日常。
それは、ある段階になるまで誰にも気付かれる事はなかった。
例え、一番近しい者でさえ…
それは、ある段階になるまで誰にも気付かれる事はなかった。
例え、一番近しい者でさえ…
こなた達が三年になってから、約一ヶ月。
受験へ向けての強化された学校カリキュラムにも慣れてきた頃だった。
もっとも、こなたとつかさはあまり変わっていなかったが…
受験へ向けての強化された学校カリキュラムにも慣れてきた頃だった。
もっとも、こなたとつかさはあまり変わっていなかったが…
「それにしても、三年になったら授業が色々難しくなってきちゃったねー」
「そうだねぇ、わからない内容が多くなってきて、ますます眠く…」
「こなたはいつもと変わらないでしょうが…つかさももう少し頑張りなさいよ」
「そうだねぇ、わからない内容が多くなってきて、ますます眠く…」
「こなたはいつもと変わらないでしょうが…つかさももう少し頑張りなさいよ」
溜息をつきながら、呆れ気味にかがみが喋る。
そんな様子のかがみを見逃すはずもなく、こなたがいつものようにからかう。
そんな様子のかがみを見逃すはずもなく、こなたがいつものようにからかう。
「でも、かがみは優しいから後でしっかり教えてくれるよねー」
「馬鹿言ってんじゃないわよ、復習位しっかり自分でやんなさい」
「そんな事言って、結局はいつも教えてくれてるじゃーん」
「うっ……それは、その…」
「馬鹿言ってんじゃないわよ、復習位しっかり自分でやんなさい」
「そんな事言って、結局はいつも教えてくれてるじゃーん」
「うっ……それは、その…」
にやにやしながらかがみに絡むこなた。
そんな二人を見て、つかさとみゆきが珍しくこなたのからかいに乗った。
そんな二人を見て、つかさとみゆきが珍しくこなたのからかいに乗った。
「かがみさんは、泉さんの事をきちんと考えてあげているんですね」
「そういえばお姉ちゃん、何だかんだ言ってこなちゃんの面倒見ること多いよね」
「な、何よ、みゆきまで!
いやそりゃ…だって、大事な友達だし…その…」
「んふふ、かがみは本当にツンデレだねぇ」
「ツンデレって言うなっ!」
「そういえばお姉ちゃん、何だかんだ言ってこなちゃんの面倒見ること多いよね」
「な、何よ、みゆきまで!
いやそりゃ…だって、大事な友達だし…その…」
「んふふ、かがみは本当にツンデレだねぇ」
「ツンデレって言うなっ!」
顔を真っ赤にしつつ、必死に取り繕うとするかがみ。
そんなかがみを見て、他の三人は軽く笑いあう。
いつもの微笑ましい光景ではあったのだが…既にこの時から、変化は始まっていたのだった。
そんなかがみを見て、他の三人は軽く笑いあう。
いつもの微笑ましい光景ではあったのだが…既にこの時から、変化は始まっていたのだった。
◆
「なー柊ぃ、今日あたり勉強会やらねーかぁ?」
二時間目が終わった後の休み時間、能天気な声でみさおがかがみに話しかけてきた。
五年間も一緒にいるのに、まだ普通の友人止まりなのが少し悲しいところだろうか。
そう考えると、高校で知り合ったばかりのかがみとこなた達との友情の深まり方は、ある意味凄いと言えるだろう…
五年間も一緒にいるのに、まだ普通の友人止まりなのが少し悲しいところだろうか。
そう考えると、高校で知り合ったばかりのかがみとこなた達との友情の深まり方は、ある意味凄いと言えるだろう…
「勉強会をやるのは別にかまわないけど、宿題写しにくる目的なら却下よ」
「うっ…そ、そんなんじゃないってば!
あたしは純粋に、柊やあやのと一緒に勉強したいと思ってて…」
「目が泳いでるわよ…」
「うっ…そ、そんなんじゃないってば!
あたしは純粋に、柊やあやのと一緒に勉強したいと思ってて…」
「目が泳いでるわよ…」
どうやら勉強会という名目にかこつけて、宿題を写そうとしていたらしい。
こなたもよく使う方法なので、かがみはこの事に慣れっこになっていた。
しかし、こなたに対する返答とみさおに対する反応の違いは…
こなたもよく使う方法なので、かがみはこの事に慣れっこになっていた。
しかし、こなたに対する返答とみさおに対する反応の違いは…
「結局は宿題を写すことが最大の目的なんじゃない。
そんな理由なら、勉強会には付き合わないわよ」
「そ、そんな事言わないでくれよぅ…
あの宿題の提出期限って明後日だろ?
あたしの頭じゃ、どんなに頑張ってもあの量が片付くとは思えないんだよー…」
「普段勉強していないからでしょ、自業自得よ」
そんな理由なら、勉強会には付き合わないわよ」
「そ、そんな事言わないでくれよぅ…
あの宿題の提出期限って明後日だろ?
あたしの頭じゃ、どんなに頑張ってもあの量が片付くとは思えないんだよー…」
「普段勉強していないからでしょ、自業自得よ」
この通り。
こなたには最終的に甘い顔を見せてしまうが、みさおに対してはかなりドライなかがみ。
それでもみさおは、何とかして食いつこうとする。
こなたには最終的に甘い顔を見せてしまうが、みさおに対してはかなりドライなかがみ。
それでもみさおは、何とかして食いつこうとする。
結局いつも通り、みさおがあやのに泣きついて終了した。
どちらかといえば、これもいつも通りな出来事だった。
…だが、今回だけは違う結末が待っていた。
これだけで終了、とはならなかったのだ。
どちらかといえば、これもいつも通りな出来事だった。
…だが、今回だけは違う結末が待っていた。
これだけで終了、とはならなかったのだ。
◆
次の日の昼休み、みさおとあやのが並んで歩きながら雑談をしていた。
あやのが所属する茶道部関係の古道具を屋上倉庫へ運ぶ仕事を、みさおが手伝った帰りの時だった。
昨日の宿題騒動はどこへやら、いつものような軽い話題で盛り上がっている。
あやのが所属する茶道部関係の古道具を屋上倉庫へ運ぶ仕事を、みさおが手伝った帰りの時だった。
昨日の宿題騒動はどこへやら、いつものような軽い話題で盛り上がっている。
「でさー、それ1700円もしたんだぜ?
どう考えてもぼったくりとしか思えない金額なんだよなー」
「そんなお店があるんだー
そんなにあからさまで、そのお店やっていけるのかしらね?」
どう考えてもぼったくりとしか思えない金額なんだよなー」
「そんなお店があるんだー
そんなにあからさまで、そのお店やっていけるのかしらね?」
談笑しつつ、下り階段へと向かった二人。
だが、その時に悲劇が起こった。
二人が階段を下り始めた直後、あやのに異変が起こったのだ。
だが、その時に悲劇が起こった。
二人が階段を下り始めた直後、あやのに異変が起こったのだ。
あやのの背中に、何かで叩かれたような強烈な衝撃が来る。
「えっ…?」
ドンという鈍い音と共に、あやのがバランスを崩した。
あやのは何があったかわからないといった顔のまま、一気に前方へ倒れこみ始める。
それに気付いたみさおは、あやのを支えようと動き出す。
あやのは何があったかわからないといった顔のまま、一気に前方へ倒れこみ始める。
それに気付いたみさおは、あやのを支えようと動き出す。
「あや…っ!」
あやのに手を差し伸べようとしたその時だった。
みさおの足に物凄い衝撃がかかる。
棒で殴られたような、切れのあるキックを入れられた時のような…
完全に不意をつかれたみさおは、その衝撃に耐え切れず足を崩してしまった。
そのままみさおは、斜め上前方を向いた状態のまま後頭部を階段の角に強打。
その衝撃で一気に下へとずり落ちていく。
あやのは前方へと倒れたリカバリーに失敗し、そのまま顔面を強打。
みさおと同じく、そのまま階段の下へと転げ落ちていった。
みさおの足に物凄い衝撃がかかる。
棒で殴られたような、切れのあるキックを入れられた時のような…
完全に不意をつかれたみさおは、その衝撃に耐え切れず足を崩してしまった。
そのままみさおは、斜め上前方を向いた状態のまま後頭部を階段の角に強打。
その衝撃で一気に下へとずり落ちていく。
あやのは前方へと倒れたリカバリーに失敗し、そのまま顔面を強打。
みさおと同じく、そのまま階段の下へと転げ落ちていった。
階段周辺に、物凄い音が鳴り響く。
それに気付いた近くの生徒が駆け寄り、目の前の惨事に唖然とした。
少しの間だけ場の時が止まった後、それを破るように一人の生徒が叫ぶ。
それに気付いた近くの生徒が駆け寄り、目の前の惨事に唖然とした。
少しの間だけ場の時が止まった後、それを破るように一人の生徒が叫ぶ。
「…せ、先生を呼んで!先生を!
これ、急がないとまずいぞ!早く!」
これ、急がないとまずいぞ!早く!」
無理もない。
みさおは後頭部を連続で強打したショックでそのまま気を失ってしまい、泡を吹いていた。
あやのは顔面から落ちた上にそのまま下まで転落したため、顔面からの出血が酷い状態だった。
周囲は大騒ぎとなってしまい、野次馬に来た生徒も含めて混乱を始めていた。
その中には、みさおとあやのが階段から落ちたという報を聞いて駆けつけた、いつもの四人の姿もあった。
みさおは後頭部を連続で強打したショックでそのまま気を失ってしまい、泡を吹いていた。
あやのは顔面から落ちた上にそのまま下まで転落したため、顔面からの出血が酷い状態だった。
周囲は大騒ぎとなってしまい、野次馬に来た生徒も含めて混乱を始めていた。
その中には、みさおとあやのが階段から落ちたという報を聞いて駆けつけた、いつもの四人の姿もあった。
「く、日下部…峰岸…!」
「お、お姉ちゃん…」
「これは……酷い事が起きてしまいましたね…」
「………」
「お、お姉ちゃん…」
「これは……酷い事が起きてしまいましたね…」
「………」
四人全員が、その惨事に言葉を失う。
ある者は、血溜りに顔を沈めたあやのをみて貧血を起こしそうになっていた。
ある者は、友人の事故を見て頭の中が白くなっていた。
…だが、この四人の中で一人だけ、その光景をみて小さく笑みを浮かべた者がいた。
もしこの時点で誰かがその表情の違いに気が付いていれば、後々の出来事が変わったのかもしれない。
だが、その表情の変化に気が付く者は誰一人としていなかった。
ある者は、血溜りに顔を沈めたあやのをみて貧血を起こしそうになっていた。
ある者は、友人の事故を見て頭の中が白くなっていた。
…だが、この四人の中で一人だけ、その光景をみて小さく笑みを浮かべた者がいた。
もしこの時点で誰かがその表情の違いに気が付いていれば、後々の出来事が変わったのかもしれない。
だが、その表情の変化に気が付く者は誰一人としていなかった。
その後、みさおとあやのの二人は救急車によって病院へと運ばれていった。
あやのが鼻骨を骨折している上、二人とも意識が戻っていない。
到底保健室での処置では追いつかないため、病院で処置してもらった方がいいという判断だった。
あやのが鼻骨を骨折している上、二人とも意識が戻っていない。
到底保健室での処置では追いつかないため、病院で処置してもらった方がいいという判断だった。
「…明日、帰りに病院へ寄っていこうよ。
日下部も峰岸も、きっとすぐ良くなると思うし…」
「そうですね、今日は治療云々で面会ができないかもしれませんし…」
「私、お見舞いにお菓子焼いていこう」
「明日はバイトがあるんだけど、休めるように店長に頼んでみるよ」
日下部も峰岸も、きっとすぐ良くなると思うし…」
「そうですね、今日は治療云々で面会ができないかもしれませんし…」
「私、お見舞いにお菓子焼いていこう」
「明日はバイトがあるんだけど、休めるように店長に頼んでみるよ」
友人の唐突な事故。
そのあまりの凄まじい光景に、皆から元気が無くなっていた。
…演技をしている、ただ一人を除いて。
そのあまりの凄まじい光景に、皆から元気が無くなっていた。
…演技をしている、ただ一人を除いて。
その夜、柊家。
かがみは明日のお見舞いのことを考えつつ、宿題を片付けていた。
明日の提出まで間に合わせようと頑張っているが、どうしても事故の光景が頭から消えない。
血まみれになったあやの、白目を剥いたみさお。
少し気を抜くと、その光景が脳裏に浮かんでくる。
それと同時に、かがみはある事が気になっていた。
かがみは明日のお見舞いのことを考えつつ、宿題を片付けていた。
明日の提出まで間に合わせようと頑張っているが、どうしても事故の光景が頭から消えない。
血まみれになったあやの、白目を剥いたみさお。
少し気を抜くと、その光景が脳裏に浮かんでくる。
それと同時に、かがみはある事が気になっていた。
(…何で二人同時に、しかも違う落ち方をしていたんだろう…
見た感じ日下部は前側に怪我は無かったし、峰岸はその全く逆。
何だか…ちょっと不自然な気もするけど…)
見た感じ日下部は前側に怪我は無かったし、峰岸はその全く逆。
何だか…ちょっと不自然な気もするけど…)
宿題を進める手が止まると同時に、色々考えてしまう。
片方が助けようとして一緒に転げ落ちたなら、多少その事がわかるような体勢になっている筈。
でも、もしかしたら本当に同時に落ちただけかもしれない。
…あれこれ考えているうちに、かがみの頭の中がごちゃごちゃになってきた。
片方が助けようとして一緒に転げ落ちたなら、多少その事がわかるような体勢になっている筈。
でも、もしかしたら本当に同時に落ちただけかもしれない。
…あれこれ考えているうちに、かがみの頭の中がごちゃごちゃになってきた。
「いや、今は宿題を解く事に集中!
あの状態は、別に偶然だったとしてもおかしくないもんね」
あの状態は、別に偶然だったとしてもおかしくないもんね」
単に深読みしすぎただけだと自分に言い聞かせつつ、宿題を片付けるかがみ。
全ての課題を終わらせた時には、既に夜十時半をまわっていた。
とはいえ、寝るにはまだ早い時間。
かがみはベッドの上に寝転がり、本棚から適当なライトノベルを取り出して読み始めた。
と、その時かがみの部屋のドアがノックされる。
全ての課題を終わらせた時には、既に夜十時半をまわっていた。
とはいえ、寝るにはまだ早い時間。
かがみはベッドの上に寝転がり、本棚から適当なライトノベルを取り出して読み始めた。
と、その時かがみの部屋のドアがノックされる。
「お姉ちゃん、入っていい?」
「つかさ?いいわよ、入って」
「つかさ?いいわよ、入って」
枕を持ちながら、つかさがかがみの部屋に入ってきた。
いつもならつかさは寝ている時間なのだが、この時間まで起きているのは珍しい。
枕を持って入ってきたという事は、大抵何か怖いものを見た後と相場が決まっているのだが…
いつもならつかさは寝ている時間なのだが、この時間まで起きているのは珍しい。
枕を持って入ってきたという事は、大抵何か怖いものを見た後と相場が決まっているのだが…
「どうしたのよ、枕持って入ってくるなんて何年ぶり?
また何か怖い番組でも見ちゃったの?」
「そ、そうじゃなくて…その…お昼休みにあった、あの事故が頭から離れなくて…」
「…つかさもなの?」
「うん…それでその…眠れなくなっちゃったから、一緒に寝てくれないかなと思って…」
また何か怖い番組でも見ちゃったの?」
「そ、そうじゃなくて…その…お昼休みにあった、あの事故が頭から離れなくて…」
「…つかさもなの?」
「うん…それでその…眠れなくなっちゃったから、一緒に寝てくれないかなと思って…」
確かに、あの場面はつかさにとって衝撃だった。
それだけならまだしも、自分がよく知っている人間が病院へ運ばれるほどの騒ぎになったのだ。
元々こういう事に耐性の無いつかさにとって、精神にかなり来るものがあったのだろう。
そんなつかさの心中をすぐに察したかがみは、その申し入れを受け入れた。
それだけならまだしも、自分がよく知っている人間が病院へ運ばれるほどの騒ぎになったのだ。
元々こういう事に耐性の無いつかさにとって、精神にかなり来るものがあったのだろう。
そんなつかさの心中をすぐに察したかがみは、その申し入れを受け入れた。
「いいわよ、今日は一緒に寝てあげる」
「あ、ありがとう…お姉ちゃん…」
「あ、ありがとう…お姉ちゃん…」
かがみは持っていたライトノベルを元の場所にしまい、つかさと一緒にベッドで横になった。
電気を消すと同時に、つかさがかがみに抱きついてくる。
その抱きついた体は、微妙に震えていた。
電気を消すと同時に、つかさがかがみに抱きついてくる。
その抱きついた体は、微妙に震えていた。
「…お姉ちゃん」
「ん、何?」
「日下部さんに峰岸さん…二人とも、すぐによくなるよね」
「もちろんよ、特に日下部は元気だけがとりえな奴だから、明日にはぴんぴんしてるんじゃないかしら?」
「そうだといいね…」
「ん、何?」
「日下部さんに峰岸さん…二人とも、すぐによくなるよね」
「もちろんよ、特に日下部は元気だけがとりえな奴だから、明日にはぴんぴんしてるんじゃないかしら?」
「そうだといいね…」
やはり、どうしても話題は事故の事になってしまう。
かがみはつかさのフォローにまわる事だけを考え、あまり深い話はしないようにした。
こうしてつかさを安心させようとしているかがみだが、実はかがみ自身もつかさと一緒にいる事で安堵していた。
…実は、かがみもつかさと同じような心境だったのだ。
クラス内で一番よく話す友人が、あんな状況に陥ってしまった。
そして、その結果の光景…血にまみれたあやの、白目のみさおがしつこく脳裏にまとわりついている。
つかさがかがみに抱きついて安心している事と同じように、かがみもまたつかさと一緒にいる事で安心していたのだった。
その日、二人はほぼ同時に眠りについた。
明日、友人二人が元気な姿を見せてくれることを信じて…
かがみはつかさのフォローにまわる事だけを考え、あまり深い話はしないようにした。
こうしてつかさを安心させようとしているかがみだが、実はかがみ自身もつかさと一緒にいる事で安堵していた。
…実は、かがみもつかさと同じような心境だったのだ。
クラス内で一番よく話す友人が、あんな状況に陥ってしまった。
そして、その結果の光景…血にまみれたあやの、白目のみさおがしつこく脳裏にまとわりついている。
つかさがかがみに抱きついて安心している事と同じように、かがみもまたつかさと一緒にいる事で安心していたのだった。
その日、二人はほぼ同時に眠りについた。
明日、友人二人が元気な姿を見せてくれることを信じて…
◆
次の日、四人はみさおとあやのが入っている病院へと向かった。
二人が入っている病室に入ると、元気な声が揃って聞こえてきた。
二人が入っている病室に入ると、元気な声が揃って聞こえてきた。
「おー、柊のお二人にちびっ子、それに高良さん!来てくれてありがとなー」
「みんな来てくれてありがとう。私たちは何とか大丈夫だったよ」
「みんな来てくれてありがとう。私たちは何とか大丈夫だったよ」
あやのは鼻骨、みさおは右腕を固定されていた。
どうやらみさおは、落ちた時に右腕を同時に折ってしまったらしい。
どうやらみさおは、落ちた時に右腕を同時に折ってしまったらしい。
「日下部、あんた腕もやっちゃってたんだ…大丈夫?」
「あー、落ちたときに右腕を巻き込んじゃったみたいでなー
でも、利き腕を折らなかった分マシだなと思ったよ」
「あー、落ちたときに右腕を巻き込んじゃったみたいでなー
でも、利き腕を折らなかった分マシだなと思ったよ」
本当に事故にあった後なのかと思うほどの元気さを見せるみさお。
その様子を見て、かがみが安堵の色を見せる。
その様子を見て、かがみが安堵の色を見せる。
「その元気さを見て安心したわよ。
峰岸も鼻の骨を折っただけで済んだの?」
「うん、私は鼻以外どこも折れたりしていないみたい。
とはいえ、私もみさちゃんもしばらく病院にいることになりそうなんだけどね」
「骨がそれなりにくっつくまで無理だもんなー
それにあたしの場合、頭の後ろをガンガン打ったから後遺症が出ないかが心配らしいんだよ」
「日下部なら大丈夫でしょ、多分」
「…ひーらぎぃ、どういう意味だよぅ…」
「あっははは…」
峰岸も鼻の骨を折っただけで済んだの?」
「うん、私は鼻以外どこも折れたりしていないみたい。
とはいえ、私もみさちゃんもしばらく病院にいることになりそうなんだけどね」
「骨がそれなりにくっつくまで無理だもんなー
それにあたしの場合、頭の後ろをガンガン打ったから後遺症が出ないかが心配らしいんだよ」
「日下部なら大丈夫でしょ、多分」
「…ひーらぎぃ、どういう意味だよぅ…」
「あっははは…」
少しだけ、病室内に笑い声が響く。
二人とも骨折してしまっているが、その元気そうな姿に皆安心していた。
笑いも収まった後、かがみが事故の事についてさりげなく二人に聞いてみた。
やはり、ふと感じた不自然な点が気になっていたのだろう。
二人とも骨折してしまっているが、その元気そうな姿に皆安心していた。
笑いも収まった後、かがみが事故の事についてさりげなく二人に聞いてみた。
やはり、ふと感じた不自然な点が気になっていたのだろう。
「それにしても、災難だったわねー
二人とも、まさか一緒に足を滑らせたとか?」
「…あー、その事なんだけどな…」
二人とも、まさか一緒に足を滑らせたとか?」
「…あー、その事なんだけどな…」
みさおの表情が一瞬曇る。
あやのがその表情の変化を見て、言葉を発した。
あやのがその表情の変化を見て、言葉を発した。
「…実はね、さっきその事でみさちゃんと話していたんだけど…
私達、どっちも誰かに後ろから押されてバランスを崩したのよ」
「…え!?」
私達、どっちも誰かに後ろから押されてバランスを崩したのよ」
「…え!?」
その言葉に、その場にいる全員が驚きの表情を隠せなかった。
驚いている暇もなく、みさおが説明を続ける。
驚いている暇もなく、みさおが説明を続ける。
「正確に言うと、あやのは背中。
そしてあたしは両足を後ろから思い切り何かで殴られたって感じだったんだよ。
最初にあやのがバランスを崩して、助けようとしたら…あたしが足をやられて…」
「それで、二人ともそのまま階段を落ちちゃったのよ。
…悪戯にしても、ちょっとやりすぎよね…誰かが私たちに恨みでも持っていたとか…?」
そしてあたしは両足を後ろから思い切り何かで殴られたって感じだったんだよ。
最初にあやのがバランスを崩して、助けようとしたら…あたしが足をやられて…」
「それで、二人ともそのまま階段を落ちちゃったのよ。
…悪戯にしても、ちょっとやりすぎよね…誰かが私たちに恨みでも持っていたとか…?」
二人の説明を無言で聞く四人。
この話の通りだとすると、みさおとあやのの二人は誰かに突き落とされた事になる。
しかも悪戯にしては、確かにやり口が酷すぎる。
ならば一体、誰が、どうして二人に…
そんな考えが、かがみ達の脳内を駆け巡った。
この話の通りだとすると、みさおとあやのの二人は誰かに突き落とされた事になる。
しかも悪戯にしては、確かにやり口が酷すぎる。
ならば一体、誰が、どうして二人に…
そんな考えが、かがみ達の脳内を駆け巡った。
「…まあ、こうして無事だったし、今はそういう事を考えるのはやめよーぜ。
とりあえずあたし達は、しっかり骨を治して出てくるのが先決だかんな!」
とりあえずあたし達は、しっかり骨を治して出てくるのが先決だかんな!」
重くなった空気を吹き飛ばすように、みさおが声を発した。
それは、みさおなりのかがみ達への思いやりでもあった。
最も、本人がこういう空気が苦手という理由もあったのだが。
それは、みさおなりのかがみ達への思いやりでもあった。
最も、本人がこういう空気が苦手という理由もあったのだが。
「…ポジティブねー、あんたは…
ま、まあとりあえず元気だって事はわかったし、ゆっくり休んでしっかり治してね」
「本当に骨折で済んでよかったですね…お大事に」
「今度何かお菓子を持ってくるから、早く良くなってね」
「ありがとう、みんな」
「おう、すぐに復帰してやるかんなー!」
ま、まあとりあえず元気だって事はわかったし、ゆっくり休んでしっかり治してね」
「本当に骨折で済んでよかったですね…お大事に」
「今度何かお菓子を持ってくるから、早く良くなってね」
「ありがとう、みんな」
「おう、すぐに復帰してやるかんなー!」
深々と頭を下げるあやのと、親指を立てて元気さをアピールするみさお。
そこには、怪我をする前と変わりのない二人の表情があった。
そこには、怪我をする前と変わりのない二人の表情があった。
「みさきち、はしゃぎすぎて出てくるのが遅くならないようにネ。
うっかり右腕を振り回して、また骨が離れちゃったとかやりそうだし」
「なんだとー!?」
うっかり右腕を振り回して、また骨が離れちゃったとかやりそうだし」
「なんだとー!?」
こなたがみさおを、いつものようにからかう。
その光景を見て、また病室内に笑い声が広がった。
そして病院からの帰り道…
その光景を見て、また病室内に笑い声が広がった。
そして病院からの帰り道…
「それにしても、二人とも元気そうでよかったね」
「完治にはまだかかりそうですが…どうやら骨折だけで済んだようで、何よりです」
「完治にはまだかかりそうですが…どうやら骨折だけで済んだようで、何よりです」
二人がそれぞれ無事な事がわかり、皆の顔に安心の色が戻る。
だが、全員どこか安心しきっていない表情でもあった。
それは、やはり先程の二人から伝えられた内容のせいだろう。
しかし、その事について語ろうとする者は一人もいなかった。
あの重い空気にまた戻したくない、という思いがそれぞれの心にあったからだろう。
だが、全員どこか安心しきっていない表情でもあった。
それは、やはり先程の二人から伝えられた内容のせいだろう。
しかし、その事について語ろうとする者は一人もいなかった。
あの重い空気にまた戻したくない、という思いがそれぞれの心にあったからだろう。
その時、後ろの方で何かが落ちたような音がした。
全員がその音の方向へ振り向くと、キーホルダーが歩道の端に落ちていた。
それは、つかさがいつも携帯しているマスコット付きキーホルダーだった。
全員がその音の方向へ振り向くと、キーホルダーが歩道の端に落ちていた。
それは、つかさがいつも携帯しているマスコット付きキーホルダーだった。
「あ、私のキーホルダー…」
「つかさ、きちんと付けておかなかったの?相変わらずドジだねぇ」
「おかしいなあ、ちゃんと鞄に付けておいた筈なんだけど…」
「駅も近いし、先に行ってるわよ。ホームで待ってるから、早く来てね」
「つかさ、きちんと付けておかなかったの?相変わらずドジだねぇ」
「おかしいなあ、ちゃんと鞄に付けておいた筈なんだけど…」
「駅も近いし、先に行ってるわよ。ホームで待ってるから、早く来てね」
つかさを除く三人は駅の方向へ向かい、つかさは慌ててキーホルダーを小走りで拾いに行く。
…その時、全員がまさかと思う事態が起こった。
…その時、全員がまさかと思う事態が起こった。
「えっ…」
キーホルダーまで後30cmもない位置まで近付いたとき、つかさが急にバランスを崩した。
勢いあまってガードレールにぶつかり、そのまま前方へ転倒するつかさ。
道路にそのまま転げ落ちてしまったつかさは、急いで元の場所に戻ろうとするが…
そこに、車が突っ込んできた。
勢いあまってガードレールにぶつかり、そのまま前方へ転倒するつかさ。
道路にそのまま転げ落ちてしまったつかさは、急いで元の場所に戻ろうとするが…
そこに、車が突っ込んできた。
「ひっ……うあぁぁっっ!!」
叫んだのも束の間、強烈なブレーキ音が辺りにこだまする。
ドンという鈍い音と共につかさの体は宙に浮いた。
この音に気付き、後ろを向いた三人は、丁度つかさが地面に落下するところを目撃する。
時が一瞬止まった。
一瞬何が起こっているのか、かがみ達は理解ができなかった。
そして十数秒後、三人はその事態をようやく全て理解した。
ドンという鈍い音と共につかさの体は宙に浮いた。
この音に気付き、後ろを向いた三人は、丁度つかさが地面に落下するところを目撃する。
時が一瞬止まった。
一瞬何が起こっているのか、かがみ達は理解ができなかった。
そして十数秒後、三人はその事態をようやく全て理解した。
「つっ…」
「つか…」
「つかさあああぁぁぁぁっっ!!!!」
「つか…」
「つかさあああぁぁぁぁっっ!!!!」
いの一番に飛び出したのは、こなた。
それに続き、かがみとみゆきが後を追うように走り出す。
つかさの元へ辿り着くと、そこには昨日の事故のような光景が広がっていた。
止まっている車の前に、手にキーホルダーを持ったつかさが倒れている。
つかさは半目を開いた状態で、全く微動だにしていなかった。
そしてその体は、道路をバウンドした関係で至る所に怪我をしていた。
焦った口調で警察と救急車を呼んでいる車の運転手を横目に、三人はつかさの傍へと駆け寄る。
それに続き、かがみとみゆきが後を追うように走り出す。
つかさの元へ辿り着くと、そこには昨日の事故のような光景が広がっていた。
止まっている車の前に、手にキーホルダーを持ったつかさが倒れている。
つかさは半目を開いた状態で、全く微動だにしていなかった。
そしてその体は、道路をバウンドした関係で至る所に怪我をしていた。
焦った口調で警察と救急車を呼んでいる車の運転手を横目に、三人はつかさの傍へと駆け寄る。
「つかさ、つかさ!?しっかりしてよ、つかさ!」
かがみがつかさのすぐ傍に寄り、つかさの意識回復を試みる。
だが、つかさは全く反応しなかった。
言葉を返さず、微動だにしないつかさを再確認したかがみは、いつの間にか涙をその目に溜めていた。
だが、つかさは全く反応しなかった。
言葉を返さず、微動だにしないつかさを再確認したかがみは、いつの間にか涙をその目に溜めていた。
「つかさ……つかさ…っ……つか……っ…!!」
もはやつかさの名前を叫ぶ事しかできないかがみ。
妹が目の前で事故に遭ってしまった事で、その衝撃を隠せないのだろう。
そんなかがみを見て、みゆきが落ち着かせるように声をかける。
妹が目の前で事故に遭ってしまった事で、その衝撃を隠せないのだろう。
そんなかがみを見て、みゆきが落ち着かせるように声をかける。
「落ち着いてください、かがみさん。
まずは意識回復に努めつつ、救急車が来るのを待ちましょう。
病院に運ばれれば、後はお医者様が適切な処置をしてくださいます。
ですから…落ち着いてください。
こういう時にパニックになってしまうのが、一番危険なんですよ」
「うっ……ひっ…うくっ……!」
まずは意識回復に努めつつ、救急車が来るのを待ちましょう。
病院に運ばれれば、後はお医者様が適切な処置をしてくださいます。
ですから…落ち着いてください。
こういう時にパニックになってしまうのが、一番危険なんですよ」
「うっ……ひっ…うくっ……!」
かがみが泣き止んだ頃に救急車が到着し、つかさは先程かがみ達が足を運んだ病院へと運ばれていった。
幸い病院まではそう遠くなかったので、かがみ達も一度病院へと戻る。
連続で続く事故。
どうして自分達のまわりばかり、こんな事が起こるのか…
かがみの心に、そんな思いが湧き上がった。
幸い病院まではそう遠くなかったので、かがみ達も一度病院へと戻る。
連続で続く事故。
どうして自分達のまわりばかり、こんな事が起こるのか…
かがみの心に、そんな思いが湧き上がった。
病院に着くと、つかさは集中治療室へ運ばれていた。
少し遅く到着したかがみ達三人は、治療室の前でつかさの無事を祈るように待っていた。
待っている時間が果てしなく長い。
今までの人生で、これだけ辛く長い時間を待ったことがあるだろうか…
何よりも、それを一番感じていたのはかがみだった。
運ばれてから二十分後、かがみが耐え切れなくなって声を漏らす。
少し遅く到着したかがみ達三人は、治療室の前でつかさの無事を祈るように待っていた。
待っている時間が果てしなく長い。
今までの人生で、これだけ辛く長い時間を待ったことがあるだろうか…
何よりも、それを一番感じていたのはかがみだった。
運ばれてから二十分後、かがみが耐え切れなくなって声を漏らす。
「つかさ…大丈夫よね……つかさは…きっと…」
その言葉を受けて、みゆきがかがみを優しく包み込む。
そのすぐ後に、こなたもかがみの手を優しく包み込んだ。
そのすぐ後に、こなたもかがみの手を優しく包み込んだ。
「大丈夫ですよ、つかささんは元気に戻ってきます…絶対」
「そうだよかがみ、つかさは普段ぼんやりしてるけど根は強いから…
絶対に元気になるって、心配ないよ」
「…二人とも…」
「そうだよかがみ、つかさは普段ぼんやりしてるけど根は強いから…
絶対に元気になるって、心配ないよ」
「…二人とも…」
二人の言葉によって、少しだけ心が落ち着いたかがみ。
友人のかけてくれる言葉というのは、これだけの力があるものなのか…
そんな事を、かがみは友人達の思いやりを噛み締めながら思った。
…そして更に数十分後、集中治療室から医者が出てきた。
友人のかけてくれる言葉というのは、これだけの力があるものなのか…
そんな事を、かがみは友人達の思いやりを噛み締めながら思った。
…そして更に数十分後、集中治療室から医者が出てきた。
「どうですか、つかさの具合は…!」
「意識は回復しました。
右腕を骨折していますが、臓器などに問題は無いので安心してください」
「…よ…良かった…!」
「意識は回復しました。
右腕を骨折していますが、臓器などに問題は無いので安心してください」
「…よ…良かった…!」
医者の言葉を聞き終わった瞬間、かがみの体から力が抜けていく。
その場に座り込んでしまったかがみに、こなたとみゆきが声をかけた。
その場に座り込んでしまったかがみに、こなたとみゆきが声をかけた。
「ほら、かがみ大丈夫?良かったじゃない、つかさが無事で」
「異常が無くて良かったですね。
骨折は仕方がないかもしれませんが、後遺症が残るよりは全然いいですよ」
「うん…うん、ありがとう…二人とも…」
「異常が無くて良かったですね。
骨折は仕方がないかもしれませんが、後遺症が残るよりは全然いいですよ」
「うん…うん、ありがとう…二人とも…」
しばらくして、柊家の皆が病院に到着した。
家族全員、つかさが無事だった事を聞いてほっと胸をなで下ろす。
こなたとみゆきは家族の邪魔にならないよう、先に病院を後にした。
家族全員、つかさが無事だった事を聞いてほっと胸をなで下ろす。
こなたとみゆきは家族の邪魔にならないよう、先に病院を後にした。
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- こ、怖いな
でも、読み惹かれてくなぁ -- 名無しさん (2023-06-04 21:53:21) - サスペンス?ミステリー?
話に引き込まれますね! -- チャムチロ (2012-08-29 21:56:25)