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鷹宮のツインテール

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K.O.!!!


――perfect!



「ぱ、ぱーふぇくとだと…?」
 柊かがみは画面上にチカチカと点滅するperfect――つまり、ノーダメージ――の文字を呆然と見つめていた。
 持ちキャラである春麗がばたっと倒れ、リュウが拳をあげてガッツポーズをしている。
 コントローラーを握るかがみの手が、わなわなと震えていた。
「はっは、どーかねかがみん? 私の実力は? なんならこなた様ってよぶ?」
 こなたが誇らしげにかがみを見下す。
「く…も、もっかいよ! ちょっと手加減しただけなんだからね!」
「ほうほう…いいツンデレだね。よーし、勝負に乗ってあげようじゃないか!」
 こなたはスタートボタンを押して、キャラ選択場面を出す。かがみはもう一度春麗を選び、こなたはリュウを選んだ。

「…こ、今度は負けないんだからね!」
「ふ――返り討ちにしてあげるよ!」
 ラウンド1、ふぁいっ!という声とともに画面上のキャラクターが動き出す。
 ←↓→+弱パンチ――気功拳をかがみが入力する。

「真空――」
 リュウが叫ぶ。
「うわ、ちょ、おま!!」
 かがみは画面上に向かって叫ぶ。無駄なのはわかっていてもついつい声に出してしまうのはかがみの性格柄しかたない。しかし春麗は気功拳の発動ポーズを見せ「きこう」と叫びはじめていた。

「波動拳!!!!」

 スーパー必殺技、ゲージ1を消費する真空波動拳をもろにくらい、春麗が倒れる。HPゲージが4分の1程削られる。
「く…や、やるじゃない!」
「はっは、かがみんも甘いね。牽制の気功拳なんて私に真空波動拳を打たせろっていってるようなもんだからね」
「ま、まだまだこれからよ!」
「それもチェンリーだったのが残念だね。気功拳は発動が遅いから、もろヒットだよ」
「うるさい!」
 弱パンチ+中キック+下段強キック。タイミングよく基本技を入力する。
 しかし場なれしているこなたはきちんとガードし、隙を突いて攻撃を入れていく。
 リュウの左ジャブ。かがみは落ち着いて反対方向に十字キーを動かしてガード。すかさず中パンチ。最後に下段強キック。左下に押し倒して足払いをしゃがみガードする。
「あ、ちょ、ちょ…」
 →→、ダッシュで近づく。狼狽したかがみはコマンドを間違える。むなしく対空技である天翔脚が発動する。こなたは「ちゃーんす!」と叫びながら、その無防備状態である落下終了を狙っていわゆる昇竜コマンド+弱P+中Pを入力する。

「いまだ!」
 リュウ(とこなた)が叫び、屈む。拳が春麗にヒットする。この技は一発目があたらないと不発である。
「ああ!」
 かがみが絶叫する。
「真・昇竜拳!」
 その言葉とともに、リュウが昇竜拳を繰り出す。

――ゲージは、ゼロ。



KO!




「く…こなた、格ゲー強すぎ」
 それから5連敗したかがみは忌まわしげに呟いた。
「まあ格闘ゲーム所持者に挑むこと自体が間違っているんだけどね」
「その熱意を勉強に使いなさいよ」 
 こなたは何度も何度も繰り返されたその言葉に「――不思議とゲーム以外はやる気でないんだよね~」といった後、「クイズマジックアカデミーなら賢者の領域なんだけど」と繰り返した。
 ゲーム機の電源を消し、雑談タイムに入る。
「――それにしてもかがみんも成長したね」
「なにがよ?」
「最後のほうは私のゲージ、3分の1くらいは減らせたよ」
「うっさい! 嫌味か!」
「いや~ほめ言葉だよ? これでも幸手の少女A――で通っているんだからね私は」
 こなはふんっと、鼻を鳴らし、胸をたたく。
 かがみは呆れながら「どんぐらい費やしたんだお前は」という。
「そ、そういった現実的な話は欝になるからなしの方向で」
「ならやるなよ、なら」
 かがみはじと目で、冷や汗をたらしながら目をそむけるこなたを見つめた。

――7月某日。汗で髪が張り付いてくる、連日の猛暑である。25度を夏日、30度を真夏日。去年からは35度を猛暑日と天気予報では言うようになった。温暖化の進行は深刻である。
 ちなみに2007年度8月16日に埼玉県熊谷市では最高の40・9度を記録している。ヒートアイランド現象やらフェーン現象も関係しているが、近い将来は40度にも名前がつけられる可能性は否定できないだろう。

「それでさかがみん」
「あによ?」
「まさかかがみんが、このまま引き下がるわけはないよね?――まあこのまま負け犬で、こなた様とひれ伏すのでもいいんだけど」
 見下すような物言いにかがみは、かちんとくる。
「じょ、上等よ! 再戦を要求するわ!」
 意味もなくかがみは立ち上がり、拳を握り締めて宣言をする。
「よしよし、そうこなくっちゃ~♪
 一週間ほど貸した上げるから、腕を磨いてくるといいよ」
 扱いやすいなあかがみんは♪っと、こなたは気づかれないようにニヤニヤと笑った。
「決まりね。勝負は一週間後の日曜日、午後5時ね」
「望むところだよ」
 その後はいつものように、漫画を読んだりしてこなたと過ごした。





 一週間後。


 K.O.!



「ふぁ、ファイナルアトミックバスターだと……?」




 柊かがみは、画面上でバンザイしているマッチョなプロレスラーを憮然としながら見つめていた。
「ロシアの赤い帝王はすべてを飲み込み、投げまわすのさ~」
「それにしても、あんた、よくあんなめんどくさいコマンドを軽々と入力するわね」
 ザンギエフのゲージ消費技である「ファイナルアトミックバスター」はスティックを一回転させる必要がある。それが初心者には鬼門であり、ついでに容姿もあいまって受け入れがたい雰囲気を醸し出している。
 当然のことながら、これがCPUだと波動拳のノリで繰り出してくるわけだが――。
「愛だよかがみん」
「……このキャラに愛着あるのか?」
「いや、まあ、どーなんだろ?」
 こなたはオタクではあるが、腐女子属性は持ち合わせていないので、そこは曖昧に答えた。
 ちなみに持ちキャラはリュウが基本であるが、一通りこなせるのがこなたである。それゆえに「七色の魔法使い」というへんてこりんな雷名もとどろかしたことがあった。

「もっかい、もっかいよ! こんどこそかがみスペシャル!を決めてやるんだから!」
「うわー……かがみ、自分のコンボに名前付けてるんだ。いいねえ…『かがみスペシャル』だって♪」
「あ、ああ!……うううううるさい!」
 かがみは顔を赤くしながら失言を否定した。
 こなたが「萌えるねかがみんは♪ 『かがみスペシャル』、かがみスペシャルねえ――」とここぞばかりに言葉尻をとらえてかがみをもてあそぶ。かがみはもう、火が出るかと思うほど赤くなっていた。

 今日もこなた達は某有名ゲームをやりこむ。負けず嫌いのかがみはすっかりこなたに感化され、こなたに勝てるように練習してくるのだった。
 いつしかかがみはこなたにも匹敵するほどのゲームセンスを見せる。


――鷹宮のツインテールという異名が埼玉県の格ゲーファンの間に轟くのは、もう少し先の話。




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  • ごめんなさい、単純なミスです。本当は2回転でした。
    元ネタはMARVEL vs CAPCOMだったりします。(1vs1など、ところどころ変えていますが) -- 42-519 (2008-07-02 01:40:56)
  • ファイナルアトミックバスターが一回転って事はV〇シリーズか?普通は二回転… -- 名無しさん (2008-06-10 00:33:49)
  • かがみスペシャルwwなんてかわいい子www -- 名無しさん (2008-05-31 10:55:57)

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