アットウィキロゴ
kairakunoza @ ウィキ
掲示板 掲示板 ページ検索 ページ検索 メニュー メニュー

kairakunoza @ ウィキ

いつまでも、誰よりも

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
 昨日一昨日はいつもの4人に加えてみさきちと峰岸さんを加えた6人で卒業を記念して我が家でパジャマパーティーを開いた。
 結局みさきち達とは3年の2学期からの付き合いだったけど、やっぱり一緒に大きな事をやり遂げると繋がりは強くなるんだね。
 桜藤祭をきっかけにして今ではもうすっかり仲良くなり、皆で集まってはおしゃべりをしたり勉強の息抜きに遊んだりもしたっけ。
 進路は皆バラバラだけど、別れる時にまた機会があれば皆で集まろうって約束もした。

 そして卒業式から2日後のお昼休み。
 最後の役目を果たしたはずのセーラー服を着て、紙袋を片手に稜桜学園の廊下をてくてく歩く。
 行き交う何人かの生徒が私を見て振り向くけどまぁ仕方ないかな……って、私ってそんなに有名だったっけ?
 まぁ細かいことは気にせずに第2の目的地である保健室に到着すると、ノックと共に挨拶してドアを開ける。
「あら? 泉さん?」「む? なぜお前が今ここに来てるんだ?」
 と予想通りの2人、天原先生と桜庭先生の当然とも言える質問の後、もう1人の聞き慣れた声が同じように問いかけてきた。
「なんや、泉? 忘れ物でもしたんか?」
「いやいや、そんなんじゃないですよ。黒井先生が寂しがってないかな~、なんて思って会いに来たんですよ」
「何ゆうてんねん。手の掛かる生徒が無事卒業してくれてせいせいしとるわ」
「まぁまぁ2人とも。立ち話もなんですから中にどうぞ、泉さん」
「じゃあお言葉に甘えますね、天原先生」

 教師3人に卒業した元生徒1人という不思議な顔触れの昼食会……と言っても、私は天原先生の淹れてくれたお茶だけど。
「で、泉。卒業したお前が何のようだ? 忘れ物の回収などと言う殊勝な話ではあるまい?」
 さらりときつい事を言う桜庭先生。
「うぉ、桜庭先生。それはいくらなんでもひどい言い方ですよ? まぁ実際そんな訳ないですけど」
「だったらなんやねん? いくら寂しい言うても、こんなすぐに来るのも考え物やで?」
 今度は呆れたような顔で黒井先生が溜め息を1つ。
「いやまぁ。そこまで寂しがりじゃないですけど、顔を見たいってのもありますよ。少しは」
「少しかい! 全く可愛げのないやっちゃな。そこは嘘でも寂しかった言うのが人情ってもんやないかい」
「じゃあ寂しくて寂しくて夜も眠れませんでした~……よよよ」
 目元を押さえながら黒井先生に抱きつくと、
「取ってつけたようにゆうな! 抱きつくな!」
 顔を赤くして私の頭を押さえつけてくる。そんな様子を見て天原先生がこんな事を言う。
「ふふふ、お2人は本当に仲がいいですね。黒井先生、頬が緩んでますよ?」
「んなっ! いや、これは、なんちゅうか……」
「おやおや~? 実際寂しかったのはそっちじゃないんですか~、黒井せんせー?」
「やれやれ、ここまで仲のいい教師と生徒も珍しいな」
「さ、桜庭先生まで?! こら、泉! いい加減に離れんかい!」
 まぁ先生をからかうのはこのくらいにしておこう。卒業したのにゲンコツをもらうのはいただけないしね。
「ったく。で、本当に何の用や? いくら卒業生やからって軽々しく遊びに来ていいもんでもないんやで?」
「用ならちゃんとありますよ。黒井先生と天原先生に。最初に職員室に行ったらこっちだって聞いたものですから」
「黒井先生と私に? 何でしょう?」
 不思議そうな天原先生の問いかけに紙袋から取り出した2つの包みで答える。
「はい。お世話になった黒井先生と、いつもゆーちゃんがお世話になってる天原先生にお礼です」
「へ?」「あら?」「ほほぅ」
 呆気に取られたような黒井先生と天原先生、感心したような桜庭先生の声が重なる。
「ありゃ? こういうのってまずかったですか?」
「いや、そうやあらへんけど……まさか泉からこんな風にされるとは思わんかったからな」
「私は改めてお礼をされるような事をしてる訳じゃないですから……」
「まぁいいじゃないか、2人とも。黒井先生は素直に教え子が成長した事を喜べばいい。ふゆきにしてもお前がそうは思わなくても、世話される方にとってはお礼をするに値するという事だろう。なぁ、泉?」
 桜庭先生のフォローにむずがゆく感じるけど、
「あ、いや……そう言われるとちょっと照れるんですけど。まぁそういう事です」
 すると2人とも納得したのか、顔を見合わせると笑顔で
「おおきにな、泉」「ありがとう、泉さん」
 と優しくお礼の言葉をくれた。
「や、その……どういたしまして」
 2人の笑顔に見惚れてしまい、頬を掻きながらそう答えるのがやっとだった。

 その後は私の持ってきた包み、お菓子の詰め合わせだけど、をお茶請けに4人でのんびりとおしゃべりをした。
 黒井先生も桜庭先生も受け持ちの授業はなく、怪我人や病人も来なかったので天原先生の仕事もなかったのは運が良かったと言うべきか。
 気づけば放課後になっていて、時間が経つのは早いなぁとか思いながらお茶会をお開きにすることになった。
「それじゃ先生、今までありがとうございました!」
「おぅ、こっちこそな。なんやかんや言っても3年間楽しかったで」
「ふっ、こうして話をしたのも何かの縁だ。気が向いたらうちの部に遊びに来い。確かお前は田村と仲が良かったはずだしな」
「ええ、そうですね。ひよりんは可愛い後輩ですよ」
「その前に桜庭先生。ちゃんと部の方も指導して下さいね?」
「やれやれ。相変わらず一言多いな、ふゆきは。それにこんな時くらい『桜庭先生』は止めたらどうだ?」
「それはそれ、これはこれです。そもそもまだ勤務中ですよ」
「ほほぅ、自分から進んでお茶を淹れていたのは誰だったかな?」
「そ……それはそれ、これはこれです」
「なんや、痴話喧嘩かいな? うちらの仲がいいゆうてたけど、自分らだって人の事言えんやないですか。なぁ泉?」
「ええ、全くです。説得力ないですよ、ふゆき先生」
「ふ、2人とも、からかわないで下さい!」
「いいぞ。もっと言ってやれ、2人とも」
 そんな風に4人で笑い合い、最後にもう1度頭を下げて保健室を後にする。

 用事は済んだものの何故か真っ直ぐ帰る気になれずに、あちこちで生徒の話し声がする中を当てもなく歩く事にした。
 気の向くまま歩くと着いた所は3-Bの教室だった。
 誰もいない教室に1人でいると、何とも言えない不思議な感覚に囚われる。
 世界で今いるのは自分1人なんじゃないか、とか、振り返ればクラスの皆がいるんじゃないか、とか。
「そんな事ある訳ないじゃん」
 1人呟いて窓に近寄れば校庭で部活に励む生徒の姿が見えるし、窓を開ければ掛け声や歓声だって聞こえる。
 さっきまでの楽しさと今1人でいる状況が生み出したギャップでそう感じただけなのか、やっぱりこの学校を離れる事が寂しいのか。
 きっと両方だと思う。
 この学校で過ごした時間が、それだけ大切でかけがえのないものだったんだろう。
「さて。感傷に浸るなんて私らしくないぞ、泉こなた!」
 そう自分に声を掛けて教室から出ると、
「そんな事ないよ、お姉ちゃん」
 静かな、だけど力強く声が掛けられた。
「え? ゆ、ゆーちゃん? なんでここに?」
「クラスの人から聞いたんだよ。お姉ちゃんがこっちに向かったって、ね」
「そ、そうなんだ……って、そんなに目立ってたかな?」
「うん。お姉ちゃんは気づいてないかも知れないけど、結構人気あったんだよ?」
「へ? う、うそっ?!」
「ほら、桜藤祭でチアダンスやったでしょ? あれでお姉ちゃん達のファンになった人とか私のクラスにもいたしね」
「そっかー……全然知らなかったよ」
「でも……正直言うと、嬉しさ半分心配半分だったんだけどね」
「え? なんで? あれがきっかけって事は、私だけじゃなくてゆーちゃんにもファンとか……」
 そこまで言い掛けて気づく。
 確かに好きな人に人気が出るのは嬉しいと言うか誇らしいけど、これでもしゆーちゃんに変な虫がついたらと思うと……
 ゆーちゃんも同じように思っていたんだろう、ぎゅっと抱きついてきたので、苦笑しながら頭を優しく撫でて上げて、
「心配性だね、ゆーちゃんは。私が浮気でもすると思った?」
「そんな事はないけど……でも、やっぱりお姉ちゃんがそういう人達に愛想良くするのは見たくないな」
「大丈夫だよ。私はゆーちゃんの事が世界で1番好きなんだから」
「ん……じゃあ証拠見せてくれる?」
 そう言って目を閉じるゆーちゃんに、今私に出来る最高の愛情表現をしてあげた……

「いやー、すっかり遅くなっちゃったねぇ」
 夕日に照らされながら、2人手を繋いで家路を歩く。
「おじさんとゆいお姉ちゃん、待ちくたびれちゃってるかな?」
「んー、さっきの電話の様子ならまだ大丈夫でしょ」
 寂しがり屋のゆーちゃんにキスをして、そのまま……といった所でお父さんとゆい姉さんからの着信が来た時には本当にビックリしたよ。
「お祝いだからお寿司を取るんだーって言ってたけど、あの調子だと特上とか平気で頼みそうだね……」
「うん……ゆいお姉ちゃんもすごく元気だったよ? お土産楽しみにしててね、だって」
「……ゆきおばさん達とか、かがみ達とか呼んだ方がいいかな?」
「ちょっとお母さんに電話してみるね?」
「私もかがみにメールしてみるよ……多分こっちは無理っぽいけどね」

 結局かがみ達は自分の家でお祝いしてもらうから無理、ゆきおばさん達も来れそうにないとの事だった。
 駅に着いてから家に電話して、帰宅した私達を待っていたのは……
「ちょっと、ゆい姉さんにお父さん。いいからそこに座る」
「いやいや、1人娘のお祝いだぞ? 奮発しなくてどーする!」
「そーだよ、こなた! 可愛い妹の新たな門出を祝うんだからパーっとやらないと!」
「だからって! どう見ても頼み過ぎでしょ、これ?!」
 4人分を遥かに超える、お寿司を始めとしたパーティーメニューの数々だった……
「ま、まぁゆいちゃんもここまで頑張ってくれるとは思わなくてな? だが後悔はしない!」
「そのとーり! おじさんが責任持って食べてくれるから!」
「ゆ、ゆいちゃん?! 裏切ったな?!」
「お姉ちゃんもちゃんと責任持って食べるの!」
「ゆ、ゆーちゃん? 『も』って事はおじさん、許してもらえないのかな?」
「安心していいよ、お父さん。ゆーちゃんが許しても私が許さないから」
「そ、そんな……こんなに食べたらお父さんお相撲さんになっちゃうぞ?」
 涙目になって懇願する2人を見て、横にいるゆーちゃんと一緒に苦笑する。
「まぁお祝いしてくれるのは素直に嬉しいからさ。ほら、冷めないうちに食べちゃお?」
「そうですよ。私達もがんばりますから。ね、こなたお姉ちゃん?」
「だね。余ったらゆい姉さんのお土産にすればいいしね」
「ありがとー2人とも! じゃあ早く着替えておいで。テーブルの準備をしておくからな!」
「じゃあ私は飲み物の用意しちゃいますね」
 一転して羽根でも生えたように軽やかに動き出すお父さん達に呆れながら、ゆーちゃんと部屋に向かう。
「やれやれ、あの2人は本当にしょーがないね」
「さすがに今日のはやり過ぎだけど、これからもずっと、こんな風に楽しく過ごせればいいね、お姉ちゃん!」
「ん、そうだね。これからもよろしく、ゆーちゃん」
 そう言って優しく抱き寄せて、微笑んだまま瞳を閉じるゆーちゃんに唇を重ねた……



コメントフォーム

名前:
コメント:
+ タグ編集
  • タグ:
  • こなた&ゆたか
  • 連載
  • てぃーちゃ~ず
  • そうじろう
  • ゆい
  • 卒業
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー