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実はゆたかの趣味のインターネットがかなりディープだったら:中編

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kairakunoza

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 アルバイトに向かうこなたと別れたゆたかは、八百屋や酒屋などによって買い物をすませながら
岩崎家へと足を進めました。
 結局いくつもの個人商店を巡ってしまいゆたかが都内にあるみなみの家に着いたのは、みなみに
すぐ行くとメールをしてから一時間以上が経ってからです。通常かかる時間を差し引いても、三十
分はロスしていました。
 空に輝く太陽はほんのりと赤らみ始め、世界を橙に染めていきます。
 インターホンを押していたって普通の呼び出し音を送ると、ほどなくして抑揚の薄い声が返って
くるのでした。
「いらっしゃい、ゆたか……少し遅かったね」
「おじゃましま~す」
 みなみが開いた扉をくぐりながら、ゆたかは肩からぶら下げたバッグの中に手を差し込んでまさ
ぐります。
「ごめんねみなみちゃん。もっと早く来たかったんだけど、お買い物してたら時間かかっちゃって」
 ゆたかが購入してきたのは、バナナ一房とベジーテという野菜ジュースから出来たお酒を三缶で
す。
 この二つには、それぞれゆたかの時間を余計に浪費させる理由がありました。
 世間では最近バナナダイエットというものが流行しているらしく、そのせいでいくつもの店舗で
バナナが品切れになっていて、ダイエットに使うわけでもないゆたかまでバナナ発見に手間取って
しまったのです。
 そしてベジーテは、お酒でありながら缶の装丁が野菜の画ばかりでまるでお酒らしくなく、ただ
でさえ買い慣れていない少女がスムーズに探し出すのは困難な作業でした。
「バナナをすって入れたら良い甘味が増えると思って…」
 彼女はバッグの中からバナナを取り出して見せようとしますが、へたが引っ掛かっているのかな
かなか出てきてくれません。
 そうこうしているうちに、通路の奥からみなみの愛犬チェリーがのそのそとやってきました。
 犬の気配に気付かずに、やっと取り出せたバナナをエヘヘと笑顔を浮かべながら抱えて見せるゆ
たか。
 そこにチェリーは、来客の匂いを確かめるように鼻をひくつかせながら近づいてきます。
 そして、そのまま突っ込みました。
 それは、突起とくぼみの融合。
 凸と凹があったからはめ込んだだけとでもいわんばかりに、流れるように淀みなく。
 丸みを帯びた三角の鼻が、ゆたかの脚の付け根と下腹部に囲まれた三角地帯にすぽっと収まりま
した。さながらパズルのピースをはめ込むように。
 チェリーは減速することなく突撃すると、あまつさえぐいぐいとスカートの上から押しつけまし
た。
「ほらこのバナナすっごく大き……ひゃぅッ!!」
 びくっと体を震わせて、バッグごと荷物を落としてしまうゆたか。
 するとその拍子にいくつか中身が飛び出てしまいました。
 みなみがチェリーをたしなめつつ、こぼれた品々を拾い上げていきます。
「ありがとうみなみちゃ……」
 みなみがその中の一つを手に取った瞬間、ゆたかは声を詰まらせました。
 それは野菜の画が特徴的な缶。
 ベジーテです。
「あ、っと…それは、えっと」
 お酒を持ってきたことについて何と言えば良いのか。ゆたかの頭の中が最大最速で回転して答え
を求めます。
 お酒で煮るとお肉が柔らかくなるから。
 お酒を入れるとカレーにコクがでるから。
 そんなどこかで聞いたことがあるような無いような、嘘か真かわからない、けれどなんとなくソ
レっぽい理由候補がいくつか思い浮かびます。
 ただ、ゆたかがそれらを口にする必要はありませんでした。
「野菜ジュース……栄養豊富なカレーになりそう」
「そ、そう、野菜カレー!ビタミンいっぱいなカレーにしようね!」
 ベジーテは野菜の画ばかりの缶。
 パッと見では野菜ジュースだと思ってしまっても、何らおかしくはありません。堂々と「お酒」
と書いてはあるのですが、缶を手に取った角度によってはそれが見えないこともあり得ます。その
場合、わざわざアルコール飲料であることを言わなければ、野菜ジュースだと認識されるのはむし
ろ自然だったのです。
 カレーに野菜を入れるのは普通なのだから、野菜ジュースなら何の問題もありません。
 おそらくみなみも勘違いしたのだろうと、ゆたかは小さな胸をなで下ろしました。
 一方みなみの方は、ベジーテにはあまり注意を向けてませんでしたが、いっしょに落ちていた目
薬には少し目を取られていました。
 成分表の一覧辺りに視線を泳がせると、そっと微かに頷きます。
 その様子はほんの少しゆたかの目に奇異に映ったものの、みなみに部屋へと向かうことを促され
るとすぐに記憶から消え去ってしまいました。




541:1:2008/11/7(金) 16:53:19.11 ID:wAlk/mOE
長門(大)邸に潜入成功。

ダンボールが無いのでトイレにて通信中。


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:29.01 ID:VGTDY?mm
スネークwww


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:53:45.07 ID:KoLMH24D
招かれといて潜入もくそもねーよw


552:1:2008/11/7(金) 16:54:05.31 ID:wAlk/mOE
今カレー作ってるとこでちょっと抜けてきた。
ベジーテはカレーに入れればいいのかな?
目薬もどーすればいいのかわかんないからアンカでよろ

≫570


561:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:09.01 ID:PLES2A22
便所でカレーの話とかよくできるな…

目薬は目に挿す以外にどうすんだ?


567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:38.45 ID:jieomapp
ベジーテは酒だろ?
酒は呑め。
むしろ呑ませろ。


569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:45.15 ID:miNorIcV
目薬をベジーテに入れて飲ませる


570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:47.35 ID:Cv//a-yA
↑+↓


571:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:48.55 ID:uSA168jk
口移しで飲まセロ


575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:54:59.44 ID:BT2atE35
ちょww


578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:12.28 ID:4Okkan24
おにちくwwwwwwww


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:42.12 ID:87N?lko2
目薬をベジーテに入れて、
それを1が口に含んで、
長門(大)に口移しで飲ませる。

こういうことか。
そういや酒に目薬混ぜると化学反応して速効で酔いつぶれるとか聞いたことあるな。
≫570がgjすぎる


607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:55:58.37 ID:lkwep6aw
≫569-571
GJ!!!
すげええええええ


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:07.12 ID:rzebdo36
≫569-571
神ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!


623:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:56:25.24 ID:36kelo1a
≫569-571
てめーら感動したじゃねえか!ww


≫1よ、わかってるだろうな?


650:1:2008/11/7(金) 16:57:05.31 ID:wAlk/mOE
これは569と571を合わせてってことか…
予想GUYすぎる……

ちょっと気持ちの整理がつくまで待って……


659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:19.44 ID:BT2atE35
冷静になればなるほどできなくなるだろ!

今いきなさいww


662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:29.01 ID:PLES2A22
それでも1なら…
1ならきっとやってくれる…


670:1:2008/11/7(金) 16:57:45.49 ID:wAlk/mOE
うー
ぇー
おl-

あーもー行ってくる!!!


687:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/11/7(金) 16:57:49.45 ID:VGTDY?mm
行ったー!!!!




「ゆたか……田村さんが、原稿が終わってこっちに来れるの7時ころになりそうだって」
 夕食のカレーを作りはじめていた最中に、いったんトイレにいっていたゆたかがキッチンに戻る
と、携帯電話を見つめながらみなみが話しかけてきました。
「………」
「………?ゆたか?」
「…え?な、なにみなみちゃん」
「田村さんはあと二時間くらいかかるみたいって」
「あ、うん。急に他のサークルの人からイラストの依頼が来たんだっけ。すごいよね~」
 ゆたかの頭には、みなみの言葉はほとんど入っていませんでした。
 音として耳には届くものの、脳には重要なこととして認識されず、反射的に適当な言葉が絞り出
されている状態。
 彼女の頭の中は今、一つのことでいっぱいになっていて他の事を考える余裕など無かったのです。
「み、みなみちゃん。コップ借りてもいい?」
「…いいけど、喉渇いた?」
「えっと、あ、あの野菜ジュース味見しておこうと思って」
 会話をしているだけで、意図せずに上昇していくゆたかの顔面温度。みなみの顔をまともに見る
こともできず、ゆたかはうつむいた状態でコップを受け取りました。
 そのままくるりと反転すると、みなみに背を向けて見えない位置でベジーテの缶を一つ開けます。
 パキッ。
 こぽこぽこぽ。
 数日なのか数か月なのか。封をされて眠っていたそのアルコール飲料は、解放された喜びを表現
するようにほのかな甘い香りを振りまきました。
 ちょうど現在の陽の光のような、濁った橙色をしたその液体は、お酒であることを知っているゆ
たかの目にもジュースのようにしか見えません。
 実姉がビールや日本酒など大酒飲みが好む類の物ばかりを嗜んでいたので、ゆたかにとってお酒
と言えばアルコール臭がきつく苦い物という認識でした。そのため、目の前のベジーテは少女の軽
い固定概念を砕く効果のある一品だったのですが、残念ながらゆたかの意識は別のことに向いてい
ます。
 目薬を持った手が、ベジーテを注いだコップの上でぷるぷると震えていました。

 ぴちょん。
 ぴっぴっ。
 ぴしゅー。

 最初の数滴は慎重に垂らしていたのに力の加減を間違えたのか、本来の用途通りに目に挿してい
たら目から溢れてひどくもったいないことになりそうな量が、橙の中に溶けていきます。

「み、みなみちゃんは……のど渇いたりとか、して、ない?」
 なみなみと注がれたコップを両手で大事に持ちながら、ゆたかは詰まりがちに尋ねました。
 内容は、喉が渇いてるかどうかという実に一般的に交わされるもの。
 それでも、少女の頬は今や手にした液体よりも濃い緋色に変わりつつありました。
「そういえばちょっと渇いてる、かも」
「そそそそれじゃあ…!!」
 ゆたかは心を決めるように急に大きな声を出すと、コップから入れられる限りの液体を口に含み、
そして振り返りました。
「………?」
 そこにいるのは、静かな表情でまっすぐに見つめてくるみなみ。
 いつのまにか間後ろに来ていたのか、まさに目と鼻の先に彼女がいたのです。
 さきほどまでまともに顔も見れなかったのに、突然至近距離で、しっかりと視線が交錯します。
 ……ゴクン。
 息をのむゆたか。
 一瞬動きを止めて、つばを飲み込もうとします。
 しかし、今ゆたかの口の中につばは無く、変わりに違う液体が幅を利かせています。
 悩む暇さえなく、ほぼ反射的にその液体を喉の奥に流し込みました。

 そう。
 橙色に濁った、目薬入りのお酒を。

「あっ……!!!」
 しまったと思ったのは、数泊の時が経過してからでした。
「ゆたか……?」
「あぇう……えと、みないちゃんぅ」
 今までの声が詰まるのとは別の具合にゆたかの口調が乱れ出し、メルトダウンしたかのように橙
を越えて赤く染まっていく顔色。頬は発熱してるかのごとく、ゆたかには外気がやけに冷たく感じら
れました。
 それらが引き続き見つめあっているみなみの視線のせいなのか、それとも思いがけず体内に取り
込んでしまった目薬ドーピングアルコールのせいなのかはわかりません。ただ、その影響で熱を持
ってしまったのは顔だけでなく、頭の方にも及んでいたのです。
「みあみしゃん!」
 急速に、熱の曇りがゆたかの脳をぼかしていきます。
 普段なら二の足を踏む一線も、今は、今だけは見えなくなっていました。
 再びコップに口をつけると、目一杯に目薬酒を含んでコップは脇に置き、今度は躊躇う様子すら
見せずにみなみの首に手をまわしました。
「ゆた……」
 多少の驚きの色を顔に浮かべながらも、飛び込んできたゆたかを落してしまわないようにしっか
りと抱きかかえるみなみ。
 もともと表情の変化の少ない彼女のことなので、本当は存分に驚いているのか、見た目通りあま
り驚いていないのかは彼女自身にしかわかりません。
 なので、ゆたかが唇を重ねたときも、やはり大きなリアクションはとりませんでした。

 こく、こくん。

 ゆたかの口から、少しずつ目薬とアルコールの混合物が流れていきます。
 本来自然のままなら、圧倒的に身長の低いゆたかの口から圧倒的に身長の高いみなみの口へと液
体が流れることはありません。みなみが拒めば、いくらゆたかが注ぎ込んでもこぼれおちるだけの
はずです。
 しかし、みなみの食道にはとくとくと液体が染み入っていきました。
「ん……」

 ちゅるッ…

 不意にお互いの舌が触れあうと、どちらの物かわからない声が漏れます。かといって驚く様子も
なく、どちらともなく目を閉じ、初めて出会った舌の感触を再び求めて相手の口腔にゆっくりと侵
入していくのでした。
 少しばかりの滴が唇の端から滴り、しだいに二人の服に橙色の染みを作ります。その染みが広が
る速度に合わせて、みなみの顔も徐々に緋色に染まってきていました。
 それがゆたかのように真っ赤な顔色とはなっていないのは、単に時間の問題ではないようでした。
アルコールに対する体質の問題か、それとも彼女にとっては目薬とアルコールの化学反応などより
も、ゆたかの唾液が含まれていることによる心理効果の方が大きいのか。それもまた、彼女自身に
しか分かりません。

「…んはぁ」
 やがて口の中の液体を唾液以外全てみなみに譲渡し終えたゆたかは、ゆっくりと口を離しました。

 くちゅ……
 最後まで名残惜しそうに触れあっていた舌が剥がれると、若干の橙色を残した糸が薄く延びます。
 もはやどちらの唾液から生成された物なのかわからないそれを、二人は分け合って喉の奥に収め
ました。
「えへへ……」
 くらくらとゆれる視界の中で、ゆたかはみなみの腕の中から脱して後ろを振り向くと、ぺたんと
座り込んでしまいます。そして携帯電話を取り出して、操作を始めました。

 すぐ後ろにみなみがいるというのに、もうそんなことに配れる気を余分に持ち合わせてはいませ
んでした。




























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